NHK高校講座

家庭総合

Eテレ 毎週 木曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2020年度の新作です。

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今回の学習

第22回 経済生活・環境

環境のためにできること

  • ゲスト:東京農工大学教授 高田 秀重
    監 修:お茶の水女子大学附属高等学校教諭 葭内 ありさ
学習ポイント学習ポイント

環境のためにできること

今回のテーマは 「環境のためにできること」
  • 心・ジュリアン
  • 問題

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!
今回は現役高校生の、心さん(高3)、ジュリアンさん(高2)と話していきます。

りゅうちぇる 「今日はクイズから始めたいと思います!」

問題:2050年、海洋中の『 ? 』が 魚の量を上回る

りゅうちぇる 「この『 ? 』にあてはまるものは一体、何でしょうか?」

心 「魚の死がいとか? 生態系が崩れまくって…」

ジュリアン 「僕は、人間の落し物が…」

りゅうちぇる 「人間の落し物!?」

ジュリアン 「そう。人間が海に落としちゃった物。」

  • 問題の答え
  • いやですね

りゅうちぇる 「正解は…“プラスチックごみ”なんです!」

2人 「ごみ!?いやですね。」

りゅうちぇる 「いやだよね。」

今回は「環境のためにできること」というテーマで、地球環境のために私たちができることについて考えていきましょう。
3つのポイントは、「ごみを減らすには?」「企業の取り組み」「環境に優しいアクション」です。
決して 遠い世界、遠い未来の話ではありませんよ!!

ごみを減らすには?
  • SDGsの目標14
  • 太平洋ごみベルト

海の中のプラスチックごみは、「家庭総合」を学ぶとき、ぜひ知っておいてほしい「SDGs」の17の目標の中の、目標14「海の豊かさを守ろう」の課題でもあります。
ごみを減らそうと、ある壮大なプロジェクトが始まりました。

アメリカ西海岸とハワイの間に、海流によってごみが集まりやすい海域があります。
通称、「太平洋ごみベルト」
この海域で、海のプラスチックごみを回収しようとしている人たちがいます。

  • 回収されたごみ
  • プラスチックごみが海に流出

2015年、試験的に回収したところ、国別で最も多かったのが日本のごみ。
文字が読み取れたごみの3割は日本語でした。
世界では毎年、約900万トンのプラスチックごみが海に流出。
このままだと2050年には、海の中のプラスチックの量が魚の量を上回ると予測されています。

  • ウミガメ
  • クジラの胃から出てきた袋

海の生き物に与える影響も深刻です。
ウミガメの鼻に刺さったストロー、タイの海岸に打ち上げられたクジラは大量のプラスチック製の袋を飲み込み、エサを捕ることができなくなって死んだと見られています。

  • 東京湾のカタクチイワシ
  • マイクロプラスチック

日本でも20年ほど前から、海洋プラスチックごみを調査している研究者がいます。
東京農工大学 高田 秀重 教授らが、東京湾のカタクチイワシの分析を行った結果、64匹のうち49匹の内臓から小さなプラスチックの破片が見つかりました。
海に漂うプラスチックは、波の力や紫外線の影響で細かく砕け、5mm以下の「マイクロプラスチック」となります。

  • マイクロプラスチックを魚が食べる
  • 食物連鎖

高田教授が特に懸念しているのは、このマイクロプラスチックによる汚染です。
石油からできているマイクロプラスチックは、油に溶けやすい有害物質が付きやすい性質を持っています。
魚などがエサと間違えて食べると、その有害物質を体内に取り込むことになります。
食物連鎖の過程でこれが繰り返されると、有害物質の濃度が高くなり、それを食べた人間にも影響が出る恐れがあるのです。

