明日へ つなげよう

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伊藤榮さん(いとう・さかえ/当時82歳) 博さん(ひろし/当時83歳)善博さん(よしひろ/当時57歳)
宮城県石巻市

3人は自宅の1階にいて、津波に巻き込まれました。博さんは病気で自宅療養中だったため、避難が難しかったものとみられます。

震災から6年半を迎えて

榮さんと博さんの長女の馬場美智枝さんより

思い出の場所は、実家の「茶の間」です。
食事をしたりお茶を飲んだり、笑いのたえない場所でした。
いつも母と私の楽しい話をしていると、そこに入ってくるのが父・兄で、聞き役でした。
とてもとても仲の良い家族であり、楽しかったです。
あ~あ、戻れたらと何度思ったことか。
たまに実家のあった場所に行ってみます。
でも私には現実がつきささってきます。
だからこそ、みんなの分、笑って生きて行こうと思っています。

(「思い出の場所」についてお聞きしました。)

震災から6年を迎えて

榮さんと博さんの長女・馬場美智枝さんより

震災前と気持ちは変わっていません。父・母・兄と話がしたい。それだけです。最後の別れが今でも忘れられません。

母が病気したため毎日会社帰りに夕飯を作って食べさせて、次の日お昼迄準備をするのが私の日課でした。
3.11地震の前の日いつもとちがう母でした。私に話しかけてきてどうしてひとりにするの。何度も何度も話しかけてきました。

今考えてみるとよく母は病気する前は地震がくると直感的に必ずというほどあててました。私にそれを知らせたかったでしょう。
私が気づいていっしょに家に連れてくればよかったなあと思います。
帰る時気をつけて帰らいよ、いつもありがとうと父・母・兄に言われたのが最後でした。

車に乗って今度の日曜日にでも家に連れてきてゆっくりお風呂に入れてやろうと思いながら家に帰って来ました。
それをしてやることができませんでした。だから、今は自分がやりたいことはすぐ実行するようにしています。

私は今の家でみんなで暮らしています。そして笑顔でいたいです。それが幸せだからです。

震災から5年半を迎えて

榮さんと博さんの長女・馬場美智枝さんより

震災 あれから5年 もう5年と人それぞれだと思います。

確かに震災の記憶が薄れつつある人もいますが、私は父・母・兄と話をした時から時が止まっています。
夢を見れば元の実家の中です。
私は体がすぐれないと言うと必ず心配して夢に出てきます。
私は今一歩一歩進んで家族の力を借りて、そして会社では一緒に仕事している人(私の妹みたいな人)と楽しく笑いながらがんばっています。
とにかく前に進むほかしかないのです。

歌にもあるように365歩のマーチ・人生に涙ありの歌が好きで口ずさんでいます。
私はこれからも父・母・兄の分を精一杯生きていきます。
なるべく笑うように、笑うようにしています。

震災から5年を迎えて

榮さんと博さんの長女・馬場美智枝さんより

今の私の1日。

朝、目を覚ますとまず、携帯にある父・母・兄におはようのあいさつ。今日の天気を教えることから始まります。
会社に行く準備をして、仏壇に手を合わせて1人1人に話しかけて、「はい、笑っているね」「はい、OKだね」と、「はい」と「笑(に)」「はい」と「笑(に)」「はい」と「笑(に)」と3度ほど繰り返します。 (これは、私と父・母・兄のあいことばです。私が作り、話しかけています)
そして「行って来るからね」と、父・母・兄みんなに話しかけて出かけます。
仕事場に来てからは、また携帯に話しかけて、「お父さん、お母さん、大きい兄ちゃん、今日も1日がんばるからね」と、「はい」と「笑(に)」と「はい」と「笑(に)」と「はい」と「笑(に)」と「見ててね、お願いね」と言って仕事が始まります。

家に帰宅してからは、また仏壇にお茶、水、ごはんをあげて話しかけて拝みます。あとは夕飯の時間になって、(父・母・兄みんな含めて)一家団らんのひとときです。
寝る時はまた携帯を見て、「お父さん、お母さん、大きい兄ちゃん、おやすみなさい」と言って1日が終わります。

私にとって、あれからもう5年、まだ5年、どちらとも言えません。 
ただただ前に進んで行くほかないのです。家族の力、みんなの力を借りて、私は今を大切にして笑って生きていきたいと思っています。
それが、生かされた私の、父・母・兄にできることだと思います。

1日たりとも父・母・兄を忘れたことはありません。

榮さんと博さんの長女の馬場美智枝(ばば・みちえ)さんからのメッセージ

お父さん、お母さん、大きい兄ちゃん、仲良く暮らしていますか?
また3人で茶の間でテレビ(相撲・野球・ドラマ)を見ながら笑っているのでしょうね。
私も治ちゃんと仲良く暮らしています。

これからも家族仲良くやっていこうね。
これからも笑顔で暮らしていこうね。

ずっと、ずっと、忘れません。
いつまでも一緒です。ずっと一緒です。

私たちといっしょに生きていこうね。私は亡くなったとは、思っていません。

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