NHK高校講座

家庭総合

Eテレ 毎週 木曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2020年度の新作です。

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今回の学習

第36回 住生活

安全で健康に暮らすには?

  • 監修:兵庫教育大学教授 永田 智子
学習ポイント学習ポイント

安全で健康に暮らすには?

今回のテーマは 「安全で健康に暮らすには?」
  • 英
  • 阪神・淡路大震災における犠牲者の死因

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!
今回も住まい・住生活について、現役高校生の英さん(高1)と一緒に話していきます。

りゅうちぇる 「1995年に発生した阪神・淡路大震災での、神戸市内の犠牲者の内訳を表したグラフを見てみると、8割以上が建物の倒壊などによる死亡なんですね。火災による焼死も多いんですけれども、いずれも家の中にいて被害にあってしまったんです。」

英 「家って、帰ったらもう安心できる、安全だって信じているような場所。(家で)被害にあうというのは、怖いなって思います。災害って、いつくるかわからないから、備えていることが、本当に大切だなと思います。」

りゅうちぇる 「そうなんだよね。英ちゃんの言ったように、(災害は)いつくるかわからないんですよね。自然災害はしっかりとした備えを、ふだんから意識しておくことが大事なんだよね。」

今回のテーマは「安全で健康に暮らすには?」
家の中の災害対策のことについて、話していきましょう!

3つのポイントは「災害に備えた住まいの工夫」「室内を安全にする!」「健康に暮らすためには?」
安全で快適な住生活を送るためには、いったいどんなことに気をつけたらよいのでしょうか?

災害に備えた住まいの工夫
建築基準法の改正

これまでに大きな地震を経験してきた日本では、建物の建築基準の見直しが進んできました。
1950年に決められた「旧耐震基準」は、「震度5程度の地震で建物が倒壊しないこと」が基準でしたが、
1981年に改正された「新耐震基準」では、「震度6強の大規模地震で倒壊しない」とされました。
さらに、2000年にも改正されて、地盤調査などが事実上、義務化されました。

英 「1995年に起きた阪神・淡路大震災では、1981年に建築基準法が改正されたのに、多くの建物が倒壊して犠牲者が出てしまったんですよね?」

りゅうちぇる 「その通りなんです。実は、阪神・淡路大震災で倒壊した住居の多くは、耐震基準が改正される1981年よりも前につくられた建物だったんです。」

英 「いまも、それよりも古い建物が、木造建築とかで多くありそうな気がします。」

りゅうちぇる 「うん…。いま、地震などの自然災害対策は安全に暮らしていくために必要不可欠なんだけど、実際、どういった工夫がされているのか見てみましょう!」

  • 木造集合住宅
  • CLT

石川県にある「木造集合住宅」です。
一見、特に変わったところはないみたいですが、実はこの住宅には「CLT」(CROSS LAMINATED TIMBER)と呼ばれる特殊な方法で製造された建材が使用されています。
木の繊維方向が直角に交わるように板を積み重ねて接着した大型パネルが、「CLT」建材。
鉄やコンクリートよりも軽い上に、強度や断熱性にもすぐれています。

  • CLT耐震実験
  • イギリスのCLT住宅

震度6強を再現した実験では、「CLT」を使った木造5階建ての建物はほとんど無傷。耐震性にもすぐれています。

ヨーロッパなどではすでに「CLT」が高層建築などにも使用されています。

  • 1000トンの水を使って再現
  • 耐水性住宅

ほかにも、台風や豪雨に伴う洪水など、水害に備えるための対策が施された住宅も登場しています。

茨城県にある施設で行われたのは、“住宅を水に浮かせて守る”という大がかりな実験です。
「一般的な住宅」と「耐水害住宅」を建築し、1000トンもの水を使って洪水被害を再現しました。
水害に見舞われたら、「耐水害住宅」は家の敷地内に設置したポールに住宅をつなぎ止め、水に浮かせて水害から家を守ろうとするしくみです。

  • 一般住宅との比較
  • 家を浮かせる

ドアや窓のサッシなどにも特殊な加工が施されているため、(耐水害住宅は)一般住宅と比べ室内に水が浸入することなく安全が保たれます。
こうした水害に強い住宅をはじめ、自然災害に備えた家づくりに期待が寄せられています。

