NHK高校講座

地学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

地学基礎

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今回の学習

第19回 第3編 私たちの大地

地球の構造

  • 慶應義塾高等学校教諭 松本 直記
学習ポイント学習ポイント

地球の構造

地球内部の調べ方
  • ゆで卵
  • CTスキャン

サワ 「地球の内部ってどうやったら分かるの? 実際に見ることはできないよね?」

アイコ 「そうね。例えばゆで卵だったら、パカッと2つに割れば、一番外側に殻があって、白身があって、真ん中に黄身があるっていうふうに断面を見ることができるんだけどね。」


地球を2つに割るのは不可能ですが、物を壊さずに中を透視する技術があります。
たとえば、体の中を調べるX線撮影やCTスキャンなどです。
X線は骨や筋肉など体の部位によって透過率が違うため、体の中を透視できます。
CTスキャンは、X線で撮影して画像をコンピュータ処理したものです。

  • エコー検査
  • 波は伝わる物質の種類や状態が変わると速さが変わる

エコー検査は、超音波を当ててその反射の様子を画像処理したもので、X線より人体への影響が少ないため、妊娠した人の検査で使われています。
このエコーは、波は伝わる物質の種類や状態が変わると速さが変わるという性質を利用しています。

  • 空気だけのレーザー光線
  • 半分水を入れたレーザー光線

丸い容器にレーザー光線を出す装置を取り付け、実験をしました。
レーザー光線などの光は、音と同じように波の性質を持っています。
容器の中が空気だけの場合、左の写真のように 波は真っ直ぐに進みます。

容器の中に半分ほど水を入れると、右の写真のように 空気と水の境目で光が曲がりました。屈折という現象です。
屈折は、物質によって波が伝わる速さが異なることが原因で起こる現象です。

  • レーザーを出す位置を変えると
  • 屈折・反射

レーザーを出す位置を変えると、左の写真のように 空気と水の境目で光が跳ね返りました。反射という現象です。

異なる物質の中を波が進むと、その境目で屈折や反射が起きます。


サワ 「波の性質を利用すれば、エコー検査みたいにして、地球の内部構造を知ることができるってこと?それってすごく大きな装置が必要になるんじゃない?」

アイコ 「わざわざ そういうものを使わなくても、地球の内部で自然に発生している波を使えばいいのよ。」

  • 地震波
  • 比例した地震波

地震は体に感じないものも含め、世界中で1年間に10万回以上、1日あたり300回ほど起きています。
地震が起きると、その揺れは周りに伝わっていきます。これが地震波です。
地震波が到達する時間は、通常 震源からの距離にほぼ比例します。

  • 比例の時間よりの速く到達
  • 地球の内部は層構造

ところが、ある程度離れた地点では、地震波が比例の時間よりも早く到達します。
このことから、地球の内部構造は均一ではなく、層構造をしていると考えられるようになりました。

  • 地震波が速く伝わる場所がある?
  • 屈折した地震波

震源で地震が起きると、地震波がすべての方向に伝わっていきます。
もし、地球の内部が均一だとすると、揺れが到達するまでの時間は距離にほぼ比例します。


サワ 「でも、比例していないんでしょ?早く伝わるってことは、地震波のスピードが速くなってるってことよね。震源とD,Eの間に、地震波が速く伝わる場所があるの?」

アイコ 「ピンポイントで?世界中のどこで観測しても、同じような結果が得られるのよ?」


地震波が伝わる速度が速くなる場所は、震源と観測地点との間ではなく、地下の奥深くにあります。
先程のレーザー光線の実験を思い出してみましょう。
地下に向かった地震波が速く伝わる場所に到達すると、そこで物質が変わります。すると、その境目で屈折します。
そして屈折した地震波は、もう一度境目にぶつかり また屈折していきます(右画像)。

ある程度離れた地点では、地震波が速く伝わる距離が長くなるため、地震波が比例の時間よりも速く到達します。


サワ 「遠回りになったとしても、高速道路を使ったほうが早く着くってこともあるもんね。」

地球の層構造

地球の内部は、地表から数kmから70km程の深さに境目があり、その上を地殻、下をマントルといいます。
マントルは、深さ約660kmを境に、上部マントルと下部マントルに分ける場合もあります。
そして、その内側にはまた別の境目があり、それも地震波で調べます。

  • P波
  • S波

地震波には2種類あります。
ばねを使って、それらの違いを見ていきましょう。

左の写真のように、波の進行方向に対して平行に振動する波をP波といいます。
P波のPは、Primaryの頭文字で、“最初の”という意味です。
P波は振動の伝わるスピードが速いため、地震が起きた時に最初に伝わります。

右の写真で見られる波は、波の進行方向に対して直角に振動する波、S波です。
S波のSは、Secondary(=第2の)の頭文字です。
S波は、スピードは遅いが、振動が大きいという特徴があります。

