NHK高校講座

生物基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

生物基礎

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今回の学習

第5回

光合成

  • 生物基礎監修:東京都立国分寺高等学校教諭 市石 博
学習ポイント学習ポイント

光合成

  • 園池公毅さん
  • さまざまな植物を材料にしている

植物生理学者の園池 公毅(そのいけ きんたけ)さん。
35年以上も、いろいろな生物を使って光合成のしくみを研究しています。

実験室には、物質や生き物がどんな色の光を吸収するかが調べられる「分光器」と呼ばれる機械などがあり、研究の材料となるさまざまな生物も育てています。
キュウリやソラマメなど、いわゆる「普通の植物」や、微生物も材料にしているといいます。
ソラマメは、葉だけでなく、実はさやも光合成をするのだそうです。

  • ウミウシ
  • ハネモ

園池さん 「海水の水槽の中にウミウシがいるんですけれども、このハネモを食べて。そのハネモの中には光合成をする葉緑体があって、光合成をしています。ウミウシは、その葉緑体を……いわば盗んで、体の中にためておくことができる。ためておいて、しばらくの間は葉緑体が光のエネルギーを使って有機物をつくる。上前をはねるというか。」


ウミウシは、食べ物を上手く利用しているんですね!
野菜から海草、豆まで、植物はみんな光合成をしているんですね。

光合成の反応
  • 光合成の材料は二酸化炭素
  • 光エネルギーが光合成の反応を進める

園池さん 「光合成とは非常に奇妙な反応で。人間だったら何かものを食べて、それを栄養にするわけですけれども、光合成の場合は、材料は空気中の二酸化炭素なんですね。言い方を変えると、空気を食べて生きているようなものですよね。しかもその反応を進めるためには、光のエネルギーを使う。光というのは正体がよくわかりませんけれども、光を浴びているだけで体をつくっていけるというのは、どうしてそういうことが起こるんだろうかと興味がある点で。」


光を浴びるだけで生きていけるって、確かに不思議ですよね。
ところで、光合成とはどんな反応でしたでしょうか?

  • 気孔
  • 光合成

植物の葉を拡大して見てみます。
唇のような形をした細胞「気孔(きこう)」がたくさんあります。
植物は気孔から二酸化炭素を取り込んでいる一方、根や葉から水分を取り込んでいます。

植物は光を浴びると、二酸化炭素と水を材料にしてデンプンなどの有機物を合成するほか、酸素も発生させます。
この反応を光合成といいます。

  • ジャガイモの葉に覆いをする

本当に、光合成によって有機物がつくられているのか、ジャガイモで調べてみます。

葉に覆いをして光が当たらないようにし、光が当たった葉と、当たらなかった葉を調べます。

  • 温めたアルコールに入れて脱色
  • ヨウ素液に入れる
  • 光が当たることで光合成しデンプンが生成される

葉を温めたアルコールに入れて脱色した後、ヨウ素液の中に入れます。
ヨウ素液は、デンプンを青紫色に染めるはたらきがあります。

光が当たった葉は青紫色に変化し、デンプンが含まれていることがわかります(右画像・左)。
一方、光を当てていない葉は、色が変わりません(右画像・右)。

植物は光が当たることにより光合成を行い、デンプンをつくっています。

  • 植物にとって酸素は必要ないもの

園池さん 「基本的には、光合成の反応では二酸化炭素を有機物に変えて、有機物を自分の体の材料として使うわけですね。そのときには水も必要で。一種の還元剤を水から取り出して、水を分解したその残りを捨てるんですが、それが酸素なんですね。」


光合成をする植物にとって、酸素は全然必要ないもので、外に捨ててしまうといいます。

  • 光合成で出てくる気体を調べる
  • 光を当てていない方は泡は出ていない

小川や池に生えているオオカナダモを使って、光合成で出てくる気体を調べてみましょう。
一方のオオカナダモには光を当て、もう一方は光をさえぎります。

光を当てた方からは、どんどん泡が出ています。
光を当てていない方には、泡は見当たりません。

  • 気体を試験管に集める
  • 線香の火が明るくなる

この泡が酸素かどうか、確かめてみましょう。

気体を試験管に集めます。
その試験管の中に線香を入れると、線香の火が明るくなりました。

出てきた泡は、確かに酸素を多く含む気体であることがわかります。

光合成がもたらした酸素
  • 光合成がもたらした酸素

園池さん 「地球に光合成生物が繁栄していくにしたがって、どんどん大気中にたまっていって、その酸素が今は大気中の21%を占めています。昔はほぼゼロだったものが、そこまで光合成の作用によってたまっていったということですね。」


もともと、地球には酸素がなかった、ということなのでしょうか?

  • かつて地球には酸素が無かった
  • シアノバクテリア

約30億年前の地球には、酸素は無かったと考えられています。

そこに、地球上で初めて光合成を行う生物である、シアノバクテリアと呼ばれる藻類の一種が現れました。
やがてほかの植物も現れ、光合成によって酸素を出し、空気中の酸素の割合が増えていったのです。

  • シャークベイにある塊
  • シアノバクテリアの堆積物

オーストラリアのシャークベイという海岸に、岩のような塊が見られます。
これは主に、シアノバクテリアが堆積してできています。
光合成を始めた頃と同じような状態で生息しているものもあります。

地球に酸素をもたらしたシアノバクテリアが、どのようにして誕生したのかは、まだ解明されていません。

光エネルギーがふだん起こらない反応を起こす
  • 光エネルギーがふだん起こらない反応を起こす 

園池さん 「光のエネルギーが実際にやっていることというのは、ふだん起こらない反応を起こすということですね。木は燃えて二酸化炭素になりますけど、それは火さえつければ自分で進む反応ですね。ですが、二酸化炭素は放っておいても木になったりしない。そのためにエネルギーが必要になり、ふだん進まない反応は、そういった形で光のエネルギーが進めている。」


それでは、光エネルギーが起こす反応とは何でしょうか?

