にっぽん縦断 こころ旅
私の心の風景は大分県豊後大野市緒方町にある原尻の滝です。
原尻の滝は「日本の滝百選」にも選ばれているそうですが、私にとっては、父方の祖母に会いに行く度に立ち寄っていた思い出の場所です。
子どもの頃、毎年夏休みには家族で大分県に住む祖母や親戚に会いに行き、自分が住んでいる京都とは違う風景を見、名物を食べ、裸足で走り回る等、新鮮な体験をしました。
そんな体験の一つとして、父は毎年原尻の滝に連れていってくれました。
広がる田舎の風景、風に揺れる木々や草花、回る水車・・・
その中でも滝から流れる水、その水量の少なさに、いつも目を奪われていました。
夏だからでしょうか?上流から落ちる水はいつも少なくて、子ども心に「これが滝?!」と思い、私の滝概念を覆したものでした。
それから約30年を経た今年9月の台風18号の際、ゴォーと茶色濁流が流れ、倒木が橋に引っ掛かる映像を見て愕然としました。
今度は大人心に「これがあの滝!?」とショックを受けました。
今年10月には祖父の法事で大分県に行き、祖母に会い、そして、久しぶりに原尻の滝を訪れました。
まだ少し台風の影響が残るものの、子どもの頃に見た水量の少ない「あの滝」がそこにはありました。
これからもあり続けてほしいと願っています。
原尻の滝、私の心の風景です。
京都府京都市
谷口 知佳(40歳)
京都市
谷口知佳さん(40歳)からのお手紙