NHK高校講座

家庭総合

Eテレ 毎週 木曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2020年度の新作です。

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今回の学習

第17回 特別

災害に備える

  • 災害危機管理アドバイザー:和田 隆昌
    監修:兵庫教育大学教授 永田 智子
学習ポイント学習ポイント

災害に備える

今回のテーマは「災害に備える」
  • 絢音
  • さとし

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

2020年も、各地で豪雨による水害や土砂災害、そして地震など、いろいろな災害に見舞われています。
いつ襲ってくるかわからない災害に対して、どのように準備すればよいのか、とても大切なことです。

今回のテーマ「災害に備える」を、現役高校生の絢音さん(高1)、さとしさん(高3)と一緒に考えていきます。


りゅうちぇる 「災害を伝えるニュースなどで使われる『ライフライン』という言葉があるんだけど、高校生の2人は何のことだかわかる?」 

絢音 「生活の線みたいな?そのまんま…」

りゅうちぇる 「もうそのまんまだね。『ライフ』『ライン』でね。」

さとし 「生きていくのに最低限必要なラインなのかな…?」

  • ライフライン

りゅうちぇる 「ライフラインとは、電気・ガス・上下水道・電話・交通・通信など、『人々の生活を支えるシステム』のことなんですね。災害でライフラインが止まってしまったとき、どんな準備をしておけばいいのか?一緒に考えていきましょう!」

3つのポイントは、「災害時の生活課題とは?」「家族での避難生活に備えよう」「家族に合わせた備えとは?」です。
いつ起こるかわからない災害に対して、どんな備えが必要なのでしょうか!?

災害時の生活課題とは?
  • 自助・共助・公助
  • 自助

災害でライフラインが止まってしまうと、わたしたちの生活にはいろいろ不便なことが出てきます。

みなさんは「自助・共助・公助」を覚えていますか?
※家庭総合 第15回「支え合って生きていこう」でも「自助・共助・公助」を取り上げています。
実は災害の時にも、この3つはとても重要なのです。

自助は、災害が発生したとき、自分や家族の身の安全を自分たちで守ることです。

  • 共助
  • 地域の人たちと協力

共助は、地域の人たちと協力して助け合うことです。
いざというときにスムーズに活動できるよう、備えておくことが大切です。
たとえば、地域での防災訓練の実施や、帰宅困難者対策などがあります。

  • 公助
  • 避難所

公助は、国や自治体、そして消防・警察・自衛隊など公的機関による支援です。
たとえば、災害情報の周知、避難所の開設、避難所への水や食料の提供、災害の復旧・復興に関する対応などです。


絢音 「災害は自分だけじゃなくて、まわりのこと、『共助』も大切になってくるというのがわかりました。」

りゅうちぇる 「『自助』と『公助』が災害の時には大切なのかなって思いきや、地域の人たちでしっかり『共助』でつながっている、協力することが大切になってくるってすごく感じるよね。」

自助・共助・公助は、どれもとても大切なことですが、今回は「自助・自分や家族の身は自分たちで守る」ということについて考えていきます。

家族での避難生活に備えよう
  • 八木さんファミリー
  • 和田さん

家での避難に備えるためには、実際、どんなものをどんな風に備えていけばいいのでしょうか?
あるご家族の様子を見せてもらいました。

八木さんファミリーは、共働きのご夫婦 八木 道徳さん・浩子さんと、小6の由飛さんの3人家族です。
八木家では、どのような備えをしているのでしょうか。
チェックするのは、災害危機管理アドバイザーの和田 隆昌さん。
自然災害の現場で取材した豊富な知識を生かし、アドバイスをしてくれる防災の専門家です。

  • 備蓄品のポイント
  • 目につきやすい場所へ

ライフラインが止まった時に備え、備蓄品は1週間分、用意しておくと安心です。
家での備えについて、3つのポイントでみていきましょう!

(1) 備蓄品の置き場所

八木家では、ハシゴをのぼったロフト部分に食料品の一部を、さらにキッチンやダイニングテーブルの下など、いろいろな場所に分けて備蓄しています。
備蓄品を、あちこち分けて置くのは大丈夫なのでしょうか?

