NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第2回 自分・家族

多様なライフスタイルと「家族」

  • 横浜国立大学教授 堀内かおる
学習ポイント学習ポイント

多様なライフスタイルと「家族」

今回のテーマは 「多様なライフスタイルと『家族』」
  • ライフスタイル
  • 家族

「家庭総合」第2回が始まります。
一人ひとりが生きていくために必要な知識や技術を、りゅうちぇるさんと一緒に学んでいきましょう!
今回は現役高校生の、心さん(高3)とジュリアンさん(高2)と話していきます。

テーマの「多様なライフスタイル」とは、人それぞれいろいろな人生・生活があるということです。

りゅうちぇる 「僕はいま子供がいるので、子育てをしながら、それと一緒に仕事もしっかりして、っていうライフスタイルなんだけど…」

ライフスタイルを考える上で、重要になってくるのが「家族」です。
家族をつくるか・つくらないか、どちらを選ぶかによって、ライフスタイルは変わっていきます。

今回の3つのポイントは、「どんなライフスタイルを選ぶ?」「自分にとって『家族』とは?」「いろいろな『家族』のカタチ」です。
自分はどんな人生を送りたいか?家族とはどんなものか?一緒に考えていきましょう!

どんなライフスタイルを選ぶ?
りゅちぇるのライフコース

りゅうちぇるさんの人生の年表、生まれてから死ぬまでの「ライフコース」を見てみましょう。
入学・結婚・子どもの誕生など、さまざまな「ライフイベント」が書いてあります。
りゅうちぇるさんは、21歳でぺこさんと結婚して、現在24歳。
もうすぐ2歳になる男の子がいます。

「26歳でもうひとり、子どもをつくる。」
仕事では、「メイクブランドを立ち上げる。」
プライベートでは、「40歳でマイホームを建てて、45歳で沖縄に帰る。」
お父さんお母さんたち家族のいる、故郷が大切なのですね。

りゅうちぇる 「最終的には僕、地元に帰りたいんですよね。沖縄ってすごく落ち着くから、やっぱりいつかは戻りたいなって考えているんだよね。」

沖縄に帰ったあとは、「50歳で結婚30周年パーティ」、いままで支えてくれた家族や町の人たちに恩返し。
70歳になる頃には、きっと孫もたくさん生まれて、家族や町の人気者になっているはず!?

  • ジュリアンのライフコース
  • 40歳でアカデミー賞

高校2年生のジュリアンさんは、どんな家族と、どんなライフスタイルを選びたいと思っているのでしょうか。
「俳優を目指して、20歳になる前にドラマや映画にでる。」
そして「新人賞をとって活躍して、経済的に自立してから家庭を持ちたい」みたい。
「30代になると家を建てて、子どももつくる。」
そのあとの大きな目標が、「40歳で主演男優賞をとり、50歳でアメリカでアカデミー賞をとる!」
俳優としての成功は、きっと家族がしっかりサポートしてくれたおかげ、ですね。
そして、そのお礼に旅行して、孫も生まれて、家族でゆっくり老後を過ごす計画です。

りゅうちぇる 「やっぱり家族って、本当にかけがいのない存在っていうか、やっぱり家族なしでは人生のことは語れないなって思ったんですよね。」

自分にとって「家族」とは?
  • 堀内先生
  • 法律用語には「家族」という用語はない

将来の目標や生活を支えてくれる「家族」とは、どのような存在でしょうか?

ジュリアン 「子どもが生まれて育てる場だと思っています。子どもから大人になるまで、家族が支える、見守る、そういう場だと思います。」

心 「私は一番、素でいられる場所ですね。気を使わずに、ありのままの自分でいられる場所だと思います。」

りゅうちぇる 「僕はやっぱり居場所。社会でもしひとりになったとしても、家族だけは味方でいてくれるっていう、居場所って感じかな。」


ここからは、横浜国立大学教授の堀内かおる先生と一緒に考えていきます。

堀内先生 「どの人と、どのように暮らすのか、どんなライフスタイルを送っていくかというのは、人生において、とても大切ことです。例えば、それを考えるときに大事な要素が『家族』なんです。」

実は法律用語には「家族」という言葉は存在しません。
どこまでが「家族」という決まりはないのです。
法律上では「家族」ではなく「親族」という言葉を使います。

3親等内の親族図

上の図には3親等までの「親族」が書いてあります。
結婚をした場合、妻から見た夫・夫から見た妻を「配偶者」といいます。
青色の部分、自分と配偶者の間に生まれた子ども・それぞれの父母は「1親等」。
緑色の部分、祖父母・孫・自分の兄弟は「2親等」。
黄色の部分、叔父・叔母・曾孫(ひまご)などは「3親等」といいます。

