NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第19回 経済生活・環境

大切なお金 どう活(い)かす? 〜計画的な家計のために〜

  • ゲスト:ファイナンシャルプランナー 横山 光昭
    監修:大阪府立天王寺高等学校教諭 谷 昌之
学習ポイント学習ポイント

大切なお金 どう活かす? 〜計画的な家計のために〜

今回のテーマは 「大切なお金 どう活(い)かす? 〜計画的な家計のために〜」
  • ジュリアン
  • 心

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

りゅうちぇる 「今回は『お金』について考えていきたいんだけど、僕にとってお金とは豊かになるために、自分が幸せになるために使うものかなって思っているんですよね。」

今回のテーマは「大切なお金 どう活かす? 〜計画的な家計のために〜」、現役高校生のジュリアンさん(高2)、心さん(高3)と一緒に考えていきます。

りゅうちぇる 「高校生の2人にとって、『お金』って何だと思う?」

ジュリアン 「僕は、生きていくために必要なものだと思います。」

心 「お金があれば自分の好きなこともできるし、生きていく中で一番…一番?(ではないかもしれないけれど)でも、大切なものだなって思います。」

りゅうちぇる 「その大切な『お金』をどうやったら活かすことができるのか、一緒に考えていきましょう!」

3つのポイントは、「人生で必要なお金」「貯蓄と保険」「お金との賢いつきあい方」です。
大切なお金を、計画的に使うにはどうしたらよいのでしょうか!?

人生で必要なお金
  • 心のライフプラン
  • 教育費・住宅費・生活費

人生で必要なお金とは、一体どのくらいなのでしょうか? 
今回は、心さんのライフプランで見ていきましょう。
いま高校3年生の心さん、卒業後は大学に進学する予定です。
そのあとの心さんのライフプランは、
25歳で結婚して、2人の子どもが誕生して
30歳で家を買い、そのあとは旅行をしたり、子どもが成長するのを見守ったりと、盛りだくさん!

きょうは、年金が支給される65歳までどんなお金がかかるのか、見ていきましょう。
大きな支出として考えられるのは、「教育費」「住宅費」「生活費」の3つです。

  • 横山さん
  • 教育費の平均

ここからは、お金のプロフェッショナル、ファイナンシャル・プランナーの横山 光昭さんと一緒に考えていきます。

りゅうちぇる 「横山さん、まず『教育費』って、いくらくらいかかるんでしょうか?」

横山さん 「文科省が出している教育費の平均資料があります。」

・幼稚園から高校卒業まで、すべてが公立の場合 541万円
・小学校まで公立、中学・高校が私立の場合 788万円
・すべて私立の場合 1,830万円

りゅうちぇる 「私立、高い!」

横山さん 「続いて、大学です。」

・公立(文系・理系) 4年間で243万円
・私立文系 398万円
・私立理系 542万円

心 「高いー!」

りゅうちぇる 「高いよね。」

  • 心の教育費の計算
  • 驚く心

心さんの、教育費を計算してみましょう。
心さんは自分の大学進学にかかる費用は、自分で支払いたいと考えています。
私立文系なので、教育費は398万円。
次に(心さんのライフプランで予定している)2人の子どもは、幼稚園から高校まではすべて公立で、大学は1人が私立文系、もう1人は私立理系に行くと仮定して、
教育費の合計は、2,420万円になります。

心 「ちょっと、びっくりします。」

  • 大学に行く気がなくなる
  • 奨学金を借りるしかない

ジュリアン 「これ見たら、(大学に)行く気、少しなくなっちゃいました。」

りゅうちぇる 「そうだよね。心ちゃん、これ大丈夫?」

心 「私は、奨学金を借りる…方向で考えるしかないかなって、思いました。」

  • 城間さん
  • 望さんと萌さん

実際に奨学金を借りるとはどういうことなのか、見てみましょう。
沖縄県石垣島で暮らす、城間 美喜子さん。双子の娘を育てるシングルマザーです。
双子の姉妹(望さん・萌さん)は高校3年生。2人とも大学受験を控えています。
2人の希望は沖縄本島の大学への進学。
合格すれば、家を出て暮らすことになります。

  • 奨学金に頼るしかない
  • 大学生活1ヶ月の費用

しかし、地元の菓子メーカーで働く美喜子さんの年収は約300万円。
娘たちを進学させるには奨学金に頼るしかありません。
(2016年取材/2020年4月からは、新たに給付型の奨学金制度がスタートしています。)

