NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第8回 子ども

どう子どもと関わる? 〜成長を促すために〜

  • ゲスト:恵泉女学園大学学長 大日向 雅美
    監修:大阪府立天王寺高等学校教諭 谷 昌之
学習ポイント学習ポイント

どう子どもと関わる? 〜成長を促すために〜

今回のテーマは「どう子どもと関わる? 〜成長を促すために〜」
  • りゅうちぇる
  • 心

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

きょうのテーマも子育てに関することです。
もうすぐ2歳になる男の子の子育て真っ最中のりゅうちぇるさん。
イヤイヤ期が始まって、かわいいながらも大変なところが出てきているそうです。

今回のテーマは「どう子どもと関わる?〜成長を促すために〜」です。
現役高校生の、心さん(高3)と一緒に考えていきましょう!

りゅうちぇる 「もし、僕とぺこりんが仕事で手が離せなくて、『僕の家で息子の世話をしてほしいんだけど〜』って心ちゃんにお願いしたら、どうする!?」

心 「私は、子どもが大好きなので、『ぜひ預かりたい!』という気持ちと、『ちょっと不安な気持ち』もありながら…でも、預かりたいです!」

りゅうちぇる 「確かに子どもって、突然泣き出したり、怒ったりするから。いきなり『お世話して!』って言われても、かわいいから『(お世話)したい!』って思うけど、戸惑っちゃうところもあるよね。」

今回の3つのポイントは、「子どもの日常生活を支える」「子どもからのサインを読み取ろう!」「子どもの健康と安全を守る」です。
どんな関わり方をしたら、子どもの成長を促すことができるのか、一緒に考えましょう!

子どもの日常生活を支える
  • 基本的生活習慣
  • 社会的生活習慣

子どもは、生まれてから6歳ごろまでに、日常生活や社会生活に必要な生活習慣を身につけていきます。
生活習慣には、食事や排泄・睡眠など、生活をするために必要な「基本的生活習慣」と、挨拶やルールを守るなど、集団での生活を円滑にするために必要な「社会的生活習慣」の2種類があります。

子どもは日々の生活の中で、保護や世話をしてくれる特定の人に対して「愛着」を示します。こうした信頼関係のもと、さまざまなサポートを受けながら、子どもは生活習慣を身につけます。

  • 橋本翔也くん
  • ズボンを脱ぐのを嫌がる

保育所では、どのように子どもたちに生活習慣を身につけさせているのでしょうか。
保育士さんの子どもとの関わり方に注目してみます。
橋本翔也くん(2歳2か月)、ひとりで上着をすんなり脱いだのに、なぜかズボンを脱ぐのは嫌がっています。
激しく嫌がる翔也くんに対して、一体どんな対応をしたらよいのでしょうか?


りゅうちぇる 「これ、僕すでに経験してる。僕の息子もイヤイヤ期なので、上着は脱いだのにズボンは脱ぎたくないのような、『どういうことだ!?』という経験あるけど…。そもそも、ズボンを脱いでほしいや、着替えというのも、大人の都合なのでは?ということを忘れないで(子どもと)接していくことは意識してますね。『本当に着替える必要があるのか!?』、『じゃあ、もういいや。』ってあきらめることも、すごく大事なことかもしれないよね。」

  • 赤ちゃんが泣いてる
  • いい子いい子

ズボンを脱ぐのを嫌がる翔也くんは、部屋から脱走してしまいました。
しかし、保育士さんは無理に連れ戻したりしません。ただ、見守るだけです。
すると…

保育士さん 「翔ちゃん、(同じ保育園の)赤ちゃんが泣いてる!いい子いい子して!(翔也くんが赤ちゃんの頭を撫でると)そう!上手!翔ちゃん、ありがとう。さすが!いい子いい子できた。」

そして、褒めたあと、すかさず…

保育士さん 「じゃあ、ズボン脱ぐ?」

翔也くん 「うん!」

  • ほめる保育士
  • ズボンを脱ぐ

ズボンを脱ぐのをあんなに嫌がっていた翔也くんが、自分から脱ごうとしています。

保育士さん 「がんばれ!(翔也くんがズボンを脱いでから)できた〜!!」


りゅうちぇる 「保育士さん、うまく翔也くんに自分でズボンを脱がせるようにしていたよね。」

心 「(翔也くんは)自分が年上になったっていうのを実感したから、しっかりしなきゃいけない(と思ったのかもしれない)。(子どもは)うれしいことがあったら、言われたことをそのままやっちゃったりする。」

