NHK高校講座

社会と情報

Eテレ 隔週 金曜日 午前10:20〜10:40
※この番組は、前年度の再放送です。

社会と情報

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今回の学習

第2回 私たちを取り巻く情報

どこまで信じる?ネット情報

  • 日本大学教授 中橋 雄
学習ポイント学習ポイント

どこまで信じる?ネット情報

  • 緑川光さん
  • 柿崎芽実さんと松田好花さん

第2回のテーマは「どこまで信じる?ネット情報」。
司会は緑川光さん、一緒に学んでいくのは日向坂46の柿崎芽実さんと松田好花さんです。

ネット情報に関する○○チェック
ネット情報に関するチェック問題

今回はまず、ネット情報に関するチェック問題から。
みなさんはいかがでしょうか?

3人が共通して〇をつけたのは、2つめの「ネットを見て『こんな意見が多いのか〜』と思うことがある」でした。
緑川さんと柿崎さんは「工夫すれば誤解なくネットで情報を伝えることができる」にも〇をつけました。

実は、これはメディアリテラシーチェック。
〇が少ないほど、メディアリテラシーが高いという結果です。

メディアリテラシー
  • メディアリテラシー

メディアリテラシーとはメディアの意味と特性を理解し、受け手として情報を読み解き、送り手として情報を発信する力
そして、メディアのあり方を考え行動する力のことをいいます。

先ほどのチェック問題。
最初の2つは、情報の読み解き方のチェックです。
情報の内容は送り手の意図や目的で決まるので、誰が発信したかを考えることは重要です。
また、ネットで発信する人はごく一部だということを理解しておきましょう。

次の2つは、情報の発信力について。
発信者がどれだけ工夫してもその通りに受け取られる保証はない、と理解しておくべきです。
信頼している知り合いからの情報でも、すべて正しいとは限りませんよね。

最後は、メディアのあり方を考える力のチェックです。
問題があるかどうかは、人によります。
情報を発信する場合も受け取る場合でも、一人一人が自分でしっかり判断することが大切です。

このように、私たちは高いメディアリテラシーを持って、情報と接していかなければいけません
特にネット上には、根拠のない情報や、意図的にゆがめられた情報がたくさんあります。

  • 1時間に2万人もの人が拡散

例えば、2016年の熊本地震。
そのさなか、SNSに「動物園からライオンが逃げた」という、うその投稿がありました。
その投稿は、地震で混乱した状況の中で、なんと1時間に2万人もの人が拡散。
動物園には問い合わせが殺到してしまいました。

こうした故意に発信された真実と異なるニュースのことを、「フェイクニュース」と呼びます。
個人や匿名での情報発信が簡単なネット上には、こうしたフェイクニュースや信頼性の低い情報が多く見受けられます。

情報どれくらい信じてる?
  • 松田さん:ネットは参考程度に見る
  • 柿崎さん:SNSの情報はあんまり信じてない

緑川さん 「情報はたくさんあると思うんですけれども、どの程度信じてます?」

松田さん 「ネットはちょっと怖いなっていうイメージがあって。だからテレビとか新聞を主に信じて、ネットは参考程度に見るっていうくらいで生活しているかもしれないです。」

柿崎さん 「SNSにのっている情報はあんまり信じてないです。」

緑川さん 「ネットの間違った情報を少なくすることはできないもんですかね?」

ネット情報を監視する
  • ネット上の情報を監視している会社
  • 寺田剛さん

そこで訪れたのは、インターネット上の情報を監視している会社。
ここでは、インターネットに情報を発信している企業や団体の依頼を受けて、間違った表現や法にふれる情報を出していないか24時間365日監視しています。

どのように監視しているのか、担当の寺田剛さんに教えていただきました。

寺田さん 「対象となるWebサイトを、まずはAIなどを駆使したツールが巡回していきます。文字や動画、もしくは画像の問題のある箇所を見つけ出してきて、人がもう一度チェックをして正しいかどうかを見極めた上で判断していくというプロセスが、我々の監視の大きな特徴になります。」

  • 勝手に犯人を断定
  • メールアドレスも書き込んでいる

実際にあった投稿を再現したものを見てみましょう。
ある事件で、勝手に犯人を断定し、メールアドレスも書き込んでいます。
これはAIが個人情報に反応したため即座に削除されました。
画像もAIが見分けます。
特に公序良俗に反する画像は、肌の色などで判断します。

  • 削除された書き込み

さらに、こちらの書き込み。
これも削除されたのですが、何が問題なのかわかりますか?