大学生活1か月にかかる費用は、2人の学費と生活費を合わせて約23万円。
さらに生活を切り詰めて仕送りし、娘たちがアルバイトで捻出できるのは10万円余り。
少なくとも、毎月13万円分は奨学金を借りてやりくりしなければならないのです。

  • 萌さんの返済金額
  • 夢をかなえるために歩み続けている

しかし、奨学金という多額の借金を返済できない若者が増えているという現状に、不安はつのります。
美喜子さんは2人の娘に、大学卒業後、奨学金をみずから返済していく覚悟を問いました。

美喜子さん 「望ちゃんは月5万借りて4年間学校に行ったら、毎月 就職して返していくお金が月1万4428円を15年間。萌の場合は月8万円だから、返すお金は月1万7737円を20年間。」

萌さん 「20年間。」

美喜子さん 「これ借金だから。」

萌さん 「うん。大学行かないと就職が困難だから。」

望さん 「だから、たらたら大学に通うなってことでしょう。わかってるよ!」

大きな負担を覚悟で奨学金を借り、大学に進学した望さんと萌さん。
夢をかなえるため、歩み続けています。

心 「やっぱり覚悟がないとできないことだし、(奨学金を)借りるからにはムダな大学生活は過ごしたくないなって、すごい思いました。」

ジュリアン 「社会人になって、すぐに借金がある(奨学金の返済をしなければならない)ということは、すごく大変だと思います。」

横山さん 「必ず知っておかなければいけない、知っておいてほしいのは、貸与型の奨学金は当然ながら借金である、返さなければいけない、と。」

  • 奨学金の平均利用額
  • 返済できないで困っている人も

ここで注目!
奨学金の平均利用額は、324万3000千円。
毎月の平均返済額は、1万6880円。
平均返済期間は、約15年にも及びます。

りゅうちぇる 「(奨学金を)返済できなくて、苦しんでいる方もいますよね?」

横山さん 「います。返済まで考えて利用すること、借りすぎないことが、すごく重要なことだと思います。親に貯蓄があればそれで(出して)もいいし、(親が)教育ローンを借りてサポートするケースもあったりするようですね。」

りゅうちぇる 「借金にならない、給付型の奨学金制度などが、これからも充実していくと本当にいいですよね。」

  • 住宅ローン
  • 住宅費

では次に「住宅費」について考えていきましょう。

心さんは30歳のとき、3,000万円の家を購入するプラン。
そのためには住宅ローンを組む必要があります。つまり、お金を借りて家を買います。

3,000万円の家を、30年のローンで買ったとすると…
借りる時にかかる金利は、いまは約1%なので、
毎月の返済額は97,000円で、返済額の総額は3,474万円になります。
つまり、474万円の利息が追加の負担となるのです。

心 「(家の金額は)3,000万円なのに(474万円の利息を)プラスで払わないといけないってことですよね!?やだ…。」

  • 頭金を用意する
  • 頭金を出した場合

横山さん 「現実的なのは、借りるお金をなるべく少なくして、できるだけ『頭金』を用意する。

例えば、3,000万円の2割にあたる、600万円を「頭金」で支払った場合を考えてみましょう。
残りの2,400万円を30年ローンで返した場合、ローンの返済総額は2,779万円。
頭金の600万円を合わせた、購入総額は3,379万円です。
頭金なしで3,000万円のローンを組むよりも、95万円安くなります。
また、月々の返済額も、97,000円から78,000円に減らすことができるのです。

心 「将来のために、今から頭金とかしてちゃんとして、めどがついてから家を買うようにしないと、自分が痛い目見るなって思いました。」

りゅうちぇる 「すばらしい!」

  • 収入と返済のバランスを考慮
  • ライフスタイルに合わせて選択

横山さん 「住宅ローンは高額です。なので、現在から将来の収入の見越し・見通しをきちんと立てて、収入と返済のバランスを考慮していただきたいと思います。
ちなみに、私の話なんですけど、僕は子どもが6人いるんですよ。」

3人 「え〜!?」

横山さん 「まさか子どもが6人できるとは思わなくて、普通に3LDKくらい(の住居)だったんですよね。そうしたら(住居として)全然、(広さが)足りなかったんで、大失敗で売りました。」

りゅうちぇる 「そうなんですね。そういうところも全然、予想できないし、その時のライフスタイルに合わせて家を買わないという選択肢もアリ、ですよね?」

横山さん 「アリだと思います。」

  • 現役世代の生活費
  • 心のライフプランでかかるお金

続いて、「生活費」をチェック!
22歳から60歳まで、43年間の生活費は、総務省のデータをもとに計算すると、1億3,674万円になります。

ここまで、「教育費」が2,420万円。
頭金を出すことにした「住宅費」は、3,379万円。
そして「生活費」という、大きな3つの支出金額がわかりました。
でも、支出はこれだけではすまないみたい!?