ジュリアン 「日本のごみが一番多いって聞いたときは、僕がすごいショックでした。恥ずかしいっていう思いもあるし。」

りゅうちぇる 「(海洋プラスチックごみの問題は)日本だけではなくて、地球に悪いんだということを意識していかないといけないなって思いました。」

  • 高田先生
  • マイクロプラスチックが浮いた水

ここからは海洋のプラスチックごみについて調査研究をしている、東京農工大学 教授 高田 秀重さんと一緒に考えていきます。

高田先生 「これは、東京湾 お台場の(砂浜から採取してきた)砂です。」

一見、普通の砂のように見えますが、水を入れてかき混ぜると…

りゅうちぇる 「砂じゃないものが浮いてきてる!わあ、すごい多い!」

水色や白など、たくさんのマイクロプラスチックが、砂の中から浮いてきました。

高田先生 「レジ袋1枚で数千個のマイクロプラスチックができてしまうので、レジ袋1枚拾うことの方が、非常に意味があるんですね。こう(マイクロプラスチックに)なっちゃたらもう、拾えない。」

ジュリアン 「もしも、マイクロプラスチックを持っている魚を食べたら、どれくらい危いのですか?」

高田先生 「海外の研究では、人の排泄物(便)の中からマイクロプラスチックが見つかっている。やがて出ていってしまうものだから、今すぐこれで何か体の調子が悪くなるわけではないんですけど、非常に長期間そういうもの(マイクロプラスチック)にさらされると、ガンになるかもしれないし、あるいは生殖機能が低下するかもしれない。」

  • プラスチックでできたもの
  • 不織布マスク

いろいろなプラスチック製品に囲まれて暮らしている私たち。
なかには知らないで使っているものもあります。

ジュリアン 「(不織布)マスクは、紙だと思っていました。」

心 「制服は布だと思っていました。」

高田先生 「いや、布なんです。布なんですけど、細く伸ばして繊維状にしたプラスチックが、その布(合成繊維)なんですね。」

このようにプラスチックは、軽い・安い・清潔・加工しやすいなど、さまざまなメリットがあるので、いろいろなものに使われています。
しかし、世界ではプラスチックごみを減らす取り組みが、すでに始まっています。

  • フランスではレジ袋禁止
  • EUでは使い捨てプラスチック禁止

世界に先駆けて取り組みを始めたフランスは、2016年から、小売業では再利用できない使い捨てのレジ袋が禁止されています。
EUは2021年から、ストローや食器などの使い捨てプラスチックの使用を禁止する法案を可決。

  • インドモディ首相
  • 牛がプラスチックを食べたら大問題

アジアでも規制が始まっています。
インドは、2022年までにすべての使い捨てプラスチック製品を禁止すると宣言。

インド モディ首相 「世界も使い捨てプラスチックに別れを告げる時が来ている。」

大都市ムンバイのあるマハラシュトラ州では、2018年からいち早く、レジ袋や使い捨てプラスチックの食器、小さいペットボトルなどの使用や製造が禁止されました。

(インド市民) 「神聖な牛がプラスチックを食べたら大問題です。プラスチックが禁止されてよかったです。」

ジュリアン 「やっぱり、世界に比べて日本はちょっと対応が遅れているのかなって思いました。」

りゅうちぇる 「そうだよね。フランスはプラスチックを使うことを“禁止”とまでいっているわけだから。その中で日本は(2020年7月)レジ袋を“有料化”だからね。」

ごみを減らすための4つのアクション

私たちがいますぐできる、ごみを減らすための4つのアクション!

1.「Reduce:リデュース」 使わないで減らすこと
2.「Refuse:リフューズ」 不要なものを拒否してごみを減らすこと
3.「Reuse:リユース」 捨てずに繰り返し使うこと
4.「Recycle:リサイクル」 資源を再利用して新たな製品を作ること

これらのアクションをまとめて、「4R(フォーアール)」といいます。
ふだんから、ごみを減らすために心がけているアクションはありますか!?

心 「ペットボトルのごみを分別しています、最近は。ペットボトル・ラベル・キャップで分けないといけないってなって。(以前は)『なんでこんなことやらないといけないの?』と思いながら(分別)してたんですけど、今は当たり前に(分別)できるようになりました。」

  • 日本のプラスティックごみのリサイクル率は
  • 答えは25%

りゅうちぇる 「日本はごみの分別がしっかりできている印象があって、“リサイクル”もよく聞く言葉だから、日本は世界の中でもしっかり(リサイクルが)できていると思うんですけど、どうなんですか?」