  • 実は電話番号
  • 判断する機会が増えるほど人工知能の精度があがる

これは、実は電話番号。
昔ポケベルを持っていた人だと、すぐわかるかも知れません。
しかし、このような書き込みもAIは見逃しません。

寺田さん 「最初は人工知能側が判断しなかったとしても、何度か重ねていくうちにそれがだめなんだなっていう判断をしていく。我々の監視ツールもそういった機能が備わっています。」

では、監視を強化すれば問題のある情報をなくすことはできるのでしょうか?

寺田さん 「やろうと思えばできるんですよ。ですが、自分たちのとりたい情報があるかっていうと100%そうはならない。サービスを提供する範囲がどんどん狭まっていきますので、そういった意味ではそこのバランスって重要だなって思います。」

情報発信の自由を尊重しつつ、私たち一人一人が間違った情報を見抜く力をつけることが大事、ということですね。

情報が信用できるか見抜くコツ
  • 情報が信用できるか見抜くコツは、「情報の発信元を探る」「複数のメディアを確認する」「文章の表現に注目する」の3つ

寺田さんに教えてもらった3つの「情報が信用できるか見抜くコツ」。
最後の「文章の表現」とは、「断定した言い回しをしているかどうか」をチェックすることです。
ここに高校生がニュースなどの情報に接する際に考えてほしいという寺田さんの強い思いがあります。

寺田さん 「起きたことに対してあれこれ言っているのは、僕は事実だと思っていないんです。なんでこれが発生するのか、どういう背景でこれが発生しているのか、というのを見ていくのが非常に重要かなと思っていて。やはりそこに発生する背景をしっかりと考えて伝えている場合と、表面上に出ている事象に対して意見を言っているという大きな違いがあるかなと。我々の仕事はどちらかというと発生する原因を突き詰めて止めるというのが我々の大きなミッションになっていきますので、そこの違いはしっかりと理解しないといけないかなと思いますね。」

情報の信憑性(しんぴょうせい)
  • 戸谷公人さん
  • 一次情報よりも二次情報のほうが信憑性は低くなる

「一次情報を発信している人たちを取材してきた」というナレーション担当の戸谷公人さん。

一次情報とは、伝えられている事柄を直接知っている人、またはそれを調べた人が発信している情報のことをいいます。
一次情報を編集してまとめた情報は二次情報です。

一般的に、一次情報よりも二次情報のほうが信憑性(しんぴょうせい)は低くなると言われています。

プロの情報発信
  • 荒井敬介さん

では、情報を扱うプロたちは、どのように情報を発信しているのでしょうか。

まず伺ったのは、大手新聞社。
政治からスポーツ、芸能など幅広いニュースを扱っています。
社会部で主に刑事事件を扱う、荒井敬介記者に話を聞きました。
記事にする情報はどうやって集めているのでしょうか?

荒井さん 「人に会うのが基本でして、その情報についていちばん詳しく知っている人になるべくあたりたいっていうのがあります。殺人事件が起きた場合、被害者や犯人に聞ければいいんですけど、ただ被害者は亡くなっていますし、犯人は逃げているわけです。では誰が犯人なのかっていうのを知るのには、やはり警察やいちばん知っている人に聞くのが取材の基本になります。取材をしないってことは絶対にないですね。」

  • 神奈川県座間市で起きた事件の記事

例えば、2017年に神奈川県座間市で起きた事件について、犯人に接触していたという人を取材した記事。
情報の発信元はSNS上の書き込みでしたが、荒井さんは、SNSに投稿した本人への取材などを重ねて、間違いないと確証を得て記事にしました。

