NHK高校講座

生物基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2018年度の新作です。

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今回の学習

第13回

DNAとタンパク質合成

  • 生物基礎監修:東京都立西高等学校指導教諭 平山 大
学習ポイント学習ポイント

DNAとタンパク質合成

DNAとタンパク質の関係
  • 武村政春さん
  • DNAとタンパク質の関係

前回(第12回)に引き続き登場していただくのは、DNA研究者の武村 政春(たけむら まさはる)さんです。
ところで、DNAとタンパク質はどのような関係なのでしょうか?


武村さん 「DNAは遺伝子の本体です。遺伝子というのはタンパク質の設計図とよばれることもあり、基本的に遺伝子の塩基配列の中には、タンパク質のアミノ酸配列の情報が入っています。したがって遺伝子の本体であるDNAとは、タンパク質の情報を設計図として持っている存在であるといえます。切っても切れない関係にありますね。」


DNAがタンパク質の情報を持っている、なるほど〜!
タンパク質の情報……なんだかよくわからないですが、タンパク質も設計図があるのですね。

  • 代謝
  • 生物を構成する物質

そういえば、生命活動を支える代謝の回(第3回)で、生物を構成する物質にタンパク質がありましたよね。

細胞は何からできているのか

生物はいろいろな細胞で構成されています。
その細胞は何からできているのでしょうか。

核には遺伝情報を含む染色体があります。
染色体は、核酸という物質の一種であるDNAと、タンパク質で構成されています。

細胞膜は脂質でできていて、その中にタンパク質が埋め込まれています。

植物細胞にある細胞壁はセルロースとよばれる炭水化物でできています。

細胞質基質のほとんどは水で、その中にタンパク質や無機物も含まれています。

  • ヒトの体の構成成分の割合

ヒトの体の構成成分の割合を見てみると、水がほとんどを占めており、次にタンパク質が多く占めています。
そのほかに、有機物である脂質、炭水化物、核酸、無機物から構成されています。


水の次に多いのがタンパク質でしたが、タンパク質は体のどこにあるのでしょうか。
筋肉かな?

タンパク質は体のどこにあるのか?
  • 構造タンパク質、収縮タンパク質
  • 酵素タンパク質、運搬タンパク質、免疫タンパク質、貯蔵タンパク質

武村さん 「役割に応じて、いくつかのタンパク質の種類に分けられます。たとえば細胞や体の構造をつくっている、ハードウエアに該当するような、構造タンパク質というのがあります。それから、筋肉のアクチンやミオシンというタンパク質がありますが、これらは収縮タンパク質といいまして。収縮することで働くタンパク質。」


構造タンパク質……体のハードウエアもタンパク質ですか!


武村さん 「それから、酵素として働く。実はこれが種類としては1番多いんですけれど。タンパク質の約半数は酵素だといわれています。その酵素、つまり化学反応を触媒する、さまざまなこの化学反応に関わるタンパク質ですね、酵素タンパク質。それから、栄養素を血液の中で体中に運ぶ運搬タンパク質とか。あと、免疫に関わるタンパク質でありますとか。貯蔵タンパク質というのもありますね。だいたいそのようなものに分けられるのかなというふうに思います。」

  • ヒトの体には約10万種類のタンパク質

生物の体の中で、さまざまな役割を担うタンパク質。

ヒトの体には、約10万種類のタンパク質があるといわれています。

  • 酵素
  • ヘモグロビン

生物の体内で起こる化学反応を円滑に進める酵素。

赤血球の成分として酸素と結合し、ほかの組織の細胞へと酸素を運ぶヘモグロビン。

  • 抗体
  • コラーゲン

病原体(抗原)などの異物と特異的に結びつき、排除に働く抗体。

皮膚や軟骨、腱に含まれ、体の構造を維持するコラーゲン。

  • アクチン、ミオシン

筋肉の繊維をつくり、収縮するときに働く、アクチンやミオシン。

タンパク質は、私たちの体の構造をつくったり、体のさまざまな機能を果たしたり、重要な役割を担っています。


10万種類も!!
タンパク質、すっごく大事じゃないですか!
タンパク質は私たちの体でいろいろな役割を果たしているんですね。

そんなに重要なら、たくさん食べなくちゃならないですね!

  • 動物性タンパク質
  • 植物性タンパク質

動物はタンパク質の材料を、食べ物から摂取しています。

食べ物に含まれるタンパク質は、大きく分けて2種類あります。
肉類や魚介類、乳製品などに含まれる、動物由来の「動物性タンパク質」。
もう1つは米や小麦、大豆や野菜などに含まれる、植物由来の「植物性タンパク質」です。

食品100gあたりの含有量

動物由来の食品を100g換算で、タンパク質の含有量を比較した場合、鶏肉のささみやクルマエビはタンパク質をとても多く含んでいます。

牛肉は約14g。
部位によって異なりますが、脂質が非常に多いのが特徴です。

植物由来の食品と比較した場合はどうでしょうか。
全般的にタンパク質の含有量は少ないのですが、畑の肉ともいわれる大豆は肉類を超えるタンパク質を含んでいることがわかります。

食べ物によって、含まれるタンパク質の種類や量が違うのです。

体内でタンパク質がつくられるまで
  • 体内でタンパク質がつくられるまで
  • アミノ酸

武村さん 「食事をすると、我々はその胃、腸……小腸が主なんですけども、そこで消化し、消化した産物を吸収するわけです。タンパク質の場合は、主に胃でブツブツに切られて。さらに十二指腸から小腸にかけて、そのブツブツに切られたタンパク質がもっと切られて。最終的には1個1個のアミノ酸になって。正確にいうと、2つか3つくらいのアミノ酸がつながった状態で、我々は小腸の細胞に吸収するんですね。」


ん?アミノ酸?


