NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第38回 住生活

住みやすいまちにしたい!

  • 監修:兵庫教育大学教授 永田 智子
学習ポイント学習ポイント

住みやすいまちにしたい!

今回のテーマは 「住みやすいまちにしたい!」
  • 英
  • 太哉

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

りゅうちぇる 「いつ襲ってくるかわからない自然災害に備えて、家の耐震や室内の安全対策の必要性、さらに持続可能な『家』はどうやって作っていけばよいかといった、『住生活』について考えてきたんだけど、今回はちょっと視野を広げて、自分たちの住んでいる『地域』のことを考えていきましょう!」

今回のテーマは「住みやすいまちにしたい!」
どんなふうに“住みやすいまち”をつくっていけばよいか、現役高校生の、英さん(高1)、太哉さん(高3)と一緒に話していきます。

3つのポイントは「地域コミュニティのいま」「地域のために何ができる?」「高校生もまちづくりに参加」
地域のために、どんなまちづくりができるか、改めて見つめ直しましょう!

地域コミュニティのいま
  • 近所づきあいの程度の変遷
  • いちゃりばちょーでー

りゅうちぇる 「自分のいま暮らしている地域のことについて、早速、話していきましょう!二人は自分の家の隣に、どんな人が住んでいるのか知っているかな!?」

英 「向かいに住んでいる方は、私が小さいときからずっと見守ってくれていて、鍵がなくて家に入れないときに、おうちにあげてくれたことがあります。」

りゅうちぇる 「やさしい!なるほどね〜。太哉くんは?」

太哉 「引っ越しちゃったんで、(いまは)あまり近所づきあいはしていないんですけど、隣の人とあいさつくらいはします。」

りゅうちぇる 「引っ越す前は(近所づきあい)あったの?」

太哉 「そうですね。鍵がないって言ったら、『何してるの〜』って聞いてくれて…。」

りゅうちぇる 「そっかー。よく鍵、忘れますね(笑)。」

ここで、あるデータをみてましょう。
大都市と地方での近所づきあいの程度の変遷を表したグラフです。
このグラフをみると、近所づきあいがどんどん減っているのがわかります。
1975年と2004年を比べると、大都市も地方もこの30年で「近所づきあいをよくする」という割合は、約2分の1以下にまで減ってしまいました。

りゅうちぇる 「僕は、沖縄出身なんですけれども、沖縄では 近所づきあいは当たり前、どこにだれが住んでいるかだいたい把握していて、横と横のつながりもすごくあるんです。沖縄には『いちゃりばちょーでー(出会えば兄弟)』っていう言葉があって、みんな家族みたいに仲良くしてくれる、かわいがってくれるから、親や家族だけじゃなく、地域に育てられたって感覚がすごくあるんですよ。そんななかで18(歳)のときに上京して、一人暮らしをするんですけど、文化も(沖縄とはまったく)違う東京だし、ちょっと怖いなと思っていたんですけど、結婚して子どもができて、この子(息子)にとっては、こっち(東京)が地元になるから、地元を愛してほしいなって思ったので、どんどん(近所の人と)関わるようになって…積極的にどんどん関わると、横のつながりも増えてきましたね。
さぁ、正直、二人は近所づきあいって必要だと思う?」

  • 災害時は共助が必要
  • 子育てや高齢者のケアも

太哉 「災害とか日本は多いじゃないですか。そういうことが起きたときに、地域の人で助け合う『共助』が必要なのかなって思います。」

英 「子育てや高齢者のケアは、地域のみんなで協力しあう、支えあうのが大切って、前に習った覚えがあります。」

りゅうちぇる 「うん。子どもから大人、さらには高齢者まで、支援が必要なときには、地域や組織の助け合いがなによりも大切になるよね。僕らが生きていくうえで、コミュニティの大切さがよくわかるよね。」

地域のために何ができる?
  • 過疎化が大きな問題
  • 和束町

りゅうちぇる 「“地域社会の課題”って、どんなことがあると思う?」

太哉 「少子高齢化が進んでるので、文化を教える人がどんどん年をとってしまうし、子どももいなくなるから、文化がどんどんなくなってしまうことかなって思います。」

りゅうちぇる 「そうだよね。」

いまの日本では、若い働き手が都市部に集中し、地方では少子高齢化が進んでいることもあり、「過疎化」が大きな問題となっています。

京都の南部にある和束町(わづかちょう)は、江戸時代から続くお茶の産地です。
この町も高齢化などの影響で、20年前に比べて人口が約2000人も減少しました。
さらに少子化もあり、農家の後継者不足が深刻な課題となっています。