  • 高級車
  • 人生のゴール

心 「私、将来、高級車が欲しくて。」

りゅうちぇる 「高級車?どんな高級車が欲しいの?」

心 「スポーツカー。牛のマークがついた…。」

牛のマークの高級車、心さんはどうしても手に入れたいんだって!

心 「私の人生のゴール地点じゃないですけど…」

りゅうちぇる 「かっこいい!」

心 「その車が買えたら、生きててよかったって思えるくらい。絶対、買いたいんですよね。」

  • 心さんのその他の支出
  • 心のライフプランでかかる合計額

人生のゴールだという車と3回の旅行も、心さんのライフプランには絶対必要なお金。
あわせて、4595万5千円!
ここまでの支出にさらに追加すると、総額はいくらになるのでしょうか!?

心 「いきます…、2億4068万5千円です!」

りゅうちぇる 「すごい!でも本当に、意外とお金ってかかるんですね。」

横山さん 「実はこの金額は、結婚費用や介護、車の維持費とか、そういうものは全然、入ってないんですよね。(そういったものを含めると)もしかしたら3億円とか、かかってしまうかもしれないですね。」

りゅうちぇる 「急に必要になるお金って、案外いっぱいありますもんね。」

  • 60歳までの平均生涯賃金
  • かかるお金も変わってくる

横山さん 「支出がわかりましたので、次に収入を見ていきます。
心さんは大学を卒業する予定ですので、大学卒業後のフルタイムでの正社員で仕事をされた場合、60歳までの生涯賃金の平均を見てみると、男性は約2億7千万円、女性の場合は約2億2千万円となります。」

りゅうちぇる 「この収入と心ちゃんの支出とを比べてみると、どうなのかな?」
 
心 「これは、ひとり(の収入)ですよね!?ひとり分なので、私は結婚をして…、」

りゅうちぇる 「夫と2人でね、協力してね。一緒に稼いでいけばいいもんね。」

心 「一生懸命、稼ごうと思います。」

りゅうちぇる 「頑張りましょう!」

「今回は、心ちゃんの考えたライフプランをもとに、人生でかかるお金を考えてきましたが、例えば『私は結婚しない、独身のままでいいや』と思って独身のままだったり、結婚しても子どもは作らない方だったり、それぞれのライフスタイル、ライフプランに応じて、かかるお金も変わってくるんだよね。

貯蓄と保険
  • 収入と支出の記録をつける
  • 家計簿アプリ

りゅうちぇる 「貯蓄とは、簡単にいうと貯金だよね。どうやったら、お金をためることができると思う?」

ジュリアン 「収入と支出の記録をつけた方がいいと思います。やった方がいいというのはわかっているんですけど、なかなか実践ができません。」

横山さん 「収入と支出の管理は重要です。そのためには、家計簿などお金の記録をしていただきたいなと思います。


お金の記録をつけるのが面倒という人におすすめなのが、スマホで使える「家計簿アプリ」です。
いつでもどこでも記録できる手軽さが人気です。
買い物したときにもらうレシートをカメラで撮るだけで入力できる機能もあります。
項目ごとに月々の予算を割り振り、使いすぎていないかチェックして改善点を探すこともできます。

  • 収入と支出の管理は重要
  • 振り返ることが大切

ジュリアン 「アプリなら簡単そうで、自分も(収入と支出の管理が)できそうです。」

横山さん 「家計簿はつければいいというものではなくて、『なんで買ったのか?』『本当に必要だったのか?』を振り返って(収入と支出の管理を)やっていただきたいなと思います。

3人 「はい!!」

  • リスクに備えるのが保険
  • 公的保証

りゅうちぇる 「でも、貯蓄だけではまかないきれないことも人生には起こります。例えば、失業したり、病気やケガで長期入院したり、火事や交通事故などさまざまな『リスク』があります。このようなリスクに備えるのが『保険』です。

