NHK高校講座

家庭総合

Eテレ 毎週 木曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2020年度の新作です。

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今回の学習

第12回 高齢者

高齢者との共生

  • 兵庫教育大学教授 永田智子
学習ポイント学習ポイント

高齢者との共生

今回のテーマ「高齢者との共生」
  • 高齢者・後期高齢者

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

今回は現役高校生の絢音さん(高1)、さとしさん(高3)と一緒に、「高齢者との共生」について考えていきましょう。


りゅうちぇる 「僕は年を取っても、本当にいつまでもカワイイおじいちゃんでいたいなって思っているんです!」

「高齢者」とされる年齢について、まずはみていきましょう。
65歳以上の人を「高齢者」
そして、75歳以上を過ぎた人のことを「後期高齢者」といいます。

  • 絢音
  • さとし

りゅうちぇる 「2人は65歳を過ぎたらどんな生活をしていると思う?」

絢音 「私は、手芸とかをしてのんびり過ごしているんじゃないかなって思います。」

さとし 「僕はずっと働いているのかな…、働いていたいなって思っています。」

りゅうちぇる 「それはどうして?」

さとし 「なんか、早死にしちゃいそう。やることがないとさびしいかなって思って…。」

りゅうちぇる 「(高齢になったら)さとしくんは『死ぬまで働き続けたい』、絢音ちゃんは『のんびり暮らしたい』って思ってるんだね。」


今回の3つのポイントは、「人生90年・超高齢社会の現状」「高齢者の暮らしイロイロ」「高齢者とともに楽しもう!」です。
どうしたら高齢者とともに楽しく暮らせる社会にできるか、考えていきましょう!

人生90年・超高齢社会の現状
高齢化率の推移

1950年代からの日本の高齢化の推移を表したグラフに注目してみましょう。
赤い線が「高齢化率」、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合を示します。
日本は1994年に14%を超え、「高齢社会」になりました。
そして、2007年には21%を超え、「超高齢社会」に突入します。
その後、高齢化率はますます加速して、2018年には28.1%に達しました。

りゅうちぇる 「つまり、4人に1人以上が高齢者になっているんですね。」

さとし 「(高齢化率が)増えるスピードが速いなって思います。」

りゅうちぇる 「そうだよね。驚くのはまだ早いんです。現在の高校生が高齢者に近づく頃にはどうなっているのか?推計したデータを見てみると、2065年には38.4%。つまり、3人に1人が高齢者になるんです。もう人ごとじゃないですよ。」

絢音 「今、ここにいる(3人のうち)1人が高齢者(である割合)ということですよね!」

  • 主要国の高齢化率の推移
  • 高齢世帯の生活意識

アメリカやドイツなど、主要国の高齢化率を比べると、なんと日本は世界一!
超高齢社会に突入した日本は、さまざまな問題に直面しています。

そのひとつが、医療保険です。
高齢者の健康を維持するための医療にかかる費用が増えてきます。
さらに、年金保険も支払う金額が増え、国民の家計に大きな負担がかかっています。
高齢者世帯の生活意識を調べたアンケートによると、年金を受け取る側の高齢者も、
約55%が「生活が苦しい」と感じています。

  • 一人暮らし高齢者の動向
  • 孤独死

もうひとつの大きな問題は、高齢者の一人暮らし世帯が年々増え続けていること。
それに伴って、一人暮らし高齢者の孤独死が深刻な社会問題となっています。
東京23区内で、年間、約6000人が孤独死しているという統計もあります。

りゅうちぇる 「超高齢社会は、2つの大きな問題を抱えていることがわかったかな。ひとつはお金の問題、そしてもうひとつが孤独死などで深刻な社会問題です。」

絢音 「私は孤独になる人が増えていって、すごい怖いなって感じました、孤独になることが。」

さとし 「僕は一人になってしまうって考えたらすごい不安だし、怖いなって感じます。」

高齢者の暮らしイロイロ
  • 浅見さん
  • 1人でご飯を食べる浅見さん

今度は若者とイロイロなつながりを作った、高齢者の暮らしに注目してみましょう。

高齢者が自ら孤独を解消したケースを見ていきます。
浅見重治さん(81歳)は、5年前に妻を亡くし、東京郊外にある3LDKのマンションに一人で暮らしています。
寂しくなるのは夕ごはんの時。話し相手もいません。

