NHK高校講座

家庭総合

今回の学習

第1回 自分・家族

どんなふうに生きたい? 暮らしたい?

  • 横浜国立大学教授 堀内 かおる
学習ポイント学習ポイント

どんなふうに生きたい? 暮らしたい?

今回のテーマは「どんなふうに生きたい?暮らしたい?」
  • りゅうちぇる
  • 高校生

「家庭総合」が始まります!
みなさんと一緒に学ぶのは、りゅうちぇるさんと現役高校生の男女6人。

もうすぐ2歳になる男の子の子育て真っ最中のりゅうちぇるさんが、この番組にかける思いとは…?

りゅうちぇる 「子育てのこと、環境のことなど、いろんなことを知りたいな、学んでいきたいなと思っています。高校生のみんなの先輩として、一緒にがんばっていきたいと思っておりますよ〜!人生のいろいろなお悩み、家庭科で解決しよう!!」

この番組では、毎回、3つのポイントを取り上げて学習していきます。

今回のポイントは、「オトナになるってどういうこと?」「自立って なに?」「目標を持って生きるには?」です。
どんなオトナになるか、一緒に考えていきましょう!

オトナになるってどういうこと?
  • スタジオの様子

みなさんは、オトナになるってどういうことか、考えたことがありますか?

絢音 「う〜ん、まだちょっと遠い存在かな、と思います。」

ジュリアン 「自分がオトナだな、と思ったとき、まだ一回もないですね。」

高校生にとって少し先輩にあたる、20代の方に話を聞きました。

  • マリオネットブラザーズ
  • 肉汁さんのアパート

お笑いコンビ「マリオネットブラザーズ」のぼけ担当、肉汁さん(25歳)。
肉汁さんの夢は、漫才コンテストで優勝することです。でも、お笑いでの収入は年間4万円ほど。
インターネットカフェなど、2つのアルバイトを掛け持ちして、なんとか生活費を稼ぐ毎日です。
肉汁さんは、芸人仲間2人と一緒に、二間のアパートで暮らしています。

肉汁さん 「この3畳の領域が僕のうちです。ここでは寝るだけ、みたいな。」

食費と光熱費込みの家賃は3万円、親からの援助は一切、受けていません。

肉汁さん 「経済的には多少自立はできているのかなと思うんですけど、これが本当に自立しているのかな…」

茨城県出身の肉汁さんは、小さい頃からお笑いが大好き。大学生の時に相方の井上さんと出会い、一緒にプロのお笑い芸人になると決めました。
しかし、両親からは家に帰るたびに「いつまでこの仕事続けるの?」と言われるそうです。

肉汁さん 「『お金もろくに稼いでないでしょ?』みたいなのは、本当にずっと言われるんで、そこはなんとか結果でくつがえすしかないですよね。」

  • 肉汁さんの考えるオトナの条件
  • 経済的自立

肉汁さんの考える「オトナの条件」とは?

肉汁さん 「バイトせずに芸人の収入だけで暮らしていけたら、とりあえずはオトナかなっていうのは思いますね。」

まずは「経済的自立」を果たすことが、肉汁さんにとってのオトナの第一歩です。

  • 松田愛里さん
  • お客さんからの感謝の声

ブライダル会社の広報部で5年間働いた経験を生かし、2019年1月、パーティードレスのレンタルサービス会社を立ち上げた、社長の松田愛里さん(29歳)。

結婚式やパーティーに参列する時、どんな服を着るのかで悩むことの多い20〜30代の女性をターゲットにした新サービス。海外からドレスを仕入れ、レンタルする事業を始めました。

松田さん 「一人で立ち上げもやることになっていたので、大丈夫かな?という心配はあったんですけど、すべてのことが自分の自信につながっていく感覚があったので、最初、立ち上げの時とかはいろいろ準備を積んできたことを、すべて自信に変えてやっていこうという気持ちでいっぱいでした。」

ドレスのレンタルサービス開始から1年経ち、お客さんから多くの感謝の声が届くようになりました。これが、社長としての松田さんのやりがいにつながっています。

  • 松田さんのオトナの実感
  • 精神的自立

松田さんの「自分がオトナになった」実感とは?

