NHK高校講座

地学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第22回 第3編 私たちの大地

地震のメカニズム

  • 東京学芸大学附属高等学校教諭 田中 義洋
学習ポイント学習ポイント

地震のメカニズム

今回のテーマは“地震のメカニズム”
  • 緊急地震速報
  • P波S波

アイコ 「サワさんは、緊急地震速報の仕組み知ってる?」

サワ 「なんか、とにかく、そういう装置があるんじゃないかなぁ〜って。」


緊急地震速報は地震波のP波を検知することにより、強い揺れが来ることを知らせることができます。
地震波にはP波とS波があり、地球の内部を調べるのにも、この2つの波を使っています。

2つの波の特徴を利用することによって、大きな揺れが来ることが予想できます。

  • P波
  • P波振動方向

P波とS波の伝わり方を実験で観察してみましょう。
揺らし始める場所を震源とします。
振り子を、並んでいる方向に揺らしてみると、右の画像のように波が進む方向と平行に振動します。
これがP波です。

  • S波
  • S波振動方向

振り子を、並んでいる方向に対して垂直に揺らしてみると、右の画像のように波が進む方向に対して垂直に振動します。
これがS波です。

  • P波+S波
  • P波+S波の振動

では、P波とS波を同時に発生させるとどうなるでしょうか。
震源から離れたところで観察すると、まずP波が現れ、そのあとS波が現れました。
P波はS波より速く伝わるという特徴があります。

  • 地震波グラフ初期微動
  • 地震波グラフ主要動

上のグラフは、ある地点で地面の揺れを記録した、地震波のグラフです。
横の軸が時間、縦の軸が揺れの大きさを表しています。
グラフを見ると、まず小さな揺れがきて、その後に大きな揺れがきているのが分かります。
最初の小さな揺れは、初期微動といってP波が起こした揺れです(左図)。
その後の大きな揺れが、S波が起こした揺れである主要動です(右図)。

  • 3ヶ所で観測した地震波グラフ1
  • 3ヶ所で観測した地震波グラフ2

上の図は、3か所で観測した地震波のグラフです。
横の軸が時間、縦の軸が震源からの距離を表しています。
左の図で見ると、震源から離れた場所ほど、初期微動の時間が長くなっており、初期微動が続く時間は震源からの距離にほぼ比例していることが分かります。
また、右の図で見ると距離が離れるほど主要動が小さくなっているのが分かります。
1つの観測所のグラフだけでも、震源までの距離と地震の規模がおおよそ分かります。

震源の求め方 
  • 震央
  • 震源

震源の位置は、3か所の観測点の地震波データから求めることができます。

初期微動の継続時間から計算した震源までの距離を半径として、観測点を中心に円を描くと、3つの円が交差する場所があります。
この円の交差している部分に線を引き、できた交点が震源の真上にあたる地表の点「震央」になります。
また、この円を立体的に球体で描くと、3つの球体が地下の一点で重なります。
そこが「震源」になります。

日本全国にはたくさんの観測点があり、数が多いほど震源の位置を正確に求めることができます。

震源と震源域
  • 産業技術総合研究所主任研究員高橋美紀さん
  • 実験装置

地震の揺れは点で起こっているわけではなく、震源域と言われる面で起こっています。
震源域は地中のため、どんなことが起こっているのか見ることはできません。

茨城県つくば市の産業技術総合研究所では、日本周辺で起きる地震の仕組みを研究しています。
主任研究員の高橋美紀さんに、地震のメカニズムが分かる実験を見せてもらいました。

真ん中に岩石をセットし、上下からピストンで力を加えていく装置を使用します。

日本列島は4つのプレートの複雑な動きによって、震源域となる地層や岩石にひずみのエネルギーがためられています。
実験では、プレートの動きによる力を圧縮機で再現し、震源域でどのようなことが起きるのか観察します。

  • 岩石に力を加えて壊していく
  • 岩石の表面に変化

岩石についたセンサーが、小さな破壊によって生じた衝撃をキャッチするたびに、モニターに波形を地震波として出します。

岩石に力を加えていくと、音がし始めました(左図)。この音は、岩石の中で小さな破壊が起こっていることを表しています。
一瞬、音が止まったときに、右図のように岩石の表面に変化が表れました。

高橋さん 「最後に『カン』という音とともに石が壊れてしまいました。この音は、実際の岩石においては、周りもやはり石ですから、衝撃の波は石の中を伝わってやってくると。それが地表面に達すると、私たちが日ごろ地震として感じている現象という形で認識されるということになります。」

