NHK高校講座

ロンリのちから

Eテレ 毎週  金曜日 午後3:30〜3:40
※この番組は、前年度の再放送です。

ロンリのちから

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今回の学習

第19回

ロンリのちから (19)ずれた反論

  • 監修:立正大学教授 野矢 茂樹
学習ポイント学習ポイント

ロンリのちから (19)ずれた反論

  • 台本を圭次がみんなに手渡し
  • ノーノ

できあがった台本を圭次がみんなに手渡しています。
圭次「いよいよその日が訪れる。」
マリア「クライマックス目前だね!」
ノーノ「みんながどうなっちゃうのか、ドキドキする!」
来緋「早くやってみようよ。」
圭次「お、来緋くん、やる気だねぇ!」

  • レビ
  • タネ

演劇部が体育館で練習をしています。

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タネ「2017年2月28日、事件は起こった。」
アジオ「街から緑が消えていた。」
レビ「もう植物は育たないってこと?」
ヒネ「それ、やばくない?」
アジオ「僕たちで畑を作って、試してみようよ。」
タネ「違う……。そうじゃない。」
ヒネ「どういうこと?」
タネ「どうしてみんながいなくなったのか、早く原因を探らなきゃいけない。だから畑を作っている場合じゃない。」
ヒネ「またそうやって反対する。去年の家族旅行だって、タネが反対したからけっきょく行けなかったんじゃない!」
タネ「でも……。」
レビ「食糧はどうするつもりなの?」
タネ「まだしばらくは保存食がある。だからまだ畑を作らなくてもいい。」
アジオ「反対してたって前には進めないよ。いくらタネが反対しても、僕たちは作物が育つかどうか試してみるから。」
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  • 議論が噛み合ってない
  • 溝口先生

パンパンと手を叩くマリア。
マリア「タネを孤立させたいのは分かるんだけど、これはちょっと……。ちゃんと議論が噛み合ってない、というか…。」
圭次「なんで?どのあたり?」
マリア「どの辺りって言われると〜…。」
溝口先生「論点がずれた反論をしてしまってるわね。」
一同「溝口先生!」
溝口先生「どこがどうずれてるか、考えてみましょう。」

  • ハムレットに扮した溝口先生
  • 演劇部のみんな

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ハムレットに扮した溝口先生。
ハムレット(溝口先生)「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。」
飛んできたドクロを避け、マントをひるがえすといつもの溝口先生に戻りました。
溝口先生「いや、なによりもまずロンリのちからを身につけるべきだ。」
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圭次「溝口先生、なにハムレットやってるんですか!」
溝口先生「一度やってみたかったのよ。」
マリア「ここは影絵クラブ?」
溝口先生「そう。論点のずれた反論に光を当てて、誤りを浮かび上がらせてみましょう。」

  • 剣の練習をするハムレット
  • 今日も練習をすべきか、今日は休むべきか…

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剣の練習の途中で、椅子に座り込むハムレット。
従臣「ハムレット様、どうなさいました?」
ハムレット「すこし、熱がある。」
従臣「それはいけません。」
ハムレット「今日も練習をすべきか、今日は休むべきか…。」
従臣「それで、どうするおつもりで?」
ハムレット「今日は休もうかと思う。」
従臣「なにをおっしゃる!練習は大事です。どんな天才剣士だって、練習なくして強くなれはしないのです!さあ、お立ちなさい!」
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この会話は論点がズレています。
“練習が大事”だということはハムレットもわかっているはずです。
その上で“少し熱があるから1日だけ休もうかな”と言っているのですから、
返答として“天才剣士でも練習しなくちゃ強くなれない”はズレているのです。

  • 塾に行くべきか、行かざるべきか…
  • 君だってこの前、ヴァイオリンの稽古を休んだじゃないか!

次のシチュエーションです。
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ハムレット「僕は今日、塾に行くべきか、行かざるべきか…部活で疲れたし、やっぱり、塾には行かない!」
オフィーリア「ハムレット様、あなたは間違っています。もうすぐ模擬試験なのですから、塾に行って準備をなさらなくては!」
ハムレット「いやいやオフィーリア、君だってこの前、ヴァイオリンの稽古を休んだじゃないか!」
オフィーリア「そんなぁ…。」
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自分が塾を休むことをとがめられると、相手が前にヴァイオリンの稽古を休んだことを持ち出しています。
しかし、この2つにはまったく関係がありませんね。
論点がズレています。

  • ヒネ
  • タネ

ここで圭次の台本を思い出しましょう。
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タネ「どうしてみんないなくなったのか、早く原因を探らなきゃいけない。だから、畑を作っている場合じゃない。」
ヒネ「またそうやって反対する。去年の家族旅行だって、タネが反対したからけっきょく行けなかったんじゃない!」
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マリア「いまは作物を育ててみるべきかどうかが問題なのに、去年の家族旅行のことを持ち出されてもねぇ。」
圭次「そうだよね。それに、台本でおかしいの、ここだけじゃないよ。」

