NHK高校講座

地学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、前年度の再放送です。

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今回の学習

第7回 第1編 私たちの宇宙の進化

太陽の素顔

  • 国立天文台准教授 縣 秀彦
学習ポイント学習ポイント

太陽の素顔

今回のテーマは“太陽の素顔”
  • アイコさん サワさん
  • 太陽と地球大きさの比較

アイコ 「サワさんは太陽を見たことがある?」

サワ 「ちゃんと見たことがあるかっていわれると、ないかも。だってまぶしいもん。」


太陽は地球から一番近くにある恒星です。
地球から太陽までは約1億5000万km、1秒間に約30万km進む光が8分19秒かかる距離です。
太陽の次に地球に近い恒星は、ケンタウルス座の方向にあるプロキシマ・ケンタウリで、地球に光が届くまでに4年以上かかります。
このことから、太陽が地球にいかに近いかが わかります。

太陽と地球の大きさを比べてみると、太陽の直径は地球の109倍、質量は33万倍です。

太陽の表面
  • 光球上の黒点
  • ひのでが観察した黒点

太陽はまぶしくて肉眼で観察することができないので、観察用のフィルターを望遠鏡につけて観察します。

可視光線で見る太陽の表面を光球と呼びます。
光球の温度は約5500℃で、ところどころに黒いシミのような黒点があります。

右の写真は2006年に打ち上げられた、太陽観測衛星ひのでが撮影した太陽で、黒点の様子を克明に捉えています。
黒点は周囲よりも1500℃から2000℃ほど温度が低く、そのため暗く見えます。

黒点は普通の望遠鏡でも観測することができます。


サワ 「太陽を虫眼鏡や望遠鏡で見るのは、絶対ダメだって教わったわ!」

アイコ 「そのとおり。だから、直接見ないやりかたで観測するの。」

  • 接眼レンズの後方に板をセット
  • 黒点を鉛筆でなぞって記録

埼玉県にある川口市立科学館では太陽の観測を毎日続けていて、その映像をインターネットで配信しています。
黒点を観測するために、望遠鏡の接眼レンズの後ろの板に太陽を映しています。

ところどころに見える黒い点が黒点で、これを鉛筆でなぞって記録しています。
毎日観測を続けると、黒点が動いていることがわかります。
太陽は地球と同じように自転しているのです。

地球の自転周期はおよそ24時間ですが、太陽の自転周期は赤道付近と極付近、つまり北極と南極では違っています。
地球は固体ですが、太陽は水素やヘリウムなどのガスの塊のため、場所によって自転の速さが違います。
赤道付近では約25日、極付近では約30日で自転しています。

  • 地球の磁力線
  • 太陽の磁力線

場所によって自転周期が違うということは、黒点に関係しています。
地球には、左の写真のように南極と北極を結ぶ磁力線があります。
太陽にも磁力線がありますが、右の写真のように 地球と違ってバラバラで、時間につれて変化します。

  • 形を変える磁力線
  • 表面を突き抜けた磁力線

実は太陽の赤道と極で自転周期が異なるために、太陽の磁力線は複雑に形を変えているのです。
黒点は、太陽の磁力線が集まって太陽の表面を突き抜けたところと考えられており、黒点を観測することで太陽の磁力線がわかってきます。

  • 粒状斑
  • 粒状斑のできるイメージ

左の写真は粒状斑(りゅうじょうはん)です。
太陽のような恒星では、中心にある中心核で核融合反応が起き、ばく大なエネルギーを生み出しています。
エネルギーは、中心から外側に向かって放射によって伝わりますが、表面に近づくと物質が対流することで伝わっています。
その”対流が太陽の表面に現れた部分”が、粒状斑なのです。



サワ 「対流って水とか空気とかを温めると温かくなったところが上昇して、そこに冷たいところが流れ込んでグルグル回る……。お味噌汁作るときに、温まったらお味噌が雲みたいに下から沸き上がってくる、あんな感じかな。」