ここでは「公的保障」のひとつ、健康保険の種類をチェックしましょう!
会社員が入る「健康保険組合」「協会けんぽ」
自営業や非正規雇用の人が入る「国民健康保険」などがあります。

  • 私的保障
  • 何が必要か考える

続いて「私的保障」、いわゆる民間保険は大きく分けて
「生命保険」「損害保険」、そして がん保険などの「第3分野の保険」があります。

心 「横山さん、私は将来民間の生命保険に加入しようと思うんですけど、どんな保険に入ればいいか、種類がいっぱいあってわからないんですけど…。」

横山さん 「20〜30代でも病気のリスクはあるので、そこをカバーするといいし、まだ子どもがいなければ死亡保険は入らなくていいなど、何が必要なのか見えないと(見極めないと)、いっぱい入らないといけなくなるので、そこは気をつけて。

心 「はい。自分がいつどうなってもいいように貯蓄しながらも、自分に合った保険に入ることが大事かなって思いました。」

お金との賢いつきあい方
  • お金との賢いつきあい方
  • お金を増やすには

お金を増やそうと思ったら、こちらです!!
「貯金」「節約」「働いて収入を増やす」さらには「投資」といった方法で、お金を増やすことができます。
ここからは「投資」について注目していきましょう!

投資商品の中で一般的な「株式投資」
その仕組みは、株式会社が行う事業に対して、“将来性がある”“応援したい”などと思った人がお金を出して株式を買うことで、会社を支援します。

  • 株主投資利益が出た
  • 株主投資利益が出なかった

株式を買った人が「株主」。
一方、会社は集めたお金を資金にして、事業を行います。
株主になるメリットのひとつが「配当金」です。
会社は事業で利益が出た時などに、株主に配当金として利益を還元します。
しかし、事業で利益が出なかった場合などは、配当金は出ません。
また、会社が倒産した場合、持っている株式の価値がなくなるといったリスクもあります。

  • 投資信託
  • 投資信託と普通預金の比較

こうした投資のリスクが低くなるのが「投資信託」
専門家にお金を託して、投資をしてもらう商品です。
お金を出した人が「投資家」です。
専門家は株式や債券など、さまざまな金融商品に投資することで、1つだけに投資した時よりもリスクを減らすことができます。
しかし、投資信託も状況によって利益が出ない場合もあり、投資した金額を下回る「元本(がんぽん)割れ」になるリスクがあります。
普通預金と比較すると、投資商品は安全性が低く、収益性が高い“ハイリスク・ハイリターン”であることがわかります。

  • 預金がないうちは投資しないほうがいい
  • 預金があれば始めてみては

横山さん 「投資は収益が必ず出るわけではないので、それをカバーする預金がないうちは、ムリして投資はしない方がいいと思います。預金がしっかりとあれば将来のために、毎月少額でもいいので、(投資を)始めてみてもいいのではないかと思います。

りゅうちぇる 「今回いろいろお話聞いたけど、どう思ったかな?」

  • ジュリアンの感想
  • 心の感想

ジュリアン 「僕は、今日からお金の使い方を変えていきたいなと思った。将来のために、大きな家(を買う)ために変えていきます!」

心 「しっかり自分が貯蓄して、そういう投資とかも、自分に合った方法でやっていけば、自分は諦めたりしなくても、やりたいことできるんだろうな、って思いました。」

横山さん 「いろいろ不安になっていることも多いと思います。もし何か困ったことがあったら、ファイナンシャルプランナー(に相談する)でもいいし、ひとりで悩まないで、相談してもらいたいと思います。頑張っていきましょう!」


それでは次回もお楽しみに!

【第19回 大切なお金 どう活かす? 〜計画的な家計のために〜】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第19回 ポイント1
  • 家庭総合 第19回 ポイント2
  • 家庭総合 第19回 ポイント3

1:人生で必要なお金
「教育費」「住宅費」など、自分のライフプランでどんなお金がかかるのか、考えておきましょう。

2:貯蓄と保険
人生のリスクに備えるために、「貯蓄」と「保険」が大切です。

3:お金との賢いつきあい方
余裕のある資金があれば「投資」をするなど、お金と賢いつきあい方をしていきましょう!


※家庭総合では第15回「支え合って生きていこう」で、社会保障制度と、人生のリスクに備えることの大切さについて紹介しました。
また、老後の暮らしを支える年金制度については第14回「高齢社会 いつかは自分も・・・」で取り上げています。
今回の番組とあわせて、チェックしてみましょう。

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