和田さん 「(備蓄品の置き場所は)すぐ目につくところの方がいいんです。見えるところですぐ開けて(取り出せる)。(ロフト部分は、ロフトに上がるための)この階段が壊れちゃったらアウトですよ。ゆがんだりしたらロックして、もしかしたら入れない可能性もあるから。」

八木さん 「たしかに!」

なるべく目に付きやすい場所に置くこと。
階段などを使わずに行けるところがベストです。
また、中に何が入っているか、わかるようにしましょう。

  • 何日分想定してる
  • ローリングストック

(2) 食料と水の備蓄

和田さん 「ご家族で、何日分ぐらい想定して用意されていますか?」

浩子さん 「4日分くらいを想定していました。」

和田さん 「備蓄の食料と冷蔵庫に入っているもの、組み合わせて、1週間分くらいはあったほうがいいかなって思います。」

八木家では、備蓄の量が少なめで、冷蔵庫にもあまり野菜や食料が入っていませんでした。
3人で1週間を過ごすには足りません。
野菜などは、災害時には手に入りづらくなるので、日ごろから多めにストックしましょう。
また、野菜ジュースやトマトの缶詰めなどを備蓄するのもおすすめだと和田さんはいいます。

浩子さん 「賞味期限は意外に早い、カップ麺などは特に早いので、週末に食べたら買い足すという形をとっています。」

八木さんが実践しているのは「ローリングストック」という方法です。
日常的に非常食を食べ、食べたらその分を買い足しておけば、常に新しい食料を備蓄することができます。

  • 水の備蓄
  • ペットボトルで凍らせる

次に「水」です。八木家では24リットル備えていました。
飲料水は成人で1日3リットルを目安に備蓄するのがポイントです。
3人家族で24リットルだと、約3日分。1週間分の備蓄には足りません。

和田さん 「冷蔵庫の中に飲み物があれば、プラスすると1週間ぐらいはギリギリ過ごせるかなと思います。」

ここで和田さんからアドバイス!
ペットボトルの水を冷凍庫で凍らせて備蓄すれば、保冷剤にもなり、便利です。

  • 非常用トイレ
  • 感染対策グッズ

(3) そのほかの備蓄品

八木家ではどんなものを揃えているのでしょうか?
ラップやアルミホイル、保存袋・ガムテープ・ろうそく・電池・懐中電灯・ランタン・ラジオなどが備蓄されていました。

和田さん 「非常用のトイレは用意されていますか?」

浩子さん 「(用意)していないです。」

災害で配水管が壊れ、水が流せなくなった場合に必要な、非常用トイレも用意しておきましょう。
さらに感染症予防のための、マスクや消毒液なども、忘れずに準備しておきましょう。

  • 八木さんの感想
  • 浩子さんの感想

八木さん 「しっかりと自分たちでは備蓄も、避難に対する備えもできていると思っていたんですけど、まだまだこういう部分が足りないんだなと、たくさん今日おうかがいできたので、非常に参考になった。」

浩子さん 「水なども十分かなと思っていたんですけれど、(1週間の備蓄品としては)全然、足りないんだな、もう今すぐにでも買いに行きたい!という思いになりました。」

  • 食器にラップをかぶせる
  • アルミホイルを食器代わりに

ここからは、防災の専門家、和田 隆昌さんと一緒に考えていきます。

絢音 「ラップやアルミホイル、保存袋ってどんなときに使うんですか?」

和田さん 「水が自由に使えなくなる時に、ラップは食器にかぶせて、使った後そのまま(ラップを)捨てればいい。そうすると水の節約になりますよね。アルミホイルも食器として使ったり、調理器具としても使えますし、あとは保温にも使えるんですね。(アルミホイルは)いろいろ使い勝手があるので、あると便利ですね。」

  • 保存袋で洗濯
  • 水の備蓄方法

そして、保存袋は洗濯にも使えます。
袋の中に洗濯物を入れ、少量の洗剤と水を入れて手でもみ洗いします。
すすぎは何度か水を替えて行えばOKです!

家では飲料水のほかにも、洗濯や掃除、風呂などに使う生活用水として、3人家族の場合40リットルほどの水を、タンクやペットボトルを使って備蓄しておくようにしましょう。

  • 現金
  • 防災セット

りゅうちぇる 「和田さん、ほかにも何か災害に備えて用意しておくといいものってあるんですか?」

和田さん 「キャッシュ(現金)ですよね。現金がないと、ATMでおろせなくなってしまう。ある程度の硬貨を含めた、現金を用意しておいた方がいいですよね。」

りゅうちぇる 「そうですよね。ここまで家で備える場合を中心にみてきました。でも、実際に災害があったら、避難所への避難することも考えておかないとダメですよね。その場合、どんな用意をしたらいいのか?」

