NHK高校講座

化学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:00〜2:20
※この番組は、2021年度の新作です。

化学基礎

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今回の学習

第4回

単体と化合物

  • 監修・講師:東京都立小川高等学校主任教諭 永島 裕
学習ポイント学習ポイント

単体と化合物

  • 福

「化学基礎」では、自分たちの身の回りの物質や現象などに興味を持って、鈴木福さんと一緒に考察していきましょう!

福 「少しずつではありますが、僕なりに化学や物質のことに興味が持てるようになってきました。例えば、氷が水になり やがて水蒸気に変わる。その理由がわかったり、目には見えない粒子の世界が想像できるようになったりすると、ワクワクしますよね? きょうはどんな発見が待っているのか楽しみです!」

元素と元素記号
  • 問題
  • 美樹

Q:C25OH この物質はなんだ?

福 「これはちょっと難しすぎだよ…。Hは水素で、Oは酸素だよね。Cが…炭素だ!
でも、この組み合わせなんの物質かっていわれても、わからないよ。」

美樹 「どう、答えがわかったかな? これ、実は、何度か出てきたことがある物質なんだけど…」

福 「僕が知ってる “物質” ってこと?なんだろう?」

美樹 「答えは『エタノール』。この間(化学基礎『物質の三態』の回)も、粒子間の力を比べる実験で水と比べたよね!?」

福 「そっか。『C25OH』、これって、エタノールのことだったんだ。」

美樹 「そう。エタノールはアルコールで、ワインなどにも入っている物質。炭素・水素・酸素という『元素』からできているんだよ。」

福 「『元素』って元になるものってこと?」

美樹 「うん。元素は、物質を構成している基本的な成分のこと なんだよ。」

福 「じゃあ、エタノールの場合は、炭素・C、水素・H、酸素・Oが元素ってことだね。」

  • 元素記号
  • 元素の周期表

物質の基本的な成分である「元素」は、「元素記号」を使って表す。
これは世界共通の記号なんだ。
例えば、水素は 水を作るもの「Hydrogen(ハイドロジェン)」の「H」。
炭素は 炭のもと「Carbon(カーボン)」の「C」。
酸素は 酸を作るもの「Oxygen(オキシジェン)」の「O」。


元素記号は、アルファベットの1文字、または2文字で示されている。
その由来はさまざま。
2文字の場合、1文字目は大文字、2文字目は小文字で書く決まりだ。(Mg、Tiなど)
現在、約120種類の元素が知られている。
そして、世の中には1億を超える物質がある。
そのすべてが、元素の組み合わせでできている
んだ。
 
福 「この部屋にある机やいろんな道具たち、それに僕たち人間も、全部、元素の組み合わせでできているってことだね。」

美樹 「その通り!万物の根源となる元素。ひとつひとつ見ていくと、いろいろな発見があって、楽しくてたまらないんだよね〜!」

単体と化合物
  • 純物質は2種類に分けられる
  • 単体と化合物

美樹 「純物質ってどんな物質だったか覚えている?」

福 「うん!1種類の物質だけでできているのが純物質で、一定の融点、沸点、密度などを持っているんだよね。」

美樹 「そう。その純物質はさらに2種類に分けられるんだ。」

福 「えっ、どういうこと!?」

例えば、窒素・N2、酸化銅・CuO、マグネシウム・Mg、二酸化炭素・CO2の4つの純物質だと、どう分けられるのだろうか。

ただ1種類の元素からできている純物質を「単体」という
この4つの中では、窒素・N2と、マグネシウム・Mgが「単体」だ。

そして、2種類以上の元素からできている純物質は「化合物」
酸化銅・CuOと、二酸化炭素・CO2は「化合物」となる。

つまり、純物質は、構成する元素が1種類だと「単体」、2種類以上だと「化合物」に分けられるんだ。 

福 「エタノールも炭素、水素、酸素という3種類の元素から構成されている『化合物』ってことだったよね。」

  • 7つの純物質
  • 黒鉛

美樹 「うん。ところで福くん、7つの『純物質』を用意しました!」

福 「水、水素、酸素、アルミニウム、食塩、ポリエチレンの袋と、この“黒鉛”ってなに?」

美樹 「黒鉛は“鉛(なまり)”と書いてあるけど、金属ではないんだ。鉛筆の芯なんかに使われている物質。
Q:この7つの純物質(水、水素、酸素、アルミニウム、食塩、ポチエチレン、黒鉛)を『単体』と『化合物』に分けてみて。」

福 「まず、水は『化合物』。水素と酸素は『単体』。アルミニウムも名前がそのまま元素名と同じだから…1種類だと思うから『単体』。」

順調に「単体」と「化合物」に分けていくなかで…

福 「黒鉛…難しいなあ…『単体』っぽいな。」

  • 単体
  • 化合物

福くんの仕分け、完了。果たして、正解は!?
まずは「単体」からチェックしていこう。
水素・H2、酸素・O2、アルミニウム・Al、どれも1種類の元素からできている「単体」。
そして、ちょっと迷った黒鉛は、炭素・Cの「単体」で正解!