松田さん 「自分の選択肢でいろんなことを決めていけるっていうのが、すごく自立してるオトナだなとは思うので、いま私も1人で会社を立ち上げていろんな経験をしていくなかで、すごくオトナになってきているなっていう実感はあります。」

自分で考え、決断できるのが、自立したオトナ。
会社を立ち上げることで、松田さんは、「精神的自立」を達成したのです。

  • 木村昇治さん
  • 木村さんのオトナを感じる時

続いて紹介する20代は、千葉船橋の巻き網漁船の乗組員、木村昇治さん(26歳)。
中学卒業後、すぐに漁師になりました。
中学3年生の時に両親が離婚したため、家計を支えるには自分が働くしかないと考えたのです。

木村さん 「収入がないとやっぱやっていけないんでね。そこで働いて、稼いで、(親を)安心させたい、っていうか。俺が、これからは育ててもらった分、返せればいいなと思って。」

漁師になって5年、経済的に自立した木村さんは20歳の時に大きな決断をします。
これからの人生を一緒に歩んでいきたい女性と、結婚しました。
その後、2人の子どもが生まれ、父親になりました。

木村さんが「オトナになった」と自覚したのは?

木村さん 「一番でかいのは子どもが生まれた時、ですかね。ひとつの命が誕生してくるわけですから。自分で稼いで、子どももいて、家に帰ると『パパ〜』って寄って来て、そういう小さな幸せですかね。いいなって感じます。そこがやっぱり子どものときと違って、オトナだなって感じる瞬間ですかね。」


みなさんが参考になった、20代の先輩はいましたか?

英 「漁師さんの『親になって』というのは、私がオトナって聞いて思い浮かべるのがやっぱり親なので、自分が養わなきゃいけない、守らなきゃいけない存在ができるってことは、なろうって思って『なる』というより、ならなくてはならない時が来るのかなって思っています。」

ジュリアン 「僕は、松田さんなんですけど、自分で会社を立ち上げて経済的にも安定していると思うので、松田さんがオトナだなと思いました。」

20代の先輩たちの話にも出てきましたが、オトナになる上での大事なキーワードが「自立」です。

「自立」って なに?
  • 堀内先生

ここからは、番組の監修を担当している、横浜国立大学教授の堀内かおる先生と一緒に考えていきます。

りゅうちぇる 「オトナになるために『自立』ということは、絶対に外せない条件なんですか?」

堀内先生 「そうですね。高校生のみなさんにとっては、いまの自分がどれくらい自立できているのか、どれくらいオトナに近づけているのかを考えて、まずは自分自身のことをよく知ることが大事だと思います。」

  • 成年年齢が引き下げられる
  • 成年になるとできること

民法の改正により、2022年4月から、これまで20歳だった成年年齢が18歳に引き下げられます。成年になると、できることがいろいろあります。
例えば、クレジットカードやローンなどの契約ができるようになり、結婚にも親権者の同意は不要です。
進学や就職などの進路も、自分の意思で決めることができます。

もうすぐ迫る「18歳でオトナ」、「成年」になる、心の準備はできているのか・・・?
堀内先生の作成した「自立度チェック」に挑戦してみましょう。
自分がどれだけオトナに近づいているか、4つの自立で確認していきます。

生活的自立

生活的自立、日々の暮らしに関する質問です。

精神的自立

精神的自立、オトナとして自分で決断できるか問われます。

経済的自立

経済的自立、お金にまつわる質問です。

性的自立

性的自立、性の理解と責任についての問いです。

  • こころさんの自立度チェック
  • あやねさんの自立度チェック

心さんは、生活的自立は3問とも〇。

心 「小さいときから包丁はお母さんと一緒に握って、料理して、最近は自分の体形維持のためとか、結構(食事の)バランスを考えてます。」

絢音さんは、精神的自立に×が2つ。

絢音 「親とか、友達に任せちゃう場面もすごく多くあるので、そこはまだ自立していないかなって思ったりします。」

  • さとしさんの自立度チェック
  • だいやさんの自立度チェック

さとしさんは、経済的自立に×が1つ。

さとし 「クレジットカードはよく使うんですけど、どういうものかって聞かれたときに答えられるかっていうと、答えられなくて…」

太哉さんは、性的自立がいまひとつ理解できていないようです。

太哉 「全部わかっているかっていわれたら、そんなこともないなっていう…」


この「自立度チェック」の結果を、オトナになるための準備に、どのようにつなげていけばよいのでしょうか。

堀内先生 「一番大事なのは、その人らしい自立を、みんながこれから目指していくことだと思うんですね。
高校生の時期というのは、オトナになる準備をしていく大事な時期なので、まだできていないところに(自分で)気が付いて、ひとつひとつできるように準備をしていく。その積み重ねをしていくことを大切にほしいなと思います。

目標を持って生きるには?
  • 吉井大河さん
  • 阿部さんと吉井さん

20代の先輩たちは、どのように自分の目標を見つけて、これからどんな目標に向かっていくのでしょうか。
目標を見つけることは簡単ではありませんが、自立したオトナになるには目標があったほうがいい、のかもしれません。

