NHK高校講座

地理総合

Eテレ 隔週 水曜日 午前10:00〜10:20
※この番組は、2022年度の新番組です。

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今回の学習

第2回 地図や地理情報システムと現代世界

GIS って何? 〜 GIS と地図〜

  • 監修・講師 神戸大学附属中等教育学校教諭・高木 優
学習ポイント学習ポイント

GIS って何? 〜 GIS と地図〜

  • 井桁弘恵
  • 南圭介

ここは、編集デスクの南圭介と期待の新人編集部員・井桁(いげた)弘恵が所属する、創立間もないネットニュース「ツバサニュース・ドット・コム」の編集部です。


南「さっきの地震、驚いたね」

井桁「本当、結構揺れましたね。デスク、私たちの会社の避難場所はどこでした?」

南「あれ、大通り公園じゃなかったっけ?」

井桁「そこは途中に川ありますよ」

南「そっか、避難所か。あ、確かハザードマップが…」

井桁「避難場所や危険な場所、そういう情報を盛り込んだ地図って、自分たちで作れないのかなぁ」


南さんが高木解説委員に地図の作り方を質問したところ、「地理院地図」を調べたらどうか、とアドバイスをもらったようです。

地理院地図って何?
  • 国土地理院ウェブサイトメニュー

「地理院地図」とは、国土地理院がインターネット上で公開している地図のこと。
地形図などのほか、自然災害に関する地図や写真などを提供しています。
地理院地図のウェブサイトでは、地図を自由に拡大・縮小できるほか、過去の映像も表示することができます。
この地図と地域のハザードマップを組み合わせれば、災害への備えとして地域の防災マップを作成することも可能です。

2人は、新宿駅について、防災地図を作ってみることにしました。

南「新宿に出かけていたとき、さっきみたいに、突然地震にあうと戸惑うもんね。どこが避難場所なんだろう。調べようか」

井桁さんは、地理院地図から新宿駅周辺の地図を表示させました。

  • 地図の選択
  • 地震の避難場所

上の左の画像の画面左上の「地図」のボタンを押すと、右の画像のように「地図の種類」のメニューが開きます。
メニューを見ると、災害によって、避難場所が違うことがわかります。
この地域には、「洪水」「崖崩れ、土石流及び地滑り」「高潮」「地震」「津波」「大規模な火事」「内水氾濫」「火山現象」とそれぞれの災害ごとに違う地図があるようです。

「指定緊急避難場所(地震)」の部分をクリックすると、地図上に「指定避難場所」のマークがいくつか現れました。
新宿駅から近そうな場所は、上の右の画像の赤矢印で示した「新宿中央公園」「新宿御苑」の2か所のようです。
そのうち、新宿御苑付近を拡大して、さらに調べます。

  • ツールボタン
  • 計測を選択

南「操作、けっこう簡単なんだね。距離はどれくらいある?」

まず、画面上部にあるメニューバーの「ツール」をクリックすると、画面の右端にメニューバーが現れます。
その中から、「計測」を選びます。

  • 距離が表示される

すると、「計測」の枠が表示されます。
計測開始地点(新宿駅)と、目的地点を順にクリックすると、距離が表示されます。

井桁「出ました1.05kmです」

ここで、井桁さんは、このシステムでいろいろなことができるのはなぜなのか、気になったようです。
そこで、国土地理院ホームページに「GIS・国土の情報」という項目があることに気付きました。

井桁「GIS? GPSならわかるんですけど、GISってなんだろう?どう違うの?」

「GPSとGISの違いは?」
  • 港と空港の位置
  • GISの利用

GPSとGISの違いについて、まずGPSについて。

GPSとは、自分が地球上のどの位置にいるかを、特定してくれるシステムのこと。
地球の周りには、GPSのための機械を積んだ人工衛星が飛んでいます。
その衛星からの電波を受けて、自分のいる位置の緯度と経度を割り出しているのがGPSです。

GISとは、Geographic Information System、地理情報システムのこと。
デジタル地図上にさまざまな地理情報を重ねていく技術をいいます。

例えば、港や空港の位置は、先ほどのGPSで特定された位置の情報、つまり地理情報です。
これを、ベースの地図に重ねてみると、上の左の画像のような港や空港の位置を示す地図が出来上がります。
このように、GISを使うと、さまざまな地理情報を地図上に表すことができます