武村さん 「吸収した小腸の細胞で、最終的に1個1個のアミノ酸にして、肝臓へと流していくと。そして、肝臓を経由して、全身の細胞にアミノ酸の状態で巡って、それぞれの細胞はそのアミノ酸を自分のプールにして。で、またそこでタンパク質をつくると。こういう流れが成り立っているわけですね。」


“アミノ酸”、“アミノ酸のプール”、“細胞でまたタンパク質をつくる”……?
アミノ酸っていったい、何なんでしょうか?

  • タンパク質はアミノ酸からできている
  • タンパク質はアミノ酸からできている
  • タンパク質はアミノ酸からできている

タンパク質は、アミノ酸という物質からできています。

20種類のアミノ酸

生体内で使われるアミノ酸は、20種類あります。

必須アミノ酸

このうち、ヒトの体内でつくることができず、体外から取り込まなくてはいけないアミノ酸は「必須アミノ酸」とよばれ、9種類あります。

  • アミノ酸の構造

アミノ酸の構造を見てみましょう。

1個の炭素原子(C)に、アミノ基(HN)、カルボキシ基(COOH)、水素原子(H)が結合し、もう1つはアミノ酸ごとに違ったものが結合しています。
この部分を側鎖といいます。

  • アミノ酸が鎖のようにつながる
  • ペプチド結合

タンパク質は、アミノ酸が鎖のようにつながっていますが、隣り合うアミノ酸は、カルボキシ基とアミノ基との間で結合しています。
この結合をペプチド結合といいます。

アミノ酸どうしがくっつき、タンパク質がつくられるのです。

体をつくる材料
  • 体をつくる材料
  • さまざまなタンパク質ができる

武村さん 「牛であっても鳥であっても人間であっても、そのタンパク質の材料、それからDNAの材料は同じなんですね。たとえば牛肉を食べたときに、我々はそれを消化します。タンパク質は消化されるとアミノ酸になります。DNAは消化されるとヌクレオチドになり、さらに消化されると塩基とかになるわけですね。そこまで分解してしまいますと、もう全生物共通の材料です。」


すべての生物共通のアミノ酸からタンパク質ができるということですが、タンパク質には酵素や筋肉や、いろいろなものがありますよね。

どうやって、いろいろなタンパク質ができるのですか?


武村さん 「タンパク質の性質を決めるのは、やっぱりタンパク質の形、大きさ。主に形なんですけども。その形がどうできるかというのは、そのアミノ酸がどういう順番でどれだけつながっているかにかかっているんですね。」

  • 鎖状につながる
  • アミノ酸の鎖が折りたたまれる

アミノ酸は20種類ありました。
アミノ酸がさまざまな組み合わせで一定の順番に並び、鎖状につながります。
このアミノ酸の鎖が折りたたまれ、固有の立体構造をとり、体を構成するタンパク質となります。

皮膚や髪、筋肉など、性質や働きが異なるのは、それらを構成するタンパク質のアミノ酸の順番や組み合わせの違いによる、タンパク質の形の違いなのです。

タンパク質の働きの違い
  • タンパク質の働きの違い
  • 次回もお楽しみに!

武村さん
「たとえば人間だけでも数万種類あるわけです。
それぞれの生物でも、やはり何万種類もあったりですね……もうちょっと少ないのもいますけど、もっと多いのもいるでしょう。
だから、生物それぞれでタンパク質がちょっとずつ違うんですね。

同じ役割を果たしている酵素、タンパク質であっても、生物の種が違えば、またちょっと形が違ったりする。
だから生物の種の数以上に、その生物の持っているタンパク質の種類数が掛け合わされますので、それこそ天文学的な数のタンパク質がこの地球上にあるわけです。
そういう意味で、タンパク質の世界というのは、研究しても、し尽くせない分野ですよね。

すべての細胞機能が、タンパク質によって担われている。
ということは、タンパク質の機能を研究することで、私たちの体の成り立ちがわかりますし。
逆に私たちの体がおかしくなったときに、原因がタンパク質であれば、それを研究することで、たとえば病気の仕組みがわかる、その治療法がわかるという方向につながります。
だからタンパク質の研究っていうのは本当に、生命現象に関わる、あらゆる分野に関わってくる、重要な分野だと思いますね。」



いろいろなアミノ酸の組み合わせがあることで、いろいろなタンパク質がつくられて、私たちの体もいろいろな形をしているのですね。
その組み合わせは、どうやって決められているのでしょうか?
それは次回のテーマになりますので、お楽しみに!

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