自分の目標に向かって、いまは漁師として働く2人に聞いてみました。

宮城県石巻の鮫ノ浦湾で、養殖しているホヤの成長をチェックする吉井大河さん(24歳)。目標は、自分の船を持って独り立ちすることです。

吉井さん 「魚獲るの楽しいから、いつか刺し網も自分でできたらな、とは思いますね。」

漁師になる前は、山梨の大学で水族館の動物の飼育や自然保護について学んでいました。

吉井さん 「もともと水族館の飼育員を目指してたんですけど、勉強していくうちにちょっと違うなと思い始めて、ほかの仕事探そうと思った時に、宮城県の田代島に卒業研究で来てたんですけど、そこで漁師を見て、かっこいいなと思って…」

早速、漁師を目指す人のためのフェアに参加し、いまの親方、阿部誠二さんと出会いました。
魚の品質向上や資源保護そして水産業の活性化にも力を入れる阿部さんのもとで働いてみたいと思い、山梨から石巻の阿部さんのもとへ通い、2度の研修を経て、大学卒業後、吉井さんは漁師となりました。
いまは阿部さんと一緒に働きながら、ホヤの養殖や刺し網漁を学んでいます。
吉井さんがつかんだ目標は、石巻自慢のホヤ、そして新鮮な魚を届けるため一人前の漁師となることです。

  • 高橋謙吾さん
  • 高橋さんの目標

漁師2年目の、高橋謙吾さん(29歳)。
高橋さんは漁師になる前、調理師としてイタリアン・レストランで働いていました。
どうして調理師から漁師へ転職したのでしょうか。

高橋さん 「調理師をしていたとき、魚料理が苦手で、任されるのもプレッシャーだったんですけど、思いきって漁師になることで、魚料理が苦手っていうのを克服できそうなんで。」

仕入れ先の漁師さんからの「魚を獲る側になることで、食材の扱い方が変わる」というアドバイスがきっかけで、高橋さんは転職を決意しました。
そして選んだ職場は、東京湾で巻き網漁をする船の漁師です。
季節ごとに太刀魚・アジ・サバ・イワシなど、豊富な魚が獲れるのが魅力です。
漁師として働きながら魚の特徴を学ぶことが、料理を作るのにも役立つと考えました。

高橋さん 「遠回りっていうのはあるんですけど、魚の扱い方とか生産者の苦労だとかもこれで一通り経験できたと思うので、より丁寧に食材を扱って、将来的には続けてきた調理師、自分の店を持つっていう目標にまた戻ることができたらいいなと思ってます。」


ジュリアン 「漁師さんが遠回りしてやりたいこと、魚料理をもっとうまくやりたいと言っていた。ぼくも、役者とか俳優になりたいので、遠回りして頑張りたいと思います。」

英 「私はあんまりこれといってこう、何になりたいってはっきりとは言えないけど、3年間かけて行きたい大学に向けて、そのためなら努力できるかなって思います。」

りゅうちぇる 「本当に人生っていろんな道があるから、そのなかで大事なのは、やっぱり常に自分のアンテナをピカピカさせながら(感性豊かに)生きていくことなのかなって、すごい思いました。」

堀内先生 「どんな小さいことでもいいので、こんな風になりたい、というような自分の次の目標を設定して、それに向かって自分で判断して実行していく、そういったことが大事かなって思います。

わたしたちの未来 〜SDGs17のゴール〜
  • SDGs
  • No one will be left behind

これから家庭総合を学んでいく上で、みなさんにぜひ知っておいてほしいことが「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」です。
2015年9月の国連サミットで、世界のリーダーたちが採択しました。
「SDGs」とは、17のゴールからなる「持続可能な開発目標」のことです!
「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「気候変動に具体的な対策を」など、どれも世界規模で取り組む必要のある課題がたくさんあります。

「No one will be left behind(世界中の誰一人、取り残さない)」という考え方に基づいて、この17のゴールが定められました。

堀内先生 「国によってもさまざまな状況や考え方がある中でどのようにしたら、『誰一人取り残さない』世界をつくっていくことができるのか、一人ひとりが自分自身の課題としてとらえて、行動していかないといけませんよね。」

  • スタジオのSDGs1
  • スタジオのSDGs2

実はスタジオのセットには、SDGsのゴールのうち、いくつかが飾られています。
一年間、家庭科を学びながらSDGsについてもみんなで一緒に考えていきましょう!

それでは次回もお楽しみに!

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