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物理基礎

Eテレ 毎週 水曜日 午後2:20〜2:40
※この番組は、前年度の再放送です。

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物理基礎

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今回の学習

第24回 第2編 さまざまな物理現象とエネルギー

波は何を伝えるのだろう 〜波の伝わり方〜

  • 物理基礎監修:東京都立八王子東高等学校教諭 野口 禎久
学習ポイント学習ポイント

波は何を伝えるのだろう 〜波の伝わり方〜

  • 家の中に糸電話
  • 糸が振動して波となって伝わる

リコが家に帰ってくると、部屋と部屋との間に糸が張られています。
お父さんが、お母さんといつでも会話できるようにと、作業場とキッチンを糸電話でつないでしまいました。


母 「糸電話って、ほんと不思議よね。どうして、これで声が伝わるんだろう?」

リコ 「また始まった、お母さんの『ふしぎ』。でも、糸電話は小学校の時に作ったよ。」

父 『そうだったね。』

リコ 「あっ、お父さんだ。お父さん聞こえる?」

父 『はい、聞こえますよ。糸電話で声が伝わるのはね、実は、糸が振動して波となって伝わっているからなんだ。』

母 「振動?波?それってどういうこと?」

父 「糸電話の声が、なぜ伝わるのかというのは、『波』というものを、ちゃんと理解できればわかるんだよ。」

いろいろな波

父 「じゃあ、糸電話と波の関係を考えていこうか。波といったら、まず何を思い浮かべる?」

リコ 「海岸に打ち寄せる波。」

父 「寄せては返す海の波だね。」

母 「水たまりに落ちる波紋とか。」

父 「それも、水面を伝わる波だね。」

ノブナガ 「あと、電波。携帯電話の電波も波だね。」

父 「色々な波をちょっとまとめてみたよ。まず、みんなの声は音波というよね。そして、先ほどからよく出ている水の表面に伝わる水波。それから、携帯電話なんかの電波。波ってつくね。さらにね、実はものを見るときの光。これも電波と同じ仲間で、『電磁波』というんだ。さらに地震波。地震波にはP波とS波がある。」

波の形
  • 波の形とは?
  • 点はどう動く?

父 「ところで、どれも波という言葉がつくんだけど、一体どんな共通点があるんだろうね。」

リコ 「うーん、波と言ったら波の形じゃない?」

父 「なるほど、つまりこんな形かな?(左写真)」

母 「あー、それそれ。波っていったら、そういう形よね。」

父 「波といえば、確かにこんな形を思いつくよね。」

ノブナガ 「じゃあ、波の共通点はこういう形をしているということなの?」

父 「波は、こんな形が移動しているようには見えるね。すると、波のこの青い点は、どう動いていくのかな?(右写真)」

母 「それは、波の進む向きに合わせて動いていくっていう……。」

父 「なるほど。点の部分が、波と一緒に動いていくということだね。じゃあ、実際にどうなっているのか、実験で見てみよう。」

波の上の物体の動き
  • 波の上の物体の動き
  • ボールはその場に漂う
  • 横から見てもボールの位置はほぼ変わらない

水槽で波を作り、波の上の物体の動きを見てみます。

水の上に、発泡スチロールのボールを浮かべ、水面を揺らして波を作ります。
波の上のボールを見ると、上下に揺れています。
波は左から右に進んでいますが、ボールはその場で漂っています。
真横から見ても、ボールの位置はほとんど変わりません。

波の上の物体は、波と同じようには進みません。

波の形
  • 波は水面の振動が隣に伝わっているだけ

ノブナガ 「水の波は移動しているみたいだったけど……。」

リコ 「うん、ボールは揺れていただけだったね。」

父 「ボールは、その場に上下に揺れているだけで、波と共に移動はしなかったよね。実は、波は水が横に移動しているのではなくて、水面の振動が次々と隣に伝わっているだけということなんだね。」

母 「振動が伝わるだけ……。それってどういうこと?」

父 「じゃあね、こんな実験を見てみようか。」

  • ウェーブマシン
  • 1本のストローに注目

お父さんが用意したのは、ウェーブマシンです。
ストローを等間隔に並べて、真ん中をセロハンテープで貼って作っています。
ストローの端を1本持って揺らすと、波を作ることができます。


