NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第4回 自分・家族

人生のパートナーと生きる

  • お茶の水女子大学附属高等学校教諭 葭内 ありさ
学習ポイント学習ポイント

人生のパートナーと生きる

今回のテーマは 「人生のパートナーと生きる」
  • りゅうちぇる
  • 現役高校生

「家庭総合」では、これからの生活に必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!

今回の大事なキーワードは「パートナー」
りゅうちぇるさんが思い浮かべる「パートナー」といえば、やはり、妻のぺこさん!
きょうは現役高校生の、心さん(高3)と絢音さん(高1)と一緒に、女性の立場から見た「結婚のあり方」に注目しながら、「人生のパートナーとの結婚」について考えていきます。

3つのポイントは、「憲法24条」「親権と離婚」「理想のパートナー」です。
どんなパートナーと、どんな人生を生きていくのか?一緒に話していきましょう!

憲法24条
  • 結婚を親に反対されたら
  • 説得したい

日本国憲法の第24条は、結婚のことがどのように定められているのでしょうか。

りゅうちぇる 「(現役高校生の2人も)結婚について考えたことあると思うんだけど、もし『好きな人と結婚したい!!』と思ったときに、親にダメと反対されたらどうする!?

心 「私は親を説得しますね。がんばって、認めてもらえるまで説得したいです。」

りゅうちぇる 「親の賛成がないと結婚ってできないものなのかな?って迷っちゃうときもあるけど・・・、実は親に反対されても、成年年齢になったら、親の同意はなくても、結婚ができます!

  • 憲法24条条文(1)
  • 旧民法とは?

日本国憲法 第24条では、
「婚姻(結婚)は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有する」と定められています。

「男女平等」
がポイントです。
この憲法ができる前は、結婚するとき、特に女性の権利について、かなり違った位置づけでした。

  • 家制度
  • 夫婦の権利、義務は同等

約120年前、明治時代に施行された旧民法では(1896・98年公布)、男女は自由に結婚することが認められていませんでした。
結婚など家族に関する旧民法は、江戸時代、数パーセント程度だった武家の「家と家との結びつき」を重視した、家制度を確立させるものでした。
つまり、結婚は「夫の家を存続させること」が主な目的だったのです。

しかし、第二次世界大戦後の1946年、日本国憲法の公布によって、民法も改正され、家制度も廃止されました。
「夫婦の権利、義務は同等」など、憲法24条の示した男女の本質的平等に基づいて、改正されたのです。
伝統や慣習に苦しむ日本の女性たちを、憲法24条が解放しました。

絢音 「憲法24条って、すごい影響力が大きかったんですね。」

心 「でも、いまでも『夫の家に嫁ぐ』とか、そういう言葉があるから、まだやっぱり古い考えって残っているのかな。」

りゅうちぇる 「そうだよね。なんとなく、残ってる感じもあるよね。」

旧民法と現行民法の比較

民法はどのように改正されていったのか、具体的にみていきましょう。
旧民法は、夫婦について、「夫は妻の財産を管理する」決まりでしたが、新しい民法(現行民法)では「夫婦がそれぞれ対等に管理する」夫婦別産制となりました。

親権は、「夫だけ」から、「夫婦が共同で親権を持つ」、と改正されました。

相続は、「遺産の権利は家を継ぐ跡取りの、長男または養子だけが相続する(単独相続)」から「配偶者と子どもが分割する(分割相続)」、と改正されました。


絢音 「(旧民法は)すごい男性中心な感じだったんですね。」

りゅうちぇる 「そうだね。やっぱり女性の立場から見ると、ちょっとモヤモヤ思うところがあるでしょう!?」

心・絢音 「すごいモヤモヤしますね!」


結婚について、「個人の尊厳」「両性の本質的平等」という視点で改正された、いまの民法のおおもとになるのが、日本国憲法 第24条です。
実は、この憲法24条の草案作りに関わったのは、アメリカ人の女性でした。
幼い頃、日本で暮らしたこともあるこの女性が、24条に込めた思いとは…!?