記事の基本は事実を知っている当事者への取材。
しかも、取材してすぐに記事を書くわけではないそうです。

荒井さん 「情報を入手したとしても、本当かどうかもう一回確認しないといけないんですね。例えば、その情報をある警察官から入手したとしても、それが本当かどうかまた別の警察官に聞いて、確かだと思ったら出せますけれど、なかなか裏を取るのも大変でして、簡単には認めてくれないもんですから、その日は記事を見送ろうとか、それで待っていると他社に抜かれちゃったりとか、ということも結構あります。間違っていることを確認するための裏取りというのもあります。信憑性(しんぴょうせい)を担保するにはそれくらいの裏取りが必要になってきます。」

  • 記事のチェック過程

記者が記事を書いてからも、チェックは続きます。
まずは、キャップと呼ばれる人に“ネタ”の出どころから取材経過まで細かくチェックを受けます。
そして次にデスクがチェックします。
さらに、整理部と呼ばれる部署がチェックをしつつ見出しをつけて、校閲がさらに細かくチェックして、最後に編集長がチェックしてようやく記事として世に出されます。

  • NHKうまいッ!
  • 佐々木純さん

続いてもう1か所、情報を発信するプロのもとへやってきました。
NHKの「うまいッ!」は、日本各地の食材を紹介し、その魅力を伝える情報番組です。
テレビ番組をつくるプロ、佐々木純さんに情報発信する心構えについて聞きました。

佐々木さん 「何度もチェックしていろんな人と複眼で見ながら、間違いがないように気をつけています。」

「うまいッ!」は、ひとつの食材の魅力をさまざまな情報で伝えます。
この日は、祇園パセリを取り上げていました。
このパセリはやわらかくて甘みがあるのが特徴と言われていますが、甘みについては専門家から根拠を得ることはできなかったそうです。
しかし、それで「伝えない」という選択をするわけではありません。

佐々木さん 「断定できれば断定したコメントを打つし、そうじゃなければ“生産者はこういった思いで甘くなると考えています”というように、コメントの打ち方を変えるってことをしていますね。」

正しい情報だけを届けるのではなく、伝えたい思いを表現するために、コメントや演出に工夫を凝らします。

  • 番組関係者が集まって見る
  • CGがはっきり見えたほうがわかりやすい

この日は、編集した映像を番組関係者が集まって見ていました。
ディレクターとプロデューサーで何度もチェックしながら作った映像をアナウンサーが初めて見ます。

こうしたさまざまな役割の人がチェックすることで、視聴者目線の意見が出ることも多く、「伝わる番組」をつくるうえでとても大事なんだそうです。

佐々木さん 「食べ物の魅力とか作っている人たちの魅力を伝える番組だから、いかにおいしそうに撮るかとか、それがどういうおいしさなのかっていうのを伝えるのがいちばん大事なところで、取材した人たちの思いとか熱意をしっかり伝えないといけない。」

情報は多面的
  • 見る側が疑いながら情報を見ることが大事
  • これが絶対だとは思わないでもらいたい

荒井さん 「これは正しいのか、正しくないのか、我々のメディアについてもそうなんですけれど、見る側の方々が疑いながら見ていくことが大事なのかなと思います。ひとつの媒体だけだと切り口が違ったりしますので、見比べて、自分の中で考えていくと、情報の真実というものが見えてくるのではないかなと思います。」

佐々木さん 「僕らの情報もいろんな感じ方があると思うので、これが絶対だとは思わないでもらいたいというか、そこは自分の生活に合うかどうかも含めて考えてくれればいいというか、参考にしてくれればいいかなって思います。」

ネット情報の未来
  • 中橋雄先生

今回は、中橋雄先生に教わります。

中橋先生 「情報は多面的で、解釈の仕方も人それぞれだっていう話、すごく大事ですよね。ネットの情報は信頼できないって言われますけど、役立つ情報を増やしていくこともできるんじゃないかなって思います。例えば、ネットのニュースにコメント欄があることがありますよね。コメント欄を見て、“そんなニュースの見方もあるんだ”って思ったことはありませんか?」

松田さん 「確かにそういう考え方もあるなって思ったことはあります。」

  • メディアリテラシー

中橋先生 「一人一人が、送り手の意図を読み解いたり、責任をもって情報を発信したり、間違ったものを広めないように気をつけていけば、役立つネット情報は増えていくのではないかと思います。」

そのために、私たちに必要とされる能力がメディアリテラシーです。

それでは次回もお楽しみに!

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