  • 空き家を再生
  • 古民家を地域の中で生かす

将来の先行き不安なお茶の産地をなんとか盛り上げたいと立ち上がったのが、古民家再生などを行うNPO法人の代表、村岸 秀和さんです。
町内に多くみられるようになった空き家。村岸さんは仲間を集めて、こうした空き家を再生する活動に取り組みはじめました。
「歴史ある古い家を壊さずに使い続け、地域の中で生かしたい」と、お茶の産地・和束町にとって役立つ施設に、空き家を次々と生まれ変わらせています。

  • シェアハウス
  • ギャラリー

茶摘みの時期にやってくる若いアルバイトの人たちに利用してもらうための“シェアハウス”。
“ギャラリー”では、コンサートを開いたり、みんなでピザを焼いたりしています。
村岸さんは、地元の人だけでなく、和束町の外から人を集めて交流できる場所に(空き家を)再生しました。

  • 村岸さん
  • まちの再生にも

りゅうちぇる 「きょうは、京都の和束町で古民家を再生したりしながら、町おこしの活動をしている村岸秀和さんにリモートでお話をうかがいます。よろしくお願いします!」

村岸さん 「よろしくお願いします!」

英 「(和束町で)空き家を再生して、それが地域に役立つことで、地域の人たちの意識っていうのも変わってきましたか?」

村岸さん 「実際、空き家がいろいろ活用できる事例も見てもらえたことで、地元の特に若い人たちが(ギャラリーなど)そういう使い方や家の直し方をして住居にしたり、お店にしたりとか事例もすごい増えてきました。(和束町以外の)人も、和束を初めて知ったり、和束の人たちも、自分たちよさを、もう一回、再発見することで、いろいろ新しい情報を出せていける循環が結構、できてきているのかなって思いますね。」

和束町の茶畑の景色を楽しみながらのイベントなど、村岸さんが仲間と一緒に進めてきた取り組みは、町の再生にもつながっています。

  • 西山さん
  • 上嶋さん

日本伝統のお茶の文化に興味をもった、たくさんの外国人も観光客として訪れています。
「茶摘み体験」なども人気です。

お茶農家 西山 勝行さん 「外国の方が、村岸さんに聞いたら、『アメージング!』と言っているそう。そういう言葉も聞いていますので喜んでいる次第です。」

お茶農家 上嶋 伯協さん「『お茶いいな』『和束いいな』と来てくれる人たちのきっかけになったらいいな、いろんなことがね。村岸さんがやってくれてることが新鮮だし、和束の魅力はこんなところあるよ、と発信してくれるんで喜んでるところですね。」

  • 江籠さん
  • 定住して3年

お茶農家の後継者問題にも光が!
大阪出身の 江籠(えご)純平さんは、「お茶農家になりたい」と、3年前、和束町に移住してきました。

江籠さんは、先輩のお茶農家の人たちにアドバイスをもらいながら、この春、独立して初めて自分の畑でのお茶の収穫をめざしています。
江籠さんにとっても、村岸さんたちの町おこし活動は大きな力になるといいます。

江籠さん 「斬新な考えとか、自分が考えてなかったことを、アイディアをいっぱいもっているので、そういう人と交流できる機会は自分にとってプラスになりますし、ひとつひとつが勉強だと思って、今年は(お茶を)作っていきたいなと思います。」

“お茶の産地・和束町を盛り上げたい!” 村岸さんの活動は、町にさまざまな、新たなつながりをもたらしています。

  • 今後の目標は?
  • お茶をつかったクラフトビール

りゅうちぇる 「和束町の町おこしで、今後の(村岸さんの)目標や夢はありますか!?」

村岸さん 「空き家がきっかけで、僕は和束町でいろいろな活動をしはじめたんですけど、いま向こうのお土産にするために産品づくりでお茶のビールをつくっているんです。」

和束町のお茶を使ったクラフトビール、村岸さんは京都市内で数種類のお茶などを原料としたビールの生産・販売を手がけています。
いつか、和束町にお茶を使ったビール工場を建てるのが、村岸さんの目標です。