  • 斜めに割れた岩石
  • ひずみの蓄積

破壊されたところを詳しく見てみると、斜めに割れていて、小さな破壊が面に広がってずれていることが分かります。

プレートの運動によって、地下の地層や岩体に力が加わると、ひずみが生まれ蓄積されます。ひずみはやがて限界を迎えます。
まず周囲に比べて弱い部分から、小さな破壊が始まります。
この破壊は連鎖して面でつらなり、その面を境にして急激なずれが発生します。
このずれが生み出した揺れが、地震の波、つまり地震波となって地球の内部を伝わっていくのです。

  • 断層運動
  • 兵庫県南部地震震源域

このように、地下の地層や岩体がある面を境に急激にずれる運動を「断層運動」といいます。
地下の一点、震源で始まった急激なずれは、面へと広がります。
地震の揺れは、この時ずれたすべての範囲、つまり震源域から始まります。

震源域が大きいほど、ずれの量も大きくなり、地震の規模も大きくなります。

震度とは観測地点の揺れの大きさを表します。
マグニチュードは地震の規模の大きさであり、震源域の断層運動が作り出した地震波のエネルギーを表しています。

地震波のエネルギー
  • アーカイブスにアクセス
  • 東京学芸大学附属高等学校教諭田中 義洋さん

サワ 「マグニチュードが震源域で生まれた地震波のエネルギーを表すということは、震源域が広いほどマグニチュードも大きいってこと?」

アイコ 「そうなんだけど、その関係にはちょっとした特徴があるのよ。」


アーカイブスにアクセスして、東京学芸大学附属高等学校 教諭の田中 義洋さんに聞いてみました。

サワ 「マグニチュードと震源域の広さには、どんな関係があるんですか?」

一般的に言われているのは マグニチュードが1大きくなると、地震波のエネルギーが約32倍、2大きくなると1000倍になると言われています。

  • 兵庫県南部地震
  • 東北地方太平洋沖地震

例えば、兵庫県南部地震はマグニチュード7程度で、震源域は長さ50km、幅が15kmでした。
これに対して、東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9程度で、震源域が長さ450km、幅が150kmでした。

震源域の大きさは100倍ほどですが、地震波のエネルギーは1000倍です。
マグニチュードが2大きい東北地方太平洋沖地震1個分が、兵庫県南部地震1000個分に相当するんです。
それぐらいすさまじい地震波のエネルギーが解放されたことが分かります。
ちなみにこの計算で考えると、地球上で発生し得る最大のマグニチュードは10になります。



サワ 「もしも、それ以上の大きな地震があったとしたら、どうなるんですか?」

あくまでも架空の話ですけれど、もしマグニチュード12の地震が起きたとしたら、長さ1万キロメートルの断層が動くことになります。地球の直径は約1万3000キロメートルですから、地球が真っ二つに割れるほどの規模になってしまうのです。


サワ 「真っ二つに!?そんなことがあったら大変だよね!」

アイコ 「仮定の話だからね。大きな地震はめったに起きないですけど、小さな地震はよく起こりますよね。地震の発生する頻度は、マグニチュードの大きさと関係がありますか?」


地球上で起こる地震の回数は、大体マグニチュードが1小さくなると10倍、2小さくなると100倍になる関係があることが知られています。
これはグーテンベルク・リヒター則といいます。
世界の地震の1割以上は、日本の周辺で起きていますので、マグニチュード8クラスが10年に1回、マグニチュード7クラスが1年に1回、マグニチュード6クラスが月に1回起こったとしてもおかしくないのです。

プレート境界で起こる地震の断層
  • 地球のプレート
  • 地球上のプレートの動き

サワ 「世界で起こる地震のうち、1割が日本だなんてちょっと多すぎじゃないかしら。」

アイコ 「まさに、地震大国日本と言われるだけあるわね。」


プレート運動の「近づく」「遠ざかる」「すれ違う」という動きによって地層や岩体に掛かる力の向きが変わり、断層運動の方向も変わります。
このような震源域でのずれ方の違いによって、正断層、逆断層、横ずれ断層のように分けられます。

  • 海溝
  • 逆断層

大陸プレートと海洋プレートが重なり合う海溝は、互いに近づこうとしている力が働いていることから、逆断層になることが多くなります。

  • 海嶺
  • 正断層

海嶺付近では、海洋プレートが互いに遠ざかろうする力が働き、正断層になることが多くなります。

  • トランスフォーム断層
  • 横ずれ断層

プレートがすれ違うように接するトランスフォーム断層では、横にずれるように力が掛かることから、横ずれ断層になります。


サワ 「断層運動を引き起こす力は、押す力だけではなく、引いたり、ずれたり、いろんな力があるのね。」

アイコ 「確かにそうなんだけど、実際はもうちょっと複雑なのよ。それはまた次の機会に話しましょう。」


それでは、次回もお楽しみに!

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