NHK高校講座

家庭総合

Eテレ 毎週 金曜日 午前10:00〜10:20
※この番組は、前年度の再放送です。(2020年度 収録)

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今回の学習

第7回 子ども

子どものチカラ 〜子どもってどう育っていく?〜

  • ゲスト:東京家政大学教授 岩立 京子
    監 修:東京都立駒場高等学校教諭 木村 裕美
学習ポイント学習ポイント

子どものチカラ 〜子どもってどう育っていく?〜

今回のテーマは 「子どものチカラ 〜子どもって どう育っていく?〜」
  • 赤ちゃんの人形
  • 赤ちゃんの人形を抱いてみる

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

もうすぐ2歳になる男の子の子育て真っ最中のりゅうちぇるさん。
毎日楽しんで、子どもの成長を見守っているそうです。
今回は現役高校生の、さとしさん(高3)と英さん(高1)と一緒に、赤ちゃんの成長について考えていきましょう。

左の写真は、生まれたばかりの平均的な赤ちゃんの等身大人形です。
生まれてから4週間ぐらいまでを、「新生児」といいます。
個人差はありますが、新生児の身長は約50cm、体重は約3kgです。

りゅうちぇる 「ちょっと抱いてみて。」

さとし 「すごい重い!これがなんか生まれたての平均(の重さ)?」

英 「首が(垂れる)・・・。 頭が重い!」

りゅうちぇる 「最初は首もすわってないから、安定させるのはむずかしいよね。」


今回の3つのポイントは、「赤ちゃんの持っている力」「身体・心・遊びの発達」「赤ちゃんと大人の結びつき」です。
子どもの体と心の発達について、学んでいきましょう!

赤ちゃんの持っている力
  • さとし
  • モロー反射

りゅうちぇる 「長男は誕生したとき、すぐにママのおっぱいを探し始めたんですよ。誰からも教えてもらってないのに、生まれた瞬間に、ママのおっぱいを探すっていう行為にすごく感動して、こんな神秘的なことがあるんだなって。赤ちゃんって本当に大きな力を持っているんだなって思いました。高校生の二人は、赤ちゃんって、どんな力を持っていると思う?」

さとし 「どうなんだろう!?全然、想像もつかない。むしろ、(赤ちゃんには)特に力とかはないんじゃないかなって思いますね。」

実は、生まれたばかりの赤ちゃんも、いろいろな力を持っています。
赤ちゃんの背中を支え、急にその手を離してみると、赤ちゃんはびっくりしたように、大きく手を広げます。
これが「モロー反射」、体のバランスを崩したときに出る、原始反射のひとつです。

  • 歩行反射
  • 把握反射

体を支えて両足を床につけるようにすると、赤ちゃんはまるで歩くような動作します。
「歩行反射」です。

また、赤ちゃんの手のひらに指でふれると、その手を握ります。「把握反射」です。
(赤ちゃんの)握る力の強さは、自分の体重を支えられるほどです。

  • 眠る赤ちゃん
  • 言語野

赤ちゃんの聴覚はどうなっているのでしょうか。
眠っている赤ちゃんに物語を読み聞かせてみると、語りが始まってすぐ、耳の近くで(脳の動きの)反応が高まりました。
この部分は大人でいうと、言葉を理解する時に働く「言語野(げんごや)」にあたります。
眠っている赤ちゃんですが、その脳は語りかける声に注意を向け、じっと聞き入っているのです。

さとし 「モロー反射がすごいと思った。パッていうのが、『待って、お母さ〜ん!』みたいな感じで。」

英 「自分を守るための力が、生まれた時から備わっているというのに、なんかびっくりしました。」

りゅうちぇる 「人間の本能って、何かすごいよね。」

  • 岩立先生

ここからは、赤ちゃんのプロフェッショナル、東京家政大学教授の岩立京子先生と一緒に考えていきます。

岩立先生 「赤ちゃんはなぜ、こんなにもすごい能力を持って生まれてくるのでしょうか。
そのひとつは、心地よい子宮から出て外の環境の中に適応するため、生き残っていくためと考えられています。
もうひとつは、人とつながり結びつくためと考えられています。
誰から教えられなくても、生まれた直後にお乳を力強く吸ったり、誰かに抱きついたりしようとする、すばらしい能力を持って生まれてきます。」

