NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第34回 衣生活

和服の伝統とこれから

  • 監 修:お茶の水女子大学附属高等学校教諭 葭内 ありさ
学習ポイント学習ポイント

和服の伝統とこれから

今回のテーマは 「和服の伝統とこれから」
  • 紋付羽織はかま
  • りゅうちぇる

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!
今回は和服について、現役高校生の、英さん(高1)太哉さん(高3)、と一緒に話していきましょう。

りゅうちぇる 「日本の伝統的な民族衣装といえばなんといっても『着物』ですよね!僕が着ているのは、着物の中でも男性の礼装として有名な『紋付き羽織はかま』。結婚式のようなフォーマルな場で着る、格式高い装いです。」

太哉 「いつもとガラっと変わって、りゅうちぇるさん、すごくカッコイイです!!」

  • 白むく・色打ち掛け

りゅうちぇる 「ありがとう!結婚式といえば、やっぱり相手がいないと〜だよね。ということで、結婚式で新婦の女性が着る『白むく』、それから『色打ち掛け』も飾ってありますよ!」

英 「わあ、すごくきれい!」

  • 白むく1
  • 白むく2

「白むく」は、室町時代の頃から武家の娘の婚礼に用いられるようになった“花嫁衣装”。
一般の人たちが、結婚式で「白むく」を着るようになったのは戦後のことです。

  • 色打ち掛け1
  • 色打ち掛け2

そして、鮮やかな色打ち掛け。
「花車」や「鶴」は着物によく使われる柄で、縁起がよいとされています。
結婚式では、ウェデイングドレスを着たあとに、お色直しで「色打ち掛け」を着る新婦さんも多いのだとか。

  • 英
  • 太哉
  • 紋付羽織はかま・白むく

英 「白むくがステキだなぁと思って。すごく繊細で品があってきれいなのに、なんかどこか迫力があって。私も着てみたいなって思いました。」

りゅうちぇる 「うん、絶対似合う!」

太哉 「ただ派手じゃなくて、清潔感もあって、豪華な感じがして、すごくかっこいいデザインだなって(思った)。」

りゅうちぇる 「昔からずっと美しいと大切にされていたもの(着物)って、いまの日本人にも響くものがあるよね。着物は、結婚式をはじめ 七五三や成人式といった特別な、ハレの日に着るものというイメージで、ふだんの生活ではあまりなじみがないって人も多いかもしれないよね!?そこで〜」

今回のテーマは「和服の伝統とこれから」
和服といえば「着物」ということで、きょうは「着物」について、改めて見つめ直してみましょう!

3つのポイントは「日本の衣服の歴史」「浴衣を着てみよう!」「持続可能な衣生活とは?」
知れば知るほど深い、着物の文化に触れてみましょう!

日本の衣服の歴史
  • 見返り美人
  • 帯

りゅうちぇる 「(着物が)今の着物と変わらない形になったのは、江戸時代なんだって。これ、見たことあるかな?」

江戸時代、元禄文化が花開いた17世紀、菱川師宣(ひしかわ・もろのぶ)が描いた有名な浮世絵「見返り美人図」です。

りゅうちぇる 「浮世絵は、当時、最先端の流行が描かれていたんだけど、かわいい着物だよね〜!」

そして、帯に注目!江戸時代になって、太い帯が使われるようになり、町人たちが結び方でも、おしゃれを楽しむようになったそうです。

  • 英
  • 掛け軸

英 「当時(江戸時代)も、『この柄ちょっと今、流行っているのよ』みたいなのがあったのかもな〜と思って、すごい楽しそう!」

りゅうちぇる 「ねー!イメージがわくよね!」

江戸時代には、綿花栽培が全国に広がって綿が普及したほか、各地でさまざまな着物の技術が発展しました。
いまも、その技術が大切に受け継がれています。

  • 西陣織
  • 西陣織の着物

京都・「西陣織」。天皇や貴族にも献上されてきた高級織物です。

  • それぞれ専門の職人
  • 西陣織を織る

一着の着物ができあがるまでには、20以上の工程があり、それぞれの工程ごとに専門の職人がいます。
西陣織は、数百色にも及ぶ絹糸を タテ・ヨコに織り込んで作られます。

  • 平野さん
  • 平野さんの爪

伝統工芸士の平野 喜久夫さんが使う技は、「爪掻本綴(つめがきほんつづれ)」
下絵に合わせて、爪でヨコ糸を1本1本掻き寄せ、織り上げていきます。
爪の先はギザギザ、平野さんは、60年間、こう(ギザギザになるように爪を)研いでいます。

