自動車学校の送迎バスで帰宅中に津波に流され亡くなりました。高校を卒業後、薬剤師になる夢があり、仙台の大学の薬学部に進学することが決まっていました。
東日本大震災から間もなく3年が経とうとしている。 どんなに月日が流れようと変わらない気持ちがある。
「何故こんな事になってしまったの。」と、幸せな日常を一瞬にして奪われてしまった運命を憎み、息子を助けてあげることが出来なかった自分を責めてしまう。
風雪が体をまとうこの季節は、一瞬にしてあの日あの時に引き戻され、悔しさと情けなさと後悔で辛く悲しい気持ちになる。
毎朝起床後、息子が好きだった熱いコーヒーを淹れ、線香をたて、一緒に話しをしながらコーヒーをいただく。
目の前の朝日に照らされた写真の中の息子は、いつも優しく「幸せに生きて。」と、訴えかけてくる。私は、「生きてやるよ。」と誓う。
最近、自然界の生けるものや人を愛おしく感じる。
花の、光に向かって成長する様、花瓶の水の、光に反射してきらきら輝く様、人の、夢や目的に向かって一生懸命努力している姿から、たくましいエネルギーを感じる。
それらを私は大事に見つめ見守りこれからを生きていきたいと思う。
昨秋、家族で息子が修学旅行で行った場所の足跡を追ってみた。広島の宮島で、息子が自分の姉にと土産として買ってきてくれたハンカチを見つけた。
それは娘が常に携帯している程大事にしているものだった。家族全員一瞬にして時が止まったかの様にそのハンカチだけを見つめ、物思いにふけっていた。
私も一瞬にして息子の照れくさそうな顔が浮かんだ。
どれくらい時間が経っただろう、私達家族はただたださわやかな潮風と光に包まれていた。幸せな気分になった。
これからも、息子を想い、もっともっと幸せを見つけに行きたいと思う。いつも何処にいてもどんな時でも、息子を想い、感じながら生きていく。
絶対に忘れない。
18年間一緒に居られて本当に幸せだった。