りゅうちぇる 「(家を)“水に浮かせる”っていうのは 僕もびっくりして、『お家をお船にしちゃおう』みたいなのがすばらしいなぁって。そういう発想が人々を救う、ひとつの行程になっていくんだなって感動したんですけれども、英ちゃん、どうだった?」

英 「CLTとか全然、知らなかったですけど、そういう新しい技術があることによって、自分の家がどんどん安心できる場所になっていくっていうのは、重要だなって。ただ、やっぱり私の家もそうですけど、あれだけ最新の技術が備わるっていうのは、意外と大変なんじゃないかなって思います。」

  • 耐震診断
  • 木造住宅耐震改修補助制度

りゅうちぇる 「確かに。すでに建設されている住居や建物については、耐震診断を受けて、建物が地震に耐えられるのかどうかをきちんと調べて、もし地震に耐えられないと診断された場合には、耐震補強対策をとる必要があります。」

英 「でも補強対策ってなると、お金がだいぶかかってきそうですよね。」

「耐震診断」や「耐震補強対策」というと、高額な費用がかかると思うかも!?
でも実は、国や自治体などが支援する「木造住宅耐震改修補助制度」があります。
制度の対象となるのは、1981年以前の旧耐震基準の建物です。
「耐震診断」の結果によっては、工事費の補助金が出る場合があります。

  • 被災者生活再建支援制度
  • 制度に支えられる

また、自然災害で住宅が全壊するなど被害を受けた世帯にも「被災者生活再建支援制度」により、支援金が給付される場合があります。

英 「復興ってすごい大変じゃないですか。だけど、(被災した人の)心が、そういう制度とかに支えられて、前に進むきっかけになれるかもしれないなって思いました。」

りゅうちぇる 「そうだよね。一番つらいときだと思うんだよね。自分の家が流されてしまったとか(そういう被害にあったときに)、英ちゃんが言ったように心のケアにもつながるから、そういう制度があることは把握して、『どんなところでも安全に暮らすためには災害に備えた住まいにしよう!』と意識することが大切なんですよね。」

室内を安全にする!
  • 永田先生
  • 被災した部屋

りゅうちぇる 「自然災害への対策は、家そのもの(建物)だけとは限りません。家の中で過ごしているときにもし地震が起こったら、慌ててしまって『どうしよう…』ってパニックになるかもしれないもんね!?」

英 「地震は必ずしも明るいとき(に起きるだけ)じゃなくて、暗かったり 真夜中に起こったりもするので…、暗いとすごい不安になりそうですよね。」

りゅうちぇる 「そうだよね。だから、いざというときパニックにならないように、室内も安全にしておくことが大事なんです。」

ここからは、番組の監修を担当する、兵庫教育大学教授 永田 智子先生と考えていきましょう!

りゅうちぇる 「永田先生は、阪神・淡路大震災で被災された経験があるんですよね?」

永田先生 「はい。あの当時、私は大学院生だったんですけれども、大阪で木造アパートにひとりで暮らしていたんです。(1995年)1月17日の朝に地震が起こったんですけれども、部屋の食器棚が倒れてしまいました。たまたま私は徹夜で論文を書いていたので、食器棚が当たったりすることはなかったけれども、もし布団を敷いて寝ていたら、食器棚が寝ているところに落ちてきたんじゃないかなと思っています。」

りゅうちぇる 「なるほど。『この家は耐震もしっかりしているから大丈夫だ』といっても、やっぱり『室内の備え』も大事ですよね。実際に、家の中で身を守るための防災対策についてチェックしていきましょう!」

いつ発生するかわからない地震。
建物に被害はなくても、家の中には危険がいっぱいです。
突然の地震で慌てないよう、家の中の防災対策もしておきましょう!