続いて、「化合物」をチェック。
水・H2Oは、水素・H と 酸素・O2の「化合物」。
食塩(塩化ナトリウム)・NaCl は、ナトリウム・Na と 塩素・Cl の「化合物」。
ポリエチレン・(C24)n は、炭素・C と 水素・H の「化合物」なんだ。


福 「やったー!」

美樹 「全問正解だね! ところで、福くん。ほかにも『化合物』の大事なポイントがあったこと、覚えている?」

福 「もちろん!単体の物質が化学反応してできた化合物は、元の単体とは性質が異なるってことだよね。」

美樹 「そう!例えば、この水は 単体の水素 や 酸素 とは性質が異なるよね。」

福 「確かに。化合物といえば、前にエタノールでも同じこと確認したよね。(化学基礎・『純物質と混合物』の回) じゃあ、ほかの化合物だとどうなるんだろう?」

  • 酸化銀
  • 実験装置

「酸化銀」という化合物で実験だ!
まずは「酸化銀」を加熱し、単体の 酸素 と 銀 に分解する。

あとで取り出しやすいよう、アルミ箔にのせた「酸化銀」を試験管に入れて、ガスバーナーで熱していくと、酸化銀の色が白く変わってきた。

  • 気体
  • 酸化銀が白っぽく

この時、加熱された酸化銀から発生した気体が、ガラス管から出てくる。
その気体を、別の試験管にためていく。
化学反応が進み、酸化銀がすべて白っぽくなったら、試験管にためた気体を取り出す。
この気体は本当に酸素なのか、確かめてみよう。
(全部で3本を採取。最初の2本は実験装置の中に入っていた空気が多く含まれているので、3本目を調べることに)

  • 線香の火が大きくなった
  • 光沢が出た

火のついた線香を入れると、(ポンっという燃焼音とともに)線香の火が大きくなった。
ものが燃えるのを助ける酸素が入っていたことがわかった。

一方、酸化銀が白っぽくなったものには、どんな変化があるのか?
取り出してこすってみると、光沢があらわれた!

「化合物」の酸化銀は、「単体」の酸素と銀に分解されたことが確かめられた。

  • さらに過熱
  • 銀

さらに、取り出した銀を加熱すると一気に溶けて、金属らしい銀のかたまりになった。

  • 酸化銀は電気を通さない
  • 銀は電気を通した

この単体の銀と、もとの化合物の酸化銀の性質をくらべてみよう。
酸化銀に電流を通してみると、豆電球はつかない。
今度は、銀に電流を通してみると、豆電球が点いた!電気を通すのは金属の性質だ。

酸化銀が分解された

福 「酸化銀っていうのは、銀と酸素の『化合物』。それを加熱すると、それぞれ銀と酸素の『単体』を取り出すことができたんだよね。」

美樹 「そうだね。『化合物』と その元になる『単体』では、性質が異なるってことがこの実験でよくわかったんじゃないかな?」

福 「酸化銀は電気を通さなかったけど、銀になると電気を通した。『化合物』と、分解して取り出された『単体』とでは本当に性質が違うんだね。」

同素体
  • 黒鉛とダイヤモンドの共通点は

美樹 「じゃあクイズをもう1問! Q:黒鉛とダイヤモンド、実はこの二つにはある共通点があるんだけど、それは一体なんでしょう?

この二つの共通点とは一体!?
透明でキラキラと輝く「ダイヤモンド」
シルバーグレイの岩のような「黒鉛」
見た目はまったく異なる二つの共通点は、どちらも同じ 炭素・C で できている「単体」だということ!

  • 構造模型
  • 同素体

福 「同じ(炭素という)元素でできている単体なのに、どうしてこんなに違うの?」

美樹 「これを見るとわかるかも!これは構造模型といって、三角形に見える方がダイヤモンド、四角形に見える方が黒鉛なんだよ。」

福 「確かに、形が違うね。」

美樹 「ダイヤモンドは、炭素・Cの原子が 立体的に規則正しく並んでいるんだ。とっても硬くて、電気を通さない。その硬さを生かして、コンクリートやアスファルトを切断するカッターの刃にも使われているんだ。」

福 「ダイヤモンドって硬いんだ。」

美樹 「一方、黒鉛は、炭素・Cの原子が 平面的につながって積み重なっている。ダイヤモンドとは違ってやわらかいんだけど、電気をよく通すから乾電池の電極にも使われているんだよ。」

福 「炭素っていう同じ元素からできているのに、こんなにも性質が違うんだね。」

美樹 「そう。このように同じ元素の単体で性質の異なる物質を、互いに『同素体』というんだ。」

福 「黒鉛とダイヤモンドは、炭素の『同素体』ってことなんだね。同じ炭素からできているけど、物質の構造が違うから性質も異なるってことなんだ。」

  • 硫黄の粉末

続いて、硫黄の同素体を見ていこう!