GISは、カーナビ・携帯電話の道案内・気象情報などに使われています。
私たちは、気づかないうちに、たくさんの恩恵を受けています。

GISを支える技術のひとつが、GPSです

  • 高木先生
  • 公共施設の情報

GISについて、高木解説委員に、もう少し詳しく教えてもらいます。

高木先生「この模型は、日本のある街を模式化したものです。これが基(もと)の地図になります」

この地図には、鉄道路線や川や道路などがあります。
これに、さまざまな地理情報を重ねることができます。

例えば公共施設の情報を重ねると、上の右の画像のようになります。 これで、道路と公共施設の建物の位置関係がわかるようになりました。

  • コンビニの緯度と経度
  • 所要時間

今度は、コンビニの位置を記したものを重ねますが…

高木先生「ここで、お2人に質問です。どうやったら、基の地図にピタっと合わせられるか、わかりますか?」

井桁「川の位置を見て合わせているんですか?」

高木先生「残念、違います。ここで先程のGPSなどの情報が使われます。それぞれの緯度と経度を、基の地図に重ねていくのです。例えば、このコンビニの地理情報には、緯度は北緯何度何分、経度は東経何度何分といった、細かい情報が含まれているのです」

南「そうか、緯度経度を基準に。だからピターッと合うんですね」

GISではさらに、上の右の画像のように、道のりや所要時間などの情報も重ねることができます。
みなさんが普段よく目にする、道案内図になりましたね。

GISはコンピュータ上で異なる地理情報データを含むデジタル地図です。
つまり、緯度と経度を基準にして、先ほど一枚ずつ重ねた地図を重ね合わせて見せることができる技術なのです。


井桁「なるほど。1枚に見えていたけど、こんなに重ねたデータからできていたんですね」

  • 大規模水害ハザードマップ

点や線で表現される「位置」の情報と同様に、 GISは「面」の情報を地図上で表すことができます。
上の図は災害のリスクを地図上に重ね合わせた例で、「洪水浸水想定区域」を地図上に可視化したものを重ねると、「大規模水害ハザードマップ」ができます。

井桁「避難路にはドラッグストアも付け加えましょう。赤ちゃん連れの方には、便利だと思います。それと、公衆電話の位置。携帯電話がつながらないことがあるじゃないですか」

南「確かに。それいいね」

井桁「こうした災害時に必要な情報を発信できれば、うちのニュースの価値も高まるかも」


先程、高木解説委員は「GISはありとあらゆるところに使われている」と言っていました。
そこで、ほかにはどんなことにGISが利用されているか調べてみることにしました。

  • 衛星全球降水マップ
  • 地表面温度と海面水温の変化

GISは、気象の分野でも活用されています。
例えば、観測衛星からのデータをGISで地図上に表し、気候変動の観測に使っています。
上の左の画像は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が作った地図です。
地図上に地球全体の降水量データを重ね、将来の予測に使っています。
また、地殻変動や火山活動を数cmの精度で測定して異変を早期に発見し、注意喚起にも役立てています。

上の右の画像は、各月ごとの地表面温度と海面水温の変化を、色分けして表したものです。
温暖化が進んでいるかどうかの分析に使っています。
GISを使うことで、さまざまなデータを一目でわかるようにすることができます。


井桁「地球温暖化の怖さも、GISを使ってわかりやすく表すことができるんですね」

南「海面が上昇し、水没しそうな国が出てきているらしい。日本はどうなるんだろう?ちょっと調べてみよう」

2人は、先程の「地理院地図」でシミュレーションしてみることにしました。

WebGISの活用
  • 自分で作る色別標高図を選択
  • インフォメーションをクリック


上の画像は、東京の地図です。
左上の「地図」のアイコンをクリックして表示されたメニューの中から、 「自分で作る色別標高図」を選択します。
次に画面下のインフォメーションに現れた「自分で作る色別標高図」をクリックします。