平野さん 「手でやる(織る)ことによって、その織り手の感性が吹き込まれるし。だから、同じ絵で同じ糸でやっても、いろんな人が織ったら違うものになりますし、自分自身も同じものはできないですね。」

  • 手で織る
  • 織物

できあがった織物は、まるで絵画のよう。
微妙な濃さの違うグラデーションも、複雑な形も、表現できないものはないのだそうです。

  • 奄美大島
  • 大島紬

鹿児島県・奄美大島。ここで生まれた着物が「大島紬(おおしまつむぎ)」です。
最大の特徴は精緻(せいち)な柄。

  • 大島紬柄
  • 絣の技法

この細かい模様は、奄美大島独自で発展させた「絣(かすり)の技法」で作られています。
「絣」とは、あらかじめ、まだらに染めた糸を使って織り、柄を浮かび上がらせる技法。

  • タテ糸
  • 糸
  • 織られたもの

織られる前のタテ糸をよく見ると、すでに模様になっています。
織る前に、糸1本1本を、仕上がりを計算して微妙に異なる柄に染めているのです。
一枚の着物を作るのに、数百本を染めなくてはなりません。

  • 泥
  • 大島紬

染料にもこだわりがあります。
鉄分の多い地元の「泥」を使って独特の黒を生み出しています。
大島紬は、緻密な職人技と奄美大島の風土が育んだ伝統工芸です。

  • 石川
  • 加賀友禅の着物
  • 加賀友禅

石川県金沢市。金沢で独自の発展を遂げたのが「加賀友禅(かがゆうぜん)」です。
加賀友禅には、西陣織や大島紬と決定的に違う点があります。

  • 輪郭を描く
  • 色を置く

それは、布にしてから色を染めること。
「友禅」とは、絵柄の輪郭に「糊(のり)」をおき、それを防波堤のようにして1つ1つの色が外にしみ出さないように染める技法です。

  • 水で洗う
  • 糊が落ちる

糊を水で洗い流すと、白い輪郭線として表れます。

  • 加賀友禅
  • 加賀友禅の着物

加賀友禅の特徴は、金沢の自然を写し取った細やかな絵柄と、深みのある色使い。
金箔や刺繍は使わず、手描きの染めだけで仕上げる伝統の美です。

  • 太哉
  • 英

太哉 「(西陣織の平野さんは)60年間 自分の爪をギザギザにして、その職人さんしか作れない、その人自身も二度と(同じものは)作れないっていうところがすごい文化だなと思いました。」

英 「着物って、いろいろな作り方があって、その地域で受け継いでいくのって、楽しいだろうなって思います。」

りゅうちぇる 「本当に、その地域の色(や特徴)がしっかりあって、ステキだよね。」

  • 大島紬
  • 大島紬…?

りゅうちぇる 「この着物は、どちらも同じ産地で作られたものなんだけど、どこで作られものかわかる?」

英 「うーん、どこだろう?」

太哉 「うーん…色が白と黒、単色だから…大島紬?」

りゅうちぇる 「そうです!これは、大島紬です。」

  • 黒い大島紬
  • 黒い大島紬柄

こちらの「大島紬」は、奄美大島の泥を使って黒く染めたもの。
自然が生み出す、どこかあたたかみのある黒です。

  • 白い大島紬
  • 白い大島紬柄

そして最近、若い人にも人気なのが、白い大島紬。
白地に、紫の絣の模様がよく映えます。

英 「(大島紬は)糸を染めて織っているって思うと、技術がすごすぎるというか…私がやってたら…」

りゅうちぇる 「『わぁーっ(無理だ)』ってなるよね。わかる!」

  • 反物
  • 一反の大きさ

着物に仕立てる前の「反物(たんもの)」も用意しました。
この反物は、ムラサキイモで染めた、大島紬です。

反物を数える時は、一反(いったん)・二反(にたん)・・・、と数えます。
一反の大きさは、幅:約37cm、長さ:約12m。

一着の着物は、この一反、一枚の布から切り分けて作られます。

英 「ここ(反物)から(着物が)生まれてくるっていうのは、想像以上に(幅が)細いから驚きですね。」

  • 着物のパーツ
  • 平面構成

りゅうちぇる 「この細長い反物を、むだなく8つのパーツに切り分けて縫い合わせると、着物になるんです。」

着物は平面の布を直線的に裁断した布を縫い合わせて作る、「平面構成」の被服です。

英 「どう作られたか、どうやってできてくるのか、ここ(反物)からできてくるっていうこともだけど、そういうことが分かると、(着物は)長く使っていかなきゃって意識が生まれる。」

りゅうちぇる 「うん。これ(反物や着物)ができるまでの過程も知れたし、職人さんが(技術を)ちゃんと受け継いでくれている。それを(自分たちの世代も)しっかり受け継いでいかないといけないなって感じたよね。」

浴衣を着てみよう!
  • 着付けに挑戦した
  • チャレンジ!