「身体・心・遊びの発達」
  • 新生児と1歳児の大きさ
  • 寝返り

左の写真の、左側の赤ちゃんの絵は、生まれたばかりの新生児の大きさです。
そして、1歳ごろには右側の絵の大きさになります。
体重は出生時の約3倍、身長は約1.5倍にもなります。

赤ちゃんの体の発達を見ていきましょう。
生後5か月ごろから、別の場所へ動きたいという気持ちが芽生え、「寝返り」ができるようになります。

  • はいはい
  • つかまり立ち

生後8か月を過ぎたころ、できるようになるのが、「はいはい」です。
そして、同じころ「つかまり立ち」もできるようになります。

  • 歩行
  • 遊びの発達

1歳ごろから赤ちゃんは歩きはじめます(「歩行」)。
別の場所に行きたいという気持ちが、赤ちゃんの行動範囲を広げます。

りゅうちぇる 「初めて(なにか)できたとき、子どもって本当にいい顔してるよね。」

岩立先生 「何かができたという達成感は、後々大人になってからの自己肯定感や自尊心を育んでいくと思うんですね。だから大人の役割としては、子どもが安全で自由に動ける環境を作ったり、子どものいろんな挑戦を見守っていったりすることが大事だと思います。」

次に、遊びの発達を見ていきましょう。
「ひとり遊び」は、手に触れた物をつかんだりして遊びます。
ほかの子どもの遊びをそばで見る「傍観(ぼうかん)遊び」は、(ほかの子の遊びを)見ることで間接的に遊びに参加しています。
「平行遊び」は、隣同士で同じような遊びをしますが、お互い、関わりません。
そして、ルールの理解や友だちと関わる能力が求められる「集団遊び」へと発展していきます。
しかし、「ひとり遊び」が「集団遊び」へと変わるわけではありません。
バリエーション豊かな遊びになるのです。

  • 1歳ごろ
  • 1歳半〜2歳ごろ

今度は、心の発達を見ていきましょう。
1歳ごろまでの赤ちゃんは、鏡に映った自分を見ても、それが自分だとは気付きません。
自分の姿や特徴などをはっきりと理解してはいないのです。

1歳半から2歳ごろになると、赤ちゃんは自分の顔や性別などを認識し始めます。
そして、鏡やカメラに映った自分の姿を見て、自分だとわかるようになります。
このころ、自分以外の人もはっきり認識するようになります。
そのため、ほかの人に対して「恥ずかしい」という感情や、友達と自分を比較し、「うらやましい」といった感情などを抱くようになります。

  • イヤイヤ期
  • 魔の2歳

 男の子 「いや〜だ!」

 母親  「どうして!?」

 男の子 「いやだ!!」

そんな時期に始まるのが、子育てで一番大変な時期といわれる「イヤイヤ期」です。
“魔の2歳”などと呼ばれたりするこのころ、子どもは自分の欲求を我慢できず、激しいかんしゃくを起こしたり、大泣きしたりします。

  • イヤイヤ期の男の子
  • 弟を倒してしまった

こちらは、3歳になってもイヤイヤ期が続いている男の子。自分のおもちゃを、一緒に遊んでいた弟が取ってしまいました。
すると、男の子は、怒りの感情を抑えきれず、乱暴な行動に出てしまいました。

  • 前頭前野

イヤイヤ期の子どもが、衝動的な行動をする理由のひとつが、脳の働きです。
本能的な欲求を抑える「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分が未熟なのです。
やがて前頭前野が発達すると、イヤイヤ行動もしだいに収まっていきます。

