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物理基礎

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:30〜10:50
※この番組は、前年度の再放送です。

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物理基礎

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今回の学習

第29回 第2編 さまざまな物理現象とエネルギー

管楽器の音を調べる 〜気柱の共鳴〜

  • 物理基礎監修:駒場東邦中学校・高等学校教諭 市原 光太郎
学習ポイント学習ポイント

管楽器の音を調べる 〜気柱の共鳴〜

管楽器の音の出し方
  • フルートに挑戦!
  • リコーダーなら吹ける?

この間はギターの練習をしていたノブナガですが、今度はフルートを練習しています。
しかし、なかなか音が出ないようです。


リコ 「お兄ちゃんにぴったりのもの、見つけたよ。」

ノブナガ 「リコーダーじゃん。」

リコ 「吹いてみてよ。……ほら、音が出た。」

ノブナガ 「だって、リコーダーは中学校や小学校でやったことがあるからできるよ。僕は、フルートが吹きたいの!」

父 「ノブナガ、そうは言うけど、他の音は出せるの?」

ノブナガ 「当たり前じゃん。 <ドレミファソラシド〜♪> ほら、リコーダーは、もう余裕!」

父 「では、どうしてリコーダーなどの管楽器は、1本だけの筒から高さの違う音が出るのか、わかるかな?」

ノブナガ 「それは、考えたことなかったかも。」

父 「なぜリコーダーは違う高さの音が出せるのか、考えてみようね。」

  • 長さの違う筒
  • たたくと音階に

長さの違う筒を8本用意しました。
この筒をそれぞれが両手に持ち、長いものから順に、腕を叩いていきました。
すると、叩いて出た音は、しっかり音階になっていました。

前回の「弦楽器」では、固有振動数というものを学びました。
弦の張り具合や太さ、弦の長さが、音の高さを決めていました。

弦の振動で音が出る弦楽器に対し、管楽器の音は、筒の中の空気が振動することで音が出ています。
そして、管の長さが長いときには低い音、短いときには高い音が出ます。
このように、管楽器の音の高さは筒の中の空気の状態や、管の長さで決まります。


リコ 「リコーダーに穴が開いているのは、筒の長さを変えるためなんじゃない?」

父 「なるほど。リコが言うように、穴をふさぐことで筒の長さを変えたことになるのか、調べてみよう。」

気柱と定常波
  • 普通のリコーダーと切断されたリコーダー
  • 同時に吹くと同じ高さの音

「穴をふさぐ」ことは、筒の長さを変えることになるのでしょうか。
切断したリコーダーと、普通のリコーダーで比べてみます。

ノブナガは普通のリコーダーでラの音を、リコは切断されたリコーダーですべての穴をふさいで吹いてみます。
2人同時に吹くと、同じ高さの音が出ました。


父 「実は、リコの方は、ラの音が出るところでリコーダーを切ったんだよ。」

リコ 「つまり、穴をふさぐという行為は、筒の長さを変えていたと言えるわけね。」

父 「そう。リコの仮説が合っていたということだね。じゃあ今度は、筒の中でどのようなことが起きているのか調べてみよう。」

  • 管楽器も共鳴する?

父 「ギターの実験のこと、覚えてる?」

ノブナガ 「弦に振動を与えて固有振動数と一致すれば、定常波が生じて大きく振動して、共鳴する……って話だよね。」

母 「でも、リコーダーみたいな管楽器も、共鳴ってするの?」

父 「うん、管楽器の管も、そうなんだよ。筒の中の空気、物理では『気柱』っていうんだけど、この気柱が振動することによって音が出るんだ。外部から加えた音の振動数が、リコーダーの固有振動数と一致すれば、定常波が生じて共鳴するはずなんだよ。ちょっと、実験してみようか。」