りゅうちぇる 「そういう、ちょっと単純なところに、答えがあるかもしれないよね。」

  • 大日向先生
  • スタジオの様子

ここからは、発達心理学の専門家、恵泉女学園大学 学長 大日向雅美先生と一緒に、子どもの生活習慣について考えていきます。

りゅうちぇる 「どうして保育士さんは、子どものサポートがあんなに上手なんですか?」

大日向先生 「りゅうちぇるさんの言葉で大事だと思ったのは、『大人の都合でやらせようとしていることって、けっこう多いかな』と言ったのよね。
確かに最初は、保育士さんの都合で脱がそうとした。でも、嫌がった。そのあと、全然、無理強いしなかった。『自分でやってみたい』とか、『脱ぐか脱がないか、自分で決めたいよ』っていう自我が芽生えてくるころなのね。それを保育士さんは、大事にしている。


りゅうちぇる 「すばらしいよね。そういうふうに対応していくことって。」

  • 品川さん
  • 子育て体験

続いて、大学生が、子育て体験をしている様子を紹介します。
品川彩さん(大学3年生)は、どのような親になったらいいのかを学ぶために、子どもの世話をするプログラムを体験中です。
体験を始めたきっかけは、将来の子育てに不安を感じていたからでした。

品川さん 「子どもが苦手という気持ちもあるし、どういうふうに接したらいいのかわからないので。」

  • 周くん
  • 由宇ちゃん

品川さんがお世話するのは、元気いっぱいで負けん気の強い・周(あまね)くん(8歳)と、甘えん坊の妹・由宇(ゆう)ちゃん(4歳)です。
この日は、同じプログラムで一緒に子育て体験をしている五十嵐敦生さんも一緒です。

  • 夕飯の準備
  • 遊びをやめない周くん

週に一度、通うようになって3か月。ようやく慣れてはきましたが、まだ戸惑ってしまうことも。
たとえば夕食の時間に、料理の支度を済ませ、部屋で遊んでいる周くんたちを呼びに行ったのですが…

品川さん 「あまねっち、(遊びの続きは)ごはん食べてからにしよう。」

周くん 「できるだけ急ぐから!」

五十嵐さん 「じゃあ、ごはん食べてからにしよう。」

周くん 「急ぐって言ってるでしょ!」

五十嵐さん 「急いでも…だって、ごはん冷めちゃうもん。」


品川さんに子育て体験の感想を聞いてみました。

品川さん 「子どもは、もっと大人の言うことを聞いてくれるものだと思っていたし、大切に扱わなくきゃいけないっていうのもあったから、最初はほんとに声をかけること、何か一言、声をかけることすらできなかったです。」

  • おかあさんに相談
  • おおらかに接する

子育て体験に苦戦する品川さんは、子どもたちのお母さんに相談しました。すると、「肩の力を抜いて、もっと気楽に接してみたら?」というアドバイスをもらいました。
その後、品川さんは、子どもたちとおおらかに接するようになり、周くんたちの様子も少しずつ変化していきました。

周くん 「(品川さんのことは)好きっていうよりは、面白いかな。(以前は)会ったときに『どんな子なのかな?』ってすごい緊張してたけど、今は結構、(品川さんと)仲間になれていいなあって。」

品川さん 「『何をしたい』や『こうやりたい』という意見がちゃんとある子たちだから、受け止めてあげながらも、ちゃんと自分で自立して生きていける子になるようにしてあげたいなと思います。」