  • 家具の固定
  • ガラス飛散防止フィルム

まずは、「家具・家電の固定」です。
災害が発生した時、安全に確実に避難するためには家具(・家電)の固定は重要な対策のひとつです。
金具などを使い、家具を柱や壁の丈夫な部分にしっかりと固定しましょう。
重い物は高いところには置かない
こと。
さらに、粘着シートなどでずれ動かないように固定しましょう。

窓ガラスや食器棚には「ガラス飛散防止フィルム」を貼っておくと、万が一、割れたときも安心です。

  • 開閉防止器具
  • 寝室に靴

また、戸棚の扉に「開閉防止器具」を取り付けるのも、おすすめです。

真夜中に地震が起きても大丈夫なように、備えておきましょう。
とっさに行動できるよう、準備しておくことが肝心です。
寝ている枕元や玄関など、すぐに使える場所に懐中電灯などを用意しておいたら安心です。
さらに、寝室に靴やスリッパを備えておけば、ガラスや壁の破片を直接、踏むことなく、避難することができます。

  • 通電火災
  • プラグをぬく

地震の発生時には、火災にも気をつけなければなりません。
地震の揺れが収まったら、まずは「火の始末を確認」しましょう。

停電したあと、電気が復旧したときに、倒れた電気器具などが原因で発生する「通電火災」
大地震のときは、「ブレーカーを落としコンセントからプラグを抜いて避難」すれば、通電火災を予防できます。

英 「(地震が)起きて火を消すところまではすると思うんですけど、ブレーカーを落としたり プラグを抜いたりするのは、(いざというとき)そこまで頭が回らないんじゃないかなって思うので、しっかり心の準備をしておきたいなって思います。」

りゅうちぇる 「本当だよね。地震の二次災害で恐ろしいのは火災なんですね?」

永田先生 「そうですね。阪神・淡路大震災でも、古い木造の建物が密集していたことで、火災が起きたら延焼によって被害が広がったんですよね。いざとなったら、どういう行動をとるか、シミュレーションしてみることが大事かなと思います。」

英 「ふだんから想像するだけじゃなくて、(実際に)動いてみるのもすごくありなのかなって、先生のお話を聞いて思いました。」

永田先生 「それ、大事ですね。」

りゅうちぇる 「そうだよね。災害が起こったときに落ち着いて行動できるように、日ごろからの対策や、いざというときの心構えをしておきましょう!

健康に暮らすためには?
  • ハウスダスト
  • 部屋

りゅうちぇる 「ここからは、住まいと健康にまつわる話について考えていきますよ!英ちゃんは『ハウスダスト』って聞いたことある?」

英 「掃除をするときに ほこりが舞ったりすると『ハウスダスト・アレルギー』という言葉(を聞いたことがある)。目がかゆくなったり、くしゃみが出たり、とかはよくありますね。」

きれいに片づいているように見える部屋でも、特殊なカメラで見てみると空気中にたくさんのほこりが舞っているのがわかります。

  • ハウスダストアレルギー
  • 換気

カビやダニが生息している「ほこり」をたくさん吸い込むことで、アトピー性皮膚炎やぜんそくなど「ハウスダスト・アレルギー性疾患」を引き起こす恐れがあります。

そんな「ハウスダスト・アレルギー」に有効なのが「換気」です。

  • 扇風機を使う
  • 換気口にファン

部屋を換気する場合、2つの窓を開けると空気が入れ替わりやすくなります。
ちなみに、部屋に窓が1つしかない場合は「扇風機を使うと効果的」です。
また、閉めきった部屋の中でエアコンを使う場合、吸気口にファンをつけて回しておくと、
十分に換気することができます。


英 「私の家にも扇風機ありますし、けっこう簡単に、窓を開けるだけでも換気できるということで、定期的にちゃんと(換気)しようって思います。」

りゅうちぇる 「ほとんどのエアコンには換気の機能はないから、1時間ごとに5分から10分は窓を開けてしっかり換気をすることも大事ですよね。
永田先生、最近では新型コロナウイルスの影響もあって、部屋の換気の重要性が高まっていると思うんですけれども、それ以外にも ハウスダスト対策で気をつけたほうがいいことってあるんでしょうか?」

永田先生 「ハウスダストアレルギーの一番の原因は、ほこりに含まれているダニのフンや死がいなんですね。それは布団やカーペットにたくさんいるといわれています。なので布団を干して、部屋全体を掃除する。三日に一度は掃除機をかけることが大切になってきます。また、カビも原因のひとつで、カビ対策には『換気』が大事です。」