  • P波振動イメージ
  • S波振動イメージ

P波とS波の一番の違いは、P波は物質がどんな状態でも伝わるのに対して、S波は固体しか伝わらないということです。

P波は、岩盤を縦に叩いた時にできる波です。物質を構成する粒子が次々に押されて、振動が伝わっていきます。
それに対してS波は、岩盤を横に叩いた時にできる波で、岩盤の変形が伝わっていきます。

固体では粒子同士の結びつきが強いため振動が伝わりますが、気体や液体では粒子同士の結びつきが弱く振動が伝わりません。

地殻とマントルの不連続面は、P波の測定によって発見されました。
そして、S波をあわせて測定することによって、マントルの下にも境目があること、その境目の下がどうなっているかが分かりました。

P波とS波の観測

0°の場所で起きた地震のP波とS波を、地球上のさまざまな地点で観測すると、0°から103°までの地点にはP波もS波も届きました。
地震波を示す矢印が曲線なのは、マントルの中でも深さなどによって少しずつ違いがあり、細かく屈折が起きるからです。

143°から180°までは、P波だけが届きました。
103°から143°までは、P波もS波も届かないため、シャドーゾーンと呼ばれています。
このことから、P波を屈折させるような境目が、103°の地点に届く地震波の経路すれすれのところに存在すると考えられます。
P波がこの境目で屈折してそれてしまうことから、シャドーゾーンができるのです。
そして、S波が伝わらないことから、この境目の下側は固体ではないということも分かります。

地球の層構造

こうした調査の結果、マントルの下側には液体状のがあることが分かりました。
その後さらに、核の中心部は固体になっていると考えられるようになり、液体の外核と固体の内核に分けられています。

地球内部の構成物質
  • 玄武岩
  • 花こう岩

サワ 「地震って怖いし、大きな被害をもたらすこともあるけど、地球のことをよく知るために役立つこともあるのね。」

アイコ 「地震波の伝わる速さなどから、地殻やマントルがどんな物質で構成されているかも、分かるのよ。」


海洋地殻は、おもに玄武岩でできています。地球内部からわき出したマグマが、冷えてできた岩石です。
大陸地殻は、おもに花こう岩でできています。ただし、大陸地殻は複雑な過程で進化・成長したので、他にもいろいろな堆積岩や変成岩が分布しています。下の方には、海と同じ玄武岩の層があります。

  • かんらん岩
  • かんらん石はペリドット

上部マントルはかんらん岩でできています。火成岩の一種で、おもに かんらん石という鉱物でできています。
かんらん石はペリドットというきれいな緑色の宝石になります。

地球内部の構成物質

地殻は玄武岩や花こう岩、マントルはかんらん岩がおもな構成物質です。
核は、岩石より密度の高い鉄やニッケルなどの金属でできていると考えられています。

  • 鉄質いん石

地球内部の様子を詳しく知るためには、宇宙から降ってきた鉄の塊である、鉄質いん石などが役立っています。


サワ 「うわ、鉄質いん石って重〜い!!でも、どうして、これで地球の内部が分かるの?」

  • 慶應義塾高等学校 教諭 松本 直記さん
  • 鉄質いん石

アーカイブスにアクセスして、慶應義塾高等学校 教諭 松本 直記さんに聞いてみました。

サワ 「宇宙から降ってきたもので、どうして地球の内部のことが分かるんですか?」

実は、地球に降ってくる いん石は、元は惑星になれなかった天体のかけらなんです。
いん石にもいろいろあって、構成物質を調べるといくつかの種類があります。
右の写真は、鉄でできている鉄質いん石です。

  • 石質いん石
  • 石鉄いん石

多くのいん石は、左の写真のような 岩石でできている石質いん石で、成分はかんらん岩に似ていることが多いんですよ。

アイコ 「かんらん岩って、マントルの構成物質でしたよね?」

はい、そうです。
さらに、右の写真のような、鉄と かんらん石が混じり合った石鉄いん石というものが見つかることもあります。

いん石の元となった天体に層構造ができる

これらを総合して考えると、いん石の元となった天体が誕生します。
それが、ある程度の大きさになったところで、内部に層構造ができるわけですね。かんらん岩を主成分とするマントルと、鉄を主成分とする核ができます。

これが成長したところで、なんらかの理由で天体が破壊されて、そのかけらが いん石となって地球に落ちてきたわけなんですね。
ですから、地球もそのような天体と同じような内部構造で、似たような物質でできていると考えられます。

  • アイコとサワ

アイコ 「今は、空から降ってくるいん石を待っているだけじゃなくなっていますよね?」

そうですね。探査機を飛ばして、いろいろな天体の調査が行われています。
日本の「はやぶさ」や「はやぶさ2」が調べた、「イトカワ」や「リュウグウ」。これらの小惑星は、太陽系ができた46億年前の姿を色濃く残していると考えられています。
つまり、こういった探査によって、地球そのものがどういった物からできたのかということが、詳しく分かると期待されています。



サワ 「宇宙を調べると、地球のことがよく分かる。ちょっと不思議。」

アイコ 「そうね。地球のことをよりよく知るために、いろいろな方法を工夫しているのよ。」


それでは、次回もお楽しみに!

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