  • 食糧はどうするつもりなの?
  • 反対してたって前には進めないよ

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レビ「食糧はどうするつもりなの?」
タネ「まだしばらくは保存食がある。だからまだ畑を作らなくていい。」
アジオ「反対してたって前には進めないよ。いくらタネが反対しても、僕たちは作物が育つかどうか試してみるからね。」
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圭次「反対する人に“反対ばかりしても前進しない”って言うのは、論点がずれてるっていうか、論点を無視してるっていうか…。」
来緋「アジオたちだってタネに反対してるのに、タネだけが反対しちゃだめって、ありえない。」
マリア「なるほど〜。やっぱり、なんか噛み合ってないと思ったんだよ。」
溝口先生「でも自分たちでちゃんと気づいたのは偉いわ。」
圭次「へへへ、褒められちゃった。」
溝口先生「では、台本を直してみなさい。」

  • ヒネ
  • みんな、僕のことなんてどうでもいいんだ

論点に注意して台本を書き直した圭次。

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アジオ「街から緑が消えていた。」
レビ「もう植物は育たないってこと?」
ヒネ「それ、やばくない?」
アジオ「僕たちで畑を作って、試してみようよ。」
タネ「違う……。そうじゃない。」
ヒネ「どういうこと?」
タネ「どうしてみんながいなくなったのか、早く原因を探らなきゃいけない。だから、畑を作っている場合じゃない。」
ヒネ「またそうやって反対する。去年の家族旅行だって、タネが反対したからけっきょく行けなかったんじゃない!」
タネ「あのときは悪かったよ。だけど、それといまは別の問題だ。いまは僕のわがままで反対しているわけじゃない。」
レビ「食糧はどうするつもりなの?」
タネ「まだしばらくは保存食がある。いま畑を作らなくてもいい。」
アジオ「それは見通しが甘いよ。僕たちはみんな一から畑作りを勉強しなくちゃいけない。今日タネをまいて明日食べられるようになるわけじゃない。今すぐに始めなきゃ。」
ヒネ「一緒にやろうよ。」
タネ「……。」
レビ「タネや肥料は店にあるはずよ。」
ヒネ「それに本当に緑がなくなったのか、もっと調べてみなくちゃ。」
アジオ「さあ、出かけよう。」

ひとり残されたタネ。そこに猫の声が聞こえてきました。

タネ「確かに仲間が増えた。だけど僕の友だちはこいつだけだ…。みんな、僕のことなんてどうでもいいんだ…。それなら…みんな…いっそのこと…いっそのこと……」
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  • マリア
  • ロンリのち・か・ら☆

パンパンと手を叩くマリア。
マリア「論点のずれた反論から一転、ちゃんとした議論になってたね!」
来緋「タネはみんなからどんどんズレちゃってるけどね。」
圭次「そのズレが最後に大きな感動を生むんだよ。」
ノーノ「本当に〜?この流れで感動させられるの〜?でも圭次が貸してくれる漫画は暗いのばっかりだから、疑わしいもんだ!」
来緋「あ、論点のずれた反論。」
ノーノ「しまった!気をつけないと、論点のずれた反論って普通にやっちゃう!」
圭次「難しいよね。相手がずれた反論を言ってきたら、きちんと“論点がズレてる”って指摘できなくちゃダメだし。」
マリア「自分でもズレないようにしなくちゃいけないしね。溝口先生、これってやっぱり…」
溝口先生「そう。これも論理のち・か・ら☆」

不思議の国のロンリ劇場〜ずれた応答〜
  • ニセウミガメのスープはほんとにとっても、おいしいんだよ!
  • 論点がずれてるうさぎさん

アリス「ねえねえ、うさぎさん。論点がずれるのって、反論のときだけじゃないよね。」
うさぎさん「どういうこと?」

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アリス「ねぇねぇ、ニセウミガメさん。あなたの名前には“ニセ”ってついてるからニセモノだってこと?だましてるってこと?」
ニセウミガメ「何を言うんだい。ニセウミガメのスープは、とっても、ほんとにとっても、おいしいんだよ!」
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アリス「こんな風に質問に答えるときにも、論点がずれた答えが返ってくることってあるよね。」
うさぎさん「たしかに。ときにはわざと論点をずらした答えを返す人もいるからね、たちが悪いよね。」
アリス「どうしてわざと論点をずらして答えたりするの?」
うさぎさん「実際、答えになってない答えを返す人も、多いよね〜。」
アリス「それ、私の質問への答えになってないわ!」
うさぎさん「ぎくっ。」
アリス「私はどうしてわざと答えになってない答えを返す人がいるの?って聞いてるのよ。ねえ、どうして?」
うさぎさん「で、でも、ポイントのずれた質問をする人だっているし…。」
アリス「あ、また論点がずれてる!うさぎさん、わざとずらしてるでしょ!」
うさぎさん「え、いや、だから、その、つまりだね…。」

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