  • ベアテ・シロタ・ゴードンさん
  • 両性の本質的平等

1928年ごろ、音楽家だった父の仕事の関係で来日した、ベアテ・シロタ・ゴードンさん。
5歳から約10年、日本で暮らしたベアテさんは、日本の女性が家や男性に縛られていると知りました。

ベアテさん 「自分の目でいろんなものを見ました。男の方の後ろを歩いている女性を、毎日のように(見ました)。」

「決めるときには何でも男性が決めていました。自分の好きな人と結婚ができないということ、本当に大変だと思った。」

第二次世界大戦後、日本の民主化を目指すため、GHQは新しい憲法の草案を作成します。
22歳だったベアテさんも、その任務を担当。
世界各国の憲法を参考にしながら、男女平等の視点(両性の本質的平等)を取り入れ、世界にも例を見ない画期的な内容となったのです。

ベアテさん 「民法を書く人は、たぶん官僚的な男になるでしょう。だから(男女平等を)憲法に入れれば、民法にも(取り入れられて)ちゃんと法律になることになるでしょう。本当に全然、(日本では)女性の権利がなかったから、できるだけいろんな権利を入れたかったんですよね。」

ベアテさんが憲法24条に込めた、男女平等の理念。
この憲法によって、日本の女性は、結婚の自由やさまざまな権利を獲得したのです。

心 「ベアテさんがこうしてくれなかったら、今の日本の女性たちは…もっと苦しく、肩身狭く生きてたのかなって思うと、ありがたい(感謝の気持ち)しか出てこない。」

憲法24条成立から70年以上経過し、結婚や夫婦のあり方など、暮らしの状況も変わってきています。
そうしたなかで、いまの民法の規定でも、男女の本質的平等の観点からすると不十分な部分があり、いま注目されている民法の改正案があります。

  • 選択的夫婦別姓制度
  • 葭内ありさ先生

検討課題のひとつが「選択的夫婦別姓制度」です。
いまの民法では、結婚するとき、夫または妻どちらかの「氏(名字)」を選択しなければなりません。
それを同姓か、別姓か選ぶことができるようにする改正案です。
現実的には9割ほどの夫婦は、夫の名字を選び、妻が名字を変えるケースが圧倒的です。
しかし、女性の社会進出が進み、名字が変わることによる社会的な不便さや不利益が指摘されるようになりました。
そのため、選択的夫婦別姓制度の導入を求める声が高まっています。

ここからは、番組の監修を担当している、お茶の水女子大学附属高等学校教諭の葭内(よしうち)ありさ先生と一緒に考えていきます。

選択的夫婦別姓に対する世論

選択的夫婦別姓に対する世論についてのデータを見てみましょう。
世論の推移をみていくと、2017年には、「選択的夫婦別姓の実現」「結婚前の姓を通称として使う」ためなら、民法を改正してもかまわないという意見が、70%近くを占めるようになりました。

賛成意見としては、「どちらかの姓、つまり名字を選ばなくてはならないのは差別にあたる」「名字を変えられた側からすると、変わった側の実家に組み入れられるようで不快」という意見があります。

絢音 「少しわかるかもしれない。(名字が変わることで)自分の親と離れてしまう感じがしちゃったりするかも…。」

反対意見としては、「家族の絆が崩壊する」などの意見があります。

心・絢音 「反対意見も…わかる。」

葭内先生 「結婚するとき、夫の姓を名乗るのが普通だっていう意識、高校生の2人にはありますか?」

心 「あります!憧れでもあります。」

絢音 「すごくあります!それが普通だと思ってました。」

葭内先生 「最近では、夫婦同姓を定めた民法の規定が、憲法24条で保障された個人の尊厳の侵害にあたると、夫婦別姓の制度化を求める裁判も相次いでいるんですよ。」

りゅうちぇる 「憲法24条の婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有する、ためにもさらに検討が必要なんですよね。」

