NHK高校講座

地学基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、2019年度の新作です。

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今回の学習

第4回 第1編 私たちの宇宙の進化

銀河と宇宙の大規模構造

  • 国立天文台准教授 青木和光
学習ポイント学習ポイント

銀河と宇宙の大規模構造

今回のテーマは「銀河」
  • アンドロメダ銀河
  • 局部銀河群

サワ 「天の川銀河って、遠い宇宙のはるかかなたの話かと思っていたけど、私たちの太陽系がその中にあったなんて驚いた。」

アイコ 「そうね。天の川を眺めるのは、自分の腕や足を見ているようなものかもね。」


宇宙には天の川銀河以外にも、たくさんの銀河があります。
左の写真は、地球から230万光年の距離にある、アンドロメダ銀河です。

1光年とは、1秒間に約30万km進む光が、1年間で進む距離(約9.5兆km)のことです。
したがって230万光年は、9.5兆km×230万ということになります。


気が遠くなりそうな距離ですが、それでもアンドロメダ銀河は、天の川銀河に比較的近い銀河であると言えます。

アンドロメダ銀河は、私たちの天の川銀河やほかの小さな銀河と一緒に局部銀河群というグループに属しています。

  • M100銀河
  • NGC6240銀河

左の写真はおとめ座銀河団に属しているM100という銀河で、直径は天の川銀河とほぼ同じです。

右の写真はNGC6240という銀河です。
アンドロメダやM100のような渦巻き型ではなく、2つの銀河が合体した複雑な形をしています。

銀河の誕生
  • 恒星の誕生
  • 小さな集団を作る星と星

最初の銀河は、ビッグバンから少し後にできました。


サワ 「少し後っていうけど、物質を形づくる原子ができたのがビッグバンから40万年後って聞いたわ。私たちが普段使う『少し後』とはぜんぜん違うんでしょう。」

アイコ 「ここで『少し後』っていうのは、ビッグバンの数億年後よ。宇宙について考える時は、一度私たちの常識を捨てて考えたほうがいいわよ。」


星はどのように集まり、銀河はどのようにできたのでしょうか。

宇宙に漂っていた水素やヘリウムのガスが、周囲より濃い部分では互いに引きつけあう力が働きます。そして、密度がますます高くなると恒星が生まれます。
星と星も互いの重力で引き寄せあい、やがて小さな集団を作ります。

  • 大きな星の集団に引き寄せられる小さな集団
  • 円盤状の銀河

周囲よりも大きな星の集団があると、強い重力によって小さな星の集団が引き寄せられます。そして星の周囲のガスも集まって円盤状になります。

こうして、銀河はどんどん成長していきます。
ガスが集まるにつれて回転速度が上がり、その中で星が活発に生まれます。

このように、何億年もかけて円盤状の銀河が形作られていきます。

さまざまな電磁波

宇宙には、人間には見えない波長の電磁波がたくさん飛び交っています。
さまざまな波長の電磁波を観測することで、目には見えない宇宙の姿が見えてきます。

  • 可視光線で観測したアンテナ銀河
  • 赤外線で観測したアンテナ銀河

左の写真は、地球から約6800万光年離れたアンテナ銀河を、可視光線で観測した画像です。アンテナ銀河は、2つの銀河が衝突して生まれました。

アンテナ銀河を赤外線で観測すると(右の写真)、輝く星とガスのようなものに分かれて見えます。赤外線は地球の大気などに吸収されやすいため、人工衛星にのせた宇宙望遠鏡を使います。

  • エックス線で観測したアンテナ銀河
  • 複数の電波を組み合わせ色分けしたアンテナ銀河

左は、超高温のガスの観測に適したX線で観測した画像で、青く見えるのがガスです。

右は、複数の波長の電波を組み合わせて色分けしたアンテナ銀河の姿です。可視光線で見るのとは、全く別の姿です。

このように、さまざまな電磁波を調べることによって、宇宙の本当の姿に迫ることができるのです。

暗黒物質
  • 暗黒物質

アイコ 「どんな電磁波を使っても見ることができない物質があるのよ。その名も暗黒物質。」

サワ 「見えなかったら、あるなんて分からないですよね?どうして、あるってわかるの?」

  • 白い箱と鉄球
  • 黒い箱と鉄球

例えば、白い箱の上に鉄球を置いて箱を傾けると、重力によって鉄球が落ちます。
重力は見えませんが、ものが落ちることで重力があることがわかります。

次に、黒い箱の上に鉄球を置いて箱を傾けてみますが、鉄球は落ちませんでした。
このことから、箱が磁石になっていることなどが予想されますが、いずれにしろ「この箱が鉄球を引きつける力を持っているから落ちない」と考えることができます。しかし、この「力」を見ることはできません。

姿や形が見えなくても、周りのものが何かしら影響を受けているとき、その原因になる何かがあると考えることができ、それが暗黒物質です。
暗黒物質は、驚くほどたくさんあることがわかっています。

