NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午前10:20〜10:40
※この番組は、前年度の再放送です。

化学基礎

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今回の学習

第9回

元素の周期表

  • 監修・講師:東京学芸大学附属高等学校教諭 岩藤英司
学習ポイント学習ポイント

元素の周期表

  • 福
  • 欄外に

「化学基礎」では、自分たちの身の回りの物質や現象などに興味を持って、鈴木福さんと一緒に考察していきましょう!

福 「原子のしくみがわかってくると、改めて『元素の周期表』に興味が湧いてきました。
でも、ちょっと不思議に思うことがあるんですよね。(上のほうに)空白になっている部分があることとか、“ランタノイド”と“アクチノイド”っていうのが欄外に飛び出していることとか・・・・・・。
これらには、ちゃんとした理由があるんですって。きょうは、化学の基本である『元素の周期表』をもっと知ろうというのがテーマです。」

どうして元素の周期表が生まれた? 
  • クイズ
  • 陶器?

福 「きょうのクイズも、なかなか難問だなぁ。」

Q:火・風(空気)・水・土からできるものは何?

福 「なんだかファンタジー小説の魔法使いみたいなんだけど…」

美樹 「いやいや、福くん。ちゃんと化学の問題として考えてもらわなくっちゃ困るなぁ。」

福 「そうだよね…う〜ん…。そうだ! “土”に“水”を加えて、“風”を当てて乾かして、“火”で焼いて固める、陶器!?」

美樹 「残念、不正解!」

福 「じゃあ答えは?」

美樹 「この世のすべて!」

福 「・・・はっ?」

  • 古代ギリシャでは
  • ドルトンが原子説

美樹 「古代ギリシャでは、この4つ(火・風・水・土)が“万物の根源”すなわち“元素”だと考えられていたんだ。」

福 「美樹さん…ここは21世紀の日本ですけど。」

美樹 「古代ギリシャに限らず、この『四大元素説』は、最近まで信じられていたんだ。ヨーロッパでも、18世紀くらいまではこの説が支持されていたんだ。」

福 「でも、ドルトンが19世紀の初め(1803年)に『原子説』を発表したよね。」

美樹 「そう。18世紀にいろんな化学者が実験を熱心に進めた結果、水素や酸素などが発見された。その後も新しい元素の発見が相次いで、19世紀中ごろには、60を超えるまでになった。そこまで元素の数が増えてくると、今度はこれらを整理・分類しようとする人たちが現れたんだ。」

福 「それが、元素の周期表!?」

美樹 「まあ慌てずに。」

周期律とは?
  • 周期律とは?
  • 黒板

美樹 「この間、『貴ガス(希ガス)』について説明したよね?」(化学基礎・『電子殻と電子配置』の回)

福 「(18族元素の)貴ガスは電子配置がとても安定しているから、ほかの原子と結びつきにくい原子だったよね。」

美樹 「黒板に元素名を書いたカードが貼ってあるので、貴ガスを選んでみて!」

福 「H・He・Li・Be・B・C・N・O・F・Ne・Na・Mg・Al・Si・P・S・Cl・Ar・K・Ca(水 兵 リー ベ 僕 の 船 七 曲り シッ プ ス クラ ー ク か)の20個(の元素)だね。」

  • 貴ガスが周期的に
  • 貴ガスが周期的に

福 「貴ガスは、まず ヘリウム・He。あと ネオン・Ne。それから、アルゴン・Ar。この元素の中だったら、この3つかな。」

美樹 「正解!その並びをよく見ると、貴ガスが周期的に現れているよね?」

福 「Heがあって、1・・・8番目にNe。それで、1・・・8番目にAr。うん、確かに(周期的に現れた!)。」

  • 周期
  • 族

元素の周期律に注目して、分類・整理したものが「元素の周期表」というわけだ。

横に並んだ行を「周期」という。
上から第1周期、第2周期となって・・・、現在の周期表は第7周期まである。
一方、縦に並んだ列は「族」で、1族から18族まである。
元素の周期律に従って性質の似た元素を縦に並べた結果、(番組で紹介している)周期表の上の方には空白が生まれたんだ。

