にっぽん縦断 こころ旅
拝啓
「こころ旅」は、夫婦ふたりになって少々乏しくなった会話を盛り上げてくれる大好きな番組です。また秋の旅が始まって嬉しく思っております。
数年前、まだ主人が現役だった頃、東京で単身赴任しておりましたが、突然病気で入院生活を送ることになりました。心配した姉達が「今日は、2人でひとこと神様にお詣りして来たから。」と電話をくれたのです。
「ひとこと神様」とは私のふるさと、宮崎県小林市の隣、えびの市で近隣の人々に親しまれている「金松法然」様のこと、この坊様はどこからかお出ましになり、えびの市栗下地区に住みつかれ、村人の苦難や危機を救って下さったそうです。大変な焼酎好きであったらしく、死の直前に「私が死んだら焼酎を供えて ひとつの願いを立てろ、必ず叶えてやる、一度にふたつ以上の願いはかなわんぞ、欲ばりはいかんぞ」と遺言されたと伝えられています。
お詣りのかいあってか、程なくして主人は退院出来、姉たちも遺言通りお礼参りに行き、焼酎を供えてくれたとのことでした。
4年前、母が亡くなり故郷へ帰っている折、ふとその神様の話を思い出し連れて行ってもらいました。当時の我が家には就職浪人中の息子と適齢期を過ぎんとする娘がおり、行く末に思い悩む日々。「ひとつだけ」の願いをどちらにするか考えた末、娘の良縁を優先し 焼酎を供えたのです。
願い虚しく、3年が過ぎ「願かけ」をしたことすら忘れていましたが、今年になって縁に恵まれ、まもなく(11月)子供が生まれることとなりました。
そしてまた有難いことに その時、願かけからはずした息子も就職・結婚し、娘とほぼ同時期に子供を授かります。
正平さんの再びの「宮崎旅」
無事、孫が生まれ里帰り出来る様になったら、心をこめて焼酎を供えに行こうと思っていますが それまで、今、しばらくの猶予いただけますよう、「ひとこと神様」こと「金松法然様」にお伝え願えませんか。
よろしくお願い致します。
境内に立っておられる「法然様」は なかなかの美男におわしますよ。
道中、お気をつけて 御無事を祈っております。
可児市
深澤佳子
岐阜県可児市
深澤佳子さん(64歳)からのお手紙