  • 離れていく銀河
  • 暗黒物質によりつなぎ止められている銀河

宇宙では、近くにある銀河同士が互いの重力で影響を与え合い、大きな集団を作っている銀河団があります。
しかし、それぞれの銀河に属している星やガスの重力だけではまとまりを保てず、やがて離れていってしまうことがわかっています。

実はそこには、未知の物質である暗黒物質が大量に存在していて、その重力が銀河をつなぎ止めていると考えられているのです。

  • すばる望遠鏡
  • 暗黒物質の分布図

ハワイにある日本のすばる望遠鏡は、宇宙のどこにどれくらいの量の暗黒物質があるのかを測定することに成功しました。

右の図は観測によって明らかになった暗黒物質の「地図」です。
緑色の部分が暗黒物質の多いところを、青色の部分が暗黒物質の少ないところを表します。
宇宙に大量にある暗黒物質は、ほかの天体に重力を及ぼしますが、そのほかにはほとんど何も作用しないことがわかってきました。

さまざまな工夫を重ねて、暗黒物質の謎に一歩ずつ近づいています。

宇宙の大規模構造
  • 4次元デジタル宇宙ビューワーMitaka太陽系
  • 4次元デジタル宇宙ビューワーMitaka銀河系

宇宙全体はどんな形をしているのでしょうか。

4次元デジタル宇宙ビューワーMitaka(ミタカ)を使って時間や視点を自由に動かし、宇宙の姿を見ることができます。
(4次元デジタル宇宙ビューワーMitakaは国立天文台のホームページから無料でダウンロードできます。詳しくは国立天文台のホームページをご覧ください。)

左図の中央にあるのが太陽です。範囲を広げていくと太陽系が遠ざかっていき、天の川銀河が見えてきます。

  • 4次元デジタル宇宙ビューワーMitaka宇宙全体
  • 4次元デジタル宇宙ビューワーMitaka未観測部分

さらに広げていくと、光る点一つ一つは星ではなく、1つの銀河を表すようになります。

図からわかるように、宇宙全体は立体的な網目状になっています。
銀河が全くない部分はまだ観測できておらず、実際は網目状になっていると考えられています。

宇宙がこのような形になっているのにも、実は暗黒物質が深く関っています。

  • 宇宙誕生直後の暗黒物質
  • さらに密度の高くなった暗黒物質

本来目に見えない暗黒物質を、青色で表した画像です。

約130億年前、宇宙誕生の直後は暗黒物質は宇宙空間にほぼ均一に存在していましたが、ごくわずかな密度のばらつきがありました。
密度が高い部分は周囲に比べて重力が強いため、密度が低い部分の暗黒物質を集めて密度が高くなり、重力も強くなります。

  • 宇宙の大規模構造

こうして、暗黒物質は次第に網目状の構造を形作っていきます。暗黒物質の密度が高いところには、星を作る材料も引き寄せられ、やがて銀河へと成長していくのです。

銀河は暗黒物質の網目に沿って生まれ、網目が交差する節には銀河の大集団である銀河団が形成されます。このような網目状の構造を宇宙の大規模構造と呼んでいます。

網目構造のなぞ
  • 国際天文台 准教授の青木 和光さん
  • 全天にわたる宇宙背景放射の分布

サワ 「銀河がないところに、代わりに暗黒物質があるんじゃなくて、銀河と暗黒物質は同じ場所にあるんだ。でも、そもそも大規模構造ができる元になった『密度のばらつき』がよくわからなくて……。」

国立天文台 准教授の青木 和光さんに疑問をぶつけました。

密度のばらつきは、既に観測データとしてとらえています。宇宙の背景放射というのを覚えていますか?

アイコ 「宇宙の晴れ上がりの時の光が140億光年のかなたから電波として地球に届いているんですよね。」

右図では、見やすいように色をつけていますが、実際の電波の強さの差は平均の強さの10万分の1程度なんですね。
そのわずかの差が重力の作用で少しずつ大きくなっていって、何十億年という時間をかけることで、宇宙の大規模構造が生まれていったのです。

  • それでは次回もお楽しみに!

サワ 「でも、まだ分からないことがあるんですよね?」

その通りです。これ以上の詳しいことになると、分からないことだらけです。
例えば、最初に星が生まれたのはビッグバンから何億年後だったのか、銀河がどのようなプロセスを経て生まれたのか。
こうした具体的なことを観測で確かめるには、今ある望遠鏡だけでは不十分で、より高性能の新しい望遠鏡を作る必要があります。


サワ 「宇宙って、何十億年とか何万光年とかとんでもないスケールと思ったら、実は10万分の1のわずかな差が影響を及ぼしているとか、知れば知るほど面白い。」

アイコ 「そうね、人間だって、わずかな違いが最終的には大きな違いを生むってことがあるからね。」


それでは、次回もお楽しみに!

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