市販されている防災セットを見てみると、リュックの中に、水・ラジオ備蓄用の缶入りパン・絆創膏などの救急用品・防寒用品などが入っていました。

りゅうちぇる 「(防災グッズが)これだけあれば、避難所生活には十分な気がするけど、ほかにも用意しておくべきものはありますか?」

和田さん 「常備薬とか、薬が必要な人がいると思います。避難所は、なかなか寝られないんですよ。人がいっぱいいますんでね。だから耳栓とかアイマスクとか、あとは感染症の予防グッズ、こういったものが必要になってきますよね。

絢音 「(防災グッズのなかの)食料が少ないんですけど、避難所にもっていかなくてもいいんですか?」

  • 避難所で用意されているもの
  • 防災セットの置き場所

和田さん 「こういったもの(水や食料、毛布など)が避難所には用意されているんですね。」

避難所には、生活に最低限必要なものはあるので、食料は自分で持ち込まなくても大丈夫です。
もし大量に食料を持ち込んだりすると、トラブルになる場合もあるので気をつけましょう。

さとし 「避難所に行く際の防災グッズなどは、家のどこに置いておけばいいんでしょうか?」

和田さん 「避難するとき必ず玄関を通りますよね。だから玄関の近くですね。いざという時、どこに置いたかわからなくなったりするので、すぐに取り出せるようなところに置くのが大事ですよね。」

家族に合わせた備えとは?
  • 大垣桜高校
  • 防災頭巾

いざというときのために、家族に合わせてどんな備えをしたらいいのでしょうか?
防災活動に力を入れている、ある高校の取り組みをみてみましょう!

岐阜県立大垣桜高校は、家庭と福祉に関する専門高校です。

家庭科教師 郷 絵美さん 「大垣桜高校ではオリジナルの防災頭巾を作って、広く地域にも発信しています。」

学校オリジナルの防災頭巾は、折りたたむとバッグとしても使うことができます。
さらに、持ち手のひもは取り外しができ、ひもとして使ったり、暑いときには水にぬらして首に巻くと、体を冷やしたりすることもできます。

  • ホームプロジェクト
  • 清水さん

大垣桜高校は、「ホームプロジェクト」にも力を入れています。
ホームプロジェクトとは、家庭科で学んだことを自分の生活に生かし、問題解決能力と実践的な態度を育てるための学習です。

大垣桜高校の卒業生、清水 紗花さんは高校2年生の時、防災をテーマにしたホームプロジェクトに取り組みました。
2008年9月、記録的な大雨に見舞われた東海地方。岐阜県内でも、浸水被害や土砂災害が発生しました。

  • 清水さん宅
  • 和子さん

当時、小1だった清水さんの家も、大きな被害を受けました。
祖母の和子さんは、当時住んでいたところにいまも暮らしています。
清水さんはまた豪雨に見舞われた場合、どうすれば祖母が安全に避難できるか考えました。

  • ハザードマップポータルサイト
  • ハザードマップ

まずは、市町村が出している「ハザードマップ」を見てみることにしました
ハザードマップとは、地域の災害による危険性をあらわした地図です。
清水さんがチェックした地図では、水害の被害が予想される場所を赤や黄色で色分けしていました。
この地図をもとに、避難するルートをチェックします。

  • 安全安心マップ
  • 避難ルート

過去の水害を教訓に、祖母のための「安全安心マップ」を作ることにしました。
近くの大谷川は、氾濫する恐れがあるとともに、山が近いので土砂災害の危険がある。
水位があがると、川と道路の境目がわかりにくくなる危険な場所。
ほかにも目印になるコンビニや避難所が開設される学校の写真も、地図に入れました。
そして、祖母のために、最短で安全な避難ルートも考えました。

  • 和子さんの感想
  • 写真を添えると見やすい

りゅうちぇる 「清水さんのおばあさんは『自分や地域の年寄りのために、災害時に身を守ることを真剣に考えてくれてうれしい』と話していたそうです。」

さとし 「元の画像だけだと(ハザードマップは)見にくいなって思って。写真を添えられることによって、一目でわかるし、逃げるときの判断が早くなると思いました。」

和田さん 「生活圏の中にどんな危険な場所があるんだと知っているっていうことがすごく重要なんですよね。」

  • 子ども備えは
  • 持病などの場合

さとし 「りゅうちぇるさんのところみたいに、小さいお子さんがいる家庭ではどんな備えが必要ですか!?」

和田さん 「離乳食などは(避難所では)配給が遅れることがあるんですよね。ですから、レトルトや瓶詰のものだったり、できれば2週間分程度用意しておいた方がいいと思いますね。持病を持っていたり、アレルギーがあったり、個人的な事情で別のものを食べなければいけない、こういった人達に対して十分な備蓄を用意しておいたほうがいいと思いますね。