浅見さん 「1人で夕飯を食べるのは作りがいもしないし、何もしゃべれないのはね…どうにもならない。」

  • 三原さん
  • 世代間ホームシェア

そんな浅見さんの家に、大阪出身の大学生、三原尚人さん(21歳)がやって来ました。
三原さんはこれまで賃貸アパートに住んでいましたが、浅見さんの空き部屋に引っ越してきたのです。
これは、高齢者世帯の空き部屋を経済的に苦しい学生に提供する「世代間ホームシェア」です。NPOが仲介しました。
かかる費用は、三原さんの場合、生活雑費と毎日の夕食込みで月3万円です。
これまで家賃と生活費、あわせて10万円以上かかっていた三原さん。
経済的な負担が減り、海外留学にも挑戦したいと考えています。

一緒に食事をする相手ができた浅見さん。毎日が楽しくなりました。
この日の夕食は浅見さんの出身地・愛知県の郷土料理、みそ煮込みうどんです。

  • 三原さんの感想
  • 一緒に歩く浅見さんと三原さん

三原さん 「料理もおいしいし、人間関係的にも浅見さんともうまくやってるし、(世代間)ホームシェアはじめてみてよかったなって思います。」

浅見さん 「面倒見てもらうんじゃなくて、面倒見る相手ができちゃったという感じね。けっこう楽しいです!」

高齢者と若者がともに支え合う「世代間ホームシェア」。
世代を超えたつながりが生まれています。

  • 田中さん
  • 会話する田中さん

続いて紹介するのは、田中雅子さん(79歳)。夫が亡くなってから10年以上、一人で暮らしています。

田中さんの生活は、インターネットを使った“会話”によって、大きく変わりました。
会話アプリを使って、海外の若者との会話を楽しんでいるのです!

  • 会話のしくみ
  • 田中さんの感想

この会話のしくみは、仲介する企業がアプリを使い、日本語を学ぶ外国の人と日本の高齢者をマッチングします。
費用は主に外国の人が負担し、1回の会話は25分です。
田中さんがきょう会話するのは、ペルーに住むパオロさん。日本に関係した仕事に就きたいと勉強中です。

田中さん 「鎌倉は聞いたことありますか?」

パウロさん 「鎌倉幕府ってたしか…」

田中さん 「ですからその鎌倉の時代があったおかげで…」

田中さんがこれまでやりとりしたのは、タイ・ベトナム・ベネズエラなど15の国と地域、延べ120人以上。
日本で暮らすときに気をつけることや、礼儀について教えてきました。

田中さん 「知らないおばあさんから聞いたことが、(外国の若者の)どこかに残ったり、どこかで出てきたりすることがあれば、それは幸せなことですよね!」

遠い異国の若者との交流に、生きがいを見いだした田中さんです。

  • 絢音の感想
  • さとしの感想

りゅうちぇる 「田中さんも浅見さんも若者と交流することで生き生きしてたよね。

絢音 「高齢者の方も楽しいとか、やりがいを見つけられるっていうのは、すごくいいアイデアなんだなって思いました。」

りゅうちぇる 「そうだよね。(高齢者との交流で)自分たちにできそうなこととか、思いついたりしたかな?」

さとし 「僕のおばあちゃんが昔、昔ながらの遊びを教えてくれたんですよ。例えばベーゴマとか折り紙で風船を作るとか。(高齢の方に)昔ながらの遊びとか教えてもらうのも楽しそうだなって思います。」

りゅうちぇる 「そうだね。そうしたらまた、さとしくんも自分の次の代、次の代に受け継ぐってこともできるしね。ステキ。」

高齢者とともに楽しもう!
  • 何歳まで仕事をしたいかアンケート
  • 高齢者が働ける職場は少ない

今度は、「何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいですか?」というアンケートに注目してみましょう!
一番多いのが「働けるうちは いつまでも」で、42.0%。
「70歳くらいまで」「75歳くらいまで」「80歳くらいまで」を全部あわせると、なんと79.7%が「仕事をしたい」と答えています!

