にっぽん縦断 こころ旅
正平さん、チャリオくん、スタッフのみなさん、毎日楽しみに拝見しています。
私の心の場所は、桜島の中腹にある『湯之平(ゆのひら)展望所』です。
私は、四国は愛媛県の松山市で生まれ育ちました。
このまま愛媛の温暖な気候の中で人生のんびりと暮らしていくつもりだったところに、福岡から赴任してきた夫と出会って結婚。それからは夫の仕事の事情で福岡市、長崎市、佐賀県呼子町とめまぐるしく移動する中で、長女を出産。
不慣れな土地での子育て。
そうこうしていると、なんと夫が今度はアメリカへ留学することに。
なんですと~~!旅行ならまだしも、私は海外生活なんてしたくもないのに~!
なんでこんな人と結婚してしまったのか、と思ってみたところでしょうがない。行きました、4歳の娘を抱えてテキサス州ヒューストン。英語も何もかもがチンプンカンプンの一年がようやく過ぎ、夫の次の赴任先が鹿児島市。
こうやって、これまた縁もゆかりもなかった鹿児島での生活が始まりました。
そもそも、愛媛の温暖な気候の中でゆったりと生きていくはずだったのに、なんなのよ、このギャップは。と、ちょっとウツになりかけたとき、休日に家族三人で訪ねたのが湯之平展望所でした。
鹿児島市街を一望に見渡し、振り向くと桜島を見上げるような場所で、桜島の懐に抱かれて「よく来たね」と桜島が言ってくれているかのような、安心と優しさに包まれた気持ちでいっぱいになりました。
それはちょうど、幼き日の父の思い出。あぐらをかいた父の脚のうえに座ると父の中にすっぽりと包みこまれ、振り向き見上げるとニコニコと笑っている父の顔。そんな思い出そのものでした。
それからは鹿児島にもすっかり馴染んで、たくさんの友達もでき、幼かった娘も成人して巣立ち、今は夫とのんびりした穏やかな暮らしです。
それもこれも、あのとき桜島が第二の故郷として私たちを迎え入れてくれたおかげかな、と思っています。
正平さん、よろしかったらぜひ湯之平展望所に行ってみてください。
ただ、坂道はハンパないです。なんせ“山”ですから。
自転車は、正平さんだけでなくスタッフのみなさんにも無謀です。よけいなお世話ですが、監督さん、ふもとからバスが出ていますので、ふもとまでは自転車で、最後はバスで上がってください。よろしくお願いいたします。
鹿児島市 松添恭子
鹿児島市
松添恭子さん(55歳)からのお手紙