

由枝さんは薬局を経営していて、2人は自宅や薬局にいて避難する途中に津波に巻き込まれたとみられています。
あの悲しい出来事が5年も前の事だなんて嘘のようです。
思い出したり考えたりすると悲しくなってしまうので、ただ、ただ、前だけ向いて生きてきました。
時間が経つのが本当に早かった。
私は生き残った者として、一生懸命生きていかなければならないと思っています。
去年の12月に新しい本店再建に向けて、姉と一緒に地鎮祭をしました。
色々な悲しみが頭の中を駆け巡りましたが、こんな日を迎えることができ、胸いっぱいにこみ上げてくるものがありました。
“私達、頑張ってるでしょう"って心の中で母に言いました。
本当は妹も一緒に三姉妹で頑張れれば良かった・・・。
私の心の奥の悲しみは一生消える事はないと思いますが、母と妹に心配をかけないように、元気で頑張って生きていきたいと思っています。
気がつくと、あれからもう4年が経っていました。
忘れてはいけないのに、忘れてしまいたくて。毎日毎日、無我夢中で仕事に打ち込んでいるのかもしれません。
たくさんの人達と悲しみを共有しました。そして、たくさんの人達から元気を分けてもらいました。
私は元気です。元気なはずです。
でも、ふと寂しくなった時、携帯電話に登録したままになっているママと由香ちゃんに電話してしまいます。もしかしたら出てくれるかもしれないと思って・・・。
冷たくなって眠っていたママと由香ちゃんが、脳裏から消えてくれません。
でも私は前を向いて生きて行かなければならない。私が生き残ったのには、きっと訳があると思うから。
私にできる事は、ママが命がけで守ってきた薬局で誰かのために精一杯働くこと。私は精一杯生きています。
私には夢があります。北海道のラベンダー畑で写した私のお気に入りのママの写真。私もママと同じポーズで、ママと同じように1番素敵にほほえんで写真を写したい。そんな夢です。
いつかきっとラベンダー畑に行きます。