  • 扶養する義務の範囲
  • 扶養義務とは

また、親族の3親等までは扶養する義務が生じる可能性があります。

「扶養義務」とは、「一定範囲の近親者が、経済的に自立できない人を、支援しなければならない義務」のことです。
まずは、夫婦が助け合うことがベースになっていて、民法第752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められています。
さらに、民法第877条では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。
また、3親等内の親族においても、直系血族に経済力がないといった特別な場合のみ、
家庭裁判所の審判によって扶養義務を負うことがあります。

りゅうちぇる 「けっこう扶養義務の範囲が広いことに僕はちょっとビックリしたんだけど、実は僕もそういう考え方『ゆいま〜る精神』って沖縄独特の精神があって、みんなひとつだよねって意味なのね。だから家族だったらみんなで助け合おうねっていう精神があるから、本当にみんな1親等みたいな感じの考え方がすごくあるんだよね。」

ジュリアン 「でも、もし僕のところに(親族から)援助してくださいって申し出があったとして、その時に僕にお金を持っていなかったら、どうすればいいんですか?」

堀内先生 「もちろん、経済的に自分のことで精いっぱいっていうことだったら、そのことを告げて断ることもできます。それに義務が生じるのは成人(成年年齢)になってからです。」

ジュリアン 「それを聞いて、ほっとしました。」

いろいろな『家族』のカタチ
  • りゅうちぇるの家族図
  • りゅうちぇる

ここまで法律上の「親族」のつながりを中心に見てきましたが、次は「心のつながり」「家族だと思う範囲」について考えていきましょう。

まず、りゅうちぇるさんと高校生2人に、自分にとっての「家族」を書いてもらいました。

りゅうちぇるさんは、東京で一緒に住む家族と、沖縄の家族を書きました。
全員あわせると、りゅうちぇるさんは25人家族!

りゅうちぇる 「やっぱり僕がね、実家に帰ったりすると、みんな実家に集まってくれたりするの。だから実家のくくりで書いちゃいました。」

  • 心の家族
  • 心

心 「私は9人と1匹の家族です。実際は、兄はもう結婚して妻がいて、暮らしている家も違うんですけど、やっぱり家族だなって。犬(ワンちゃん)も、別に血はつながってないですけど、私の家族全員がかわいいかわいいと愛情を注いでいるので、家族ですね。」

  • ジュリアンの家族
  • 3人の家族図

ジュリアン 「僕は、日本にいる祖母と母と住んでいて、父はフランス人なんですけど、スペインに再婚した奥さんといて、妹2人と犬と猫2匹。そして、フランスに祖母と祖父がいるっていう感じです。」

離婚したお父さんが再婚してつくった家族も、自分の家族だというジュリアンさん。
今も、年に1度は必ず会っているし、妹たちとも仲良くしているそうです。

堀内先生 「みなさん、すごい大家族だし、家族というものを広く、大切にとらえているんだなって感じられました。家族だと思う範囲は、人それぞれ本当に違うんじゃないかなと思います。心さんみたいにペットの犬も家族だっていう人もいれば、ずっと長く一緒に暮らしている友達のことを家族と思う人もいるんじゃないかって思いました。」

ここで2つの『家族』のカタチをみてみましょう。

  • 美桜さん
  • 野球観戦する美桜さん家族

美桜さん(高1)には、2年前、家族がひとり、増えました。
シングルマザーだったお母さんが結婚し、新しいお父さんが加わったのです。

生まれてからずっと、美桜さんはお母さんと2人暮らしでした。
初めてお父さんと暮らすことになったのです。

美桜さん 「正直ちょっと不安でした。もしその人と家族になったら、うまくなじめるのかっていう不安。」

一緒に暮らし始めて間もないときは、2人ともどう接していいかわからず、微妙な雰囲気が漂っていました。
そんな生活を、お父さんはどう感じていたのでしょうか。

父 「最初いろいろ気を使いましたね。僕のほうから話すと、(美桜さんが)身構えちゃう部分が多少なりともあったと思うんですよね。」

しかし、あることが2人の関係を変えました。
美桜さん・お母さん・お父さん3人ともに野球ファンで、月に一度は野球観戦に出かけました。
すると、美桜さんの不安は少しずつ消えていったといいます。

美桜さん 「共通の趣味があったからこそ、いろいろ野球のこととか話せましたし、楽しめまし、一緒にいたほうが楽しいかなって。一緒にいろんな野球を見に行きたいな。」

  • 一緒に料理する美桜さんとお父さん
  • 美桜さんの家族

週に2回、お父さんは家族のために食事を作ります。
そんな時、美桜さんは率先してお父さんを手伝います。
なるべく一緒の時間を過ごすことで、お互いの距離がだんだん縮まってきていると感じています。
さらに、「心のつながり」が深まる出来事がありました。妹が生まれたのです。

