NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第6回 子ども

受け継がれる命 〜好きな人と どう関わる?〜

  • 東京都立駒場高等学校教諭 木村 裕美
学習ポイント学習ポイント

受け継がれる命 〜好きな人と どう関わる?〜

今回のテーマは 「受け継がれる命〜好きな人と どう関わる?〜」
  • りゅうちぇる
  • スタジオの様子

「家庭総合」では、これから生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

今回のテーマである「受け継がれる命」について考えるための3つのポイントは、「好きな人との関わり」「子どもの誕生」「母体の健康管理」です。
「性といのち」はとても大事なテーマです。現役高校生の絢音さんと太哉さんと一緒に、マジメに話していきましょう!

りゅうちぇる 「エロい、恥ずかしい、怖いとかいって構えないで、幸せに生きるための知識として学んでほしいなと思います。」

好きな人との関わり
  • まんが1
  • まんが2

こんなとき、キミならどうする?

高校2年生の僕(Aくん)。
こんな僕にも1年前に、彼女ができたんだ。
同じクラスのBちゃん。僕たちは、毎日のようにデートしてる。

  • まんが3
  • まんが4

ある日の休み時間、クラスの仲間の雑談が聞こえてきた。
僕たちの会話は、最近いつも「彼女と初体験を済ませたか、いつ済ませるか」になっている。

友達 「おまえ、ついに彼女と経験したんだって!?」

そんな仲間たちの話を遠くで、彼女も聞いていた。

Bちゃん 「私からAくんを誘ってみようかな…。でも、まだ早いか…。」

Aくん 「僕たちもそろそろ…かな。でも、嫌われたらどうしよう…。」


りゅうちぇる 「こういうシチュエーションが、(高校生のみんなにも)あるかもしれないよね。」

絢音 「私は、やっぱり高校生はまだ早いかなって、思ってしまいますね。」

太哉 「そんなに早くていいものとは、思っていなくて…。早いからって別に誰かから何か言われるとかじゃなくて。やっぱり自分たちで、しっかりと決めて、行動した方がいいと思う。」

茨城県の高校生に聞いた調査

茨城県の高校生に聞いた調査では、「好きな人がいるとして、その人から性交を求められたらどうする?」という質問に対して、男女ともに「そのときにならないとわからない」が一番多い回答でした。

りゅうちぇる 「でも、『わからない』ではなくて、『ちゃんと考えておかなくちゃいけない』と思うな。きょうは、『わからない』からこそ、みんなで勉強していきましょう!」

  • 岡野めぐみさん
  • 妊娠や出産について決める権利がある

岡野めぐみさん(23歳)。
高校時代に経験した、ちょっとモヤモヤした性の体験を話してくれました。

岡野さん 「当時は3つ上の恋人と付き合っていて、毎日のようにデートをしていました。」

付き合って3年。性の知識がほとんどなかった岡野さんは、相手に求められるままに応じていたといいます。

岡野さん 「相手に嫌われちゃうんじゃないかとか。恋人であるからこういうことをすべきなんじゃないか、みたいなものに縛られていた。向こう(相手)に言われるままに、従うしかなかったなって。」

男性も女性も すべての人に、妊娠や出産について決める権利があります。
しかし、知識がなかった岡野さんは、自分で決めることができませんでした。

  • もしかしたら妊娠したかも
  • 岡野さんの活動

あるとき、岡野さんは生理がこないことに気づき、焦ります。

「もしかしたら、妊娠したかもしれない」

岡野さん 「『生理はこなきゃいけないものだ』みたいな感覚があったので、それがこないっていうのは、そのあと何か大変なことになりそう。自分の人生はどうなっちゃうんだろう…と。」

不安な日々を過ごして1週間。
生理がきて、心からホッとしたといいます。

岡野さんは今、自分のような不安を味わってほしくないと、10代の若い人たちに性の知識を広める活動を行っています。

岡野さん 「コンドームで避妊ができるとか、低用量ピルで女性が主体的に避妊ができるとか、知識がなかったので。知識って自分を守る盾(たて)になると思うので。
自分の望む人生とか、望む選択肢をとれるようになると思うので、(性の知識は)あった方がいいと思います。