絢音 「私はのんびり過ごしたいなって思っていたので、そんなにも働きたい人が多いんだなって思いました。」

りゅうちぇる 「こんなに働きたいって思っている方が多いんだから、働いたらいいんじゃないかなって思ったんだけど、でも残念ながら高齢者が生きがいを持って働ける職場はあまり多くないのが実情なんです。そこで必要になってくるのが、高齢者が働くための環境作りです。その取り組みの様子を見てみましょう。」

  • 生きがい就労
  • 菊池さん

面積の約9割を森林が占めている岩手県釜石市では、人口減少が進むなか、森林を管理して資源を活用するための人手が不足しています。
そこで、社会福祉協議会が地域の高齢者を集め、まき作りの事業を始めました。
元気な高齢者にチェーンソーで木を切ったり、機械でまきをつくったりする作業を行ってもらいます。
参加者には約3時間で2千円の工賃を支給します。「生きがい就労」と呼んでいます。

釜石市社会福祉協議会 課長 菊池亮さん 「まだまだ働けると言う意欲を持っている方々がいらっしゃいます。そうした意向がある方々に社会に出ていただくための事業です。」

  • 柏さん
  • 柏さんの感想

生きがい就労に新しく参加した、柏 武重さん(80歳)。
長年続けた漁師の仕事で培った体力に自信はあるものの、仕事をやめてからは家に引きこもりがちになっていました。
生きがい就労に参加した柏さんは、生活が変化したと言います。

柏さん 「結構ね、楽しいですよ。なんて言ったらいいのかな、充実感。今日も体動かしたな、働いてくるとごはんもおいしいなとかっていう。今のところは、やりがいがあります。」

  • 黒田さん
  • 一緒に掃除をする

また、高齢者の女性にこれまでの人生経験を生かし、働いてもらおうというサービスもあります。
一人暮らしの独身男性の家を訪れたのは、黒田俊美さん(70歳)。 早速、お仕事開始!まずは台所での洗い物です。

黒田さん 「手伝ってくれるの?」

鈴木さん 「手伝うも何も、自分の家だもの。」

サービス利用者の鈴木智博さん(45歳)も一緒に掃除を始めました。
どうやら、普通の家事代行サービスとはちょっと違うみたいです!?

  • 黒田さんの感想
  • 鈴木さんの感想

黒田さん 「おせっかい焼きな母親というか、そんな感じで思われていると思うんですね。」

鈴木さん 「お母さんが働いているのを見て元気をもらう、みたいなところがあるんですよね。もう、おかんみたいな感じ。」

黒田さん 「他人だけど子ども、みたいな感じですね。」


実は、高齢者が“お母さん”として利用者の自宅を訪れ、親子のような時間を一緒に過ごしてもらうサービスなのです。
黒田さんはこの仕事で、月に5万円ほどの収入を得ています。
生活に少しのゆとりが生まれたといいます。
利用者と一緒に楽しい時間を過ごし、精神的なつながりを提供するサービス。
高齢者にとってもこうした働き場所があることは、生きがいにもなっているのです。

  • 絢音も働きたいと思った
  • やることがあるのが大事

さとし 「高齢者の方との本当の親子みたいなつながりだったりとか、暖かい空気感があって、ほっこりするなって思いました。」

りゅうちぇる 「お願いしているお仕事の質だけではなくて、愛だったり、をしっかり共有できるっていうのは、ステキだよね。絢音ちゃんはどう思った?」

絢音 「(高齢者になったら、のんびりしたかったけど)私も働きたいなって思いました!」

りゅうちぇる 「そうなんだ。けっこう心境の変化があったんだね!」

絢音 「はい。仕事をして、なおかつお金ももらって、趣味もできるっていう、このステキなサイクルの中で、充実した生活を送れるおばあちゃんになりたいなって思いました。」