  • アルカリ金属
  • Li・Na・K

では、同じ族の元素の性質が似ていることを、1族の元素で確認しよう。
水素以外の1族元素は 「アルカリ金属」といって、特に性質がよく似た同族元素の代表例だ。
リチウム・3Li、ナトリウム・11Na、カリウム・19は、いずれもやわらかくてナイフで簡単に切ることができる。
断面は金属元素特有の輝き(金属光沢)を持つが、空気に触れるとすぐにくもってしまう
ことも共通している。

  • 水と反応
  • アルカリ性

次に、この3つの金属(3Li、11Na、19K)を小さく切って、水の入った試験管に入れ、反応を比べよう。
いずれも水とよく反応するが、原子番号が大きいほど、反応は激しくなっている。

そして、反応した後の液体に、フェノールフタレイン溶液を加えると、どれも赤い色になった。こうして水溶液がアルカリ性になることから、1族元素は「アルカリ金属」と呼ばれるんだ。

福 「リチウムとかナトリウムって、確かに輝きは金属っぽいけど、水と反応したりナイフで簡単に切れちゃったり、僕の持っている金属のイメージとはずいぶん違うな。
18族の元素が貴ガスで、水素以外の1族がアルカリ金属。ほかにも、そんなふうに名前のついているグループがあるのかな?」

  • ハロゲン

続いて、アルカリ金属と反応して、塩(えん)を生成する17族に注目。
たとえば、塩化ナトリウム(食塩)・NaClは、塩素・17Clとナトリウム・11Naの化合物。
そこで、17族の元素は、ギリシャ語で“塩(しお)をつくるもの”という意味の言葉から「ハロゲン」と呼ばれているんだ。

  • さらし粉
  • 塩素

ハロゲンの代表格、「塩素・17Cl」を発生させる実験を見てみよう。
集気びんに入っているのは、「次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)」という物質。
ここに「塩酸」を加えると、反応して黄緑色の気体が発生した。これが塩素だ。

  • 赤い花
  • 漂白

塩素・17Clの特徴のひとつは、強い漂白作用を持つこと。
集気びんに赤い花を入れると、わずか数分で色が抜け落ちた。
塩素を使った漂白剤は、台所や洗濯のときなどにも使われているんだ。

福 「花が真っ白になっちゃった! 塩素の漂白作用ってすごいね。」

美樹 「そうだね。台所用の漂白剤をうっかりつけちゃって、お気に入りの洋服をダメにしちゃったことがあったなぁ。」

  • 漂白殺菌作用
  • 周期律・周期表

美樹 「塩素だけでなく、フッ素・9F、臭素・35Br、ヨウ素・53Iなどにも、漂白・殺菌作用があるんだ。」

福 「なるほど、それが17族元素・ハロゲンの共通した性質なのか。
原子番号の順に並べると、元素の性質が周期的に変化するのが 『周期律』。その周期律に基づいて、性質の似ている元素が同じ族になるように分類しているのが 『周期表』の特徴なんだね。」

美樹 「そう。そのアイデアを考え出したのが、ロシアの偉大な化学者メンデレーエフなんだ。」

偉大なメンデレーエフ
  • メンデレーエフ
  • カード

1834年、ロシアのシベリアで14人兄弟の末っ子として生まれた、D.メンデレーエフ
(1850年)16歳で、サンクトペテルブルク高等師範学校に入学。
両親を亡くし、自らも結核にかかるなど、逆境の中で勉学に励み、首席で卒業した。
(1855年)中等学校の教師となったメンデレーエフは、仕事のかたわら化学の研究を続け、
(1865年)31歳でサンクトペテルブルク大学の教授に就任。
そして、1869年に「化学の原理」を出版。その中で周期律に基づいた元素の分類や整理の方法について述べ、 「周期表」のアイデアを発表したんだ。

