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Eテレ 隔週 水曜日 午前10:00〜10:20
※この番組は、2022年度の新番組です。

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今回の学習

第4回 生活文化の多様性と国際理解

大地は動いている? 〜大地形と生活〜

  • 監修・講師 東京大学教授・須貝 俊彦
学習ポイント学習ポイント

第4回 地球は動いている? 〜大地形と生活〜

  • 井桁弘恵
  • 南圭介

ここは、編集デスクの南圭介と期待の新人編集部員・井桁(いげた)弘恵が所属する、創立間もないネットニュース「ツバサニュース・ドット・コム」の編集部です。

今回のツバサニュースの特集は、「世界の絶景をゆく」。

解説委員の須貝先生から、宿題が出ているようです。

「次の4枚の写真の地形のうち、仲間はずれはどれか?」

  • ヒマラヤ
  • アイスランド

上の左の画像はヒマラヤ⼭脈です。
雪におおわれて急こう配な急斜⾯が連続した、美しい⼭並みです。

次に、上の右の画像は、アイスランド
まるで、⼤地が引き裂かれたように⾒えます。

  • モニュメントバレー
  • カリフォルニア

続いて、上の左の画像は、アメリカ合衆国 アリゾナのモニュメントバレー
どこまでも広がる荒野に、不思議な形の岩がそびえ⽴っています。

そして上の右の画像は、アメリカ合衆国のカリフォルニアの⾵景です。
溝がジッパーのように地⾯をまっすぐに⾛っていますね。

井桁「ヒントはくださったんです。“⼤地は動く”っておっしゃったんですけど…」

大地は動いている?
  • 似た海岸線
  • 2.25億年前

「大地は動く」。
なんだか不思議に思いますね。
まずは、世界地図を見てみましょう。

上の左の画像で、赤で示した部分の海岸線が、なんだか似た形をしていると思いませんか?
実は2億2500万年前、アフリカ大陸と南米大陸はくっついていました。
上の右の画像は、当時の地球の姿です。

元々は、巨⼤な⼤陸が一つだけだったと言われています。
⼤陸は分裂し、何億年もの⻑い年⽉をかけてゆっくりと移動し、現在の形になっていきました。


では、どうして大陸が動くのか。
それを知るには、地球の構造を理解する必要があります。

  • プレート
  • マントル対流

地球の表⾯は、⼗数枚に分かれた岩盤で覆われています。
これを、プレートと呼びます。
厚さ約100kmの、固い岩盤です。

プレートは、マントルの上に乗っています。
そのマントルは、内部で対流が生じていて、ゆっくりと動いています。
マントルの対流によってプレートも動き、また、プレートの上に乗っている大陸や海底も動いていきます。

このように、プレートが動くことによって⼤陸や海底などの地球の表⾯が動くという理論を、「プレートテクトニクス」といいます

  • 世界のプレート境界
  • 地震の震源分布を重ねる

上の左の画像は、世界のプレート境界を表した地図です。

日本の周りは4つのプレートが集まっています。
集中している、と言ってもいいくらいですね。

ここで、井桁さんは、プレートの分布図(上の左の画像)が地震の震源分布図に似ていることに気づきました。
2枚の地図を重ね合わせると、上の右の画像のようになります。

この画像からプレートの境⽬と地震がたくさん起きている地域は、重なっていることが分かります。

プレートの境界と地震の関係
  • 東北日本のプレート分布
  • 東北日本の鉛直断面

なぜ、プレートの境界で、地震が多く起きるのか。

まず、日本の東北地方を見てみましょう。
東北地方の東の沖合には、太平洋プレートと北アメリカプレートの境界があります。
その断面(上の右の画像)を見てみると2つのプレートはぶつかり合っており、海側のプレートの方が、陸側のプレートの下に年間数cmずつ潜り込んでいっています。

