しゅう　「こういう戦争だったんだね、ベトナム戦争って。」

さやか　「そう、資本主義陣営と、社会主義・共産主義陣営の代理戦争。それが東南アジアの一つの国を舞台に１５年も続いたんだよ。それで何がもたらされたのか、考えてみようか。まず、犠牲者（画像・左）。」

しゅう　「みんなかわいそうだけど、民間人が２００万人も犠牲になっているっていうのは、おかしいよね。」

さやか　「そうだよね。なかでも問題になっているのは、アメリカ軍の枯葉剤作戦。」

しゅう　「枯葉剤って、農薬みたいなもの？」

さやか　「そう、除草剤の一種だね。これを飛行機やヘリコプターから、解放戦線が潜んでいるジャングルに散布したの。ところがそのせいで何が起こったかと言うと…（画像・右上）」

しゅう　「一体どういうこと？」

さやか　「枯葉剤には人体に有害なダイオキシンが含まれていたの。それが住民の体内に蓄積された結果、ベトナムでは死産や流産が増えて、こうした障害のある子どもが生まれるようになった。そして、こんなこともあったんだよ。これはピュリツァー賞を受賞した有名な写真（画像・左下）なんだけど、タイトルは『戦争の恐怖』。別名『ナパーム弾の少女』。１９７２年６月、南ベトナム軍が南部の小さな村をナパーム弾で攻撃したの。解放戦線を狙ったんだけど、そこには、一般の人たちも避難していたの。９歳だったキム・フックの真後ろにナパーム弾が落ちて、彼女の服は炎にはぎ取られて、背中や首・腕に大やけどを負った。」

しゅう　「同じベトナム人が攻撃したんだ。」

さやか　「『熱い、熱い』って泣き叫びながら、キムは燃えている村から逃げた。その姿を、偶然その場にいたベトナム人の若いカメラマンが写真に収めて、すぐに病院に運んだの。」

ベトナム戦争と世界秩序の変容