福 「メンデレーエフは、若いうちに両親を亡くしたり、(自分も)病気になったり、ずいぶん苦労したんだね。でも、化学への愛と情熱を失わずに、研究を続けたのかぁ。」

美樹 「メンデレーエフは、元素をいかに分類・整理すればいいのかを考えるために、元素名を書き込んだカードをつくって、いろいろと並び替えたりしていた。そしてある日、ふと うたた寝した時に、夢の中で周期表のイメージを見たと伝えられているんだ。」

福 「寝ていても化学のことを考えていたのか。」

メンデレーエフの周期表

美樹 「これはメンデレーエフが最初に書いた周期表のメモ。机の上にあった封筒の裏に書いたもので、コーヒーカップの跡が残っているらしいんだ。」

福 「夢で見たものを忘れないうちに、大急ぎで書いたんだね。でも、今の周期表とは縦と横が逆になっているのか。この場合は、縦の列が周期で、横の行が族ってこと?」

  • H・Li
  • ?の部分が

福 「H(水素)の次が…、あれ(ヘリウムじゃなくて)Li(リチウム)?」

美樹 「この時点では、まだHe(ヘリウム)は知られていなかったんだ。」

福 「なるほど、そういうことか。」

美樹 「でも、リチウム・Liの横にナトリウム・Na、カリウム・K、ルビジウム・Rbと、ちゃんと(水素以外の1族元素の)アルカリ金属が並んでいるでしょ。」

福 「確かに。でも、この『』がところどころにあるのは?」

美樹 「実は、これがメンデレーエフの偉大なところ!ここには未知の元素が入るはずだと考えて、空欄のままにしたんだ。」

メンデレーエフが周期表を発表した時、元素はまだ63種類しか知られていなかった。
しかし、たとえば、亜鉛・Znの次には、アルミニウム・Alやインジウム・Inに性質が似ていて原子量(原子の質量)が68、その次には ケイ素・Siやスズ・Snに性質が似ていて原子量が70の元素があるはずだと考えた。

  • ?の元素が発見
  • ノーベリウム

その後、メンデレーエフの予測は正しかったことが証明される。
1875年に「ガリウム・Ga」、1885年には「ゲルマニウム・Ge」が発見され、それらの性質がメンデレーエフの予測したものととてもよく似ていたんだ。

福 「元素を整理・分類しただけでなく、未発見の元素があるはずだと予言したこともメンデレーエフの業績なのか。」

美樹 「メンデレーエフは、その研究が評価されて、1906年にノーベル賞の候補になったんだ。でも、たった1票差で敗れてしまった。そしてその翌年(1907年)、メンデレーエフは亡くなってしまったんだ。」

福 「そっか。残念。」

美樹 「1955年、原子番号101番の元素が、メンデレーエフにちなんで『メンデレビウム・101Md』と名付けられることになったんだ。メンデレーエフ自身の名前が、周期表に残ることになったんだ。」

福 「へぇ。メンデレビウムの隣にあるのは『ノーベリウム・102No』?これって、ノーベルにちなんでいるんじゃないの?ちょっと皮肉!?」

美樹 「うーん、そうかもね…」

周期表の見方
  • Cm
  • Nh

(化学基礎・監修講師) 岩藤先生 「周期表を眺めていると、メンデリウムやノーベリウムのほかにも、たとえば(原子番号)96番『キュリウム・Cm』というのがあります。これはもちろん、ピエールとマリーのキュリー夫妻にちなんで名付けられているわけです。
こういった人名以外でも、たとえば63番『ユウロピウム・Eu』はヨーロッパ、95番『アメリシウム・Am』はアメリカ、113番『ニホニウム・Nh』は日本など、国名や地名にちなんでいる元素名もあるわけです。どんな人や地名が隠されているかを意識しながら周期表を見ても、おもしろいと思いますよ。」