りゅうちぇる 「さとしくんは?」

さとし 「やっぱり働きたいなって思いました。やることがあるっていうのが、大事なのかなって…。」

りゅうちぇる 「僕もさとしくんと一緒で、(高齢になっても)働いていたいなって思いました。(高齢者が働くことができる場所)その環境作りに自分たちから進んで協力するとか、高齢者とともに生きるっていうことを、しっかり自分たちが、いまからしていかないといけないなって思いました。」

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール
  • SDGsの目標3
  • 永田先生

「家庭総合」を学ぶとき、ぜひ知っておいてほしい「SDGs」について考えるコーナーです。
今回は、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」について、取り上げます。
ここからは、番組の監修を担当している、兵庫教育大学 教授の永田 智子先生と一緒に考えていきます。

永田先生 「『誰1人取り残さない』というSDGsのゴールには、もちろん高齢者も含まれています。実は高齢化先進国の日本は、経験と知識、そして技術を生かして世界に貢献しています。

  • アジアの高齢化率の推移
  • 見守りシステム

アジアの国々の高齢化率の推移を見てみると、各国でも高齢化が進んでいるのがわかります。こうしたアジアの国々の高齢化対策に、日本は貢献をしています。

タイの例を見てみましょう。
タイの首都バンコクは、2050年には4人に1人が高齢者になる、と推計されています。
しかし、社会保障制度や介護・医療環境の整備は不十分です。
そこで、注目されているのが日本の「医療装置」です。
バンコク郊外にある総合病院の病室には、日本製の装置・高齢者のための見守りシステムがあります。
患者の様子をとらえるカメラや、マットレスの下の特殊なセンサーがコンピューターと連動していて、患者がベッドから落ちてしまいそうな場合などに、即座にナースステーションに連絡がいくのです。

  • 岩永さん
  • タイのボランティア

要介護状態にならないための、日本の介護予防の運動も注目されています。
日本の支援チームがボランティア育成のため、高齢者介護などの現場で役立つ運動を教えます。
2018年、タイで、福岡県健康増進課の岩永 薫さんが日本の歌にあわせて行うスクワット運動を教えていました。

タイのボランティアスタッフ 「(次は)タイの歌で一緒にやってみよう!」

この運動で、衰えた下半身全体の筋力アップができるのです。

運動を体験したタイの高齢者 「体が軽くなって汗が出て来ました。120歳まで生きられるんじゃないかな!?」


絢音 「高齢化は世界の問題で、その世界の問題に日本が貢献できているっていうのが、すごくいいなって思いました。」

永田先生 「科学技術で日本はロボットなどが期待されているのもあるし、日本にとって当たり前の生活習慣・文化、例えば食事だと日本食(和食)も(外国の人たちの生活様式の参考になるなど)役に立ったりしますし、あとはラジオ体操をみんなでするとか(も参考になる場合もある)。『え!それ(本当に)進んでるの?』みたいなことも、実は世界にとって役に立つ、ということはあります。」

りゅうちぇる 「世界中の高齢者がハッピーで暮らせるように、僕たちができることを見つけてやっていきたいよね。」


それでは次回もお楽しみに!

【第12回 高齢者との共生】3ポイント まとめ
  •  家庭総合 第12回 ポイント1
  •  家庭総合 第12回 ポイント2
  •  家庭総合 第12回 ポイント3

1:人生90年・超高齢社会の現状
超高齢社会の日本では、高齢者の経済と孤立が大きな問題となっています。

2:高齢者の暮らしイロイロ
高齢者と若者との交流は、高齢者の孤立を解消するきっかけとなります。

3:高齢者とともに楽しもう!
生きがいを持って働ける環境を整え、高齢者とともに楽しく暮らせる社会を作っていきましょう!

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