村岸さん 「お茶の魅力であったり、和束町自体の魅力であったりを知ってもらうことで、和束のお茶をできるだけ守っていきたいと思います。」

英 「すごいアイディアが豊富だなって思って、家をどうリメイクしていくかとか、どういう風に使っていくかとか。ビールの開発のことも、今あるものを どういう形で受け継いでいくのかって考えるのがすごいなって思うし、楽しそうだなって感じたから、そういうことを考えてみたくなりました。」

りゅうちぇる 「『和束町を愛してる、お茶を守りたい』って(村岸さんは)言ってたけど、愛があるからこそ みんなに知ってもらいたいっていう気持ちで、お茶をもっと愛してくれるためには(どうしたらいいか?)ってヒントを絶対、見逃さずに、しっかりみんなにシェアするっていう、その気づき行動がすごいなって思って!」

太哉 「和束に行ってみたいなって自分も思ったし、そういう気持ちになれるから、知ろうっていう気持ちが大事なんだなって思いました。」

りゅうちぇる 「そうだよね。人が人を呼ぶことで まちは活性化するし、地元の人にとっても自信につながるんだよね。まちに来た人が喜んでくれたりする姿を見て、顔見知りになることで、お互い助け合おうって気持ちも育つし、地域の大事な産業も守ることにつながっていくって、とってもステキなことだなって思いました。」

高校生もまちづくりに参加!
  • ファッションショー
  • 播州織

りゅうちぇる 「まちづくりのための行動って、なかなか(高校生には)ハードルが高いなって感じると思うんだけど、『こういう取り組みなら自分にもできるかも』っていうヒントがみつかるかもしれませんよね!? 兵庫県のある高校の“地元の特産品を使ってまちを活性化させたい!”という取り組みについて、カメラが直撃しました。」

個性的でカラフルな衣装が自慢のファッションショー!
モデルとしてさっそうと歩くのは、西脇高校のみなさん。
衣装のデザインを考え、作ったのも高校生!
地元の特産、「播州織(ばんしゅうおり)」の生地を使っています。

  • 西脇市
  • 播州織の生地

兵庫県西脇市。西脇の地場産業といえば、江戸時代から続く綿織物「播州織」です。
先染めした糸を使って柄を織る「播州織」は、シャツやハンカチ、テーブルクロスなど、さまざまな製品に加工されます。
有名ブランドにも採用される品質の高さが自慢です。

西脇高校では、地元の播州織について学び、ファッションショーなどのイベントを通して播州織をアピールする取り組みに力を入れてきました。

  • 廊下でリハーサル
  • 藤田さん

この日は学校の廊下をステージに見立てた、ファッションショーのリハーサル。
高校生でも、なせばなる! 播州織をどう魅力的にアピールするか、気合いが入ります。

藤田 りんさん(高2) 「播州織は先染めなので、好きな柄とか(作ることも)できるので、もっといろんなものをデザインしていけたらと思います。」

  • 熊添さん
  • 大西さん

熊添 光音さん(高2) 「近い地域に播州織があるというのはすごく誇りに思ってます。」

大西 友惠さん(高3) 「わたしたち、高校生でできることはたくさんあるので、オトナになってからできないことを高校生でして、高校生なりに伝えるように、と思ってます。」

  • 高校生がデザインした生地
  • 高校生が作った服

実は衣装だけでなく、生地も高校生自らデザインすることに挑戦しています。
西脇高校生たちの活動を、地元の織物企業も応援しています。
高校生のデザインをもとにオリジナルの生地に織りあげたのは、播州織物企業 社長 遠藤由貴さんです。
完成したのがこちら!女子高生の日常を漫画のようなタッチで描いた、オンリーワンの生地です。

遠藤さん 「生地にしても、これが服になったらどうなるのか、ぼくたちは生地は作るけど、製品まで考えて作ってないから、前に(ファッションショー)見に行ったら、色違い(の生地)が服になっていたので、服になればなったでいい感じになったなと見せてもらいました。」

高校生が生地作りから手がけた服。
一緒に作業したことで、遠藤さんも大きな刺激を受けました。

  • 勉強になる
  • 感心している

遠藤さん 「播州織の機屋さんはまだ百何軒あるけど、後継者がいない(ところも多い)から、(ある程度の)年齢になったら 閉めていく工場がほとんどなので、何かこういうことをして地元の若い子に、今までは機械を動かして長い時間やって『もうからへん』という仕事ではなくて、今まで以上に この仕事に対してどこまでができるかを考えるので、新鮮なのは新鮮、勉強にもなりますしね。」