  • 元素周期表
  • マグカップ

岩藤先生 周期表は化学の情報の宝庫なんて呼ばれることがよくあります。これから学習を進めるにあたって、周期表を身近に感じられるといいですね。
たとえば、見て楽しいもの(周期表)を使うこともひとつの方法ですね(文部科学省HP 科学技術週間『一家に1枚』シリーズより 元素周期表)。それぞれの元素に関する情報が、コンパクトにまとまっています。ちなみに私はこのマグカップで、元素をいつも意識しながらコーヒーを飲んだりしているんですよ。」

  • 典型元素

改めて周期表をよく見ていこう。

1族・2族と13族〜18族は、縦に並んだ同族元素の性質がよく似ていることから 「典型元素」と呼ばれている。(※12族を典型元素に含める場合もある)
メンデレーエフが注目した周期律が、はっきりしているグループだ。

  • 遷移元素
  • 最外殻電子

それに対して、3族から12族の 「遷移元素」は、横に隣り合う元素でもよく似た性質を示すことが多い。
これは、原子番号が増えるときに電子が内側の電子殻に入るため、最外殻の電子の数が大きく変化しないためだ。

  • 第4周期の遷移元素
  • 水溶液が色とりどり

第4周期の遷移元素は、「金属である」・「合金をつくる」・「かたい」・「電気を通す」など、いくつかの共通した性質を持っている。
これらの元素の化合物の水溶液は、色とりどりになって見た目も鮮やか。

まだほかにも、周期表にはいろいろな発見があるはず!

  • 金属元素・非金属元素
  • ランタノイド・アクチノイド

美樹 「(周期表の)元素の分類でパッと見でわかるのは、色分けされているところだよね。」

福 「うん。(この周期表では)黄色が『金属元素』で、青が『非金属元素』。金属元素の方が多くて、だいたい80個くらい(の金属元素がある)だったよね。」

美樹 「それから、福くんが不思議だ〜って言ってたことがあったじゃない?」

福 「下の欄外にある『ランタノイド』と『アクチノイド』なんだけど…」

美樹 「ランタノイド=“ランタンもどき” 、アクチノイド=“アクチニウムもどき”という意味で、それぞれのグループの元素は性質がよく似ているからまとめているんだ。こうすると、レイアウト的にもきれいに収まるし。」

福 「いくつかの元素を、ひとつのマスに入れるという工夫なんだね。」

  • 人工的に合成
  • 元素周期表

美樹 「アクチノイドのひとつ 92番の『ウラン・U』までが、自然界に存在する元素。それ以降の元素はすべて人工的に合成したものなんだ。どの元素とどの元素を融合させれば、どんな性質の元素ができるのか予測するのにも、周期表は役立っているんだ。」

福 「じゃあ、もしかしたら、まだまだ新しい元素が発見されるかもしれないんだ。」

美樹 「そう。そのために、科学者たちは日夜 研究に励んでいるんだ。」

福 「周期表って本当に“化学の情報の宝庫”なんだね。僕も元素周期表を、机の前に貼っておこうかな。」

美樹 「いいね!いよいよ福くんにも、化学に対する愛と情熱が!?」

福 「まぁちょっと、まだそこまでは……」


それでは、次回もお楽しみに!

【第9回 元素の周期表】3ポイント まとめ
  •  第9回ポイント1
  •  第9回ポイント2
  •  第9回ポイント3

1:周期律とは?
元素の性質は、原子番号とともに周期的に変化する。
この「元素の周期律」に注目して、元素を整理・分類したものが周期表だ。

2:偉大なメンデレーエフ
ロシアの化学者メンデレーエフが考えた周期表のアイデア。
まだ知られていない元素の存在を予想し、新しい元素を発見する大きな手がかりを残した。

3:周期表の見方
周期表は、まさに化学の情報の宝庫。
元素についてのさまざまな情報を周期表から読み取ろう!

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