父 「じゃあね、ストローの動きに注目してみようか。この青色のストロー1本だけの動きをよく見ててね(右写真)。」

リコ 「上下に動いている……だけ?」

ノブナガ 「同じ所で揺れているよね。」

父 「そうだよね。だけど、全体を見ると……?」

母 「ストローの動きが、隣へ隣へ伝わっているってこと?」

父 「まさにそうだよね。1本1本のストロー自体は、ただ振動しているだけなんだけど、その振動が次々と伝わっていくのがよくわかるよね。波というのは、形が大切なのではなくて、何かの振動がまわりに伝わっていくという現象なんだね。」

ノブナガ 「何かの振動って、この装置で言えば、ストローの振動ってことになるのかな。」

  • 波源
  • 媒質
  • 波は、振動が伝わるだけ

波が作られる最初の場所、振動が起こるところを「波源」といいます(左写真丸印)。
また、振動を伝える物質を「媒質」といいます。
この装置では、ストローのついたセロハンテープが媒質です。

水の波でいえば、水が媒質になります。
また糸電話でいえば、糸が媒質になり、声が伝わります。

あくまで振動が伝わるだけであり、波の形をした物質が、丸ごと移動していくわけではありません。

  • 糸電話の仕組み
  • 音は空気の振動

母 「じゃあ、糸電話の糸はこんな風に波打ってるの?そうは見えないんだけど……。」

父 「そうだよね。それにはまず、声や音がどのように伝わっているのかということを知る必要があるよね。糸電話で声が伝わる様子を見てみよう(左図)。声は初め、空気を伝わって紙コップの底を振動させるね。その振動が糸を振動させて伝わっていって、もう一方のコップの底を振動させる。そうすると、これが空気の振動になって音として聞こえるというわけなんだ。」

リコ 「音は空気の振動だって、習ったことがある!」

父 「そうだよね。じゃあ、空気はどんな風に振動しているのか、こんな実験で見てみよう。」

  • 太鼓を叩くと表面はどうなるか
  • 空気は音の進む方向に沿って振動する

太鼓をバチで叩いて鳴らすと、太鼓の表面はどうなるのでしょうか。

スローモーションでその様子を見てみると、太鼓の皮が振動しています。
太鼓の前にロウソクを並べて立てて太鼓を叩くと、太鼓の皮の振動に合わせて炎が左右に揺れています。

空気は、音の進む方向に沿って振動しています。

  • 糸を伝わる波の形は“〜”ではない
  • バネのおもちゃで実験

父 「音が進む方向に空気が振動していることがわかったよね。その振動がコップに伝わって、このコップの底を振動させる。そのことによって、糸が振動する。糸を伝わる波は、こういう波の形ではないんだよね。」

母 「えっ?じゃあ、本当はどんな形なの?」

父 「そこでね、このバネのおもちゃを使って説明するね。」

  • バネで音の波を伝える
  • 音の波

父 「今から、お父さんがノブナガに音の波を送るね。いくよ。」

母 「おー、すごいすごい。伝わっていく。」

リコ 「え?お父さん、これも波なの?」

父 「もちろん、振動が伝わっていく現象だから、これも波といえるんだよ。」

  • 横波
  • 縦波

バネに印を付け、その動きに注目してみます。

左写真は、進行方向に対して媒質の振動が横方向になっており、これを横波といいます。
それに対して、右写真の波は進行方向に対して媒質が縦になっており、これを縦波といいます。


母 「波に、縦とか横とかあるって何かちょっとややこしいね。」

  • 横波
  • これは横波?

父 「今度はね、ノブナガ、このバネを持ってくれる。こういう波を横波って教えたよね。じゃあね、縦に振ったら?」

母 「ん?縦に振っているから、これは縦波?」

父 「いやいや、よく間違えるんだけど、これも横波なんだよ。」

母 「えー、だって縦に振ってるでしょ。」

父 「お母さんは、上下に揺れているという意味で縦といったんだけど、縦波というのは、前後に振動して伝わっていく波のことなんだ。横波と縦波の違いというのは、波の進行方向に対して媒質が振動する方向の違いをいうんだね。」

リコ 「横波と縦波。波にも種類があるんだね。」

父 「形は全然違うのに、どっちも波というんだ。でも、どちらも同じような形に表すことはできるんだ。」

横波の特徴
  • 変位
  • 波形

振動する向きと波の進む向きが垂直になっているのが、横波です。
振動の中心から測った媒質の位置を、その時刻の変位といいます。

この媒質の変位 と振動する場所xの関係を、グラフに表します。
このグラフを、 −x グラフといいます。
矢印で表した変位の先端を結んだ曲線を、波形といいます。

縦波の特徴
  • 疎密波
  • 縦波の変位

縦波も同じように表すことができます。

バネが振動する向きと、波が進んでいく向きが平行である波を縦波といいます。
縦波は、バネのすき間の大きい所と小さい所があり、これが交互に伝わっていきます。
すき間の大きい所を「疎」、すき間の小さい所を「密」といい、縦波のことは「疎密波」ともいいます。

