NHK高校講座

社会と情報

今回の学習

第12回 情報化の影響と課題

情報社会の影

  • 千葉大学教授 藤川 大祐
学習ポイント学習ポイント

情報社会の影

  • 緑川光さん
  • 松田好花さん

第12回のテーマは「情報社会の影」。
司会は緑川光さん、一緒に学んでいくのは日向坂46の松田好花さんです。

  • ゲームアプリをダウンロードしたらお金を請求された

まず、「ゲームアプリをダウンロードしたら『ファイルを戻してほしければ、7日以内に30万円を電子マネーで支払え』というメッセージが出てきた」というお悩みから。

どうしたらいいのでしょうか?

コンピュータウイルスの脅威
  • 志賀勇介さん
  • ウイルスが何億個と入っている

ゲームアプリをダウンロードしたら、お金を請求された!
このエピソード、実はコンピュータウイルスのしわざなんです。
戸谷さんが、セキュリティソフトを開発する会社を訪ねました。

まず案内されたのは、ウイルスを保管しているサーバ。

  • ウイルスの実演
  • 請求書のご送付というメール

ウイルスとはどういうものか、保管しているひとつを見せてもらいました。
まずデスクトップの画面を見てみると、保存しているドキュメントや写真のファイルがあります。

志賀さん 「まずはメールを開きます。」

「請求書のご送付」というタイトルのメール。
添付されたファイルを開き、表示された指示に従って操作してみても、特に変化は見られません。

  • デスクトップのファイルが見慣れない拡張子になっている
  • 重要な情報というメッセージ

しかし、ファイルを閉じるとデスクトップのあったファイルが、見慣れない拡張子に変わっています。
そして、いつのまにかできていたファイルを開くと「重要な情報」というメッセージが表示されました(画像・右)。

志賀さん 「要するに、暗号化したが復元する方法があります、と。そのためにはこの連絡先に連絡せよ、と。ここに連絡した結果、身代金の請求をされる。」

お金を払っても元に戻る保証はありません。

戸谷さん 「一生、元に戻らないんですか?」

志賀さん 「そうですね。」

  • ランサムウェア
  • oniという名前のランサムウェアが2017年に日本に向けた攻撃として発見された

こうした、パソコンの中のファイルを書き換えたりして、金銭を要求するコンピュータウイルスをランサムウェアといいます。

以前は、いたずら目的で作られていたコンピュータウイルスですが、最近は金銭をだまし取るなど、犯罪に使われることが多いそうです。

志賀さん 「機密情報がコンピュータに入っているケースも以前よりは増えていると思いますし、そういったものが狙われるんじゃないかなと。」

  • ウイルスを防ぐには

ウイルスの感染原因は、さまざまです。
防ぐには、対策ソフトを入れておくことはもちろん、怪しいメールは開かない
アプリやWebサイトは、信頼できる配信元のものを使う
最新のウイルス情報やサイバー犯罪の手口を知ることも有効です。
そして、もうひとつ。

志賀さん 「セキュリティ面の改善がアップデートに含まれていたりすることが多いので、OSやソフトウェアは常に最新のものにアップデートしておく、っていうことがまず大事ですね。」

パスワードを作ってみよう
  • 藤川大祐先生
  • パスワードは8文字以上の大文字小文字の英字と数字と記号を必ず入れる

続いてのお悩みは、「どのサービスも必ずユーザIDパスワードを登録しなければならず、忘れてしまって何度もパスワードを作り直したりして、うんざりです」というもの。

ここからは藤川大祐先生と一緒に、「安全」で「管理しやすい」パスワードとはどんなものなのか、考えていきましょう。

緑川さんと松田さんには、実際にパスワードを作ってもらいます。
あるプロフィールの人物が、ショッピングサイトを利用するためにアカウントを作るとします。
パスワードは8文字以上、大文字小文字のアルファベット、数字、記号を入れてください。

藤川先生 「記号っていうのはピリオドとかカンマとか、クエスチョンマークとかコロンとか、そういうものです。」

  • 緑川さんの考えたパスワード
  • 松田さんの考えたパスワード

まず、緑川さんが考えたのは、B0l9u9e1?というパスワード。

緑川さんの 「忘れないようにしゃなきゃいけない、というところから、青山さんなのでブルー、それで、1990年生まれなので、そのまま入れるよりは逆から1990。」

続いて松田さんが考えたのは、「Aoko」46というパスワード。
ただ、鍵括弧「」は日本語なので使えないかもしれません。
そこで、ダブルクォーテーションを使った“Aoko”46に変えました。