アイコ 「それ、いい例えかも!」

太陽の大気
  • 皆既日食イメージ
  • コロナと彩層

月が太陽を完全に隠してしまうのが、皆既日食です。
地球から見た 太陽と月の大きさがほぼ同じであることから起きる現象です。
皆既月食では、普段は明る過ぎて見ることができない、太陽の大気を観察することができます。

太陽を覆っている大気がコロナです。
コロナと光球の境目には、赤いガスの彩層が見られます。

  • プロミネンス
  • プロミネンスと地球の比較

彩層の外側に赤い炎のように見えるのがプロミネンスです。
プロミネンスは彩層のガスが、太陽の磁力線に沿って飛び出したものです。
形はさまざまで、中には数十万kmの高さになるものもあります。
右の写真でプロミネンスと地球とを比べてみると、その大きさが実感できます。

  • コロナ加熱問題

太陽の大気には、まだ解明されていない大きな謎、「コロナ加熱問題」があります。

太陽の中心核の温度は、約1500万℃です。
外側に向かっていくにつれ徐々に温度は下がり、光球では5500℃ほどになります。
ところが彩層で再び温度が上がり、さらにコロナでは彩層の100倍から200倍にまで温度が上昇するのです。

太陽の表面がおよそ5500℃なのに、その上空にあるコロナが100万℃以上の超高温であるという謎、それがコロナ加熱問題です。
現在、「ナノフレア加熱説」と「波動加熱説」という2つの有力な説がありますが、まだ解明には至っていません。


サワ 「まだまだ謎がたくさんあるのね。いつか、すべての謎が明らかになる時がくるのかな。」

アイコ 「『身の回りにはまだわからないことがたくさんある』っていうことを知るだけでも、とても意味があると思うわ。」

太陽のスペクトル
  • スペクトル
  • 虹のスペクトル

虹ができやすい雨上がりには、雨粒が大気中に漂っています。その雨粒を太陽の光が通過すると、波長ごとに分解されます。
光を波長で分けたものをスペクトルといいます。
スペクトルができるのは、波長によって屈折率が異なるためで、虹は太陽の光のスペクトルなのです。

  • プリズムの分光
  • 太陽のスペクトル

太陽のスペクトルを観察できるのは、虹だけではありません。
プリズムを使えば、スペクトルを観察することができます。
望遠鏡にプリズムをつけて、太陽の光を観察してみます。
右の写真は、太陽のスペクトルです。

吸収線(フラウンホーファー線)

太陽のスペクトルには、ところどころに暗い線が見られます。
この暗い線を吸収線、またはフラウンホーファー線といいます。

吸収線が暗いのは、太陽に含まれる成分が吸収線と同じ波長の光を吸収しているからです。

  • 国立天文台 准教授の縣 英彦(あがた ひでひこ)さん
  • トンネルでよく見るオレンジ色の照明

サワ 「太陽に含まれる成分が、吸収線と同じ波長の光を吸収しているってどういうこと?」


アーカイブスにアクセスして、国立天文台 准教授の縣 英彦(あがた ひでひこ)さんに聞いてみました。
吸収線から太陽の何がわかるのでしょうか。


トンネルなどで使われているオレンジ色の暗めの照明って見たことありますか?
この光をプリズムを使って見てみると、ある特定の波長のみで光っていることが確認できます。これを輝線と呼びます。
実は、このオレンジの光はナトリウムが出している光なんですね。
このようにプリズムで光を分光することによって、そこにどんな物質があるかが分かるのです。

吸収線もまったく同じ原理なんですね。ただし、太陽はとても明るいので不思議なことに、逆にその線が暗くなってしまうんです。これを吸収線、または暗線と呼んでいます。

太陽のスペクトルに現れる吸収線の位置、つまり波長とその強さで太陽の表面にある物質の種類とその量を調べることができるのです。

ところで、吸収線を別名フラウンホーファー線というのは、この吸収線を発見したのが、ドイツの物理学者フラウンホーファーだからなんですよ。

  • 次回もお楽しみに!

サワ 「フラウンホーファー線。わたしも何か新しい発見をして名前を残したいな。」

アイコ 「そのためには、テーマを決めて掘り下げて調べなくちゃね。」


それでは、次回もお楽しみに!

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