NHK高校講座

生物基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第14回

セントラルドグマ

  • 生物基礎監修:東京都立日比谷高等学校主任教諭 平山 大
学習ポイント学習ポイント

セントラルドグマ

  • 胡桃坂仁志さん

第9回以来の登場となる、構造生物学者の胡桃坂 仁志(くるみざか ひとし)さん。

DNAから生物がどうやってできているのか……いわれてみたら、本当に不思議です。
そういえば、前に胡桃坂さんはこんなことをいっていましたね。


胡桃坂さん 「たとえば、目を作るのであれば、目を作るのに必要な細胞があって、皮膚を作るのには皮膚を作るのに必要な細胞がある。皮膚を作るのに必要な細胞が間違って目にできてしまうと、目の中に皮膚ができて目が見えなくなってしまう。そういうことが起こるんです。だから、絶対に間違えてはいけない。その設計図が、同じ受精卵からできているのに……つまり、設計図が同じなのに、どうして違うものができるのかということが不思議。」


全部の細胞に同じ設計図があるのに、なぜ目は目、皮膚は皮膚になるのでしょうか?
その前に、軽く復習です!

  • DNAの塩基
  • 塩基配列

遺伝子はDNAという物質からできていて、DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4つの塩基が並んでできていました。

この並び、塩基配列に遺伝情報が含まれているということでした。

  • 二重らせん構造
  • DNAは正確に複製され分配される

DNAは、2本の鎖が、らせんのようにねじられた、二重らせん構造をしていました。

そして、DNAは細胞分裂するときには、正確に複製されて、すべての細胞に同じように配られます。

  • 体にあるいろいろなタンパク質
  • ペプチド結合

私たちの体には、いろいろなタンパク質があって、このタンパク質によって生き物の形質が決まっていました。

タンパク質は、アミノ酸がたくさんくっついてできています。


こうしてみると、たくさん勉強してきましたね!
ですが、DNAからどうやってタンパク質が作られるのでしょうか?

どうやってDNAからタンパク質が作られるのか?
  • RNA

胡桃坂さん 「DNAは二重らせん構造をしています。二重らせん構造がほどかれて、読み取られて。読み取られて最初に作られる物質というのは、DNAの2本の鎖のうちの1本とほとんど同じ塩基配列を持った物質なんですね。それがRNAです。」


RNA?
DNAとは1文字違いですね。


胡桃坂さん 「なぜ遺伝子から直接タンパク質が作られないかというのは、いろいろな説があるんですけれども。まずは、いったん遺伝子が読み取られてRNAが作られる。RNAが作られると、今度はRNAを設計図にして、それを読み取ってタンパク質が作られる。こういう流れになっています。だから『遺伝子 → RNA → タンパク質』という順番になっているんです。」

  • DNA
  • 二重らせんがほどける

DNAの塩基配列を元に、タンパク質が作られる過程を見ていきましょう。

まず、DNAの二重らせんがほどけます。

  • DNAの片方の鎖
  • RNAに写し取られる

ほどけたDNAの片方の鎖に、RNAの材料となる塩基を含むヌクレオチドが近づき、DNAの塩基と相補的な結合を作っていきます。

  • 転写

こうして、二重らせんの片方の塩基配列の一部がRNAに写し取られます。
このときにできたRNAをmRNA(メッセンジャーRNA)とよび、この過程を転写とよびます。

  • アミノ酸が結合される
  • 翻訳

次に、mRNAの塩基配列を元に、アミノ酸が結合されていきます。

この過程を翻訳とよびます。

  • セントラルドグマ

このように、遺伝情報はDNAからRNA、RNAからタンパク質へと1方向に伝えられます。
この、1方向に流れる原則をセントラルドグマとよびます。

RNAとは?
  • DNAの塩基
  • RNAの塩基

胡桃坂さん 「DNAの場合は、アデニン、チミン、グアニン、シトシン。DNAから写し取られて、読み取られてできるRNAの場合は、塩基がアデニン、グアニン、シトシン、チミンの代わりにウラシルという別の塩基が使われています。ウラシルとチミンは非常に似たような塩基です。基本的には4種類の塩基でDNAもRNAも作られています。」

  • DNA
  • RNA

RNAとはどのような物質なのでしょうか。

RNAはDNAと同じようにヌクレオチドが多数つながってできたものです。
DNAに含まれる糖はデオキシリボースですが、RNAに含まれる糖はリボースになります。

  • DNAとRNAの塩基

塩基のうち、A、G、CはDNAと共通ですが、RNAにはTの代わりにU(ウラシル)が含まれます。

  • DNA
  • RNA

DNAは2本の鎖が二重らせんの構造をしていますが、RNAは1本の鎖の構造をしています。

転写では、DNAの塩基配列と相補的な塩基を持つヌクレオチドがつながれて、mRNAが作られます。

  • 「セントラルドグマ」

「セントラルドグマ」
作詞・作曲 胡桃坂仁志

DNAから RNAを経て
タンパク質へと翻訳される
この流れは 一方通行
逆転写 見つかるまでは
その流れは 命の流れ
セントラルドグマって 呼ぶんだ
遺伝子の暗号 リボソームで読み解かれて
生命が 育まれる

どうやって塩基の並びはアミノ酸の並びに変わるのか?
  • どうやって塩基の並びはアミノ酸の並びに変わるのか?