りゅうちぇる 「最近は、夏の花火大会などで浴衣を着ている人を多く見かけますよね。」

英 「実は私たち、浴衣を一人で着ることにチャレンジしてきました!」

りゅうちぇる 「おー!すごーい!!」

太哉 「粋(いき)に着こなすポイントを先生に教えてもらったんですけど、自分で着てみると、われながらシャキっとしてカッコよくなりました!」

りゅうちぇる 「いいなー、僕も着付けを習いたい!カッコよく、粋に着こなしたい!」

太哉 「カッコよく決めたい時に、絶対オススメ!」

英 「浴衣の着付けに…」

英・太哉 「チャレンジ!!」

  • 薩本先生
  • 薩本先生の浴衣

二人が訪ねたのは、快適な衣服について研究している、横浜国立大学教授 薩本 弥生先生。
薩本先生は、日本の伝統文化を伝えていきたいと、留学生たちにも浴衣の着付けを教えています。

薩本先生が、英さんのために用意した浴衣は…

薩本先生 「実は、私が中学校の時に、母に作ってもらった浴衣なんです。」

英 「えっ!すごい大事な浴衣。」

薩本先生  「いまだに使っているっていう…。」

  • さらしが当ててある
  • 浴衣の道具

裏には2カ所、さらしの布が当てられています。
昔は浴衣を長く着るために、一番、生地がいたみやすい肩と下半身部分に、布を取り付けることが多かったそう。

浴衣を着る時には、「浴衣」「帯」のほかに、「伊達締め(だてじめ)」「腰ひも」といった着付けの道具が必要です。

  • 背中心を決める
  • 背中心

ではいよいよ、浴衣の着付けに挑戦!
・両手で袖口を持ち、浴衣の背中の縫い目「背中心(せちゅうしん)」が、背中の中央にくるように合わせます

  • 着丈を決める
  • くるぶしが隠れるくらい

・女性は、着丈(きたけ)を決めます
右手で左右のえりを持ち、左手は腰の位置の背中心を持ちます。
浴衣をひっぱりあげて、くるぶしが隠れるぐらいの長さにします

  • 腰に巻き付け
  • 5cmほど上げる

次に、左の身頃・上前(うわまえ)を腰に巻き付けて、位置を決めます。
それをずらさないように開いて、右の身頃・下前(したまえ)を巻きつけます。
このとき、下前の先を5cmほど あげます
続いて上前を腰に巻き、同じように(上前の)先を5cmほど、引き上げます。

  • 腰ひも
  • 裾すぼまり

腰ひもを腰の上部でしっかり結びます
「裾(すそ)すぼまり」の美しいラインになりましたね!

  •  見八つ口
  • おはしょり

次は上半身。
脇の下の部分にあいている穴を「身八つ口(みやつぐち)」といいます。
身八つ口から手を入れて、前後の「おはしょり」を整えます
「おはしょり」とは、浴衣を折り返した部分のことです。

  • えりをぬく
  • だらしなく見えないように

背中心をひっぱり、えりを5cmほど抜くと、背筋がまっすぐに見えてきれいです。
(えりを)抜きすぎるとだらしなく見えるので注意しましょう。

  • えり元
  • のどのくぼみ

えり元は、のどのくぼみが見え隠れする位置で合わせると、上品に見えますよ!

  • 文庫結び
  • 完成

・最後に、帯を結びます。基本的な「文庫結び」です。
一人で、かわいらしく結べましたね!

  • 腰ひもは腰骨
  • 貝の口結び

男性は、身長に合った着物を着るため、「おはしょり」はありません。
腰ひもを結ぶ位置は、腰骨のあたり。女性よりも下の位置です。
帯は、一般的な「貝の口結び」にしました。

  • 前下がり
  • 結びめはずらす

帯は、前下がり 後ろ上がりに結びます
結び目は、背中の中心ではなく、右か左に少しずらした位置に結ぶのが「粋」なんだって。

初めて自分一人で浴衣の着付けに挑戦した太哉さんと英さん。
二人とも、とっても上品に浴衣を着こなすことができました!

