NHK高校講座

生物基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、昨年度の再放送です。

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今回の学習

第13回

DNAとタンパク質合成

  • 生物監修:開成中学・高等学校教諭 奥脇亮
学習ポイント学習ポイント

1.塩基配列  2.転写  3.翻訳

今日のテーマは、「DNAとタンパク質合成」
そして、キーワードは、「タンパク質は こうしてつくられる」です。


タンパク質は、動物の体をつくっている大切な物質です。
筋肉、皮膚、さらに酵素もタンパク質からできています。
動物は、この大切なタンパク質を自分の体の中で自らつくりだします。

ポイント1 塩基配列

タンパク質がつくられるとき、大切な役割をしているのが「DNAの塩基配列」です。
アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)、この4種類の塩基の並び方が塩基配列です。

タンパク質がつくられるとき、このDNAの塩基配列が元になっています。つまり、「DNAはタンパク質の設計図」ということです。
DNAは、「生物の体をつくる設計図」といわれますが、実は「生物の体の重要な部品であるタンパク質をつくる設計図」ということなのです。

ポイント2 転写 

タンパク質をつくるとき、まずDNAの塩基配列の必要な部分をRNAという物質にコピーします。
これを、「転写」といいます。

RNAというのは、リボヌークレイック アシッド (RiboNucleic Acid)という物質で、
DNA=デオキシリボヌークレイック アシッド (DeoxyriboNucleic Acid)によく似た物質です。
DNAで使われている塩基はA、T、G、Cでしたが、RNAでは、A、U、G、Cとなります。
つまり、チミン(T)の代わりにウラシル(U)という塩基が使われています。

「塩基の相補性」で考えると、DNAでは、A-T、G-Cが「相補的塩基対」でしたが、RNAでは、A-U、G-Cが「相補的塩基対」となります。
従って、DNAでATGCの順に並んでいる塩基がRNAにコピーされると、右の図、UACGとなります。

上の図は、DNAからRNAへの転写のようすです。

まず、DNAの二重らせんがほどけ、ほどけたDNAの片方にRNAの塩基が近づき相補的な塩基が結合します。
このとき転写されるのは、片方のDNAの一部です。
こうしてできたRNAは、mRNA(メッセンジャーRNA)と呼ばれます。

ポイント3 翻訳

次に、RNAの塩基配列を元にタンパク質がつくられます。
これを、「翻訳」といいます。

タンパク質は、「アミノ酸」という物質が1列につながった物質です。
しかし、DNAからRNAへの転写のように、mRNAの塩基の1つにアミノ酸1つが結合して1列になるわけではありません。
タンパク質の材料になるアミノ酸は20種類もあります。
塩基は4種類しかありませんから、20種類のアミノ酸と1対1でくっつくには、塩基の種類が足りません。

・RNAの塩基はA、U、G、Cの4種類ですから、塩基1つで決められるのは4種類だけです。
・そこで、AA,AU,AG,ACのように4種類の塩基を2つずつ並べてみます。
すると、4×4=16。つまり16種類のアミノ酸を決めることができます。
しかし、アミノ酸は全部で20種類。まだ足りません。
・では、3つの塩基の並びならどうでしょうか。
この場合、4×4×4=64種類となり、20種類のアミノ酸を決めるのに十分です。

3つの塩基の並びで、すべてのアミノ酸を決めることができますが、1つ問題があります。
例えば、mRNAの塩基が −UCAUGUUCGUCAAUCAGUAGC− と並んでいたとしましょう。3つの塩基で1つのアミノ酸が決められているのですが、これだけでは3つの塩基のまとまりがわかりません。
「UCA」の3つで1組なのか、それとも、「CAU」の3つなのか。

実は、「AUG」という並びが「翻訳の始め」と決まっているのです。

すると、このmRNAでは、−UC┃AUG┃UUC┃GUC┃AAU┃CAG┃UAG┃C−  と区切った3つずつの塩基で、アミノ酸が決まっていることがわかります。

そして、「AUG」から3つずつに区切って行って、初めて出てくる「UAG」が「翻訳の終わり」を表します。

●マルとマルタの実験コーナー「タンパク質をつくってみよう」

模型でつくったmRNAと、いくつかのアミノ酸があります。
このmRNAにアミノ酸をくっつけて、タンパク質に翻訳してみましょう。

まず、タンパク質をつくる塩基の始まりは、AUGです。
次のAとくっつくのはU、UにくっつくのはA、そして、GにくっつくのはCとなります。
そこで、UACがついているアミノ酸を探してくっつけると、ピッタリと結びつきます。
次のUUGにつくのは・・・このアミノ酸、と次々に選んでいくと、最後に、UAGで終わりの合図となります。
これで「焼・肉・定・食」というタンパク質が完成しました。

もちろん、こんなタンパク質は存在しませんが、もしこのmRNAが翻訳されるとすれば、メチオニン、ロイシン、バリン、アスパラギンというアミノ酸になります。

実は、64通りの塩基の並びによってできるアミノ酸は、すべて決まっています。同じアミノ酸が異なる塩基の並びでつくられることもあるからです。

このようにして決められたアミノ酸が次々と1列に並んで、1つのタンパク質ができるのです。

今日の生物案内人は、開成中学・高等学校の奥脇 亮先生です。

●タンパク質は、アミノ酸が1列に並んだ物質ということですが、タンパク質であるアミラーゼという酵素の構造を表したCG(中の図、左)を見るとずっと複雑で、そのようには見えないのですが・・・?

アミラーゼを別の見方をしたCG(中の図、右)で表してみましょう。
1本の長い分子が、複雑に折りたたまれているようすがわかります。
つまりアミラーゼはアミノ酸が1列に並んだ物質なのです。

●では、この折りたたまれ方は、どうやって決まるのですか?

右の写真の模型のように、アミノ酸が1列につながったタンパク質があったとします。
両端の緑色の部分は親水性、つまり、水となじみやすいアミノ酸です。
まん中のオレンジ色の部分は疎水性、つまり、水と仲の悪いアミノ酸です。
そして、その間に電気的にプラスになっている部分とマイナスになっている部分があるとします。
この様なタンパク質が細胞の中、つまり、水の中にあると、プラスとマイナスが引きつけあって、水となじみやすい部分が外側に、水と仲の悪い部分が内側になって折りたたまれます。

アミノ酸の並びが異なれば、別の折りたたまれ方になります。
折りたたまれ方は、アミノ酸の並びによって決まるのです。

タンパク質は、この折りたたまれ方=立体的な構造が重要です。
立体的な構造になって、はじめて、それぞれのタンパク質としての能力を発揮することができるのです。

では、タンパク質の立体的な構造は、どのように調べるのでしょうか?
答えてくれるのは、東京大学でタンパク質の研究をしている濡木 理(ぬれき おさむ)先生です。

人形に光を当てると影ができます。
いろいろな角度から光を当てて、この影を観察すると人形の立体的な形が推測できます。

タンパク質の構造を調べるのも、これと同じです。
右の写真はアミラーゼというタンパク質に、エックス線を当てたときの影です。
いろいろな角度からエックス線を当て、結果をコンピューターで解析すると、その立体構造がわかるのです。

これだけは覚えておいてほしい「実になる一言」。
今日の一言は「3つの塩基で 1つのアミノ酸」です。

mRNAの塩基配列が翻訳されるとき、3つの塩基の並びで1つのアミノ酸が決まります。
こうして決められた多くのアミノ酸が1列につながって、タンパク質ができるのです。

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