Eテレ 夏・冬特別講座放送
※この番組は、前年度の再放送です。
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第10回 体育理論
体育実技、今回は「豊かなスポーツライフの設計」。
探究テーマは「あなたがスポーツライフを楽しむためには?」。
この探究テーマをもとに生徒は自ら「課題」を設定します。
そして課題を解決するための「探究活動」、「考察」を積み重ねることで、体育実技が“主体的、対話的で深い学び”になっていきます。
それではステップ1「課題の設定から」スタート。
今回の探究に参加する3人が設定した課題はこちら。
▼みうさんの課題:
私は、卓球でラリーができれば、スポーツライフを楽しめる
▼はるたかさんの課題:
私は、スケートボードを極めることができれば、スポーツライフを楽しめる
▼あゆかさんの課題:
私は、ダンスのいろいろなステップができれば、スポーツライフを楽しめる
今回、いっしょに探究してくれるのは、帝京大学 教育学部 教授の高田彬成先生。
豊かなスポーツライフを送るための取り組みについて、さまざまな年代の人を指導している高田先生は、生徒たちの課題にどう向き合ってくれるのでしょうか?
ステップ1「探究活動」と「考察」。
スポーツライフの基礎を学んだうえで探究活動をし、考察する。
高田先生 「そもそもスポーツライフとはどんなものだと思いますか?」
みう 「トップクラスのスポーツ選手が送る、スポーツ中心の生活だと思います。」
あゆか 「ウォーキングに行けるときは行ったり、日常の中で取り入れていく運動があればスポーツライフだと思います。」
高田先生 「なるほど。」
スポーツライフとは、スポーツを通して健康で豊かな人生を送るための生活のことをいいます。
その目的は「健康の保持や増進」。スポーツを通して生活の質を向上させることです。
高田先生 「スポーツを『する』。とても素敵なことですよね。スポーツができれば楽しい。
でも、スポーツは『する』だけが楽しいんじゃないんですね。」
スポーツライフには「する」以外にも、さまざまな楽しみ方があります。
1.「する」自分でスポーツをする
2.「みる」競技場・テレビ・動画でのスポーツ観戦、スポーツをする人のプレイを見る
3.「支える」審判やコーチ・マネージャー・運営スタッフ、スポーツメディアの仕事
4.「知る」選手やスポーツの情報を調べたり共有する、スポーツ科学の仕事
3人の課題は、「する」ことだけを考えていたようですね。
そこで自分が好きなスポーツには、それぞれどのような楽しみ方があるかを調べる活動をします。
ダンスが好きなあゆかさんは、「みる」楽しみ方を見つけたようです。
あゆか 「私はダンスの人数を見て、例えばグループだったら大人数だと迫力がすごかったり、1人だったら個人の感じが出ていたり、ダンスの人数からみた視点もおもしろいかなと思いました。」
高田先生 「なるほど。人数が集まったり広がったり、色んなダンスのバリエーションが見られるということですね。」
探究活動を通して、どんなことに気づきましたか?
あゆか 「ダンスも踊るだけじゃなくて、まわりで支える人だったり、教える人だったり、全部含めてスポーツライフなんだなと感じました。」
卓球が好きなみうさんは、「知る」楽しみ方を見つけました。
みう 「ラケットを使う競技って、卓球以外にもテニスだったりバドミントンだったりあると思うんですけど、それらにはない卓球にしかないルールを知ることで、卓球についてもっと知ることができると思ったので。」
高田先生 「そうですね。そのスポーツが持っている特有のルールとか用語などを知ることで、スポーツがもっと身近になっていくということもあるでしょうね」
探究活動を通して、どんなことに気づきましたか?
みう 「卓球ができないから楽しくない やらない ではなくて、裏方に回って応援したり、ファンとして応援することをしたいなと思いました」。
東京オリンピックでスケートボードに夢中になった はるたかさんは、その歴史を「知る」ことに興味をもちました。
はるたか 「最初は木の板と鉄のタイヤでボードを作ったのが始まりだと調べたことがあったのですが、具体的に細かいところを調べていくのも、スケートボードの魅力の一つかなと思いました。」
高田先生 「深く調べることで、スポーツの魅力をもっと知りたいな、やってみよう、ということにもつながってくる。」
探究活動を通して、どんなことに気づきましたか?
はるたか 「『知る』っていうところでも、スケートボードにはまだまだ知られていない点があると思うので、もっと深掘りしていきたいと思いました。」
ステップ1の考察を踏まえ、3人が設定したステップ2の課題はこちら。
▼みうさんの課題:
私は、卓球の大会にボランティアとして参加できれば、スポーツライフを楽しめる
▼あゆかさんの課題:
私は、歳をとってもその歳なりにダンスができれば、スポーツライフを楽しめる
▼はるたかさんの課題:
私は、スケートボードを子どもに教えたり評価できれば、スポーツライフを楽しめる
ステップ2「探究活動」。
ステップ1を踏まえ、自分の課題を解決するために探究活動を行います。
3人はこれからの自分のスポーツライフを設計していきます。
年表に人生のイベントと、そのときにどんなスポーツライフをおくっているかをイメージして記入します。
好きな卓球を中心に、自分のスポーツライフを考えた みうさん。
就職する20代には、卓球のボランティアに積極的に参加してみたいそうです。
あゆか 「ボランティアって具体的にどういうことをするんですか?」
みう 「まだ(卓球の)ボランティアに参加したことがないから分からないんですけど、大会の運営だったり球拾いだったり、なんでも積極的に参加してみようと思っています。」
卓球にはボランティアに参加して「支える」楽しみ方もあります。
あゆかさんのスポーツライフでは、50歳を過ぎても好きなダンスを楽しみ続けたいといいます。
はるたか 「『違うジャンルで踊る』と50〜65歳で書いてありますが、どのようなジャンルの違いがありますか?」
あゆか 「50代になると、激しいダンスを続けるのは難しいかなと思ったので、辛くない、自分が楽しめるぐらいのレベルに変えるとか」
ダンスには自分の年齢に合わせて「する」楽しみ方もあります。
はるたかさんが考えたスポーツライフは、30歳を過ぎたら、スケートボードを子どもに教えるなど、「する」以外の楽しみ方に変わっていくそうです。
あゆか 「スケートボードを評価するってどういうこと?」
はるたか 「技の得点が入って順位が決まるので、『このレベルは何点』とかを考えたい。」
高田先生 「大会の審判長みたいなことにもなりますかね。はるたかさんは、そんなビジョンを持っているのですね。」
スケートボードには子どもに教えたり、評価するといった「支える」楽しみ方もあります。
ステップ2「考察」。
探究活動を通して、どんなことに気づいたのでしょうか?
はるたか 「スポーツライフをまったく考えていないときは、将来に関心がなかったけど、子どもにスケートボードの魅力を伝えるのをやってみたいと思うようになりました。」
あゆか 「プレイヤーとしてやるっていうのが主なスポーツって思っていたんですけど、全然そうじゃなくて、自分の楽しめる範囲とかできる範囲、やりたい範囲で、その楽しさを見つけられたらいいという考えに変わりました。」
みう 「ずっと『する』とか『みる』とか『知る』だけじゃなくて、歳ごとにいろんな気づきがあると思うので、その都度『知る』だったり『支える』だったりに変えていこうと思います。」
これからの人生の中で、好きなスポーツとどのように向き合っていくのか。
あなたもスポーツライフが楽しくなる関わり方を探究してみませんか?
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