  • 我慢する男の子
  • お母さんに抱きしめられた男の子

弟を突き飛ばした男の子も、少しずつ行動が変化していきました。
弟が、遊んでいたおもちゃの線路を壊してしまいました。 
男の子は、弟には手をあげず、グッと我慢しています。
そして、自分から弟におもちゃを貸してあげました。

男の子のお母さん 「(男の子を抱きしめながら)よくできたね!」

多くの親を悩ませるイヤイヤ期、大人が見守り育てる中で、子どもは感情のコントロールを学んでいくのです。

りゅうちぇる 「僕の息子も、ちょっと早めのイヤイヤ期に突入してまして。イヤイヤ期って心の成長で、絶対通る道だから、僕たち親も向き合い方はすごく慎重にしていかないといけないなって思うんですけどね。」

岩立先生 「先ほどの男の子は、弟さんにおもちゃを貸してあげて、けなげでしたよね。自分だってすごく泣きそうなのに。『自分が貸してあげた』というのもいいんですけど、そこに親が『よくできたね』という関わりをしてくれたので、より成長していけるんだと思います。」

赤ちゃんと大人の結びつき
  • スタジオの様子
  • 愛着

赤ちゃんの発達には、大人との関わりが重要だということがわかってきました。

りゅうちぇる 「赤ちゃんと大人の関わりで、重要なキーワードがあるんですよね?」

岩立先生 「赤ちゃんと大人の関わりで一番大事なのが、「愛着(アタッチメント)」です。
赤ちゃんは日々の生活の中で、特定の人が自分を保護してくれたり、お世話をしてくれたりしていると、その人をその他の人と区別してきます。
その人に対して「自分に何かがあったら守ってくれる、保護してくれる」といった信頼感が生まれてきます。
こういった信頼感を基にして、相手との心のきずなが生まれてくることを、愛着といいます。」

  • 笑顔の赤ちゃん
  • 不機嫌になった赤ちゃん

まだ、言葉を使ってコミュニケーションをとることができない、生後5か月の赤ちゃんとお母さんとで、ある実験をしました。
赤ちゃんの前にテレビ画面を置き、別室にいるお母さんを映します。
赤ちゃんは、テレビ画面のお母さんに笑顔で反応しました。
赤ちゃんが笑うと、お母さんも笑い返します。すると、赤ちゃんはますますご機嫌になりました。(左写真)

続いて、少し細工をします。
赤ちゃんに、録画したお母さんの映像を見せてみると…、途端に機嫌が悪くなってしまいました。(右写真)
録画した映像に映るお母さんは、自分の動きに反応してくれません。
赤ちゃんは、その不自然さを敏感に感じ取っていたのです。

赤ちゃんは見つめたり泣いたりして、意思表示をします。
そして、それに応えてくれる相手と「愛着」を深めていきます。

  • 人見知り
  • 愛着行動

愛着が深まると起きるのが、「人見知り」です。
お母さんを見たり、泣いたりすることで、お母さんからの注意を引きます。
愛着を持った相手に赤ちゃんが示す特別な行動、「愛着行動」です。

  • 目を合わせてくれない赤ちゃん
  • パパの後ろについていく赤ちゃん

上の写真はイクメンを目指すパパですが、赤ちゃんはなかなかなついてくれません。

赤ちゃんのお父さん 「(赤ちゃんの名前を呼んでみても)ガン無視されていますね。」

赤ちゃんのお母さん 「なかなか目も合わせない。」

そこで、積極的に話しかけてコミュニケーションをとるようにしました。
すると、以前に比べてなついてくれた赤ちゃん。パパが行く場所には必ずついていきます。これも、愛着行動です。
赤ちゃんの働きかけに、大人が反応を繰り返すことによって、赤ちゃんの愛着はより深まっていくのです。


さとし 「赤ちゃんって、キャッキャッみたいにしてるだけなのかなって思っていたんですけど、ちゃんとコミュニケーションをとって、お母さんと会話をしてるんだなって思いました。」

