にっぽん縦断 こころ旅
火野さん、スタッフの皆様
ちゃりおくん こんにちは
私の心に残る風景は桃畑です。
私の住んでいた村は 平家の落武者が築いたと祖母から聞いていました。
岡山でも海抜が高く、盆地形なので 源氏から隠れるのに適していたのでしょう。
その土地柄が桃の栽培に生かされたのだと思います。
四月中旬には、言葉通り桃源郷になります。
私の実家も桃を栽培していました。
父の栽培方法は独特な勘だけで行っていました。
そして実った桃は存在する中で一番美味しい桃でしたが 十四年前に父は他界してしまい 母がその後をつぎました。
初めて、父なしで出来た桃を口にした時
「このままじゃあ食べれんわ
ジュースにした方がええな」と言ってしまいました。
不味い訳ではなく父がいない淋しさから口に出たのだと思います。
母は「もうあげん、食べんでええ」と 怒らせてしまいました。
その時の事をいつか謝ろうと思っていたのですが、父の七年後、病気を発症してわずか九ヶ月で逝ってしまいました。
母のお墓の前で「ごめんな お母ちゃんの桃も美味しかったんよ」と いつもつぶやきながら参っています。毎年春の季節には思い出される事の一つです。
今は 親戚が畑を守ってくれています。
いくつも畑があるのですが思い出深いのは
祖父と小三の夏休みに一緒に小さい石垣を作った畑です。
岡山市 河原祥恵(よしえ)
岡山県岡山市
河原祥恵(よしえ)さん(53歳)からのお手紙