農産物直売所にも、西脇高校生が手作りした播州織グッズが! スタッフのみなさんが身につけているマスクとエプロンも、高校生が手作りしたものです。

農産物直売所 店長 藤本さん 「この(エプロンの)胸元ですけど、私は仕事柄 名札やボールペンとか差すんですね。どうしても(胸元が)よれてしまうので、芯を入れて補強してもらったり。そういう考えは私ら浮かばなかったんですけど、これは(高校生って)すごいなと思って感心してます。」

西脇市図書館のスタッフさんも、高校生が作ったエプロンを愛用しています。
さらに、“本の貸し出し用バッグ”や“ブックカバー”といった、オリジナルグッズを作ってほしい!という依頼もあります。

  • マスクづくり
  • 西脇高校ブランド

そんななか、いま特に力を入れているのは、播州織の生地を使ったマスク作り。
“西脇高校ブランド”は大阪の百貨店でも大人気です。

  • 親子ソーイング教室
  • 橋尾さん

播州織を使った高校生の町おこし。
この日は「親子ソーイング教室」と題して、トートバッグを作るワークショップを開催しました。

橋尾 彩渚さん(高3) 「西脇にいても、ワークショップがなかったら(播州織に)あんまり触れる機会はないと思うから、小さい子から(播州織を)知ってくれるといいなと思います。」

参加した6組の親子に、マンツーマンで個別レッスン!

(高校生) 「はい完璧!ポケットつけました。」

(子ども) 「すごい!たのしい〜!!」

(高校生) 「やった!!」

  • 完成したトートバッグ
  • 時本さん

作業すること1時間あまり。
思い思いの播州織の生地を使ったトートバッグが完成しました。

(高校生) 「かわいい!!」

(参加した保護者) 「西脇はそんなに有名なものがないので、少しでも(播州織を)広めてもらえたらうれしいですね。」

時本 あかりさん(高2) 「ワークショップを通して、いろいろな人と話せたり、楽しいまち、人と人とが近いまちにしたいです!」

  • ワークショップ
  • 播州織大好き

播州織を通してさまざまな人たちとつながりながら、これからも笑顔で高校生のいましかできないまちづくりをしていくのが目標です。

(西脇高校のみなさん) 「播州織 大好き〜」

  • 播州織のグッズ
  • 播州織の熊

りゅうちぇる 「これ、西脇高校のみなさんが作ってくれたんです。かわいくな〜い!?」

英 「かわいい!この(生地の)デザインから(やっている)っていうのが、すごい愛のある活動だなと思った。自分の住んでいる地域に、そこまで興味を持ったことがない、自分の地域の何がすごくよくて、それに対して自分はどういうことができるのかとか、考えても・・・今もちょっとわかんない。ちゃんと(地域のことを)学んで、触れてみたいなって思いました。」

太哉 「この(播州織の)熊がめっちゃかわいいなって思って。」

りゅうちぇる・英 「かわいい!」

  • スタジオの様子
  • 行動&チャレンジ

りゅうちぇる 「高校生にできることなんて ちっぽけ〜なんてことはない!高校生の活動が、まちのみんなの元気につながっているんだよ。」

太哉 「いますぐには(自分にできる活動は)思いつかないけど、地域のお祭りや交流会にちょっとでも参加していくことが大切なのかなって思うし、知るきっかけにもなるんだろうなって思いました。」

りゅうちぇる 「イベントごとでも 参加すれば絶対、何かが変わるはずだし、自分の自信につながるきっかけになるかもしれない。まずは行動&チャレンジする気持ちが大切だよね。自分たちに何ができるか、これからも一緒に考えていきましょうね!」

英・太哉 「はい!」


それでは、次回もお楽しみに!

【第38回 「住みやすいまちにしたい!」】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第38 回ポイント1
  • 家庭総合 第38 回ポイント2
  • 家庭総合 第38 回ポイント3

1:地域コミュニティのいま
地域でお互いに支え合うコミュニティをめざしましょう!

2:地域のために何ができる?
町を活性化する取り組みが、地域の産業を守ることにもつながります。

3:高校生もまちづくりに参加
高校生にだってできることはいっぱい。積極的にまちづくりに参加しましょう!

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