美桜さん 「(妹が生まれて)うれしいです。超絶かわいいです!」

美桜さんは、新しい家族を受け入れ、大切にしています。

  • 漁師の仕事
  • 大野一敏さん
  • 漁師のみなさん

もうひとつ、「心のつながり」で家族となっているカタチを紹介します。
千葉県、船橋漁港の漁師のみなさんです。
船の乗組員は15人、19歳から68歳まで年齢も出身地もバラバラです。
仲間で協力して東京湾で魚の群れを探し、網で囲い込んで獲る、まき網漁を行います。
海の上ではちょっとしたミスが命を奪うこともあるので、お互いを信頼し、助け合うことがとても重要です。
そのため、乗組員同士には特別な思いがあります。

高橋さん 「お互い命を預けあっているといいますか、命にかかわる仕事でもあるので。プライべートの相談ものってくれますし。」

大野さん 「絆が深くないと、仕事できないでしょうね。だから家族も家族、下手な家族より、がっちりしてますよ。」

「仲間同士、信頼しあう」。仕事から生まれた家族のカタチです。

  • 心の感想
  • 一緒に考えよう!

心 「漁師さんは命を預かっている仲間だからこそ、本当の家族ではないのに家族だと思えるのはすごいステキなことだなって思いました。」

りゅうちぇる 「逆に家族ぐらいの信頼感がないと、全然仕事として成り立たない仕事だもんね。」

心 「美桜ちゃんは、実際にはお父さんとは血がつながっていないけど、その間に生まれた子どもも、(全員を)しっかり家族って思えることは、美桜ちゃん自身もステキな方だなって思いました。」

堀内先生 「同じ船で働く漁師さんの場合は、命を預かっているっていう『信頼』という強い絆でつながっている家族でしたし、ステップファミリーは、お互いのことを考えて、徐々に受け入れあって、家族をつくっているのかなって思いました。」

これから、いろんな選択をして家族をつくっていけるんですよ。近年では、婚姻届を出さずに一緒に住むという事実婚や、同性同士のパートナーシップも認められるようになりましたね。」

りゅうちぇる 「この後も、自分らしいライフスタイルのこと、家族のこと、一緒に考えていこうね!」

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール〜
  • SDGs目標5
  • ジェンダーとは

今回は、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について、考えていきます。

『ジェンダー』とは、社会的・文化的につくられた「性別」のことです。
例えば、「外で働くのは男性の仕事で、家のことをするのは女性の仕事」と思い込んだり、「男性が好むのは青い色、女性が好むのはピンク色」と決めつけたりすることです。
このような先入観が、ジェンダーに基づく不平等や差別を生んでしまいます。

りゅうちぇる 「僕も、最初にテレビに出たときに『男なのに、おまえメイクするなよ』みたなことをたくさん言われて、すごい傷ついたんだよね。」

ジェンダーの平等について、SDGsではどのように実現していこうと定められているのでしょうか。

堀内先生 「SDGsが目指すのは、世界中でジェンダーによる差別を解消し、男性も女性も、社会的に平等であることです。」

りゅうちぇる 「やっぱり男女関係なく、平等な世界をつくっていかなくちゃダメだよね!!」

  • ジェンダーギャップランキング表
  • 日本の順位

では、日本はいまどのような状況にあるのでしょうか。
上の図は世界153か国の男女平等の現状を、政治・経済・教育・健康の4部門で比較したランキングです。
男女平等が実現している、いわゆるジェンダー格差が少ない国の上位は、

1位 アイスランド
2位 ノルウェー
3位 フィンランド …

日本の順位は、なんと121位!!
2019年のデータでは、過去最低の結果となっています。

  • ジェンダーギャップ経済分野
  • ジェンダーギャップ政治分野

細かく見ていくと、日本では経済分野でのジェンダー格差が大きくなっています。
所得や、幹部・管理職での男女の比較でも、日本は115位。

政治分野では、日本は144位とワースト10入りしています。
例えば、衆議院議員の女性議員数は約10%と、少ないのです。

ジュリアン 「僕は、女性議員が多いと思っていたので、すごく意外です。」

心 「日本はすごく『女性』をつけたがるクセがないですか?『女性社長』とか。男性だったら普通に社長でおわる言葉を、日本は『女性』ってつけるのを、テレビのニュースとかでも見るので、そこに差は感じるなって思います。」

ジュリアン 「(日本のジェンダー平等順位が)あまりにひどかったので、日本はもっと頑張ったほうがいいのかなって思います。」

どのようにしたら、日本でもジェンダー平等が実現できるのか、家庭総合の勉強を通して一緒に考えていきましょう!

それでは次回もお楽しみに!

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