NHK高校講座

科学と人間生活

今回の学習

第13回 物理

色は光でできている

  • 科学と人間生活監修:学校法人麻布学園 麻布高等学校教諭 加藤 義道
学習ポイント学習ポイント

色は光でできている

  • プリズム

いい天気なので、外で実験をしようと理陽くんと実穂さんを呼び出した僕蔵さん。
プリズム(ガラスでできた三角柱)を使うと、太陽の光の本当の色を見ることができるといいます。


理陽 「太陽の光はどう見ても、色なんかないよ。あえて言えば白色というか金色というか……。」

実穂 「前に(第1回「光を求めている植物」で)僕蔵さんに教えてもらったこと思い出した!太陽の光は無色透明に見えるけど本当はね……!」

僕蔵さん 「実穂ちゃん、ちょっと待った!それ以上言わないで!実際に実験で確かめてみましょう。」


今日のテーマは「色」です。私たちの目に見える、カラフルな色の正体に迫ります。


僕蔵さん 「プリズムの中を光が通ると、どうなると思う?」

実穂 「ガラスの中を通ったら、屈折する。」

僕蔵さん 「その通り!」


光は違う物質を通るときに曲がります。そのため、光が空気からガラスに入るとき、またガラスから空気に出るときに屈折します。 


理陽 「プリズムを使って太陽の光を屈折させるんだね。」

僕蔵さん 「そういうこと!じゃあ早速このプリズムを使って、太陽の光の本当の色を確かめてみよう!」

  • ボードに光がうつるようにプリズムの角度を調整する
  • スペクトル

黒いボードに太陽の光が当たるようにプリズムの角度を調整すると、ボードに太陽の本当の色がうつりました(右写真)。太陽の光には、紫から赤までたくさんの色が含まれており、この色の帯をスペクトルといいます。

  • 白色光
  • 光の分散

太陽の光や白熱電球などから出る白い光を、白色光といいます。白色光はプリズムを通すと、赤から紫までの光に分かれます(右写真)。この現象を光の分散といいます。

  • 赤より紫の光が大きく曲がる性質がある
  • 色によって波長が違う

光の分散が起こるのは、光の色によって屈折率が異なるためです。
例えば、赤い光よりも紫の光の方が大きく曲がる性質があります。色によって曲がる角度、つまり屈折率が少しずつ違うため、右図のように連続的に分かれた色が見えます。

光は波であり、色によって山から山までの長さ=波長が異なります。紫は波長が短く、赤になるにつれて長くなります。波長の違いによって屈折率が異なるために、光の分散が起こります。

  • 太陽の光が水の粒にあたって光が分散される
  • バラバラに分かれた色の光が虹となって見える

雨が上がると空にかかる虹は、太陽とは逆の方向に見えます。この虹も、光が分散して起こる現象です。

プリズムと同じ役割を果たすのが、雨の後に空気中に残った水の粒です。太陽の光が水の粒に当たって屈折して、光が分散されます(左図)。そのバラバラに分かれた色の光を、私たちは目にしています(右図)。

  • 水が入った容器に白色光を当てる
  • ボードに白い光がうつった

理陽 「太陽の光って、本当はあんなにたくさんの色が含まれていたんだね。」

実穂 「話には聞いたことあったけど、いまいちピンときてなかったんだよね。でも今回の実験で納得できたから良かった!」

僕蔵さん 「太陽の光には たくさんの色が含まれているからこそ、昼間の空が青く見えたり、夕方に赤く見えたりするんだよ。」

実穂 「どうして青空とか夕焼けが、太陽に含まれている色と関係あるの?」

僕蔵さん 「そうくると思って、実験道具を用意しておいたんだ!」


水を入れた無色透明の容器に、横から白色光を当て、光が通過したらどのような色に見えるのかという実験をしてみます。

容器の横から白色光を当てると、ボードには右写真のように白い光がうつりました。

  • 石けん水を加える
  • オレンジ色の光に変わった

次に容器の中の水に石けん水を加えます。すると白いボードにうつっていた光は、石けん水を加えるたびに黄色がかってきて、やがて右写真のように夕焼け色のようなオレンジ色に変わっていきました。