音は、このように縦波で伝わっていきます。
縦波も、横波と同じように変位で表してみます。

右写真の上図では、波が伝わってない状態のバネに等間隔に点が打ってあります。
下図はここに波が伝わってきた様子で、点が元の位置からどれだけずれているかを表す変位を、矢印で表しています。

  • 変位の矢印をy−xグラフに重ねる
  • 変位の向きを変換すると波に

父 「点は、大きくずれている所と、小さくずれている所があるね。この矢印の頂点を結ぶとどうなるかってわけだけど。まず下の グラフに、矢印を重ねてみようか。リコちゃん、この矢印の頂点を結んだら、どうなる?」

リコ 「うーん、ただの直線になるんじゃないの?」

父 「そうだよね。直線では、波の特徴が全然わからないよね。縦波を グラフにしようと思うと、変位も進行方向も 方向だから形を表しにくい。そこで、こんな変換をしてみようか。 軸の正の向きにずれた分は 方向の+方向に向ける。 軸の負の向きの変位は、− 方向に向けるという風に変換していく。」

リコ 「あっ、何か横波っぽい。」

父 「そして、矢印の先端を結んでみるとどうなるかな?」

ノブナガ 「横波みたいになった。」

父 「こういう風に横波と同じように グラフで表すことができれば、縦波も、場所ごとの変位が一目瞭然だよね。」

いろいろな波と縦波・横波

ノブナガ 「お父さん、でも縦波って音だけなの?」

父 「いい質問だね。さっき色々な波を挙げたよね。それをもう一度見てみよう。空気中や水中の音波などは縦波だ。そして、水波はね、まあかなり横波に近いって言っていいかな。電磁波はね、横波なんだよ。そして地震波には2種類あって、P波というのは縦波で、S波というのは横波なんだね。地震の波については、また今度教えてあげるね。」

リコ 「波って面白いね。」

父 「そうだろう。でも特別なものじゃなくて、私達の周りには波だらけなんだよ。」

母 「波だらけ?そんな感じ全然しないけど。」

波が伝えるもの
  • 波は情報を伝える
  • アメンボは獲物が発する波を感じる
  • 波はエネルギーを伝える

私たちのまわりには、波がたくさんあります。

音波や光の波以外にも、電気の振動で情報を伝えています。
スマートフォンやインターネットは、電波という空間を伝わる波を利用して、情報のやりとりをしています。

また、生き物も波をうまく利用しています。
アメンボの獲物の見つけ方を見てみましょう。
アメンボの足の先には、水面の波を感じ取る特殊な毛があります。
獲物となる虫が水に落ちると波が起こります。
アメンボは、この波を感じ取って獲物を見つけています。

さらには、波はエネルギーも伝えます。
海流や海の波の、上下の振動を利用すれば、発電をすることも可能です。

  • お父さんのひと言

父 「私達が目で感じ取る光も波だからね。生き物は、波によって様々な情報を得ているんだね。」

ノブナガ 「波が伝わって来て情報をキャッチする。」

リコ 「うん、糸電話を使うと、糸の振動で気持ちが伝わるわけだね。」

母 「そうよ。糸の振動に気持ちを込めて伝えているのよね、お父さんね。」


〜お父さんのひと言〜

水波、音波、電波、地震波、どれも波と呼んでいますね。
波に共通なのは、振動が伝わっている現象ということでしたね。
でも、実は波に共通な性質は、もっともっとたくさんあるんです。
しかし、私がここでみなさんに伝えることができる波の性質は、ほんのわずかなんです。
でも、その波の面白さをみなさんに伝えることができれば、みなさんはきっと波に関する知識を増やすことができるでしょう。
ここで、もう一度今日のタイトルを考えてみましょう。
「波とは何を伝えるんでしょう」。

  • バネ入り糸電話
  • 次回もお楽しみに!

最後に、お父さんが作った面白い糸電話が登場です。
紙コップが糸だけでつながっているのではなく、間にバネが入っています。

一方が話すと、もう一方で聞こえてくる声は、エコーがかかったような音になります。
みなさんも、ぜひ試してみてください。


それでは、次回もお楽しみに!

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