母親の静佳さんより
にこ、柴ちんへ
あれから7年。お母さんと陽太は、なんとか元気に生きてるよ。
陽太は柴ちんの血のせいか、サッカーを始めたよ。見せたかったなあ。
毎日、ずっと、24時間一緒にいたのに、もう2人に7年も会ってないなんて、
そして、これからもずっと会えないなんて、本当に切ない。
にこ、まだ見つけられなくてごめんね。ずっと1人ぼっちにして、さみしい思いをさせてごめんね。
お母さんなのに、にこのいるところも見つけられなくて、本当にだめなお母さんだなって思うよ。
お母さんも死んだら海に流してもらおうと思ってるから、そしたら一緒にいれるかな。そうだといいな。
陽太は2人のこと、あんまり覚えてないから、一緒にままごとしたことや、柴ちんにたくさんかわいがってもらったこと、みんなでたくさん教えてるよ。
陽太ももう1年生で、とっくに、にこのことを追い越しちゃったね。
にこが楽しみにしてた幼稚園。バスに乗る姿、ランドセル姿、彼氏、結婚式、子ども、見たかったなあ。2人で見れると思ってたのに。
2人がいなくなって、全く別の人生になったよ。
未来を半分なくしちゃって、もう自分の幸せのためには生きれないから、陽太のため、会社のため、気仙沼のために頑張ろうと思ってるよ。
この時に生き残っちゃったから、オマケの人生と思って、この時のために捧げようって思ってるんだ。
すんごい頑張って、ちゃんと最後まで生きたら、あっちでまた2人に会えるかな。
「会える」って信じて、頑張って生きるよ。待っててね。
ありがとう。