  • ひとりの人間として向き合う
  • 信頼関係を持つこと

りゅうちぇる 「品川さん、うまくいくことばかりじゃなくて、最初は戸惑っていたんだけど、どんどん、いろいろな経験をして気持ちが変わっていってたよね。」

心 「壁を作らずに、ちゃんと(子どもと)ひとりの人間として向き合ってあげることで、いい方向にいくのかな、と思いました。」

大日向先生 「子どもも同じひとりの人間なんですね。だから自然体で(子どもと)接してあげるということが、まずひとつ(大切なこと)です。うまくいったり、いかなかったりすることがありながらも、人と人との関係、心が結ばれていく。あたたかい気持ちで接していれば、あとは大丈夫だって信頼関係を持つことね。

子どもからのサインを読み取ろう!
  • 行動のサイン
  • 身体のサイン

小さな子どもたちは、いろいろなサインを出しています。
たとえば、体調が悪くなったりしたときは、ぼーっとしていたり、顔色が悪くなったりなどします。

また、病気のサインだけではなく、子どもの心と体は密接に関係しているため、心のトラブルなど、心理的な問題がサインとなって表れる場合があります。
感情の起伏が激しくなったり、過食、指しゃぶりをしたり、いつもと違う行動で表れる「行動のサイン」です。

食欲不振や下痢・腹痛・頭痛や発熱などの症状が表れる、「身体のサイン」もあります。

りゅうちぇる 「病気のときのサインと違って、(心理的な問題によるサインは)判断が難しいよね。」

大日向先生 「そうですね。病気だと思って、お医者様のところに連れていっても『病気じゃないですよ。体に原因はないですよ。』と言われることがあるんですね。その場合には、心が原因。たとえば、学校に行くのが嫌だとか、幼稚園・保育園に行くのが嫌でおなかが痛くなってしまうことがある。そういう場合が、ストレスによるもの、なんですね。」

「周りの大人が、気が付いてあげることが必要です。この子は本当に『体のどこかに原因があって、おなかが痛くなっているのかな?』、あるいは、『心に何か原因があって、おなかが痛くなっているのかな?』と。そこを見分けないで放っておくと、子どもはつらさが増してきて、なかなか立ち直れないってことも、ありますからね。子どもの様子をよく見ておいてあげることは大切なことだと思います。

  • メッセージを出し続ける
  • ストレスに気づいてあげることが必要

りゅうちぇる 「子どものストレスと向き合うために、僕たちにできることってあるんでしょうか?」

大日向先生 「私たち大人でも悲しいことがあったり、つらいことがあったときに『大丈夫?』と肩を抱いてもらったり、背中をさすってもらうと、少し心がほぐれて何でもぽろっと言えることってあるでしょ。」

「まず、『つらいよね。よく我慢したよね。』という言葉です。そして『何があっても私はあなたの味方ですよ』というメッセージを出し続けてあげてください。そうすると、『この人は絶対に、僕(わたし)を守ってくれるんだ。だから、何かあっても、失敗しても、またこの人のところに戻ってくれば守ってもらえるよね』と思うことが、ストレスに打ち勝つ力になっていくんです。」

りゅうちぇる 「自分も子育てをしている中で、すごく大切なことを教わったなって思います。小さな子どもたちが出しているサインを見過ごさず、しっかり受け止めること。そのうえで親や周りの大人たちが、どう子どもと関わっていくのか、そこが大事なんですね。」

子どもの健康と安全を守る
  • 事故の主な原因1
  • 事故の主な原因2

子どもの日常生活を支える中で必要不可欠なのが、「健康と安全を守る意識」です。
しかし子どもは時に、予想もつかないような行動をします。
特に6歳までの幼児期の子どもには、危険がいっぱいです。

小さい子どもは頭の比重が大きいため、転ぶとなかなか起き上がれません。そのため、浴槽での溺死などの事故が起きます。
また、恐怖を感じる感覚が未発達のため、高い場所が怖いという感覚が育ちにくく(高所平気症)、階段やベランダから転落する事故も起きやすいのです。

  • 事故の主な原因3
  • 事故を予防することが大事

好奇心が強く、予測のつかない行動をとることも多いため、急に道路に飛び出して車にぶつかるといった交通事故や、食べもの以外のものを口にしてしまう誤飲などの事故にもつながります。
こうした子どもの事故を防ぐには、子どもの目線で、安全確認をすることがとても大切です。