  • 10代で妊娠した数
  • 梅毒

性交すれば、誰でも妊娠する・妊娠させる可能性があります。
10代で妊娠した人は、1年間で22366人(2017年度のデータより)。
そのうち、約6割の13588人が人工妊娠中絶を選択しています。

性的な接触によって感染する病気、「性感染症」のリスクも知っておく必要があります。
「梅毒(ばいどく)」は最近、若い世代の患者が急増しています。
症状が悪化すると、命にかかわる重篤な状態になることもあります。

  • 伊藤さん
  • 秋田県の10代の人工妊娠中絶実施率

秋田県では、若者の知識不足に危機感を覚え、20年ほど前から県の事業として性教育の講座を、年間68校で実施しています。
教えてくれるのは、地元の医師たち。
さらに、教師たちへの性教育研修、性に関する相談窓口の設置など、県と医師、学校が連携して、性教育に力を入れています。
かつては、10代の人工妊娠中絶の実施率が全国平均よりも高かった秋田県。
現在では、6分の1ほどに減り、全国平均を下回るまでになりました。


太哉 「知識があるのとないのでは、これだけ差があるなって思うのと、そういう知識を知れば知るほど、みんな、危機感を持つし、知識っていうのはすごい大事だなって思いました。」

絢音 「恋愛を始める前に、そういう知識を持っておくことが大事なんだなっていうふうに思いました。」

りゅうちぇる 「そうだね。恋愛をスタートさせてしまうと、好きっていう気持ちが膨らみすぎて、冷静な判断ができないときってあると思うんですよ。知識があれば、これからどうするのか、どういう選択をしたらいいのかっていうことが、冷静に考えられるよね。

  • 山本さん
  • 授業の様子

10代の性と向き合い続ける、助産師 山本文子さん(76歳)。
これまで3000人以上の赤ちゃんの誕生に立ち会ってきた一方で、たくさんの若者たちの人工妊娠中絶にも立ち会ってきました。

山本さんは、全国各地の学校から依頼をうけ、新しい命が生まれることの重みを伝える授業を行っています。

山本さん 「中学校2年の女の子に赤ちゃんを抱かせたんです。その中学生、いま生まれたばかりの赤ちゃんを抱きしめて何といったと思う?『赤ちゃんって、あったかいね』って言ったんだ。わかる?みんな。死んだら、冷たいんだよ。冷たくなった命は二度とあったかくはならん。生きているから、あったかい。君たち一人ひとりの命が、どんなにあったかいかを知ってください。(いのちと性を考える授業にて)」

  • 私が言ってあげないとダメ
  • 中高生からの手紙

山本さん 「亡くなっていく命もあるわけだから、この世の中に生まれるということは、すごいことなんだということを、誰かではなく、私が言ってあげないとダメだと思っているから。」

山本さんの元には、たくさんの手紙が届きます。
どう恋愛を進めたらいいのか、相手との関わり方に悩む、中学生・高校生が多いといいます。

山本さん 「あなたたちが大人になっていく中では、『大好きな人を抱きしめたい』『大好きな人に抱きしめられたい』『大好きな人とセックスしてみたいな』と思う心を持っていってほしい。『高校生だからしちゃダメ』じゃなくて。高校生でも性行為をして、もし妊娠したならば、学校をやめて働いて、子育てをしている人だって、今まで何人も見てきた。だけど、そこまでするということは、結構、大変なことなんだよ。子どもを育てるということが、どんなに大変かを知っておかないとダメ。」

  • 絢音の感想
  • 太哉の感想

絢音 「(山本さんの話は)すごく鳥肌が立ちました。命の重さと責任を感じました。」

太哉 「『生きているからあったかい』という言葉。『死んじゃったら冷たいんだよ』という言葉が、命の尊さをすごい感じた、印象に残っている言葉です。」

りゅうちぇる 「(高校生のみんなは)自分たちも立派な大人になる準備をしていて、『ひとつの命を作ることができるんだ』ということをしっかり考えて、その重さをわかってから、行動した方がいいなって、本当に思いました。」

子どもの誕生
  • ぺこさん
  • 着床

ここで、スペシャルゲストの登場、りゅうちぇるさんの妻、ぺこさんです!!
ぺこさんは、2018年に長男を出産しました。
生理が遅れたため「もしや?」と思い、検査薬を使って妊娠がわかったという、りゅうちぇるさんとぺこさんは?

