にっぽん縦断 こころ旅
私の思い出の地
大分県蒲江町竹野浦河内(かまえちょうたけのうらごうち)の小学校近くの波止場
正平さん、スタッフの皆さん、そして黙々と走ってくれるチャリオ君おはようございます。
私の大の親友京子さんは、大分県佐伯市生まれ、12歳年上の私は、北海道札幌市生まれ、南と北で生まれ育った私たちが出会ったのは40年前、同じ保育園に勤めたのが始まりです。
お互いわんぱく息子の親であり、いつしか私たちは姉妹のように、なんでも話し、どこへでも一緒に出かける仲良しになりました。いまでも続いています。
私は、のびのび育った彼女がどんなところで生まれたのか知りたくて、主人と一緒に彼女の実家に車でお邪魔しました。
愛知県から大分県蒲江町までの遠いこと。30年前はまだ高速道路も全面開通とは行きません。でも主人との久しぶりのドライブにワクワクしたものでした。
蒲江町の中の小さな地区の河内(ごうち)は、それはそれはのどかな漁村地帯で、リアス式の海岸がとても新鮮でした。おおらかなお父さん、朗らかなお母さん、そしてこの村を見て、私は彼女の明るさを知ることができたような気がします。
夕方になると、浜の波止場に行き、ワタリガニをバケツいっぱい捕まえます。
5メートルもある長い槍(やり)を、彼女のお父さんが用意してくれ、それで波止場の上から、ワタリガニをめがけて突き刺すのです。私は、一匹も取れませんでしだが、主人は次から次へと、あっという間に、バケツいっぱいのワタリガニを捕まえることができました。
早速、彼女の実家に持ち帰り、お母さんが大鍋で湯掻(ゆが)いてくれました。がさごそ、がさごそ鍋の中で動き回るカニを、蓋(ふた)で押さえつけ、残酷に湯掻いたものでした。
ごめんなさい。
でも美味しかったです。忘れられません。
主人は、7年前に脳梗塞で倒れ、4年間の闘病生活の末、3年前に他界しました。
会話もままならない中で、
「もう一回、蒲江の河内(ごうち)に行きたい! 波止場でワタリガニを捕りたい。」
「たのしかった!」
そればかりを繰り返し、友人の彼女も、「頑張って、リハビリして行きましょう。」と励ましてくれましたが、叶わないまま天国に行ってしまいました。
天国に行ったかどうかはわかりませんが…(笑)
彼女のご両親も亡くなり、私も80歳。もう行くことはないでしょう。
正平さんが大分に行くと知った時、是非、主人の口癖のような
「もう一回、蒲江の河内(ごうち)に行きたい!波止場でワタリガニを捕りたい。」
を実現してもらい、小学校近くの波止場に立ってもらえたらと思います。
※月日が経ち、波止場の風景も変わっている、ワタリガニも少なくなったと聞いていますが…。
愛知県愛知郡東郷町 笠島 美里子(かさしま みりこ)
愛知県東郷町
笠島美里子さん(80歳)からのお手紙