  • 標高の設定

すると、別の枠で標高を選択できるメニューが開きます。
1m上昇した場合様子を見るには、上の画像のように設定し、「上記の内容で地図に反映」をクリックします。

  • 荒川付近
  • 5m上昇した場合

現れた地図を拡大してみると、荒川付近がダメージを受けることがわかります。
5m上昇した場合は、山手線を境に、東側が広範囲で水没しています。

南「こんなにすごいのか。これじゃ交通網がズタズタになって、非常事態だな」

井桁「あくまでもシミュレーションですが、温暖化で海面上昇が起きると、私たちの暮らしも、大きなダメージ受けてしまいますね」

南「そうだね。地震も怖いけど、地球温暖化も他人ごとじゃないな」

  • 世界の震源分布
  • 世界の地震被災死亡者数

上の左の画像は、マグニチュード6以上の地震を点で表した地図です。

井桁「環太平洋、とくに日本周辺が多いですね」

南「わかりやすいね」

上の右の画像は、「世界各国の年平均地震被災死亡者数」の地図です。
この地図では、死亡者の数を円の大きさで表しています。

井桁「日本は地震が多いと思ったけど、日本以上に大きな被害を受けている国があるんですね」

南「日本の経験を生かして援助したり、防災減災のノウハウを伝えたりすることもできるかもしれないね」

高木先生「2つの地図を比較することで、いろんなことが見えてきますね」

先ほどの「地震被災死亡者数」と「マグネチュード6以上の震源分布」を表した地図を「統計地図」といいます。
使い方によって、一目で色々なことがわかります。

統計地図の使い方
生産量と気温の比較

統計地図には、ほかにもさまざまな種類があります。
上の画像の左の地図は、ドットマップ
赤いドットが小麦、青いドットが米の産地を表しています。
産地が2分され、米は南側で栽培されていることがわかります。

なぜ、米が南側で栽培されているのか。

それを調べるために使うのが、上の画像の右の地図、メッシュマップ
この地図では、暖かい所が赤い色で表されています。

左の米の生産量の地図と、右の気温の地図を比較してみると、米は暖かい地域で栽培されていることがよくわかります。

生産量と年降水量

次に年降水量を見てみましょう。
上の画像の右の地図は、等値線図という統計地図。
南の方へ行くほど、降水量が多いことがわかります。

「米と小麦の生産量」と「年降水量」の2つの分布図を比較してみると、年降水量1000ミリ以上の地域が、米の生産量が多い地域と重なります。
このように、統計地図を使うと、場所や地域の共通点や相違点が見え、特徴がつかみやすくなります。
また、何枚かの地図を読み合せることによって、その地域の分析や予測に役に立ちます。

  • 図形表現図
  • 階級区分図

高木先生「統計地図には、たくさんの種類があるので、統計データをどの図に表すのが適切か、選び方が大切です」

また、統計地図を見る際には、気を付けなければならない点があります。
上の左の画像は、温暖化の原因といわれる二酸化炭素の排出量の上位国の統計地図です。
円の大きさで排出量の上位国を示した、「図形表現図」です。

上の右の画像も、同じく二酸化炭素の排出量を表した地図ですが、こちらは一人当たりの排出量の統計地図です。
色の違いで示した、「階級区分図」です。

絶対分布図と相対分布図

また、「国別二酸化炭素排出量」を絶対分布図、「1人あたりの二酸化炭素排出量」を相対分布図といいます。
2つを比べると、どのようなことがわかるでしょうか?

井桁「絶対分布図では、1位は中国、2位はアメリカ合衆国になっていましたが、相対分布図だと、中国やアメリカよりもオーストラリアやサウジアラビアが目立っていますね。 切り取り方で、見え方が全然違うんですね」

高木先生「そうですね。統計地図は一目で色々なことを印象付けるので、どんなデータや表現方法を使っているのか、注意して見ることが大切です」

GISで町をアピール
  • スマホを利用したサービス
  • 動画

GISは、ほかにもいろいろなことに使えます。
日本のさまざまな地域で、自分たちの地域をアピールするために、GISを使っているところが多くあります。

例えば、岐阜県飛騨市。
山々に囲まれ、古い町並みが今も残る観光地です。
そんな魅力に惹かれ、外国人観光客も多く訪れます。

市の観光課では、外国人観光客のために、スマホを利用したサービスを始めました。
ここで使われたのが、GIS。
多くの観光スポットを地図上に示したほか、地図上のマーク(上の左の画像)をクリックすると、その場所で行われる祭りなどの動画(右の画像)なども楽しめるように工夫されています。

南「GISを使うことで、自分たちの地域を、もっとこう、ドーンと自慢できるようになるわけですね!」

井桁「自分たちで地図を作るときは、どんな形の地図を使うか、考えないといけないですね」

南さんと井桁さんは、自分たち用の避難地図を作ってみることにしたようです。

  • 次回もお楽しみに

それでは、次回もお楽しみに!

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