ぺこさん 「ほんまに?ほんまにできるん!?みたいな。本当に神秘的すぎて、とにかく驚きで。(りゅうちぇると)二人でひと騒ぎしてから、『嬉しいね』って、二人で泣きましたね。」

妊娠から出産まで、約40週間。
赤ちゃんはお母さんのお腹にある、「子宮」の中で成長していきます。
卵子と精子が結合した受精卵が、子宮の内側の膜にくっつきます。
これを「着床(ちゃくしょう)」といいます。
着床することで、妊娠が成立します。

  • 胎のう
  • 妊娠8週目

ぺこさんが妊娠に気付いたのは、妊娠6週目(左写真)。赤ちゃんは、まだ見えません。
しかし、(エコー写真には)赤ちゃんを包む部屋「胎のう」がしっかりと写っていました。

ぺこさん 「一番、最初(のエコー写真)が、実は一番好きなんです。赤ちゃんができるんじゃなくて、まず部屋(胎のう)からスタートなんだと思いました。」

妊娠7週目、検診にいくと、赤ちゃんが見えました。大きさは1cmほど。
妊娠8週目(右写真)には、心拍が確認できました。

ぺこさん 「すごい!ちゃんと成長してる!かわいい。すごいねー!みたいな感じでした。検診の後は『ありがとうね、見えたよ』とか(話しかけていました)。私の声が、絶対(赤ちゃんには)聞こえているんだろうなと思っていたので。話しかけないと寂しいというか。自然とでした。」

  • 妊娠9週目
  • 胎動

妊娠9週目(左写真)、頭と胴体、腕の区別がつくようになりました。
こうした赤ちゃんの成長の喜びの一方で、妊娠初期の多くの母親を悩ませるのが、「つわり」です。

ぺこさん 「私はまず最初に『眠りづわり?』…すごい眠くて。その後は『食べづわり』だと思うんですけど、吐いたりはしないんですけど、お腹がすいたらすごい気持ち悪くなって。」

妊娠21週ごろには、母体は安定します。
身長は30cmほどに成長。赤ちゃんの動きが、活発になってくる時期です。

ぺこさん 「妊娠6か月(右写真)ぐらいの時に、中でムニョムニョみたいな感覚で。『これが胎動(胎児の動き)なんだ!』と確信して、『動いてる、動いてる』みたいな。あくびも見ました。すっごいうれしかったです。」

赤ちゃんは、子宮の中で「へその緒」と呼ばれる管を通して、お母さんから必要な栄養分をもらいながら成長します。

  • 妊娠40週目
  • 出産時の話をするぺこさん

そして、準備が整うと子宮が収縮を始め、赤ちゃんは外に押し出されます。
いよいよ「出産」です。

ぺこさん 「赤ちゃんはもう『いつでも生まれます』という感じなんですけど、子宮口が10cmになるまで産んじゃダメみたいで。私の子宮口がまだ10cmにいってなかったから、助産師さんがお尻のあたりを『まだだー』って感じで押さえてくるんですよ。赤ちゃんの頭を、外から。」

「それを途中で、(助産師に)『パパ、きてください』って言われて。りゅうちぇるが、私のお尻ごしに赤ちゃんの頭を押さえていました。私の皮膚ごしに(赤ちゃんの)頭がグルグルって、『出たいよー』というのを感じたらしくて、その経験っていうのはすごいなと思いました。」

産まれた瞬間、赤ちゃんは泣き出します。「産声(うぶごえ)」です。
このとき初めて、赤ちゃんは自分で外の空気を吸うのです。
初めての出産にかかる時間は、平均12時間。
お産は、赤ちゃんと家族が一緒にがんばる共同作業です。

ぺこさん 「産まれてすぐ、助産師さんが(赤ちゃんを)抱っこさせてくれて、おっぱいを吸わせてくれたんですよ。そうしたら、『誰から教えてもらったの!?』というぐらい、(赤ちゃんは)普通におっぱいを吸いにきて、すごいなと思いました。やっぱりママと子どもなんだと思って。存在がいとおしいって、こういうことだなって感じでした。」

  • 手のひらに頭を感じた
  • りゅうちぇるを尊敬!