  • 浴衣姿の太哉
  • 浴衣姿の英

りゅうちぇる 「すごいステキだった!二人は改めて、浴衣を着て気づいたこととかあったかな?」

太哉 「着物は、背中の背中心を合わせたり、しわとかをのばして、ふだん気にかけないところを気にかけなくちゃいけなかったりっていうのは大変だし、(でも、)そこをビシッとやることで、カッコよくなるんだなっていうことに気付きました。」

英 「さっき、一反の布が出てきたんですけど、そこから自分の体に合わせて作り上げていく(着付けていく)のが着物や浴衣。斬新というか、おもしろかったですね。」

  • 二人の着物姿
  • 粋な大人になりたい

りゅうちぇる 「二人とも、浴衣を着た後の、自分に自信が出てきたようなキリッとした、上品な表情がすごくステキだなと思った。」

英・太哉 「ありがとうございます。」

りゅうちぇる 「美しく和服を着こなして、もっともっと粋な大人になりたいね!」

英・太哉 「はい!」

持続可能な衣生活とは?
  • 南部裂織
  • 布をさく

りゅうちぇる 「着物は一反の布から作られます。だから逆に、着物をほどけば同じ幅の一枚の布に戻すことができるんです。青森県には、江戸時代から伝わる織物再生の技があります。どんな技なんでしょうか!?」

青森県・南部地方。
江戸時代、雪国では寒さのため、綿が栽培できませんでした。

貴重な木綿を大切に使おうと誕生した織物が「南部裂織(なんぶさきおり)」です。
使われているのは、着古した着物や、はぎれ布。
切り口を入れ、1cmほどの幅で裂きます。端でまた切り口を入れて、再び裂きます。
こうして長くしていきます。

  • 裂いた布
  • 小物

この裂いた布がヨコ糸として織り込まれます。
華やかなデザインと丈夫さが特徴の南部裂織。
伝統を受け継ぎながら、日常使いの小物など、さまざまな形で暮らしを彩っています。

  • スタジオの小物
  • 南部裂織の小物

りゅうちぇる 「使い古した布にもう一度命を吹き込む『南部裂織』をスタジオに持ってきました!いろいろあるよね!」

  • フクロウ
  • 筆入れ

太哉 「この(南部裂織で作った)フクロウ、かわいい。」

りゅうちぇる 「なんか、(太哉くんに)似てる!」

英 「カラフルな筆箱がかわいい。使い古した布だからいろんな種類があるし、いろんな色があると思うんですよ。」

りゅうちぇる 「鮮やかなんだけど、全然ケンカしてないというか…すごくステキな色合いだよね。」

  • 太哉の感想
  • 英の感想

りゅうちぇる 「今日はどうだった?太哉くん。」

太哉 「SDGsでも習ったんですけど、服って捨てられちゃうじゃないですか、どんどんどんどん。でも、こうやって昔の人は再利用して、いまでもこうやって もう一回使われるのはすごくステキなことだなって思うし、社会に貢献しているなって思います。」

りゅうちぇる 「うん、地球にも優しいよね。」

英 「服ってすごい世界が広いんだなと思った。リメイクだったりとか、そういうことにもいろいろ視野を向けて(いきたい)。浴衣もせっかく習って自分で着られるようになったので、来年も夏祭り(に浴衣を着て)行けたらいいなって思います。」

りゅうちぇる 「こういうものって、受け継いでいくことが何よりも大切で、だけど ただ受け継ぐだけじゃなくて、みんなにちゃんと愛してもらえるように、“いまのかわいらしさ”と“昔の古き良き伝統”をしっかりミックスして、それを僕たちの世代が どんどん こういう風に形にして受け継いでいくことって、絶対にしていきたいなって思いました。」


それでは、次回もお楽しみに!

【第34回 和服の伝統とこれから】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第34回 ポイント1
  • 家庭総合 第34回 ポイント2
  • 家庭総合 第34回 ポイント3

1:日本の衣服の歴史
各地で、着物の伝統的な技が受け継がれています。

2:浴衣を着てみよう!
浴衣の装いを通して、着物の文化に触れてみましょう。

3:持続可能な衣生活とは?
昔の人の(衣生活の)知恵を、今の暮らしにいかす方法を考えましょう!

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