DNAからRNA、RNAからタンパク質ができるというのはわかりました。
ですが、DNAは塩基の並び、タンパク質はアミノ酸からできているんですよね。
どうやって、塩基の並びがアミノ酸の並びに置き換わるのでしょうか?


胡桃坂さん 「DNAに書き込まれたA、D、G、Cの情報。つまり、その文字列によって何が決められているのかというと、『どのアミノ酸を使ってタンパク質を作りなさい』という、タンパク質の中の文字列をDNAの文字列が決めているんです。」

  • DNAは鎖状の分子
  • タンパク質=アミノ酸の鎖

DNAは4種類のヌクレオチドがつながった、長い鎖状の分子です。

タンパク質も鎖状の分子で、それが折りたたまれて立体構造になっています。

  • 20種類のアミノ酸

その鎖を作っているのがアミノ酸。
生物がタンパク質の合成に使うアミノ酸は20種類。
アミノ酸がいくつ、どのように並ぶかによって、タンパク質の性質が決まります。

  • 4×4で16通り
  • 16通り

RNAの塩基はA、U、G、Cの4種類。
もしこれだけでアミノ酸を決めるとすると、4種類のアミノ酸しか決まりません。
では、4種類の塩基でどのようにアミノ酸を決めているのでしょうか。

AA、AU、AG……のように、4種類の文字を2つずつ並べると、4×4で16通りになります。
16種類のアミノ酸を指定できますが、20種類には足りません。

  • 4×4×4で64通り
  • 64通り

AAA、AAU、AAG……のように3つ組み合わせると、4×4×4で64通りです。
20種類すべてのアミノ酸に対応することができます。

  • コドン

このように、3つの塩基の並びでアミノ酸1つを決めているのです。

1つのアミノ酸を指定するmRNAの3つの塩基の並びをコドンといいます。

コドン表

コドンとアミノ酸の対応表を、コドン表といいます。
表の左と上と右に、それぞれ4種類の塩基が書かれています。

たとえば、UUUならフェニルアラニン、CAGならグルタミンです。

コドンには、翻訳の開始(AUG)や終了(UAA、UAG、UGA)を示すものもあります。

1つのコドンで、あるアミノ酸が指定され、アミノ酸が並んで結合されてタンパク質になるのです。


暗号解読を細胞の中でしているんですね!
こうやって、DNAからタンパク質が作られているんだ!

  • DNAの文字列が重要

胡桃坂さん 「DNAの文字列が変わると、『タンパク質を作るためにアミノ酸がつながってくる』といいましたけれど、つながってくるアミノ酸の種類が変わるんですね。そうすると、違うものができあがる。」


DNAの文字列が重要なんですね!
細胞の中で、アミノ酸はどうやって、mRNAの中の自分のコドンを見つけるのでしょうか?

  • DNAの二重らせんがほどける
  • 塩基配列が写し取られる
  • mRNAに転写される

転写と翻訳のしくみを詳しく見てみましょう。

DNAの二重らせんがほどけて、DNAに並ぶA、T、G、Cが、1文字ずつ正確にmRNAへ写し取られ、遺伝子の情報が読み取られていきます。

  • 転写の電子顕微鏡写真

これは、その様子をとらえた電子顕微鏡写真です。
DNAにくっついた酵素がはたらいて、遺伝子の写しを作り出しています。
これが、mRNAです。

  • mRNAは核の外へ
  • mRNAは核の外へ
  • リボソームと結合

mRNAは核の外に出て、リボソームと結合します。

このリボソームで翻訳が行われます。

  • mRNAの塩基が読み取られる
  • 対応するアミノ酸が結合する

mRNAの塩基が3つずつ読み取られ、それに対応するアミノ酸が順番に結合していきます。

  • tRNA
  • アミノ酸の鎖ができている

このとき、アミノ酸は、コドンに対応する塩基の配列を持ったtRNA(トランスファーRNA)とよばれるRNAによって、リボソームまで運ばれています。

こうして、特定のタンパク質が作られていきます。
これらは、すべての生物の中で行われているのです。

なぜDNAから直接タンパク質が合成されないのか?
  • なぜDNAから直接タンパク質が合成されないのか?

胡桃坂さん
「なぜか、RNAを仲介する。

生物が38億年前にできあがった。
太古の昔にできあがった最初の生物というのは、遺伝情報を保存する物質としてDNAではなくRNAを使っていたのではないかという説が有力になっています。

RNAとタンパク質の関係は密接で。
RNAなしではタンパク質は絶対に作られないですね。
RNAが機能するために、またタンパク質が必要だったりもする。
現在の生物ではそういうふうに、非常にいいコンビネーションになって機能している状態ですね。」



DNA、RNA、タンパク質……深〜い関係でつながっているんですね。
ところで「最初の生命はRNAを使っていたかもしれない」とは、どういうことなのでしょうか?
これはもう、調べてみなきゃ!

それでは、次回もお楽しみに!

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