りゅうちぇる 「本当だよね。何かできた時も『すごいね』ってほめてあげたり、大人もそういう風に応えてあげたくなるの。応えてあげると、子どももうれしくてどんどん自信が出てきて、『ほめられた』とか『応えてくれた』と思って、また倍で返してくれて。その繰り返しでどんどん愛着ができていくと、すごく思うんですよね。
赤ちゃんの愛着行動って大人が放っておけなくなる力があるんじゃないかと思うんですよ。」

英 「なるほど。それも生きる力だから、自分が人の支えを必要としてるよって表現することも、生きる力だっていうことに気づきました。」

りゅうちぇる 「愛着の形成は大人になるためにも、本当に大切なことなんですよね?」

岩立先生 「はい。愛着は子どもが外の世界を探索するときに、安全基地の役割を果たすことになります。親との信頼が安心感を生んで、自分の居場所を持つことができるということなんです。それは、その後のすべての発達の基礎になるものです。」

りゅうちぇる 「だから、僕たち大人がしっかり子どもと関わっていかなくちゃいけないなって思います。」

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール〜
  • SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」
  • 木村先生

「家庭総合」を学ぶとき、ぜひ知っておいてほしい「SDGs」について考えるコーナーです。
今回は、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」について、取り上げます。
ここからは、番組の監修を担当している、東京都立駒場高等学校教諭の木村 裕美先生と一緒に考えていきます。

  • 5歳未満の乳幼児の死亡率が高い国や地域を示した世界地図
  • 母子健康手帳30か国以上で導入

まずは、世界の子どもたちが置かれている状況に目を向けてみましょう。
左の図は、5歳未満の乳幼児の死亡率が高い国や地域を示した世界地図です。
アフリカなど、発展途上国で高いことがわかります。主な死因は、感染症などの病気があげられます。
現在、世界では1年間に530万人もの子どもたちが亡くなっています。

その改善に一役買っているのが、日本の母子健康手帳です。
第二次世界大戦後間もない1948年、世界に先駆けて誕生しました。
母子健康手帳には、妊娠から産後の注意点や、発育の経過・検査・予防接種の記録などのほか、子育てのサポート・相談先などが事細かに記されています。
こうした情報を活用して、親は安心して育児をすることができるのです。
現在では、30か国以上で日本の母子健康手帳が導入され、乳幼児の死亡率の低下に成果をあげています。

  • スン・ティ・ミィさん
  • 日本の母子健康手帳

そのひとつが、ベトナムです。
ベトナム全土で1年間に亡くなる5歳未満の子どもの数は、日本の約11倍です。
5か月前に長女を出産した、スン・ティ・ミィさん。
長女が高熱を出した時、母子健康手帳が頼りになったといいます。
発熱に関するページには、対処しても子どもの熱が下がらない場合、病院に行くようにと書かれていました。
スンさんは、赤ちゃんを病院に連れていき、事なきを得ました。

スンさん 「いまは母子健康手帳のおかげで、検診や予防ができて、昔よりもいいです。」


りゅうちぇる 「僕の家も当たり前のように、母子健康手帳を使っているから、日本で初めて(誕生したもの)なんだって誇らしく思った。2人は、自分の母子健康手帳を見たことある?」

さとし・英 「あります。」

英 「本当に事細かに、私の症状がたくさん書かれてたから、こうやって私の健康が守られてたんだなって思いました。」

木村先生 「母子健康手帳は医学などの発達を反映し、年々改善されています。」

りゅうちぇる 「世界の子どもたちのために、僕たちができることって、ほかにもあるよね。みんなで考えていこうね!」


それでは次回もお楽しみに!

【第7回 子どものチカラ 〜子どもってどう育っていく?〜】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第7回 ポイント1
  • 家庭総合 第7回 ポイント2
  • 家庭総合 第7回 ポイント3

1:赤ちゃんの持っている力
赤ちゃんは原始反射や知覚能力などの力を持って生まれてきます。

2:身体・心・遊びの発達
身体・心・遊びは密接に関連しながら、赤ちゃんは成長します。

3:赤ちゃんと大人の結びつき
赤ちゃんとの心のきずなである「愛着」を築くために、大人との関わりが重要です。

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