  • シックハウス症候群
  • 原因は化学物質

室内で起こる病気は「ハウスダストアレルギー」のほか、「シックハウス症候群」があります。
家の中の汚染された空気が原因で、めまいや吐き気、頭痛、ひどいときには意識障害を引き起こす病気です。

「シックハウス症候群」の原因は、住宅建築や家具の組み立てで使われる接着剤や塗料などに含まれる、化学物質です。

  • 化学物質を規制
  • 法令等

国は、ホルムアルデヒドなど毒性のある化学物質を建材などに使用しないように規制する対策をとっています。

英 「家でふいにめまいや吐き気が起きたとしても、(シックハウス症候群かもしれないっていうときに)どうしたらいいのか対策もわからないし、すごい不安になりますね。」

永田先生 「シックハウス症候群対策として建築基準法が改正されて、2003年以降に建てられた住宅には機械換気設備(24時間換気システム等)を取り入れるように義務化されたんです。また、化学物質が含まれた建材や塗料などは規制されています。ただしすべての化学物質に対して規制されているわけではないんです。(シックハウス症候群が)疑わしいときは病院に行って検査してもらうことが大事になります。」

りゅうちぇる 「シックハウス症候群というものをしっかり知っておく、調べておくことも大切ですよね。みなさんが安全で健康に過ごせる居心地のいい住まいにしていけるように考えていきましょうね。」

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール〜
  • 目標11
  • ネパール

「家庭総合」を学ぶとき、ぜひ知っておいてほしい持続可能な開発目標「SDGs」について考えるコーナーです。
今回は、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」について、取り上げます。

りゅうちぇる 「自然災害は日本だけでなく世界各地で発生し、大きな被害が出ているんです。ネパールでは、地震で倒壊してしまった住宅の復興を支援する取り組みが行われています。」

  • 巨大地震で住宅倒壊
  • 永見さん

南アジアの、ネパール連邦民主共和国。
2015年に巨大地震が発生し、震源地に近い地域では約50万棟の住宅が全壊する甚大な被害を受けました。

震災直後から日本の被災経験に基づいた復興支援を行う、JICAネパール事務所 職員の永見 光三さん。
開発途上国のネパールで被災した人たちに、地震に強い住宅再建を呼びかけてきました。

永見さん 「単なる元に戻す復興じゃだめなんだと、必死に訴えなくちゃいけない立場にあった。」

  • 住民に技術指導
  • 耐震住宅完工事

耐震住宅は一般的な住宅よりも建築費が多く必要となります。
そこでJICAでは耐震住宅普及のため、ネパール政府の住宅再建支援制度に資金援助を行うとともに、最も被害の大きかった地域の住民に、地震に強い住宅づくりの技術指導を実施。
住民自らが住宅再建をすることで人手不足の解消と、コストも減りました。
その結果、JICAが支援する地域の耐震住宅完工率は約9割に到達しました。
しかし、ネパール国内の被災地域の復興は道半ば。継続的な支援が求められます。

  • 日本の経験が生かされる
  • 英の感想

永田先生 「ネパールの住宅再建では、地元の人たちに寄り添った支援が求められています。復興がスムーズにいくように、日本のこれまでの災害での経験が生かされていくといいなと思っています。」

英 「これ(今回学んだこと)をこのままにせず、学びを行動に変えないと意味がないと思うので、なにか自分も行動できたら、まずもっと知れたらなって思いました。」

りゅうちぇる 「そうだよね。SDGsのかかげる“誰ひとりも取り残さない”持続可能な世界を実現するために、僕たちも一人ひとりができることはないか考えて、行動していけるようにしていきましょうね。」


それでは、次回もお楽しみに!

【第36回 「安全で健康に暮らすには?」】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第36 回ポイント1
  • 家庭総合 第36 回ポイント2
  • 家庭総合 第36 回ポイント3

1:災害に備えた住まいの工夫
地震や水害など、自然災害に備えた「住まい」の対策が必要です。

2:室内を安全にする!
いざというとき、落ち着いて行動できるよう、日ごろから心構えをしておきましょう。

3:健康に暮らすためには?
家族みんなが健康に暮らせる「住まい」をめざしましょう!

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