高田先生 「どれくらい(プラスチックごみの)リサイクル、されていると思いますか?」

心 「90%以上は(リサイクル)できていてほしい。」

りゅうちぇる 「僕もできていてほしい。ジュリアンくんも(同じ意見)だよね!(リサイクル率)100%いってよ〜!、と思うところなんですけど…」

高田先生 「答えは25%です。分けたり洗ったりしても、いろんな種類のプラスチックが混ざっている場合があって、そういうものは(リサイクルされずに)結局、燃やされてしまうということになります。」

  • 分別する意味はあるのか
  • 率を増やすことが大事

りゅうちぇる 「僕たちって、ちゃんと分別している意味はあるんですかね?」

高田先生 「(リサイクルが)25%でも、それはまだ(分別する意味は)あると思います。もっとみんなが(プラスティックごみを)洗ったり、分けたりして、この25%を増やしていくことは大事だと思いますね。」

  • 57%は熱回収
  • 焼却炉の値段

リサイクルされないプラスチックは、8%が埋め立て処理、そして67%が焼却されています。
焼却処分された内訳を見ると、10%が単純に燃やされ、残り57%は燃やす時に発生する熱エネルギーを発電に使うなど、有効活用しています。
これを「熱回収」といいます。

しかし熱回収は、国際的にリサイクルと認められていません。
プラスチックなど石油からできているものを燃やすと、二酸化炭素が発生するとともに、プラスチックとして再利用することもできないからです。

りゅうちぇる 「熱回収していて、それがしっかりエネルギーになって役立っているのなら、それもリサイクルなのかと思ったんだけど、リサイクルそのものの意味にはなっていないのですね。」

高田先生 「そうですね。そのうえ、低い温度でプラスチックを燃やしてしまうと、いろんな有害なものが発生します。なので、高い温度でプラスチックを含むごみを燃やしてやらなければいけません。ですが、それが非常に高いんです。40万人の都市のごみを燃やすのに必要な焼却炉を作るのに、およそ100億円かかるんです。」

りゅうちぇる 「えっ!100億円!?」

高田先生 「しかも寿命が短いんですね、30年ぐらい。だから30年ごとに40万人で100億円ずつ出し続けるということをしなければいけません。果たして、これが持続的なやり方なのかというのは、よく考えてもらいたいと思います。」

企業の取り組み
  • プラスチックストローの廃止
  • 容器をリサイクル素材に

課題が山積みのプラスチックごみですが、製品を作る企業側にも大きな責任が課せられています。
ごみを減らそうと企業も動き始めています。

世界最大手のコーヒーチェーンは、2020年までに日本を含め全世界の店舗でプラスチックストローを廃止することを決定。
ハンバーガーチェーンでは、2025年までに、容器や包装をリサイクル素材などにすると発表。

  • プラスチック代わりとなる紙を開発
  • ごみを減らす努力をしている企業を応援したい

日本の製紙会社は、ポテトチップスなどの袋に使われているプラスチックの代わりとなる紙を開発しました。
特殊な加工で空気や湿気が通りにくくなるように工夫されています。
今後、プラスチックの代わりになる紙の開発を重点的に進める予定です。

ジュリアン 「やっぱり、ごみを減らす努力をしている企業を応援したり、投資したいなと思いました。

  • 直接飲む
  • タピオカ飲みづらい

心 「『プラスチックをなくしていこう』というのを企業側がやってくれると、私たちも日常生活の中で『あ、気を付けないとな』と思うことができるので、いいとは思うんですけど…実際に紙ストロー使ってみると、ほんとに吸いづらいんですよ、タピオカが。」

りゅうちぇる 「ふたを取ってガーって(直接、飲む)しかないよね、環境のことを考えるとね。使い捨ての時代は、もう終わりなんだよね。」

環境に優しいアクション
  • 鹿児島県大崎町
  • 森岡さん

ここからは、私たちが明日からできることはないのか、考えていきましょう。
世界各地から視察が訪れるほど、ごみを減らすことに成功している町があります。

人口1万3千人ほどの鹿児島県大崎町の、ごみのリサイクル率は83.1%!
なんと全国平均の4倍です。

リサイクル率が高い理由を探るため、森岡さん一家を訪ねました。
ちょうど夕食のカレーを作っているところでした。
鶏肉のトレイを洗って、(鶏肉を包んでいた)ラップや、カレーのルーの容器も洗います!