光合成の図説

光エネルギーによって起こる光合成は、複雑な化学反応が組み合わさって進みます。
光エネルギーは植物に吸収されると、水を分解します。
このとき生じた酸素は外に出されます。
他方、光エネルギーは細胞の中でエネルギーを蓄えるATPという物質をつくるのに使われます。
そして、そのATPを使って、二酸化炭素からグルコースなどの有機物をつくります。

光合成によって合成された有機物は、植物や動物など、生物全体のエネルギーの源となっています。

  • 太陽光は無限にふりそそぐエネルギー

園池さん 「これだけ地球上に生き物が繁栄したということは、放電なんかでたまったわずかな有機物だけではなくて、太陽光といういわば無限に地球にふりそそぐエネルギーを使えるようになったから。だから、繁栄しているわけですね。その意味では、光合成とは地球の生態系の基盤をなすものです。もし光合成生物が今この瞬間に消えたとしたら、そのほかの生物の99.99%も死に絶えるということがたぶん起こる。ですから、本当に生き物全体を支える存在というのが光合成なのだ思います。」


地球上の生物は、植物が太陽の光エネルギーを吸収するから、生きていられるのですね!

光合成の効率を調べてみよう
  • 光合成の状態を調べることができる装置
  • モミジの光合成の効率を調べる

園池さん 「たとえば、この機械はカメラになっていて、二次元の画像で光合成の状態を調べることができます。」


研究室にあるこの装置を使うと、植物がどれくらい効率よく光合成をしているかが調べられるのだそうです。
それでは、モミジを調べてみましょう。

  • 緑の葉から赤色があらわれる
  • 何も映し出されない赤い葉

園池さん 「これがクロロフィル蛍光の最初の状態で。実際にどのくらい光合成をしているのかを可視化したのがこれです。」


この装置では、より光合成をしている葉ほど赤く映し出されます。
紅葉したカエデの葉で調べてみましょう。
左画像・右の赤丸で囲んだ緑の葉から、赤色が現われていることがわかります(左画像・左)。
一方、右画像・右の赤丸で囲んだ葉は、何も映し出されません。
緑色の葉の方が、たくさん光合成をしているようです。

光を吸収する葉の構造
  • 光を吸収する葉の構造
  • 葉の断面図

植物は、どこでどのように光を吸収しているのでしょうか?


園池さん 「葉っぱというのは、表面に表皮の細胞が一層並んでいて。光合成をする細胞が中に詰まっている。ところが光合成をする細胞をよく見ると、葉の表側と裏側では違いがあります。」

  • ツバキの葉で断面を見る
  • 葉の断面図

ツバキの葉で断面を見てみましょう。

右画像の上が葉の表側で、細長い細胞が規則正しくぎっしりと並んでいます。
これを柵状組織といいます。

下は、上に比べると、丸めの細胞があちこちに散らばって、スポンジのようです。
これを海綿状組織といいます。

  • 葉の断面における光の動き

光の動きを赤い矢印で表しています。

光は、葉の表側に当たると、細長い柵状組織の細胞をまっすぐ通過します。
海綿状組織では、あちらこちらに光が曲がり、葉の中を行き来します。


園池さん 「そういうしくみができていると、光が何度も何度も往復しますから、吸収しにくい緑色の光でも、最終的には吸収することができます。」


では、光合成はどこで行われているのでしょうか?

  • オオカナダモをヨウ素液で着色する
  • 葉緑体が染まっている

光合成でつくられるデンプンがどこにあるのか、ヨウ素で着色したオオカナダモの葉を拡大して見てみます。

細胞の中に、青紫色の粒がたくさん見られます。

着色する前の細胞と比べてみます(右画像)。
たくさんある緑色の粒、葉緑体が染まっていたようです。

光合成は、植物細胞の中にある、葉緑体で行われるのです。

  • 電子顕微鏡で見た葉緑体の断面
  • 葉緑体の図説

葉緑体の内部はどうなっているのか、電子顕微鏡で断面を見てみましょう。

たくさんの線が見えますが、これは葉緑体の中で折り重なっている膜です。
この膜をチラコイドと呼びます。


チラコイド膜の外側をストロマと呼びます。
チラコイドの上では、クロロフィルという色素が光のエネルギーを吸収し、膜の上でATPが合成されています。

重要な葉緑体の膜
  • 重要な葉緑体の膜
  • どんな植物でも光合成を行っている

園池さん 「この膜があることがすごく重要です。たとえば試験管で酵素をピッピッと入れて、それでATPができるかといえば、できない。この膜の構造があることがすごく重要なんです。」


どんな植物でも、体の中で葉緑体を持っていて、光合成をしているんですね!
植物のこともよく見てみると、おもしろそうです!

光合成を学ぶ魅力とは
  • 次回もお楽しみに!

園池さん
「植物は動かないので、なんとなく受動的に見えるんですけれども、本当は体の中でいろんなことをやって、特に環境が変わったものに対して対応している。

植物・動物というのは、生き方からして案外対照的で。
動物というのは、環境が変わってもいかに体を一定の状態に維持するかが、生きていくうえでの戦略なんですね。

植物はそれに対して、周りの環境が変わったときには、自分の体の中を変えて生き延びていく。
それが戦略、むしろ自分を積極的に変えていく。

そういった意味で、光合成というのは、すごくおもしろいんじゃないかなと思います。」



それでは、次回もお楽しみに!

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