Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。
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第29回
熱気球は、巨大な袋に温めた空気を送ることで、空中に浮きます。
そして、船のような巨大な鉄のかたまりも、中に空気を閉じ込めることで水に浮かびます。
これらの熱気球や船は、浮力が関係していますが、浮力とはどのような力なのでしょうか。
田畑 「みんな、これまでの経験の中で、浮力って、感じたことがありますか?」
二千翔 「私はプールなどに入っているときや、浮き輪に乗っているときに感じます。」
彩加 「ビート板を使うときに、押してもなかなか沈まないのは、あれも浮力なのかなと思います。」
藤本 「では、浮力というものを知るために、ピンポン玉を使って実験してみたいと思います。空中で、ピンポン玉を上から落とすと、下に落ちます。では、水に沈めて手を放すと、どうなると思いますか?」
二千翔 「浮くと思います。」
藤本チーフが、実際にピンポン球を水に入れて手を離してみると、ピンポン球は水面に浮かび上がりました。
これが浮力です。
重力と反対の向きに 物体にはたらく上向きの力を「浮力」といいます。
水に浮いている状態では、物体にはたらく重力と浮力はつりあっています。
たとえば気球など、空気中でも重力と浮力がつりあえば、浮いています。
先ほど、ピンポン玉が落ちてしまったのは、浮力が重力よりも小さかったためです。
この浮力の性質を使えば、モノの質量が分かります。
実際に、ジャガイモを量って確かめてみました。
水に浮かべたビーカーにジャガイモを入れると、ビーカーは沈みます。
そのとき沈む深さは、載せるモノの重さによって決まります。
今回は、500円玉を使い、ジャガイモの質量を調べてみました。
まずは、ビーカーを水槽に沈め、水面の位置に黒いテープで印をつけます。
次に、ジャガイモをビーカーに入れて、沈んだところに赤いテープを貼ります。
そして、ジャガイモを載せていない状態で、ビーカーが赤いテープまで沈むようにおもりを入れていきます。
そして、そのおもりの重さを量れば、ジャガイモの質量がわかります。
今回使ったのは、1枚約7gの500円玉です。
里奈ちゃんが500円玉をビーカーに入れていきます。
20枚目を入れたところで、赤いテープのところまでビーカーが沈みました。
この結果から、ジャガイモの重さは140gだと考えられます。
実際にはかりを使い、ジャガイモの重さを量ってみると、ほぼ140gでした。
このように、浮力を使えば、質量の測定ができます。
藤本 「この原理を使い、巨大な象の体重を量ることにしました。どのようにすれば、量ることができるのでしょうか。」
二千翔 「プールに浮かべた。」
彩加 「1枚7gの500円玉では大変なので、お米などを使って量った。」
田畑 「では、実際にどうやって量ったのか、大規模な実験の様子を見てみましょう。」
大きな象の体重を、どのようにすれば量ることができるのでしょうか。
まずは、象を乗せて、浮かばせるための道具を製作します。
象が乗っても沈まないように浮力を計算し、大きなドラム缶を金具でつないでいかだを作りました。
そして、そのいかだを水に浮かべます。
象が乗る前の水面の位置に黒い印をつけました。
象使いによって象がいかだに乗ると、いかだは沈み始めましたが、それでも十分に浮いています。
沈んだ位置に、赤いテープを貼ります。
象をいかだから降ろすと、最初の黒いテープの位置までいかだが浮きました。
この赤いテープまで沈むようにおもりをのせて、そのおもりを量れば、象の体重が分かります。
では、何をおもりに使ったのでしょうか。
今回、おもりに使ったのは大勢の「人」です。
人がいかだに乗って、その体重を合計することで、象の体重を量ることにしたのです。
人が次々といかだに乗っていきます。
赤いテープと大体同じ位置になったとき、いかだに乗った人数は54人でした。
いかだに乗った54人の体重を1人ずつ量り、足していきます。
そして、最後に象使いの人の体重、48kgを引きます。
合計すると、3295kgでした。
次に、はかりを使って象の体重を確かめてみると、3263kgでした。
いかだで量ったときとの誤差は、約1%と、ほぼ正確な値でした。
浮力の原理を使い、人をおもりにすることで、象の体重を量ることができました。
ここで、ガリレオ先生こと、川村康文先生(東京理科大学教授)に浮力について詳しく解説していただきます。
水中で浮くモノと沈むモノの違いを、普段からよく食べている野菜を使って実験してみます。
まずは、かぼちゃとにんじんで確かめてみます。
これらの野菜は水に浮くでしょうか。それとも、沈むでしょうか。
はかりでそれぞれの質量を量ります。
かぼちゃの質量は、約1.6kg、にんじんは約170gでした。
彩加 「私は、軽いモノが浮いて、重いモノが沈むと思います。かぼちゃは、重すぎるかな。」
実際に水に入れると、かぼちゃは水に浮き、にんじんは沈みました。
川村先生 「質量が大きいモノでも浮きますし、質量が小さいモノでも沈みます。つまり、浮く・沈むというのは質量だけで決まるというわけではないんです。」
「浮く」・「沈む」には密度が関係しています。
質量を体積で割った値のことを密度といいます。
水の密度は約1g/cm3(4℃)、かぼちゃの密度は約0.9g/cm3です。
かぼちゃの方が水よりも0.1g/cm3密度が小さいのです。
わずかこれだけの差でも、水に浮くことができます。
反対に水よりも密度が大きいと沈みます。
最後に、いろいろな果物が、それぞれ水に浮くか、沈むかを実験しました。
梨・リンゴ・ぶどう・キウイ・バナナのうち、すぐに沈んだのはぶどうとキウイでした。
梨は番組が終わるまでに、浮くのか沈むのか分かりませんでした。
果たして、梨は浮くのでしょうか、沈むのでしょうか。
それでは、次回もお楽しみに〜!
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