NHK高校講座

生物基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、昨年度の再放送です。

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今回の学習

第7回

葉緑体とミトコンドリアの起源

  • 生物監修:開成中学・高等学校 教諭 奥脇 亮
学習ポイント学習ポイント

1.生命の誕生  2.地球環境と初期生物の進化  3.細胞内共生説

今日のテーマは「葉緑体とミトコンドリアの起源」
そして、キーワードは「祖先をたどれ!」です。


「葉緑体」と「ミトコンドリア」は、どちらも生物のエネルギーに関わる細胞小器官です。
では、なぜ、ミトコンドリアは植物と動物、両方の細胞にあるのに、葉緑体は植物細胞にしかないのでしょうか。
この疑問を解くため、植物細胞と動物細胞の起源をたどりましょう。

ポイント1 生命の誕生

まず、生命が「いつ」「どこで」誕生したかについて考えてみましょう。

今から約46億年前、誕生したばかりの地球には生物に有害な強い紫外線が降り注ぎ、生物が生存するには厳しい環境でした。

そして、まもなく、地球に「海」ができました。
海の中には、生物に欠かせないタンパク質の成分・アミノ酸や、DNAの成分・核酸などが含まれていました。
この生命の材料から、約38億年前、「最初の生命」といわれるものが海の中で誕生したと考えられています。

地球が誕生した頃の環境とよく似た場所を、今でも深い海の底で見ることができます。

写真は、300℃以上の熱水が吹き出す、「ブラックスモーカー」と呼ばれる海底の様子です。
生命が最初に誕生したのは、地球内部から熱水が噴き出す、このような海底だったと考えられています。

生命が誕生したころの地球の大気は、ほとんど二酸化炭素で占められていて、>酸素はありませんでした。
このような地球で最初に誕生した生物は、酸素以外のものを使ってエネルギーをつくることができる生き物だった、と考えられています。

北アメリカ大陸最大の火山地帯、イエローストーン国立公園では、約100℃、pH1という強い酸性の熱湯の中で暮らしている生物がいます。
この生物は、細胞の中に「核」のない原核生物です。

地球に誕生した最初の生命は、酸素を使わずに有機物を分解してエネルギーをつくり出す、このような原核生物だったと考えられています。

ポイント2 地球環境と初期生物の進化

酸素がなかった地球に、今のように酸素が増えたのは、シアノバクテリアという生物のおかげです。
シアノバクテリアは、今から約27億年前に誕生し、初めて光合成をした生物だった、といわれています。

オーストラリアの西海岸、ハメリンプール。
ここでは、シアノバクテリアの仲間を今でも見ることができます。

岩のように見えるものの表面から泡が出ています。
この泡にはシアノバクテリアが光合成によってつくり出した酸素が含まれています。

シアノバクテリアは、光と水と二酸化炭素があれば光合成ができます。
この光合成の結果、多くのの酸素が放出され、地球は大気の中に酸素を持つ星になったのです。

地球に酸素が増えてくると、生物にも影響を及ぼしました。

実は、酸素は生物のDNAなどにダメージを与える物質です。初期の生物にとって、「酸素は毒」だったのです。
ところが酸素の濃度が高くなるにつれて、その酸素を使って「有機物から生命活動のエネルギーを取り出すことができる細菌」が現れました。
酸素を使うと、今までとは比較にならないくらい大きなエネルギーを取り出すことができます。
その結果、酸素を利用してエネルギーを取り出す生物がどんどん増えて進化し、現在につながっているのです。

ポイント3 細胞内共生説

地球上に最初に誕生した生命は、「酸素をつかわない原核生物」でした。
そして、地球上に酸素が増えていくと、「酸素をつかう細菌」が登場しました。

実は、ちょっと意外ですが、ヒトの祖先は「酸素をつかわない生物」だと考えられています。

それは、次のようです。
まず、「酸素をつかう細菌」が「酸素をつかわない生物の細胞」の中に入り込んで、一緒に生活するようになりました。

「酸素をつかう細菌」は「酸素をつかわない生物の細胞」の中で、酸素をつかってエネルギーをつくり、そのエネルギーを「酸素をつかわない生物の細胞」に与えるようになりました。
一方、「酸素をつかう細菌」は「酸素をつかわない生物の細胞」にタンパク質をつくってもらうようになりました。

このように、生物が別の生物を取り込んで共に生きることを、細胞内共生といいます。

このようにして、「酸素をつかわない生物の細胞」の内に入り込んだ「酸素をつかう細菌」が現在のミトコンドリアになり、この細胞が動物細胞に進化したと考えられています。
植物細胞の場合は、「ミトコンドリアをもった細胞」が、さらに光合成を行うシアノバクテリアを取り込み、このシアノバクテリアが植物細胞の葉緑体になったと考えられています。

だから、ミトコンドリアは植物と動物、両方の細胞にあるのに、葉緑体は植物細胞にしかないのです。

今日の生物案内人は、開成中学・高等学校の奥脇 亮先生です。

●細胞内共生説の証拠って、あるんでしょうか?

ミトコンドリアには二重の膜がありますが、その二重の膜が細胞内共生説の重要な証拠の1つです。
中の図、「黄色い膜を持った酸素を使わない生物の細胞」の中に「紫色の膜を持った酸素を使う細菌」が入り込んだとします。すると、細菌の紫色の膜のまわりを黄色い細胞の膜が覆い、二重の膜になります。
つまり、ミトコンドリアの二重膜は、ある細胞が別の細胞に入り込んだ証拠というわけです。

それだけではありません。
ミトコンドリアや葉緑体は、核のDNAとは別の独自のDNAを持っていますが、ミトコンドリアのDNAは酸素を使う細菌のDNAによく似ており、葉緑体のDNAはシアノバクテリアのDNAによく似ているのです。

このような事実から、細胞内の共生により、酸素を使う細菌がミトコンドリアになり、シアノバクテリアが葉緑体になった、と考えられているのです。

最後に、これだけは覚えておいてほしい「実になる一言!」
今日の一言は、「進化のキーワードは細胞内共生」です。

ミトコンドリアと葉緑体は、もともと別の生き物だったものが、細胞の中で共生し、細胞小器官になったものだと考えられています。
このような共生によって、原核生物から真核生物が誕生し、やがてわたしたちの祖先が生まれたと考えられています。

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