  • 緑川さんのパスワード強度は強い
  • 松田さんのパスワード強度はとても強い

では、2人のパスワードはどのくらい安全なのか調べてみましょう。
安全性の強度が色とパーセントで表示されます。

緑川さんのパスワードの強さは67パーセントで、強いという結果が出ました。
そして松田さんのパスワードの強さは75パーセント、とても強いという結果に。

藤川先生 「お二人とも比較的短いパスワードだったんですが、高かったですよね。大文字小文字、数字、記号とぜんぶ入っているので、数字だけとか小文字だけとかよりは、ちょっと強いということが分かりますね。
覚えやすさも大事だと思うんですよ。お二人ともどうやって作ったかをしっかり考えておられたので、大変覚えやすいのではないかと思います。
やぶられにくさと、便利さと両方必要なので、そのバランスがとれているパスワードがいいパスワードということになりますね。
さらに、もしかしたら忘れてしまうかもしれないですし、もしかしたら流出してしまうかもしれないので、そうしたときにどうなっちゃうのかな、っていうのも調べておくと安心です。」

本当にあった!不正アクセス
  • スマホ決済サービスで被害

パスワードが流出したらこんなことが起きますよ、という話も寄せられています。
最近よく耳にする、スマホ決済でのトラブルです。

「以前から利用していたアプリが、このたびスマホ決済サービスを伴ってリニューアルするということで、僕は早速チャージ用のクレジットカードを登録し、アカウントを再登録しました。
そしてサービス開始の日。クレジットカードから300円チャージし、お茶をひとつ買いました。
それから数日後、『あなたのクレジットカードから3万円チャージしました』『5千円チャージしました』と、立て続けにチャージを知らせるメールが。
テレビやネットニュースを見ると、同じように勝手にチャージされ、勝手に商品が購入されているという被害が報道されています。
これはいったい、どういうこと?」

  • 先生の対応
  • 2段階認証

実は、これは藤川先生の実体験でした。
藤川先生は、すぐにパスワードを変更したのでチャージされたままとなり、クレジットカード会社に連絡して、「不正にチャージされたので止めてください」と伝え、被害額はゼロだったそうです。
「私のパスワードの管理が甘かった」という藤川先生。

藤川先生 「ほかのサービスと同じパスワードにしてしまっていたので、簡単に使われてしまった。おそらくほかのサービスで、データが流出していたんですね。
さらに、サービス側にも問題があると思っています。多くのサービスですと、新しい端末から使おうとすると、ほかの端末からログインがありました、という知らせがきたりだとか、入るときに電話番号にショートメッセージで番号を送ったのでその番号をいれてくださいっていうのがありますね。これを2段階認証っていうんです。ところが、私が被害にあったアプリでは、なぜかそれがなかったんです。」

生体認証で本人確認
  • 顔認証システム
  • 顔の登録は専用の端末を使って正面から1回撮影

戸谷さんが、最先端のセキュリティシステムを体験しにやってきました。
生体認証には、指の指紋などを利用する方法がありますが、ここでは最新の技術が体験できます。

まずは、私たちにも身近な顔認証システムです。
登録しておいた顔のデータと照合し、自動でドアが開きます。
表情を変えてもちゃんと本人と認識します。
顔の登録は、専用の端末を使って正面から1回撮影するだけ。
このカメラで撮影した顔の、目や鼻、口などの特徴を、登録した顔データと照らし合わせて認証します。

  • 山田道孝さん
  • 空港の入国審査

山田さん 「生体認証というのは、免許証とかパスポートのように『忘れる』とか『なくす』ということがない、と。常に持ち歩いている、体に備わっているものですので、そういったメリットがあります。」

顔認証システムは、空港の入国審査でも実際に利用されています。 

  • 顔データにひもづけされたクレジットカード情報を使って決済

ほかにも、お店での決済サービスも始まっているそうです。
この顔認証システムは、顔データにひもづけされたクレジットカードの情報を使って、商品を買うこともできます。

山田さん 「昨今、人手不足というところもありますので、入店から決済まで店員さんの手を介さずに買い物できるといったところがメリットとなっております。」

  • 耳認証で決済
  • 耳認証

耳の穴を利用した認証もあります。
耳の穴の形は一人一人異なるため、イヤホンを利用して耳の中で音が反射する微妙な違いを分析し、個人を識別します。

そして、どの生体認証も完全ではないので、ほかと組み合わせることが効果的だそうです。

山田さん 「生体認証だけでなく、例えばICカードであったりとか、パスワードとか、2つ以上の認証方式を組み合わせてご利用いただくよう、おすすめをしております。」

情報社会の影から身を守る
  • もしもの場合は

松田さん 「もしトラブルがあったら、どうしたらいいんですか?」

藤川先生 「ふだんから、何かあったときはどうしようかってことは確認しておくといいですよね。どうしてもセキュリティが破られてしまうことはあるわけです。そういう場合に早く対応することが大事ですね。放っておくと被害が大きくなりますので、例えば早くパスワードを変える、専門機関に相談する、高校生の皆さんだったら保護者の方や先生に相談する、あるいはサービスを止めてしまう。そういったことをすぐに行い、被害を拡大させない、ということです。」


それでは次回もお楽しみに!

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