  • 大陸側のプレートでひずみが蓄積
  • 日本付近のプレート

海側のプレートが下へ潜り込むことで、上の左図の部分にひずみが蓄積されます。
ひずみがその限界に達したとき、陸側のプレートが跳ね上がり、地震が発生します。

日本の周りには、上の右の画像のように4つのプレートが、押し合いへし合いしています。
そのため、地震が多いのです。

  • 心柱
  • 模型で実験

地震が多い日本では、人々は地震に備えた暮らし方をしてきました。

東京都墨田区にある、東京スカイツリー。
634mのこの高い塔は、どのように地震対策をしているのでしょうか。

中には、中心を貫く、大きな柱があります。
これを、心柱(しんばしら)といいます。

心柱は上の左の画像で赤く示されているように、下3分の1の部分が固定されていて、上は完全には固定されていません。

なぜそうなっているのか、模型で実験してみました。
上の右の画像のように、心柱が完全に固定されているもの(右)と、 スカイツリーと同じく、心柱が完全には固定されていないもの(左)を用意します。
揺らしてみると、心柱が完全に固定されていない方が、揺れが小さいという結果でした。
これは、心柱とタワーの揺れが互いに打ち消しあって、揺れを弱めているからです。

  • 法隆寺
  • 法隆寺の心柱

こうした発想のヒントとなったのは、法隆寺の五重塔。
ここでも、心柱を使っています。
そのため、1300年以上も倒壊せず、美しい姿を保っていると考えられています。

写真の場所

2人は、「大地は動く」ということに地球のパワーを感じ、須貝先生からの宿題についても何か思いついたようです。

写真の地形の位置を地図上で確かめてみると、上の画像のようになります。

まず、ヒマラヤ山脈。
これはインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界です。
続いて、アイスランドの写真は、ユーラシアプレートと北アメリカプレートの境界。
アメリカ合衆国のカリフォルニアは、太平洋プレートと北アメリカプレートの境界。

3枚の写真の地形は、プレートの境界に重なりました

  • 広がる境界
  • 地割れ

プレートの境界で、一体何が起きているのでしょうか?
キーワードは、「広がる」「狭まる」「ずれる」です。

まずは、広がる境界。
北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界を見てみましょう。

上の左の画像の赤い部分がアイスランドです。
アイスランドには、巨大なものでは40kmにわたって続く地割れが、何本もあります。

どうしてできたかというと…

  • 海嶺説明図

模式図で見てみましょう。ここは、マグマなどが上昇してきて、プレートを作っている場所です。
生まれたプレートは、両側に遠ざかります。

つまり、「広がる境界」です。

  • 狭まる境界

続いて、「狭まる境界」
インド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界を見てみましょう。
上の画像の、赤く示した部分です。

  • 衝突前
  • 衝突
  • 衝突後

上の左の画像のように、隣り合う2つの陸地が近づき、押し合う力が働きます。
5000万年前、2つの大陸がぶつかり合って高い山脈を造り、ヒマラヤ山脈となりました。
ヒマラヤ山脈は、今でも、少しずつ高くなっています。

  • ずれる境界
  • サンアンドレアス断層

最後に、「ずれる境界」
太平洋プレートと北アメリカプレートの境界を見てみましょう。
上の左の画像で、赤く示した部分です。

上の右の画像は、アメリカ合衆国のサンアンドレアス断層です。

  • 横ずれ断層

2つのプレートが、互いにすれ違い、水平方向にずれて動いています。

この断層は、南北1300kmに及びます。
まさに絶景です。

変動帯

こうした、プレートの境⽬に沿って広がる地震活動や地殻変動が活発な地域を、「変動帯」と呼びます。

このように、一口にプレートの境界と言っても、様々な動き方をしています。
また、プレート境界は地震も起こしますが、壮大な地形もつくり出しています。

アリゾナ

さて、須貝解説員から渡された4枚の写真のうち、残った写真の地形について考えます。
アメリカ合衆国 アリゾナ州にある、モニュメントバレーと呼ばれる地形です。

モニュメントバレーはカリフォルニアの東側にあり、プレートの境界ではなく、内側にあるようです。
プレートの内側は、地震などの地殻変動が少ない地域で、「安定地域」と呼びます。

この茶褐⾊の⼤地は、2億7000万年前にできた地層です。

  • 安定地域
  • アイダホ

なぜこのような岩山と荒野ができたのでしょうか。
地層の柔らかい部分が強風や川の浸食によって削られ、不思議な景観をつくり出します。
そして残ったところに巨大な荒野が誕生しました。