  • 27種類に分別
  • 小さい頃からやっていた

この町では、ごみは27種類に分けるのが決まり。
ビンは4種類、紙は8種類に分別しなくてはなりません。
ごみの分別、面倒だな〜と思うこと、ありませんか!?

森岡 光彩さん 「小さいときから、そう(ごみの分別を)やってきたから、普通です。」

  • 牛乳にストローはついていない
  • 牛乳パックは再生紙にリサイクル

町の小学校の給食の時間にお邪魔すると・・・給食の牛乳パックにストローはついていません。大崎町の子どもたちは、ストローを使って飲んだことがないのだとか!
牛乳パックは洗って乾かして、再生紙にリサイクルされます。

大崎町がごみのリサイクルに力を入れる理由は、ごみ処分場の問題です。
以前はすべてのごみを埋めていました。
しかしそれでは、あと5年で満杯になってしまう…。
第二の処分場や焼却炉を作るのには、何十億というお金が必要です。

  • 分別によるごみのリサイクルを決断
  • リサイクルごみ

そこで1988年、町は徹底した分別によるごみのリサイクルを決断。
町内に300か所ある収集所では、自治会の衛生委員がごみの分別を手伝います。

資源ごみは町の「リサイクルセンター」に運ばれ、圧縮・梱包されてリサイクル業者に売却。
分別や洗浄具合によって、資源ごみにはランクがつきます。
大崎町のごみはすべてAランク、高く買い取られています。
町民が徹底した分別を行っている証です。
町民の意識が変わったことで、ごみが減り、埋め立て処分場は今後40年使えることになりました。

心 「実際に子どもの時から(ごみの分別を)やっていると(分別が)当たり前になるし、小さい頃からやることって大切なんだなって思いました。」

りゅうちぇる 「慣れが大事になってくるもんね。」

SDGsの関係性

上の図は、SDGsの17の目標の関係性をウェディングケーキで説明したものです。
ケーキの土台となるのは、「環境」に関連する4つの目標になります。
「環境」が整ってこそ、持続可能な社会や、持続的な経済発展が可能となるのです。

  • 心の感想
  • ジュリアンの感想

りゅうちぇる 「2人は、今日はどうだったかな?」

心 「SDGs、SDGsというけど、環境の基盤がないと何もできないんだなと思ったので、私も『ちょっといいや』って2円3円払ってビニール袋を買うのではなくて、エコバッグを持ったり、紙ストロー(を使うの)に耐えたり、日ごろからちょっとずつできることをしていこうかなと思いました。」

ジュリアン 「マイクロプラスチックが衝撃的だったんですけど、自分が使ったものはきれいに洗って、リサイクルできるように、僕は絶対にします。」

  • 将来の世代から大地を借りている
  • りゅうちぇるの感想

高田先生 「アメリカの先住民の言葉に『我々、人というのは、将来の世代(子孫)から大地を借りて生きている』という言葉があります。みんなも人からものを借りたら、きれいにして返しますよね。それと同じで、この地球をきれいな状態でみなさんに引き継ぎたいし、みなさんも将来の世代に、この地球を(きれいな状態で)引き継いでもらいたいと思います。」

りゅうちぇる 「すごく言葉が心に響きました。大きな地球の環境という、何物にも譲れない財産をしっかり引き継いでいくことがとにかく大事だし、一人ひとりの小さな行動がどんどん大きくなっていくイメージで生活していくことは、大事かなって思いました。」


それでは次回もお楽しみに!

【第22回 環境のためにできること】3ポイント まとめ
  •  家庭総合 第22回 ポイント1
  •  家庭総合 第22回 ポイント2
  •  家庭総合 第22回 ポイント3

1:ごみを減らすには?
世界ではプラスチックを減らす取り組みが広がっています。

2:企業の取り組み
消費者として、環境に配慮した製品を作る企業を応援しましょう。

3:環境に優しいアクション
地球環境を守るためには、一人ひとりの行動が大切です。

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