親権と離婚
  • 憲法24条条文(2)
  • 子の数別離婚の割合

憲法24条には、もうひとつ条文があります。
結婚だけでなく、「離婚や家族に関しても、個人の尊厳や男女平等に基づいた法律が制定されるべき」という規定です。

例えば、結婚後に生じた事情を理由に、婚姻関係を解消する「離婚」
離婚した夫婦の子どもの数の割合を見てみると、子どものいない夫婦よりも子どものいる夫婦の離婚のほうが多くなっています。
それだけ、親の離婚に巻き込まれる未成年の子どもも多いのです。

  • 母親が親権をもつケースが約9割
  • 養育費を支払わないトラブル

日本では、結婚しているときは「夫婦共同親権」です。
しかし離婚すると、一方の親にのみ親権が与えられる「単独親権」となります。
実際に、離婚した場合、母親が親権をもつケースが約9割です。

親権を持たない親も、子どもが成年になるまで養育費を支払う義務があります。
離婚した後、親権を持たない父親が「養育費を支払わない」といったトラブルも多く、問題となっているのです。

りゅうちぇる 「離婚に関しても『男女平等の法律を!』とはいわれていますけど、母親である女性への負担が大きいように感じるよね。」

心 「感じますね。」

  • DV被害に遭った経験
  • DV相談ナビや配偶者暴力支援センター

近年、離婚原因のひとつとして目立ってきているDV(ドメスティックバイオレンス)
DVは、配偶者や恋人など、親密な関係にある(あった)者が、暴力を振るうことをいいます。
結婚したことがある男女に、DVの被害について調査したデータを見てみると、男性は5人に1人、女性は3人に1人が被害にあっていました。
DVには、「身体的暴行」のほか、「心理的な攻撃」「性的強要」などがあります。

心 「私の中でDVというのは、身体的暴行だけっていう、勝手な思い込みがあったんですけど、心理的攻撃とか性的強要とか、いっぱい項目があってびっくりしました。」

葭内先生 「そうですね。暴力を与える側が自分ではDVだと思っていなくても、言葉や態度によって相手が恐怖を感じ、精神的に支配されてしまうと、DVになる場合があります。むしろ、そちらの方が深刻だったりします。」

「もし、DVで何か困ったことがあったら、DV相談ナビや配偶者暴力支援センターといった相談窓口もあります。場合によっては警察に通報することも必要だと思います。」

りゅうちぇる 「愛されているから、自分がガマンすればいいんだって思い悩んでる人って、多いと思うんですよね。『この人のこと、大好き』って気持ちもわかるけど、自分をまず守ってあげるっていう選択肢を、絶対に忘れてはいけないですね。」

葭内先生 「そのとおりですね。みんな、自分を大切に、ね。」

理想のパートナー
  • 絢音の理想のパートナー
  • 心の理想のパートナー

りゅうちぇる 「憲法24条にまつわる結婚、離婚のこと、そして法律の問題などを学んできたけど、高校生の二人はどんな理想のパートナーを見つけたいと思ったかな?」

絢音 「ベアテさんが女性の権利を尊重してくれたおかげで、いま女性の意見もいえるようになってきて、女性も男性もそうですけど、意見を尊重しあえるようなパートナーがいいんじゃないかなと思いました。」

葭内先生 「憲法24条はベアテさんからの日本の女性への贈り物だってこと、よくわかりましたよね。」

心 「パートナー同士で、なんで名字を一緒にしないんだろう?とか、そういう疑問があったんですけど、全体を通して考えてみると、やっぱり女性が仕事に就いて、女性が目立つようになったからこそ、こういう問題(選択的夫婦別姓制度を求める声、など)があるのもわかったし、やっぱり価値観があえばすごくステキだなって思いました。夫婦同士で価値観があえば、たとえ名字が違っても一緒にわかりあえると思えるし。」

