NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 春・夏・冬特別講座放送
※この番組は、前年度の再放送です。

ベーシックサイエンス

Eテレ 春・夏・冬特別講座放送
※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第28回

音色って なに? 〜振動する弦〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

音色って、なに? 〜振動する弦〜

  • 音の3要素
  • 正解

ロック、ポップス、ジャズにクラッシックなど、音楽には様々なジャンルがあり、多種多様な楽器が使われています。
楽器が出す音は、音の「大きさ」、「高さ」そして「音色」の3つの要素からできています。
今回は、この中の「音色」について、科学的に考えてみます。


まず、2つの楽器の音を聞いて、何の楽器かを当てることに挑戦します。
同じ音の大きさ、同じ音の高さで、2つの楽器のハ長調の「ラ」の音を聞きます。


田畑 「2つの楽器の違いがわかりましたか。」

里奈 「1番目はバイオリン、2番目の方は鍵盤ハーモニカ?」

彩加 「私も1番目はバイオリン!2番目はクラリネットなど笛系の楽器?」

田畑 「正解は、1番目の楽器はバイオリン、2番目の楽器はクラリネットでした。」

藤本 「では、同じ大きさの『ラ』の音を、どうして区別できたのでしょうか。」

二千翔 「音の出し方?」

彩加 「バイオリンは鋭さがあって、クラリネットは息?丸みがあった気がします。」

藤本 「実は、音色の違いにより、異なる楽器を区別できたのです。」

音色とは?
  • オシロスコープ
  • 音さ
  • 音さの波形

音色とは、どのようなものなのでしょうか。
音の振動を波の形で見ることができる「オシロスコープ」という機械を使って、計測してみました。
まずは、基準となる「音さ」でラの音を出してみると、単純な形になりました。

  • バイオリンの音
  • バイオリンの音の波形

続いて、バイオリンの「ラ」の音では、複雑な形になりました。
同じ「ラ」の音なのに、なぜバイオリンは、複雑な形になったのでしょうか。

  • バイオリンの弦の振動
  • 振動数ごとの音の大きさがわかるソフト

バイオリンの弦を見てみると、弦は、激しく振動しているのがわかります。
さらに、スローモーションで見てみると、大きなゆれの中に小さなゆれが重なり複雑に波打っているのがわかります。
複雑な弦のゆれを、振動数ごとの音の大きさがわかるソフトを使って、詳しく分析してみます。
横軸は振動数、縦軸は音の大きさを表しています。

  • 基準音となる音さの音
  • バイオリンの音

基準音の音さの「ラ」は、440Hzです。
つまり、1秒間に440回振動しています。

この音さで音を出した場合、440Hzのところだけ、音が出ているのがわかります。
これが「ラ」の基準の音です。

一方バイオリンでは基準音の440Hz以外に、1オクターブ上の880Hz、1320Hzと上がった音が出ていて、しかも音の大きさがそれぞれ異なっています。

これらの音が混ざり合ったのが、バイオリンの「ラ」の音です。

音色は、振動数ごとに大きさの違う音を組み合わせることで決まるのです。

1オクターブずつ上がる倍音とは
  • 倍音

ここで、ガリレオ先生こと、川村康文先生(東京理科大学教授)に詳しく解説していただきます。

バイオリンでは440Hz以外に、880Hz、1320Hz、1760Hzと、多くの音が出ていることがわかりました。
それぞれ基本音となる440Hzの2倍、3倍、4倍の周波数です。
これら、全体を含めて倍音といいます。

  • 開放弦の音
  • 弦の半分を抑えた音

倍音が分かる実験を行いました。

まずは、バイオリンの弦を何も触れずに弾き、基本の音を出します。
次に、弦の半分のところを指で押さえてみると、音が高くなりました。

川村先生 「実は、これが倍音です。基本音の1オクターブ上の音が倍音というわけです。バイオリンなどの弦楽器では、基本振動のほかに、多くの倍音が複雑に混ざることで、同じ『ラ』の音でも奥深くきれいな音が出ているのです。」


バイオリンの「ラ」の音の奥深さは人工的に再現できるのでしょうか。
振動数を分析し、倍音成分の音を作って、それを一つずつ足してグラフどおりになるようにしてみました。
合わさった振動は、果たしてどのような音になったでしょうか。

バイオリンの音は再現できるか?
  • 特殊な機械

バイオリンの音を再現するために、ある電子計測器メーカーを訪れました。
バイオリンの音を、特殊な機械を使って、人工的に再現していきます。

  • 6590Hzから順に、19倍振動までの大きさを入力
  • 機械で再現した音とバイオリンの音は

パソコンで作り出した基本振動に倍音成分の音を足していきます。

足す音の大きさは、バイオリンの倍音成分を分析した結果です。
基本振動の音の大きさ、6590Hzから順に、19倍振動までの大きさを入力しました。
こうしてできた波と、バイオリンの波と比べてみると、似ていることがわかります。

この波形の音は、どんな音色になるでしょうか?

機械と楽器の違いは?
  • バイオリンの音
  • 機械で再現した音

まず、バイオリンの「ラ」の音を鳴らして確認してみます。
続いて、機械で再現した「ラ」の音を聞いてみます。


田畑 「キュピトロンのみんな、どうでしたか?」

里奈 「似てはいますが、機械の方は少し音がこもっているように聞こえます。」

さまざまな要素からできている倍音
  • 機械で再現した時より多くの倍音がある
  • f字孔

川村先生 「先ほどの実験では、19倍くらいまでの倍音でしたが、実際にはもっと多くの倍音があります。その倍音は弦だけではなく、いろいろな要素があって、それで音色が生まれています。」

彩加 「いろいろな要素って、たとえば どんな要素ですか?」

川村先生 「たとえば、バイオリンだったら共鳴箱や、ボディのところに「f」の形をした “f字孔” という穴があり、そのような構造によって強められる倍音が異なってきます。このように多くの要素が複雑に混ざり合って、バイオリンの音色は生まれています。」


それでは、次回もお楽しみに〜!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約