大日向先生 「子どもは、危険に対する認識が未発達ですから、周りの大人は予防してあげることは、まず大事です。でも、そのバランスがなかなか難しいんです。『怪我をさせてはいけない、事故を起こさせてはいけない』といっても、本当に何もさせないっていうことでは絶対になくて、子どもは自分の感覚で『これは危ない!』ということが、少しずつわかってくる。もし、危ないことをしたら、強く『ダメよ!』と言ってあげる。これは、けっして怒るとか叱るということではなくて、『これは危険です』ということを大きな声で、怖い顔で(危険だと)伝えてあげることも大事なんですね。」

  • 怖い顔で危険と伝えてあげる
  • こども医療でんわ相談

もうひとつ大事なことは、子どもの怪我や急な病気に備えて、対応できるようにすることです。
まずは、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
休日や夜間の場合は、困ったら「#8000」こども医療でんわ相談に連絡しましょう。
子どもの症状に応じた対処の方法や、受診する病院について、小児科の医師や看護師のアドバイスを受けることができます。

  • 心の感想
  • りゅうちぇるの感想

りゅうちぇる 「これから、自信をもって子どもと関わっていけるね?」
 
心 「そうですね。やっぱり子どもだから…と考えちゃったんですけど、ひとりの人間として接してあげることが一番大切かなって、学びました。」

大日向先生 「高校生のみなさんは、みんながみんな、子ども好きとは限らない。このように勉強しても、子どもってかわいいなと思えないかもしれない。かえって大変かなと思う人がいるかもしれない。私はそれでいいと思います。
でも、目の前の子どもに自分自身を重ねてみると『子どもが育っていくって面白いな。その結果、今の私(今の僕)になるんだな』と、ある意味ミステリアスじゃないですか。そういう面白さも経験できるといいですね。」

りゅうちぇる 「確かに。僕も末っ子なので、自分より年下(の人)や子どもと接していくのに自信がなかったんだけど、息子のおかげで(子どもと接するのは)楽しいな(と思えたり)、自分の小さい頃を思い出す機会ができたり、自分の親への感謝が生まれてきたり。子どもと接して、自分が本当に子どもが好きかどうか気づけるときはあると思うので、ゆっくり自分で気づいていく、考えていくことも大事かなって思いました。」

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール〜
  • SDGsの目標6
  • 心とりゅうちぇる

「家庭総合」を学ぶとき、ぜひ知っておいてほしい「SDGs」について考えるコーナーです。
今回は、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」について、取り上げます。

今回、子どもの健康の問題についても話してきましたが、乳幼児の死亡率を下げるには、公衆衛生の向上が欠かせません。

  • トンボフーワン村
  • 水たまりの水をくむ

西アフリカのシエラレオネ共和国、東部に位置するトンボフーワン村。
都市部から遠く離れたこの村には、給水設備がありません。
人々は水たまりから汚れた水をくんで、生活していました。
汚れた水や不衛生な環境は、感染症を引き起こします。
幼い子どもたちは、下痢などで命を落としてしまうことが少なくないのです。

  • 2018年支援が届いた
  • きれいな水で顔を洗える

そんな現実を変えるために、そこに住む人々へ、2018年に支援が届けられました。
井戸がつくられたことで、清潔な水が飲めるようになり、多くの人々の命と生活が救われたのです。


心 「世界の中には、いまもこうして、汚れた水を飲まくてはいけない人たちがいることが、すごく衝撃的だったので、もっともっと世界的に公衆衛生をよくしていかないといけないなと思いました。」

りゅうちぇる 「SDGsの目標である、『誰ひとり取り残さない』ためにも、この6番の目標を達成していけるようにしましょう!」



それでは次回もお楽しみに!

【第8回 「どう子どもと関わる? 〜成長を促すために〜」】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第8回 ポイント1
  • 家庭総合 第8回 ポイント2
  • 家庭総合 第8回 ポイント3

1:子どもの日常生活を支える
子どもの自我を大切に、生活習慣を身につけるサポートをしましょう。

2:子どもからのサインを読み取ろう!
周りの大人が、子どもの出しているサインに気づくことが必要です。

3:子どもの健康と安全を守る
子どもの病気や怪我の予防、対応するための知識を身につけましょう!

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