りゅうちぇる 「(女性だけじゃなく)男性もしっかり、お互いに考えていくことが大事ですよね。やっぱりこれからも僕、ぺこりんのこと、もっと大切にしていこう!」

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール〜
  • SDGsの目標5「ジェンダーの平等」
  • ポスター

「家庭総合」を学ぶとき、ぜひ知っておいてほしい「SDGs」について考えるコーナーです。
今回は、SDGsの目標5「ジェンダーの平等」について、取り上げます。

葭内先生 「みなさんは、右のポスターを街などで見たことがありますか?
“13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。”と書いてあります。」

心 「見たことはあったんですけど…その13歳で結婚、14歳で出産の意味が、なんかどういうことだろうって、想像がつかない。」

絢音 「想像がつかないです。」

高校生の2人には想像もつかないこと、それが開発途上国の貧しい家庭の現実です。
未成年の女の子たちは、戦前の日本と同じように結婚の自由がなく、親などに決められた相手と、早すぎる結婚を迫られているのです。

  • メモリーさん
  • アフィオンさん

メモリーさん 「妹はたった11歳で妊娠しました。両親は無理やり、幼い妹を結婚させました。それが普通のことだったのです。妹はすぐに妊娠しました。幼い体は出産に耐えられず、帝王切開を余儀なくされました。強制的に結婚させられた妹には困難の連続が待ち受けていました。妹は虐待されていました。自由になるお金は一銭もありませんでした。」

アフィオンさん 「父は女の子には教育は必要ないと考えています。妹と私を早く結婚させたかったのです。40歳の男と私を結婚させようとしました。父は男に私との結婚を申し込みました。その男がお金持ちだったからです。」

  • 中島さん
  • 中島さんと女の子たち

早すぎる結婚や妊娠など、苦しい現実を抱えた途上国の女の子の支援について、国際NGOのスタッフ、中島玖さんに聞きました。

中島さん 「私たちが女の子の支援にフォーカスを当てている理由は、けっして女の子が差別されていて、弱くてかわいそうな存在だから、というわけではありません。逆です。女の子が貧困を断ち切るためのキーパーソンとなると信じているからです。
ですので、女の子を支援するということは、その子自身の人生を変えるだけではなくって、家庭全体、それからコミュニティ全体、ひいては国全体にまで影響を与えることになるということが証明されていますので、女の子を支援することで、その周り全体を支援できると信じています。」

りゅうちぇる 「女性だからという理由だけで、(途上国の貧しい家庭の女の子たちが、早すぎる結婚や妊娠を迫られる現実が)いま起きているんだと思うと、本当に胸が苦しかった。」

絢音 「女性の自由というのがあんまりないように感じちゃって、すごくつらいなって思いました。」

心「もし自分が日本で暮らしていなくて、発展途上国で暮らしていたら、自分もそうなってるんだなと思うと、すごく深い…考えさせられますね。」

葭内先生 「(中島さんが)『女の子が貧困を断ち切るためのキーパーソンになる』とも言っていましたから、男女区別されることなく、子どもたちが教育を受けることができれば、きっと発展途上国の未来へとつながると思います。」

りゅうちぇる 「まずは、そうした世界の現状を知ることも、大事ですよね。」


それでは次回もお楽しみに!

【第4回 人生のパートナーと生きる】3ポイント まとめ
  • 家庭総合 第4回 ポイント1
  • 家庭総合 第4回 ポイント2
  • 家庭総合 第4回 ポイント3

1:憲法24条
日本国憲法 第24条は、結婚は男女の自由な意思に基づくものである、と定めています。
2:親権と離婚
離婚すると、女性が子どもの単独親権をもつことが多く、養育費の不払いなどトラブルを抱えることがあります。
3:理想のパートナー
どんな相手と、どんなパートナーシップを築いていくか、考えていきましょう!

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