NHK高校講座

ベーシック国語

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:00〜2:10
※この番組は、前年度の再放送です。

ベーシック国語

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今回の学習

第40回

言葉を伝える

  • 出演:杏林大学教授 金田一 秀穂
学習ポイント学習ポイント

言葉を伝える

言葉を伝える
  • 金田一秀穂先生
  • カレンさんとオウムさん

今回の授業のテーマは「言葉を伝える」です。
滝沢カレンさん、オウムさんと一緒に学習していきましょう!
教えてくれるのは、金田一秀穂先生です。

先生「ベーシック国語、最後の授業なんですけども。(今まで)言葉についていろいろと勉強してきたと思うんですが、今回は言葉で気持ちを伝える、心を伝える。それにはどうしたら良いかを学びましょう。」
カレン「楽しそう!」
先生「今までいろんな人がいろんなことを書いています。それらは気持ちを伝えるために書いているんだけど、(今回は)私が思う一番気持ちが伝わる手紙を読んでもらいます。」

  • 野口英世
  • シカさんの手紙

先生「(顔写真を見せて)この人、知っていますか?」
カレン「知ってます。」
先生「誰だ?」
カレン「野口英世?」
先生「そうです。野口英世さんです。」
オウム「今、脇のサインを読もうとしたよね?」
カレン「ちょっと心配になっちゃって…。」
オウム「読解も難しいと思うけどね。」
先生「野口英世って何をした人かご存知ですか?」
カレン「え、何をしたんだろう?…やっぱり本を書く人?」
オウム「作家さんだと思った?」
カレン「作家さんかな…。」
先生「(実は)お医者さんなんです。」

野口英世は明治から昭和の始めにかけて、伝染病などの原因となる細菌を研究した医学者です。
1900年にアメリカに渡り、黄熱病に効くワクチンの研究を続け、科学の発展に貢献しました。

オウム「野口英世さんの手紙が、気持ちが伝わる手紙なんですか?」
先生「野口さんが書いた手紙ではないんです。」
カレン「え〜!?」
先生「野口英世のお母さん、野口シカさんが野口英世さんに出した手紙なんです。そのとき、野口英世さんはアメリカのニューヨークで研究をしていて、福島にいる母とは15年間会っていませんでした。そのときに書かれた手紙です。シカさんは文字の読み書きができませんでした。多分、それまでは誰かに代筆をしてもらったり、英世さんから来た手紙は読んでもらったりしていた(のだと思います)。(だから、この手紙で)初めて直接自分の気持ちを伝えることができたんです。」

手紙の一部がこちらです。

お前の出世には、みんな驚きました。
私も喜んでおります。
中田の観音様に、お前の無事と、成功を願って夜通しお祈りをしました。
勉強はいくらしても、きりがない。

春になると、みんな北海道に行ってしまい、私も心細くなります。

どうか早く帰って来てください。
お前にお金をもらったことは誰にも言いません。
それを聞かせると、みんな飲まれてしまいます。
早く帰って来てください。
早く帰って来てください。
早く帰って来てください。
早く帰って来てください。
一生のお願いです。

  • カレンさん
  • 金田一先生

カレン「ちょっと親から来る手紙としてはビックリする手紙の内容だし、ちょっといい意味でも重いので、もらったら私はビックリしちゃうかな…。」
先生「そうでしょうね。」
オウム「すごい念を押して、凄く切実に願っているんだなっていうのが(伝わる)。」
先生「手紙は『お前の出世には、みんな驚きました。私も喜んでおります。』と書き始められています。自分が一番書きたいことを最初に書くことで、シカさんが嬉しかったことが伝わります。また、『勉強はいくらしても、きりがない。』と書いてありますが、シカさんは勉強をしたことがありません。勉強についてはよくわからないけれど、英世が勉強をしていることはよくわかっているのです。ここでシカさんが言いたいのは、“ちょっと休んだらどうか”ということなのです。そしてその後で出てくる『早く帰って来てください。』というのが、シカさんが一番言いたいことだとわかります。しかも、『早く帰って来てください。』と4回続けて書いています。」

  • 金田一先生
  • 授業終了

先生「一番美しい日本語とか、正しい日本語とか言われますが、それは勉強して、本を読んで、きちんと言葉遣いを習って…と、ぼくらは思うんだけど、実は(シカさんの手紙のような)こういう言葉のほうが人の心を打つんです。ただね、自分の思った通りを書けばいいっていうのではないんだよ。それはちょっと違うのね。自分が思っていることを、本当にそれが思っていることなのかっていうことをキチッと考えて書くことなんです。」
オウム「カレンちゃんも、普段ちゃんと思っていることを書けてる?」
カレン「これをそのままってなると難しいですけど、私たちはメールができて、電話ができて、すぐに会えてしまうし、勉強もできてしまう時代で、どうしたらこの強さを…理解するほうが今いないと思うんです。」
オウム「余計、言葉で伝えるのは難しくなってきたってことだね。」
カレン「そう。私もそれがすごくさみしい。いくらメールで文字をいっぱい打っても、読んでくれない可能性もあるじゃないですか。」
先生「大切なことは、これ(シカさんの手紙)は自分にとって一番大切な人に書いているってことだと思うんですよね。シカさんにとって英世さんはとっても大切な人で、その大切な人には嘘はつきたくない、本当のことを伝えたい。ぼくらにも、そういう人っているはずなんです。自分の気持ちを伝えなくてはいけない、伝えたいときっていうのは、そんなにたくさんあるわけじゃない。だから、そういうときには、例えばメールじゃなくて自分で字を書いてみるとかね。そうやって、お父さんやお母さんに感謝の気持ちを書くとかね。そういうのはできるんじゃないかな?大切な人に大切なシチュエーションであれば、こういう(シカさんのような)手紙が書けるんじゃないかな。」

  • 金田一先生
  • カレンさん

これで、1年間の授業は終わりです。

先生「どうですか?学び直してみて。」
カレン「学び直すも何も、ゼロからって感じでしたね。私は学んできたことすべて忘れて今があるって人なので、高校1年生から入りました!くらいの気持ちだったんですけど。でも、やっぱり全然覚えてなかったことが改めてわかったし、あとはいろいろな偉人に会ったり、見たりして、本当に日本に生まれてよかったって思えることしか逆にない。すばらしい作品とすばらしい周りに出会えて、私はこの番組に選ばれたことを後悔してません。」
先生「ありがとう!…まあいつでも…戻ってきてください…(涙)」
カレン「はい(涙)」
先生「待ってます。」
カレン「こっちも待ってます。」
オウム「カレンちゃんも待ってるのね?お互いに待ってたら会えないけどね…(笑)」
先生「(笑)」
カレン「幸せな1年でした。ありがとうございました。」

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