  • リコーダーの窓にイヤホン
  • ラの音に共鳴する振動数

リコーダーの「窓」と呼ばれる部分にイヤホンを付けて、音を流します。

ノブナガにラの音が出るよう穴を押さえてもらうと、音が大きくなりました。
共鳴している状態です。
次にシの音が出るように穴をふさぐと、音は小さくなりました。

このことから、イヤホンから流した音の振動数は、ラの音が出る気柱と共鳴するということが言えます。

  • 定常波

父 「ノブナガ、この図は覚えてる?」

ノブナガ 「うん。……なんだっけ?」

リコ 「お兄ちゃん、定常波の実験だよ!」

父 「弦楽器のときに、ゴムひもを弦に見立てたよね。」

  • 15Hz
  • 30Hz
  • 45Hz

前回のおさらいです。

振動数が、ゴムひもの固有振動数に達すると、腹が1つできました。
このときの振動数は15Hzです。
振動数を2倍の30Hzに上げると、節ができて、2つの腹ができます。
最初の振動数の3倍、45Hzまで振動数を上げていくと、中央に節が2つできて腹が3つできました。

腹と腹、節と節が等間隔になっており、定常波ができています。


母 「弦楽器の場合は定常波は目に見えたけど、管楽器の場合は目に見えないから、本当に定常波があるのかわからないわよね。」

リコ 「もし定常波があるなら、腹と節があるはずだよね。」

父 「じゃあ、本当に定常波ができているのかどうか、実験で調べてみよう。」

定常波を探す
  • アクリルパイプで実験
  •  棒の先端にマイクと豆電球

父 「今度はリコーダーの代わりに、透明のアクリルパイプを使って実験をやっていくよ。リコが言うように、定常波がこの中にできているのなら、腹と節があるはずだね。実は、節の周辺では音が聞こえて、腹の部分では音が聞こえないんだよ。だから、パイプの中で音が聞こえる部分と聞こえない部分が、等間隔で交互にあれば、それが腹と節。つまり定常波があるということになるんだ。」