りゅうちぇる 「(ぺこさんの出産のとき)ここ(手のひら)に(赤ちゃんの)頭を感じたの。この感触で生命を感じて、この子、がんばって(この世界に)出てこようとしているんだって!あの感動は経験できてよかったなって、本当に心から思ったんですよね。」

太哉 「(りゅうちぇるさんを)尊敬します!というか、かっこいい!」

りゅうちぇる 「太哉くんも好きな人ができたら、そういうふうになると思うよ。」

絢音 「きっと(出産って)大変だったんだろうなって思うんですけど、やっぱり幸せなんだなっていうふうに、今すごい(感じました)。」

りゅうちぇる 「ホントに幸せ! 出産までの過程はわかりましたね。お産はほんとに一大事!」

母体の健康管理
  • 木村先生
  • 胎児の器官形成において影響を受けやすい時期

ここからは、番組の監修を担当している、東京都立駒場高等学校教諭の木村 裕美先生と一緒に考えていきます。
母体の健康管理では、どのようなことが大事なのでしょうか。
右の表は、妊娠中、胎児の器官がいつ頃作られていくのかをまとめたものです。

絢音 「脳が一番初めにできるんですね。」

太哉 「耳って、赤ちゃんって聞こえているんですか?」

耳は早い段階から形成されて、妊娠後期には聞こえているといわれています。
妊娠に気付くのは、たいてい5週目以降です。
それまでに重要な器官が形成され始めているので、母体の健康管理がとても大事になっていきます。

  • 妊娠中控えたいこと
  • マタニティマーク

では、母体の健康管理で、よくないこととは?
妊娠中、控えたい3つのこと、「喫煙」「過度な飲酒」「ストレス」です。
タバコやお酒の量が多いと、流産や早産のリスクが高まります。
また、妊娠中は精神が不安定になりやすいため、ストレスがたまらないよう、周りのサポートが大切です。

太哉 「これからは、マタニティマークを付けている方がいたら、自分から進んで席を譲るなど、手伝えることは手伝っていきたいと思いました。」

絢音 「私は、妊娠中の人たちを見つけたら、きっと不安に思うこともいっぱいあると思うので、明るい声かけができたらいいなって思いました。」

りゅうちぇる 「今回は『性と命の尊さ』について学んできたけど、2人はどんなことを考えたかな?」

太哉 「人間のあったかさ、というか生きている意味や大切さが、すごく感じられました。りゅうちぇるさんの話も、すごいなって感激したし、すごく勉強になりました。」

絢音 「私は、今回学んだことが一番、『命』、生きることに近いものなんだなと感じました。(好きな人との関係などについても)想像できないから考えるのをやめよう、ではなくて、ちゃんと知識として持ったり、経験していくことで、自分の将来に役立てていけたらなと思いました。」

木村先生 「みなさんはこれから、生命を生み出す側に立つので、この機会に性について考えて、自分の生き方を選び取れる力を身に付けていってほしいと思います。」

りゅうちぇる 「自分のこととしてとらえて、しっかり考えていきましょう!」


それでは次回もお楽しみに!

【第6回 受け継がれる命〜好きな人とどう関わる?〜】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第6回 ポイント1
  • 家庭総合 第6回 ポイント2
  • 家庭総合 第6回 ポイント3

1:好きな人との関わり
避妊や性感染症など、性の知識を身に付けましょう。
2:子どもの誕生
妊娠から出産まで、約40週間。
赤ちゃんと家族が一緒にがんばって、誕生のときを迎えます。
3:母体の健康管理
妊娠中、「喫煙」「過度な飲酒」「ストレス」は禁物。
周りの理解と、サポートが大切です!

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