NHK高校講座

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

ベーシックサイエンス

Eテレ 毎週 木曜日 午前10:50〜11:00
※この番組は、前年度の再放送です。

今回の学習

第26回

パンのようなものを作ろう! 〜化学変化とイオン〜

  • 科学監修:東京理科大学教授 川村 康文
学習ポイント学習ポイント

電気でパンを作ろう! 〜化学変化とイオン〜

パンのようなものを作るには?
  • 指令が書かれた紙を手にする彩加
  • お盆を持ってガリレオ先生が登場

テーブルの上に、田畑藤本の2人からのミッションが書かれた手紙が置かれています。

「オーブンなどの調理器具を使わなくてもパンのようなものが作れると聞きましたが、実際に作って確かめて!」

キュピトロンの3人が困っていると、ガリレオ先生こと、川村康文先生(東京理科大学教授)が材料を持って登場しました。


彩加 「先生、オーブンを使わずに、パンのようなものは作れるのでしょうか。」

川村先生 「作れます。今日は、調理器具を使わずにパンのようなものを作って、みんなにお見せしたいと思います。今回は、作る過程を通して物質の性質が変わっていく様子が見られる、『化学変化とイオン』について学んでいきましょう。」

里奈 「難しそうですね。」

川村先生 「今回3人に挑戦してもらうのは、変化の様子が分かりやすいように、一番シンプルなレシピで試してもらいます。」

パンのようなものを作る材料と道具とは?
  • パンの材料

川村先生が用意した材料は、小麦粉(150g)、精製水(124g)、重曹(6g)の3つです。
重曹は、野菜のあく抜きなどに使われています。

  • 水に重曹を入れる
  • 重曹が入った水を小麦粉の中へ入れる
  • さらに混ぜ生地を完成させる

まず、水に重曹を入れ、溶けるまでかき混ぜます。
これを小麦粉に入れてさらに混ぜ、なめらかになるように、よくかき混ぜます。
これで生地の出来上がりです。

  • 鉄板2枚、ガラスの容器、電気コード
  • 鉄板にコードをつなぐ
  • 電流計

鉄板2枚、ガラスの板、電源コードを用意し、これらを組み立てます。
電源コードは2枚の鉄板につなぎ、直接電気を流してパンのようなものを作ります。
電気が流れていることを確認するために、電気コードを電流計につないでおきました。

  • ガラス容器に生地を入れ、電源を入れる
  • 電流計の針が動く

容器の中にパンの生地を入れ、電源を入れます。
すると、電流計の針が動きました。

コンセントにつないだ後は、絶対に電極に触れないでください
電極に触れる場合は、コンセントを抜いてからにしてください



これによって、生地の中の電気が流れたことが分かります。

ここで、生地の中に電気が流れるのは、生地の中に入れた「重曹」がポイントです。

パンの生地の中を電気が流れるわけ
  • 電流が流れると、明かりが点く装置
  • ナトリウム(Na)、水(H)、炭素(C)、酸素(O)

重曹と電気が流れることには、どのような関係があるのでしょうか。
電流が流れると、明かりがつく装置を使って、考えていきます。

まずは重曹で試してみます。
重曹は、固体の炭酸水素ナトリウムで、ナトリウム・Na、水素・H、炭素・C、酸素・Oで構成されています。

炭酸水素ナトリウムを化学式で表すと、NaHCOになります。

  • 炭酸水素ナトリウムに、装置をつけても点灯しない
  • 炭酸水素ナトリウムを水に溶かすと点灯する

炭酸水素ナトリウムに、この装置をつけても明かりはともりません。
しかし、炭酸水素ナトリウムを水に溶かすと、明かりがともりました。

これは、なぜでしょうか。

  • 固体の重曹は・Na<sup>+</sup>とHCO<sub>3</sub><sup>−</sup>が結びついて動かない
  • Na<sup>+</sup>とHCO<sub>3</sub><sup>−<

炭酸水素ナトリウム・NaHCOの固体では、「+」の電気を帯びたナトリウムイオン・Naと、「−」の電気を帯びた炭酸水素イオン・HCOからできています。

固体の状態では、これらのイオンが結びついて動かないため、電流は流れません。

  • 水溶液の中でNa<sup>+</sup>とHCO<sub>3</sub><sup>−</sup>に分かれる

一方、炭酸水素ナトリウムを水に溶かした溶液では、なぜ電流が流れたのでしょうか。
水溶液の中の炭酸水素ナトリウムは、「+」の電気を帯びたナトリウムイオン・Naと、「−」の電気を帯びた炭酸水素イオン・HCOに分かれます。

