NHK高校講座

国語表現

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:10〜2:30
※この番組は、2018年度の新作です。

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今回の学習

第26回 小論文II

要約の方法

  • 国語監修:中央大学附属中学校・高等学校教諭 齋藤 祐
学習ポイント学習ポイント

要約の方法

要約の方法
  • 足立さん
  • 齋藤先生

番組のMCは歌手の足立佳奈さん!
そして、今回教えてくれるのは齋藤祐先生です。

  • 今回の生徒
  • 要約

今回、みなさんと一緒に国語を勉強していくのは
はるひ(河野晴日)くん、くれあ(東海林クレア)さん、咲桜(曽根咲桜)さん、れん(駒井蓮)さん、の4人です!

今回のテーマ「要約」は、“要”を“約(つづ)める”と書きます。
“約”には、短くする、かいつまむ、といった意味があります。
つまり、要約とは、内容は変えずに大事な部分を残すのがポイントになります。

昔話を要約しよう
  • はるひくん
  • 咲桜さん

ウォーミングアップとして、『浦島太郎』の話を30字以内で要約してみましょう。
高校生の4人は次のように要約しました。
はるひ「亀を助けた浦島太郎が竜宮城で乙姫にお礼をしてもらったお話。
くれあ「亀を助け竜宮城であけちゃダメなものをあけておじいさんになった。
咲桜「助けた亀に連れられて竜宮城に行くお話。
れん「亀を助け竜宮城に行った浦島太郎は何百年も経った地上に戻った。」 

『浦島太郎』という物語にはいろいろな要素があるので、要約文を見ると、要約した人がどこに注目して読んでいるのかがよくわかります。
この場合には、4人とも“亀”と“竜宮城”というキーワードは使っていますが、その他のキーワードを見ると、はるひくんは“乙姫”、くれあさんは“おじいさん”という単語を使っています。

また、字数制限がある場合には、指定された字数の8割をめざすようにしましょう。
咲桜さんの要約は少し短くなりすぎていますが、その分、“誰が行ったのか”が抜けています。
主語と述語は忘れずに入れましょう。
さて、30字は原稿用紙にすると1行半です。
今回の30字という字数制限は、「1文にしなさい」と同じ意味です。

  • 足立さん
  • 齋藤先生

『浦島太郎』の要約だけを読むと、物足りない感じがしませんか?
今回のように、物語を要約することはできますが、要約してしまうと面白くなくなってしまいます。
物語の魂はディテール(細部)に宿っているので、細やかな表現に気を配っていくことが大切です。
逆に、短い言葉に整理していく要約では、説明文や実用文の“要(かなめ)”を捕まえて読み取る技術が必要になります。

表現の達人〜又吉直樹さん〜
  • ピース
  • 又吉さん

今回の達人は、お笑い芸人で作家の又吉直樹さん。
お笑いコンビの「ピース」として活動しながら、35歳のときに小説『火花』で芥川賞を受賞。
好きな本は太宰治や芥川龍之介など、いわゆる純文学とよばれる小説だそうです。

高校生の頃、国語は得意でしたか?
又吉「決して国語が得意だったわけじゃないんですけど、国語の授業は好きだったんですよ。教科書をもらったら、とりあえず教科書を全部読んで、おもしろいものを特に自分なりに楽しんで読むっていうのが僕のやり方で。国語のテストで登場人物の気持ちや作者の考えを書く問題では、一生懸命書くんですけど、だいたい△にされて“考えすぎ”って書かれていました。でも“考えすぎ”ってことはないんですよね、本当は。考えすぎていいと思うし。作者が意図していないこともあるんですよね。鑑賞する側が、作品から何を読み取るか、どう感じるかだから、そこは自由だと思っていて。それは割と学生時代から(思っていた)。国語の授業でもそうでしたね。言葉以前に、国語の授業以前に、まず世界があって、世界の状態があって、風景があって、人間の感情があって、関係性があって、そこにそれぞれ言葉をおいていった結果、何か現実に匹敵する世界っていうものを文章で作ることができるから。例えばテストだったりとか、“この小説の読み方は絶対にこう!”っていうことにあまり捕らわれすぎないほうがいいなっていう。(例えば)“世界一のお母さん誰やねん”って言われてもわからないじゃないですか。大会を開いても多分、優勝者決まらないじゃないですか。だって、“この人が優勝者”って言われても納得しないじゃないですか。自分にとっては自分のオカンが一番やねんけど、って。でも、自分のオカンが世界大会に出て優勝できるとはまったく思わないし。地区予選で敗退するだろうなと思うんですけど、でも自分にとっては一番で。それって何なんだろうって(考えると)、自分の人生と結びついているじゃないですか。自分の解釈だから、そう考えていくと価値って必ずしもひとつじゃない(と思うんです)。でも、先生が教えてくれた“このときの登場人物の感情はこうだったんじゃないか”みたいなものは絶対的にヒントになるというか。それが答えじゃなくて、それを発射台にしたらいいと思うんですよ。そこから自分はどう考えるのかとか、それを補強するために自分の人生とか日々感じていることとどう結び付けて解釈するのかとか。そういう風に考えていくと、凄くおもしろくなるんじゃないかなって思いますね。」

実用文を要約しよう
食べてはいけない!の抜粋

課題文を読んで、文章の要約にチャレンジしてみましょう!
ポイントは次の3つです。
(1)100字程度の3文にする
(2)文には主語と述語を含む
(3)2文目を“しかし”、3文目を“そのため”で始める。