  • 硫黄の粉末を溶かす
  • 斜方硫黄

まず、粉末の硫黄を二硫化炭素で溶かし、常温のまま、しばらく置いて二硫化炭素を蒸発させると、八面体の結晶「斜方硫黄」ができる。
「斜方硫黄」は常温で安定した物質なんだ。

  • 硫黄の粉末を加熱
  • 単斜硫黄

次は、粉末の硫黄を加熱して溶かす。
オレンジ色の液体になったら ろ紙に出し、しばらく冷まして、固まりきらないうちに ろ紙を開くと、針状の結晶「単斜硫黄」ができる。

  • 硫黄の粉末をさらに過熱
  • ゴム状硫黄

最後は加熱して溶かした粉末の硫黄を、さらに強火で加熱し続けると、やがて流動性がなくなる。
さらに加熱を続けると、再び流動性が出てくる。
これを水の中に一気に流し込むと、ゴムのような弾力性を持った「ゴム状硫黄」ができた。

斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄は、互いに 硫黄・Sの「同素体」というわけだ。

  • 硫黄の土素体
  • 物質の性質がわかると性質も見えてくる

福 「ゴム状硫黄って初めて見た。固体なのにどうしてあんな風に形を変えられるんだろう?」

美樹 「それは、硫黄の原子のつながり方がポイント!」
    
福 「斜方硫黄は8個の原子が輪になっているけど、ゴム状硫黄は1本の鎖みたいになっているんだね。」

美樹 「そうだね。ゴム状硫黄は、硫黄の原子がひものように1本につながっているだけだから、ゴムのように弾力性があって、形を変えることができるんだよ。」

福 「物質の構造がわかると、その物質の性質も見えてくるってことなんだね。」

美樹 「ちなみに、硫黄はゴムに弾力性を与える効果があって、例えば自動車のタイヤなんかにも使われているんだよ。」

福 「そうなんだぁ。化学っていろいろ新しい発見があって、ちょっと楽しくなってきたかも。」

美樹 「ほんと!?やった〜!」

  • 元素と単体の違いは?
  • 永島先生

福 「化合物のことは、だいぶ整理できた気がするんだけど、『元素』と『単体』の違いが、ちょっと紛らわしいんだよね。」

美樹 「その違いは大事なポイントでもある!ということで、専門の先生に教えてもらおう。」

(化学基礎・監修講師) 永島先生 「『単体』と『元素』の区別の仕方は意外と、つまずきやすいところなので、簡単な例を紹介しますね。
例えば、『フッ素配合歯磨き』の中に入っているのは、フッ化ナトリウム・NaFという化合物であって、単体のフッ素・F2がそのまま入っているわけではないんです。フッ素は、歯磨きの成分である『元素』として含まれているんです。
つまり、『単体』は実際に存在する物質。それに対して、『元素』は物質を構成する成分という違いなんです。」

  •  水の場合
  • 福と美樹

水・H2Oの場合はどうか?
水素・H と 酸素・O2 の化合物だが、単体の 水素・H や 酸素・O がそのまま入っているわけではない。
それらの物質を構成する成分、つまり「元素」が、水の場合は 水素・H と 酸素・O ということだ。

永島先生 「現代の元素のもと となる考えは18世紀末に生まれました。それは科学を加速度的に進歩させ、新たな元素が発見されていく中で、物質の謎も解明されていきました。科学者たちは今も(原子番号)119番以降の新たな元素の発見をめざして研究を続けています。それは“見えない世界を探求したい”という思いからなるものなんですね。」

福 「いままで元素記号のこととかあまり考えたことなかったけど、元素って万物の根源、だもんね。とっても大切だってことがよくわかったなぁ…。」

美樹 「あれ、福くん!?元素が相当、気に入っちゃったみたいだね。」

福 「うん。だって、元素のことがわかると物質の謎が解明できるって、結構すごくない!?」

美樹 「その調子!これからも、愛と情熱で化学を学んでいくわよ〜!!」


それでは、次回もお楽しみに!

【第4回 単体と化合物】3ポイント まとめ
  • 第4回ポイント1
  • 第4回ポイント2
  • 第4回ポイント3

1:元素と元素記号
物質を構成している基本的な成分が「元素」。
現在、約120種類の元素が知られている。

2:単体と化合物
1種類の元素からできている純物質を「単体」。
2種類以上の元素からできている純物質は「化合物」。
化合物と、その元になる単体の物質は性質が異なる。

3:同素体
ダイヤモンドと黒鉛のように、同じ元素からできた、性質の違う単体を 互いに「同素体」というんだ。

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