  • イオンが溶液の中を行き来する(左側−極・右側+極)
  • イオンが溶液の中を行き来する(左側+極・右側−極)

溶液に電気を通すと、この2つのイオンが動きだして移動します。
電源が交流なので、電極が周期的に入れ替わると、それに応じてイオンが溶液の中を行き来します。
それにより、電気が流れるのです。
パン生地の中でも、このように、NaとHCOが行き来することで、電気が流れるのです。


彩加 「イオンって分からないんですけど……。」

川村先生 「炭酸水素ナトリウムで説明しましょう。固体でくっついていた物質が溶液に入ると、+は+の電気を帯びたイオン(Na)、−は−の電気を帯びたイオン(HCO)に分かれます。このイオンが電気を伝える担い手になって電流を通すのです。

パン生地から熱が発生するわけ
  • 電流が流れて熱が発生する

パン生地に電流を流し始めてから3分が経過しました。
様子を観察すると、ガラス容器がくもっています。

生地に刺した温度計で、温度を測ると、約70℃にまで上がっていました。
これは、生地の中に電流が流れて熱が発生したためです。

では、なぜ熱が発生したのでしょうか。
生地の中はどうなっているのでしょうか。

  • 生地の中でNa+と、HCO<sub>3</sub><sup>−</sup>が移動する
  • イオンが生地の粒子とこすれ合って、熱が発生する

生地の中では、+の電気を帯びたナトリウムイオン・Naと、−の電気を帯びた炭酸水素イオン・HCOが移動して分かれました。
このとき、イオンが生地の粒子とこすれ合って、熱が発生します。
この熱により、生地の温度が上がったのです。


川村先生 「熱が発生した理由は、分かりましたか?」

キュピトロン 「うーん……。」

川村先生 生地の中のイオンは、行ったり来たりすることで、ぶつかったり、こすれ合ったりして摩擦をして、激しく運動します。この運動で熱を発生させるのです。

キュピトロン 「なるほど。」

パン生地がふくらむわけ
  • 4分経過した生地

電流を流し始めてから約4分が経過しました。
スタート時と比べると、生地が膨らんできたことが分かりますが、これはなぜでしょうか。

  • 炭酸水素ナトリウムが熱により、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水に分かれる
  • 二酸化炭素と水蒸気が熱によって膨張する

生地が膨らんだ理由は、熱の発生と関係しています。
生地の中の炭酸水素ナトリウムは、熱によって、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水に分かれます。
このとき、発生した気体の二酸化炭素と水蒸気(水)が、熱によって膨張することで生地を膨らませた
のです。

パンのようなもの できあがりは?
  • 10分後の生地
  • 電流計の針が0を示す

川村先生 「約10分経ったので、生地を見てみましょう。」

キュピトロン 「表面が固まって、パンらしくなってきました。」

彩加 「パンのできあがりは、どうしたら分かるのでしょうか。」

川村先生 「電流が流れなくなったら、完成の合図です。ドロっとした状態だと、水分があるため電流が流れて熱が発生します。でも、発生した熱によって水分が蒸発しきってしまうと、水分がなくなってしまうから電気が流れなくなります。

二千翔 「そこでストップがかかるのか。」

川村先生 「そう!つまり、自動的にスイッチが切れてくれるのです。」


電流計の針を見てみると、針は「0」を指していました。
電流が流れていないことが確認できたので、ここで電源を切ります。

見事、調理器具を使わずにパンを完成させました。

  • 切り分けたパン
  • みんなでパンを食べる

最後に、田畑藤本の2人の登場です。
できあがったパンを切り分けて、みんなでおいしく食べました。


次回もお楽しみに〜!

科目トップへ

制作・著作/NHK (Japan Broadcasting Corp.) このページに掲載の文章・写真および
動画の無断転載を禁じます。このページは受信料で制作しています。
NHKにおける個人情報保護について | NHK著作権保護 | NHKインターネットサービス利用規約