にっぽん縦断 こころ旅
前略、「にっぽん縦断こころ旅、下り坂最高」このキャッチフレーズ大好きです。正平さんが、あえぎながら、必死でペダルをこぎ坂道を上る姿、笑みを浮かべ、爽快に下り坂を走る姿、どの風景を見ても心に残る風情があり感動させられます。
さて正平さん達が、再び和歌山県を走られると聞き、これが最後のチャンスと思い、是非・絶対・必ず訪ねてほしい心の風景があります。そこは、私達夫婦が生まれ育った所、和歌山県南部(田辺市平瀬・ひらせ)にある小さな集落から見える「乙女(おとめ)の寝顔」です。村の西側に立つ標高894メートルの「半作(はんさ)嶺」と言う山です。山の正式名は、半作嶺となっていますが、この山は、3つの山が重なって見えることから、地元の人々は、昔からこの山のことを、三ツ森山(みつもりさん)と呼び親しんでいました。山の稜線が遠くから見ると娘が眠っている姿に見えることから、いつしか村人達がそう呼ぶようになりました。妻は、三ツ森山のふもとで生まれ育ちました。私は、三ツ森山から北へ10キロ程の所にある近露(ちかつゆ)という村で生まれましたが、私の実家からも三ツ森山の頂は鮮明に見え、朝な夕なその美しい姿をみることが出来ました。私達の世代の人の中には、この山のことを「娘の寝顔」と呼ぶ人もいましたが、集落中心部を走る国道(371号線)沿いに、「乙女の寝顔」展望ポイントと書かれた標識が設置されています。この付近から眺めると山の稜線がもっとも「乙女の寝顔」に見える地点です。昔、乙女だった妻も、64歳となり、二人の孫を持つ、ばあばになりました。私達夫婦は、和歌山市内に住んでいるため、めったに実家に帰ることはありませんが、乙女の寝顔に見える風景は、この村を離れ、都会で生活されている方々にとっても心に残っているなつかしい風景であると思います。乙女大好きの正平さん。是非私たちの「山の乙女」に会いに来てほしいです。(山あいの村に正平さんの光を当てて下さい)。
和歌山市
岩本 学さん(69歳)からのお手紙