課題文は服部幸應さんの『食べてはいけない!』から抜粋した文章です。

  • はるひくんとくれあさんの要約文
  • れんさんと咲桜さんの要約文

高校生の要約を見てみましょう。

はるひ「農薬にはさまざまな種類があり、いずれもイネや野菜を守るために使われる。しかし守るといっても周辺や土中に生息するものを問答無用で殺してしまう。そのため必要以上にまいた田畑は生態系がズタズタになってしまう。

くれあ「農薬はイネや野菜を、さまざまなものから守るために使われる。しかし、周りに生息する者たちを苦しめてしまうことになる。そのため農薬は毒性物質だと考えられる。

この2人の要約を比べると、はるひくんが「生態系がズタズタになってしまう」という終わりなのに対して、くれあさんは「農薬は毒性物質だと考えられる」で終わっています。

また、咲桜さんの終わりは「環境への配慮が必要だ」、れんさんの終わりは「過剰な農薬使用は止めるべきである」となっていて、よく見ると違う終わりになっていることがわかります。

本文

高校生のみなさんには、自分が書いた要約を修正してもらいます。
そのためのポイントをおさえておきましょう!

【要約のポイント1】骨格をつかむ
以前に、文章の基本の形は三段構成(序論、本論、結論)であることは学びましたね。
これに合わせて考えると、
序論の部分は農薬についての一般的な考えが書かれています。
本論の部分では、「決してそうではない」という言葉が出てくる通り、農薬に対する作者の考えが書かれています。
そして最後が結論です。

序論部分では、農薬は「守る」ために使われるという書かれ方になっているのに対し、
本論では、農薬は「殺す」ものだと間逆のことを書いています。

本文

【要約のポイント2】具体例をけずる
要約文には、具体例や固有名詞は必要ありません。
今回の場合には、農薬の種類や害虫・病気の名前はけずることができます。

【要約のポイント3】適切な表現に言いかえる
字数制限を考えながら、簡潔に言い換えます。
例えば、「害虫であろうと益虫であろうと問答無用に」という部分は「害虫・益虫の区別なく」と言いかえることができます。

  • 接続詞でつなぐ
  • スタジオ

ここまでできたら、各ブロックに残った要素を接続詞でつないで整理しましょう!
「一般的な考え」
しかし
「作者の考え」
そのため
「結論」

という流れになります。

  • れんさんの要約
  • れんさんの要約

3つのポイントを踏まえて、高校生のみなさんに要約を修正してもらいました!
一から書き直すのではなく、足りないところや削れるところを赤ペンでチェックしながら
修正していきます。

最初にれんさんです。
れん「多種多様な農薬は植物を守り、病気を防ぐものだ。しかし、それは害虫であろうと益虫であろうと問答無用に殺す毒性物質である。そのため、農薬を必要以上にまいた田畑は生態系が破壊されてしまう。

れんさんの最初の要約(以下)と比べてみましょう。
「多種多様な農薬は植物を防ぐものだ。しかし、使い方により、それは利益までも殺す毒性物質に成り得て、また虫や草に限らず人にも危害を及ぼす。そのため、過剰な農薬使用は止めるべきである。」

「自分なりの、筆者がこう言いたいのかなっていう解釈とか、読んだ自分の感想みたいな感じで自分の意見を書いていた」と振り返ったれんさん。
文章に書かれてあることしか書かないということに気をつけて、具体例をけずって仕上げました。

  • 咲桜の要約
  • 咲桜の要約

同じく、咲桜さんも自分の意見を削りました。
咲桜「さまざまな種類の農薬がある。しかし農薬は問答無用に植物を殺してしまい、人への危害を与える毒性物質である。そのため農薬を必要以上にまくと生態系はくずれてしまう。
字数が少し足りないので、出だしの部分を
さまざまな種類の農薬があり、それは農作物の害を防ぐことができる。しかし農薬は…
というようにして要素を増やしてもいいですね。

  • くれあさんの要約
  • くれあさんの要約

次に、くれあさんの要約です。
くれあ「農薬はイネや野菜を守るために使われる。しかし、農薬は毒性物質だと考えられる。そのため、周りに生息する者たちを苦しめてしまうことになる。

くれあさんは、最初の要約から2番目と3番目のブロックを入れ替えました。
農薬の話をまとめ、最後に生態系の話をもってくることで、課題文と同じ流れになりました。

  • はるひくんの要約
  • はるひくんの要約

最後に、はるひくんの要約です。
はるひ「農薬はさまざまな種類があり、いずれもイネや野菜を守るために使われる。しかし守るといっても周辺や土中に生息するものを問答無用で殺してしまう。そのため必要以上に農薬をまいた田畑は生態系が壊れてしまう。

最初の要約では出だしの文の主語が「農薬には…」となっていましたが、「農薬は…」と変更しました。
これが最初の要約で抜けていた2文目の

  • 逆接の接続詞
  • 述語をチェック

今回の文章ではハッキリとはでてきていませんでしたが、逆接の接続詞(しかし、ところが、だが、けれども)に注意することが、要約の際のポイントです。
「一般的な考え」と「作者の考え」の間に逆説の接続詞が出てくる展開が多くあります。

もう一つのポイントは述語をチェックすることです。
「。(句点)」の前に注目して、「〜と考えられる」や「〜ではないだろうか」で終わっていれば、筆者の考えである可能性が高いことがわかります。

  • 次回もお楽しみに〜!

今回学んだ文章の修正は、
最初に書いた文章が間違いなのではなく、よりよくするためのステップなので、いきなり頭の中できれいな要約文を作るのではなく、とにかく一度書いてみてください。
それを自分で直せるようになれば、どんな文章も怖くなくなります。
練習あるのみ!です。

それでは次回もお楽しみに!

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