ノブナガ 「でも、アクリル管の音が聞こえる場所と聞こえない場所って、どうやってわかるの?」

父 「それはね、こんなものを作ってみたんだ。」


お父さんが用意した細長い棒の先端にはマイクと豆電球が付いており、大きな音をマイクが拾うと豆電球が点灯します。

この棒をアクリルパイプの中に入れると、節の部分では豆電球が点灯し、腹の部分では豆電球は光らないはずです。

  • 節では豆電球が光る
  • 豆電球が消える腹にシールを貼る
  • アクリルパイプの中にも定常波

アクリルパイプの片側から音を鳴らして共鳴させ、棒を入れます。


母 「あっ、光った!音が聞こえている場所が節で、豆電球の消えたところが腹。」

父 「じゃあノブナガ、電球が消えたところに赤いシールを貼ってくれる?じゃあ、続けて消える場所を探していくよ。」

ノブナガ 「等間隔で腹があるね。」

父 「音が大きい場所と小さい場所があったよね。つまり、節と腹があるということがわかるね。しかも、半波長ごとに腹があるから、定常波があると言えそうだね。」

開管と閉管
  • 開管と閉管の筒
  • 閉管した筒は音が低い

父 「アクリルパイプも この筒も、両方とも口が開いているね。これを、開管というんだ。そして、キャップで片方の穴をふさいだもの、これを閉管というんだ。」

母 「なにか違いがあるの?」


お父さんが筒を叩いてみると、閉管した筒は開管した筒に比べて低い音が出ました。


父 「閉管にすると振動数が減って、音が低くなるんだね。じゃあ、閉管のときはどうなるのか、アクリルパイプに栓をして定常波を見てみよう。」

  • アクリルパイプに栓
  • 開管と閉管の比較

開管のときと同様に、音に反応する電球を閉管になったアクリルパイプに入れます。
そして、電球が消えた場所に、今度は青いシールを貼っていきます。

閉管と開管を比べると、閉じている端では節、開いている端では腹になっていることがわかります(右写真)。


閉管は、固定端反射をします。
閉じている端は固定端なので、必ず定常波の節となります。

一方、開管は自由端反射をします。
開いている端は自由端なので、定常波の腹となります。

このように、開管と閉管では定常波の形が異なります。

閉管にできる定常波
  • 閉管の気柱
  • 弦の定常波

父 「閉管の振動数から、まず詳しく見ていこう。共鳴した振動数の中で一番小さいものが基本振動で、今回は100Hzなんだね。」

母 「じゃあ、弦のときと、この基本振動の形が違うってことね。」


閉管した気柱では、閉じている端は必ず節になっていて、開いている側は必ず腹になっています。
そのため、倍振動の振動数は、基本振動数の奇数倍にしかなりません。

  • 線で区切る

閉管の気柱の図を、線で区切って見てみます。

基本振動と同じ形が、3倍振動の図には3個入っています。
基本振動の波長の1/3で、音の速さはどちらも同じなので、振動数は3倍になります。

同様に、5倍振動の場合は、基本振動の形が5個入っています。
波長は基本振動の1/5なので、振動数は5倍になります。

開管にできる定常波
  • 開管の気柱
  • 音は縦波

続いて、開管の気柱について考えてみます。

開管で開いている端は、自由端なので必ず定常波の腹になります(左図)。
そのため、倍振動の振動数は、基本振動の振動数の2倍、3倍となっていきます。

閉管の例と同じように、線で区切って見てみます。
基本振動が200Hzの場合、2倍振動の400Hzのときには、基本振動の形が2つ含まれています(左図中段)。
つまり、波長は基本振動の半分になっています(左図下段)。

3倍振動では、基本振動の形が3個あります。
波長は1/3で、振動数は3倍の600Hzということがわかります。


ノブナガ 「ねえお父さん、音って縦波だったよね。でもこの図を見ると、あまり縦波に見えないんだよね。」

父 「確かに、かなりイメージしにくいかもしれないね。わかりやすい映像があるから見てみようか。」

縦波の定常波
  • 実験装置
  • ひもが動かない場所が節

弦巻ばねを空気に見立てて、縦波の定常波を見ていきます。
上写真の装置を使い、弦巻ばねを振動させていきます。

ひもが動かない場所が、節になります。

  • 振動数を上げると節が増える
  • 横波に変換

さらに振動数を上げていくと、ひもがほとんど動かない場所が増え、たくさんの節ができていることがわかります。
空気は見ることができませんが、このように振動して、定常波ができています。

横波に変換すると、右写真のように表されます。

  • 真ん中の節に注目
  • 疎密が交互に入れ替わる

さらに、真ん中の節に注目して見てみます。
疎、密、疎、密……と、交互に入れ替わっていることがわかります。


父 「定常波の節の部分の密度変化が最も大きくて、腹の部分は密度変化が小さいんだ。先ほど、アクリルパイプに電球を通す実験をやったでしょう?腹の部分で電球が消えたのは、腹の部分の密度変化が小さいからなんだね。人も電球に付いていたマイクも、空気の圧力変化で音を聞いているので、圧力変化が無い腹では きわめて音が静かだということなんだね。」

  • 練習あるのみ!
  • 次回も、お楽しみに!

ノブナガ 「フルートも、振動数を合わせると上手く音が出るはず!……え〜、出ない。なんで〜?」

母 「原理がわかっても、吹けるかどうかはまた別の話ね。」

リコ 「お兄ちゃん、練習あるのみ!」

父 「そうだぞ。ノブナガ、頑張れ!」


〜お父さんのひと言〜

管が共鳴しているとき、中には定常波ができているはずですね。
でも、その定常波は目には見えません。
みなさんは今日の学習で、この定常波の存在を信じることができましたか?
「教科書に書いてあるから」「先生が言っているから」といって信じているのでは、ダメです。
科学的な根拠に基づいて信じなければいけません。
そのためには、簡単に納得せずに信じる努力も必要なんですね。
同じことは、人を信じることにもつながります。
人を信じることは大切ですが、妄信はいけません。
信じるためには、あなたも努力する必要があるんです。



それでは、次回もお楽しみに!

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