  • 菊池音羽さん
  • 美智子さん

ここでもうひとつ、岩手県立不来方高校、菊池 音羽さんのホームプロジェクトを紹介します!
6人家族の菊池さん。
今回は隣に住む、祖母・美智子さん(73歳)に配慮した防災グッズの準備に取り組みました。
祖母は大腸がんの手術を受け、いまは人工肛門を付けて生活しています。

  • 衛生用品を追加
  • 採尿バッグカバー

災害に備える非常用袋に、高齢な祖母のために、感染症を予防するマスクや歯ブラシなどの衛生用品を追加しました。
また、採尿バッグを腰に下げている祖母が避難所で生活することを考え、中が見えないようにする「採尿バッグカバー」を手作りしました。
完成したカバーをプレゼントすると、祖母はとても喜んでくれたそうです。

  • 菊池さんの感想
  • 絢音の感想

りゅうちぇる 「菊池さんは『これからも、勉強と課外活動を両立しながら、兄弟や両親とともに災害に備えるための高い意識を持って生活したいと思います!』と話してくれました。」

絢音 「自分のことだけじゃなくて、ほかの人のことも考えてあげるというのが、すごくいいなって思って。私の家だと妹が2人いて、(もし避難所で)泣いたりしたら、周りの人がピリピリしているのに、(妹の)泣き声を聞くと、もっと焦ったりするかもしれないから、絵本とか(妹の)気を紛らわせるものとかを(避難所に)もっていくなど、そういうのが大事なのかなと思いました。」

りゅうちぇる 「いまは新型コロナウイルスの感染のこともあり、衛生面で気になることがたくさんあります。和田さん、避難所での衛生面について、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか?」

  • 避難所のパーテンション
  • 分散避難

和田さん 「今は政府の方では、収容場所を増やして、収容人員をできるだけ少なくしようと、(避難所の収容人数の)制限をしています。距離を設けて収容したり、パーテーションをつけて飛沫対策、こういった感染対策はしています。でも、万全とはいえないですね。」

感染拡大を避けるため有効なのが「分散避難」です。
安全な場所に住む親戚や知人の家に身を寄せたり、危険の少ない自宅や車中で過ごしたりすることで避難場所を分散させる取り組みです。

りゅうちぇる 「災害の状況によって家で過ごしたほうがいいのか、それとも避難所に行ったほうがいいのか…、自分の家族の状態に合わせて考えて、行動できるようにしていきたいですね。」

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール〜
  • SDGsの目標11
  • ネパール地震

「家庭総合」を学ぶとき、ぜひ知っておいてほしい「SDGs」について考えるコーナーです。
今回は、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」について、取り上げます。
安全で、災害に強いまちや、災害に対する強靱さをめざす、持続可能なまちづくりをする、というのが今回の目標です。
日本だけでなく、世界でも各地で災害復興や、人々が安心して暮らせるまちづくりが課題になっています。

南アジアにある、ネパール連邦民主共和国。
2015年に起きた地震とその後の余震で、80万棟もの住宅や7千以上の学校が被害を受けました。

  • 新しい小学校建設
  • 9校が完成予定

ネパールに耐震性を備えた新しい小学校を建設するため、日本の国際NGOが協力を呼びかけました。
資金をクラウドファンディングで集め、2017年に新しい校舎の建設が実現。
2020年末までに9校が完成予定です。

  • 防災意識を高まる活動
  • さとしの感想

日本の学校防災の経験を生かし、避難訓練や防災についての紙芝居、防災計画作りなどを通して、防災意識を高める活動を続けています。

りゅうちぇる 「こうした取り組みのように、日本人が学んだ防災の必要性や知識を世界の人たちに伝えていくことって本当に大事だよね。」

さとし 「僕は今、初めて知ったので、同じように知らない人はたくさんいると思うんですよ。なので、少しでも伝えていけたら、意識が変わって、この先大人になった後に何かできるかもしれないので、胸に止めておこうと思いました。」

りゅうちぇる 「災害に備えた住みやすい街づくりのためには、どんなことが必要なのか、自分にはなにができるのか、一人ひとりが考えていくしかないんだよね!」


それでは次回もお楽しみに!

【第17回 災害に備える】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第17回 ポイント1
  • 家庭総合 第17回 ポイント2
  • 家庭総合 第17回 ポイント3

1:災害時の生活課題とは?
災害でライフラインが止まる場合も。ふだんからの備えが肝心です。

2:家族での避難生活に備えよう
家族でどう避難するか?いざというときのために話し合っておきましょう!

3:家族に合わせた備えとは?
特に乳幼児や高齢者には、配慮した備えを考えましょう!

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