上の左の画像を⾒ると、荒野の地層は視野の彼⽅まで⽔平のまま安定していることが分かります。

安定地域では、上の右の画像のような⼤平原も⾒られます。
アイダホ州のこの大平原では、広大な地形を利用して、農業が発展してきました。

この土地を4代にわたって守ってきた、ジョーさん。
東京ドーム380個分の小麦畑を所有し、巨大重機を使って、刈り入れを行っています。
こうした⼤規模農業ができるのも、安定地域の特徴の⼀つです。

井桁「4枚の写真のうち、仲間外れはこのアリゾナの⾵景だったんですね。他の3枚は、変動帯。この⼀枚は、安定地域にあります」

  • 須貝先生
  • 火山とプレートの境界

ここで解説委員の須貝 俊彦先生に解説していただきました。

世界の火山分布図と、プレート境界の地図と重ねてみると、上の右の画像のようになります。
火山が多いのも、変動帯の特徴です。
特に、太平洋を取り巻くように分布しています。
太平洋プレートなどが沈み込んでいる場所と、よく一致します。

  • 火山の仕組み

須貝先生「なぜ、沈み込むプレートの境界に火山が多いか、分かりますか?」

井桁「地震と同じように、プレート同士の摩擦が原因ですか?」

須貝先生「惜しいですね。プレートは、100〜150kmの深さまで沈みこむと、圧力と温度が上がって、火山のもとであるマグマができるからです。」

  • 桜島
  • 巨大噴石

火山の多い地域でも、人々は、火山とともに暮らしを立ててきました。

鹿児島県、桜島。
南北10キロの小さな島に、5千人あまりの人が暮らしています。

島には火山が連なり、巨大な噴火口から煙が上がっています。
噴火爆発は、1年で1000回あまり。

噴火の度に、灰が降ってきます。
ときに、上の右の画像のように、道をふさぐような巨大な岩石が降ってくることもあります。
水をかけると、音をたてて蒸発することから、まだ熱いことが分かります。

  • 桜島大根
  • 軽石

島には川がなく、水田に不向きな土地です。
畑で育てているのは、世界一大きいといわれる、桜島大根。
大きいもので、30kgを超えます。
桜島大根は、桜島の土と相性がよく、よそで育ててもうまくいかないといいます。

桜島大根の生産者は、次のように語ります。
「ここに、石があるでしょう。軽石です。この軽石に、水を含んでいるわけです。それに桜島大根の根が張ってる。軽石と灰と混ざったもののおかげで、桜島大根は、こんなに大きくなる。私はそう思っています」

  • 避難壕
  • 次回もお楽しみに

島には、島民のために、あちこちに避難壕があります。
大きめの噴火があると、人々は中に逃げ込みます。

地域に暮らす人は、次のように語ります。
「噴火すると、爆風による空気の振動がパーっと押してきます。窓が音をたてて揺れます。すると、これぐらいなら 風さえ吹いてこなければ大丈夫、と寝てしまいます。昔の人たちも、そうして島を守ってきたから。やっぱり桜島が好き。生まれたところはね、故郷はいいよ」

井桁「火山と共存する知恵を昔の人から受け継いで、桜島の人たちは暮らしているんですね」

須⾙先⽣「⼤陸や⼤平原、巨⼤な⼭脈など、広範囲に及ぶ地形を「⼤地形」と呼びます。⼤地形は、地球内部からの⼒である、「内的営⼒」によって作られます。
内的営⼒とは、地殻変動・地震・⽕⼭活動などによって、地形を変化させる⼒のことです。

南「絶景も、地球の動きが作ったんだと思って見ると、ただの珍しい風景とは違って見えますね」

井桁「こうした地形に合った暮らしを、人々はしてきたんですね」

須貝先生「変動帯の中には、マグマの作用によって、銅や銀、スズなどの鉱産資源を産出する場所もあります。一方で、安定地域では、広い土地を利用して、放牧や大規模な農業を行っているところもあります。絶景は、数百万年から数億年という長い時間をかけて、想像を絶するような広がりをもって、大地が動くことによってつくられました。動く大地の上に、上手く根を下ろして、わたしたちは暮らしを立ててきたといえそうですね」

それでは、次回もお楽しみに!

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