にっぽん縦断 こころ旅
ずっと残したい、ふるさとの風景
私の思い出の風景は、宮崎海岸での灰付けワカメの天日干しの風景です。
私の出身の宮崎地区では五月の中旬になるとワカメ採りの季節を迎えます。初夏の好天の日を選んで解禁となり、早朝から海岸近くの岩場でたくさんの舟が競ってワカメを採ります。
母は家族のためのお弁当を作り父が戻るのを待ち、子供達は眠い目をこすりながら、ワカメを干すまでに浜で腹ごしらえ。父が採ってきたワカメに藁灰をまぶし、いちにちで天日乾燥させなければなりません。
手も足も鼻の中まで真っ黒になりながらのお手伝い。母の苦労も知らずイヤイヤながらのお手伝いではあったけれど、干し終わったワカメを眺めながら黒い手で食べたオニギリの美味しさは格別でした。
この日ばかりは子供達も貴重な戦力で、今は廃校となった宮崎小学校もワカメ採り終了の合図から数時間後に登校すればよく、まさに住民総出のー大行事でした。
ですが近頃は地区の高齢化や、藁灰の準備などに手間がかかること、自然相手の漁で収穫にばらつきがあって採算が取れなかったりで
漁に出る舟が激減しているそうです。
灰のついたワカメで浜辺が黒く埋め尽くされている風景は昔のこととなりました。天然資源を使った伝統の特産品、この味、この風景を後世に繋げていってほしいと願うばかりです。
このワカメで黒くなる浜辺は、ヒスイの原石が海岸に打ち上げられることからヒスイ海岸と呼ばれています。
正平さん、スタッフの皆さん、時間があったら探してみてください。お宝が見つかるかもしれませんよ。
あと、お天気に恵まれれば能登半島に沈む夕日もきれいです。
ぜひ訪ねて みてください。
富山県富山市 内堀恵美子 55歳
富山県富山市
内堀恵美子さん(55歳)からのお手紙