なぜ石けん水を通った光は、オレンジ色になるのでしょうか。

  • 青い光は散乱しやすい
  • 光源から遠い場所は赤く見える

石けん水には、小さな粒子がたくさん含まれています。白色光がこの粒子にぶつかると、ある変化が起きます。

粒子の大きさが光の波長と同じくらいかそれより小さいと、光は元の進行方向以外にその粒子を中心としてあらゆる方向に向かって進んでいきます(左図)。このような現象を光の散乱といいます。

青い光は、散乱しやすい性質をもちます。そのため、光源の近くでは青い光がたくさん、私たちの目に入ってきます。

一方、赤い光は少しは散乱するものの、ほとんどが水の中を突き抜けていきます(右図)。そのため、光源から遠い場所は赤く見えます。

私たちが普段目にする青空も、光の散乱による現象です。昼に太陽から届く光が、大気中の気体の分子などに当たって散乱します。青い光が私たちの頭上でたくさん散乱するために、空が青く見えます。

夕方になると、青い光は私たちがいる所まで届かず、長い距離を通過する赤い光だけが届くようになります(右図)。

太陽に様々な波長の光が含まれていること、そして太陽の光が通り抜ける大気の層の厚さの違いで美しい青空や夕焼けを楽しむことができるのです。

  • 三種類のライト
  • 青と赤を混ぜるとマゼンタになった

実穂 「太陽の光とか照明の白色光は、いろいろな色に分けられるということはよく分かりました。逆に、いろいろな色の光を混ぜると白になるということ?」

僕蔵さん 「それはどうかな〜?実際に実験して見てみましょう!」


赤い光、青い光、緑の光が出るライトを三種類用意します(左写真)。これをひとつずつ点灯させて光を重ねていくと、何色に見えるのかということを実験していきます。

まず、赤いライトのスイッチを入れると、黒板に赤い色の光がうつりました。次に青いライトのスイッチを入れます。


僕蔵さん 「青い色が赤い色と重なると、何色になるでしょうか?」

実穂 「青と赤を混ぜると紫かな?」


実際には、ピンク色のような色味のマゼンタという色になりました。

  • 赤と緑を混ぜるとイエローになった
  • 青と緑を混ぜるとシアンになった

続いて緑のライトをつけます。
赤と緑の光を混ぜるとイエローに、青と緑を混ぜると、シアンという鮮やかな水色になりました。

  • 赤青緑を混ぜると白になる
  • 光の三原色

そして、赤青緑の三色を混ぜると白い光になりました(左写真)。

先ほどプリズムで別々に分けた色を全て混ぜても白い光になりますが、赤青緑の三色だけでも白い光を作ることができます。
また、白にかぎらず黄色やピンクなど、だいたいの色を作ることができます。この赤青緑の基本の三色を光の三原色といいます。

リサーチモード! テレビの色のしくみ
  • 総合家電メーカーの吉田悠一さん
  • 光の三原色で白い光をつくる

実穂さんはテレビの色のしくみを知るために、奈良県天理市にあるテレビの開発現場を訪れました。テレビの研究開発に10年間携わっているという吉田 悠一(よしだ ゆういち)さんにお話をうかがいます。

案内していただいた部屋には、テレビが2台あります。
テレビの色の秘密を教えてもらうために、ルーペが渡されました。このルーペを使って、1台のテレビの液晶画面をのぞいてみます。

すると、右写真のような赤青緑の三色が見えました。一方、ルーペを液晶画面から離してみると白く見えます。
このことから、3色で白い光が作られていることが分かります。

  • 赤と緑で黄色を表現する
  • 赤緑青に黄色を加えて白色をつくる

次に色のついた画面をルーペで見ます。
左写真の左上がルーペを通して見た画面、右下は実際にテレビ画面に表示されている色です。この写真からは、赤と緑で黄色を表現しているということが分かります。

このようにテレビは、光の三原色が利用されています。赤・青・緑の、それぞれの光の強さを変えることで、様々な色を表現することができます。


実穂 「すごいですね。本当に赤と緑と青の三色だけで、こんなキレイな鮮やかな色を出しているんですね。」

次にもう一台のテレビを見てみます。先ほどと同じように画面は白色ですが、ルーペでのぞいてみると、赤緑青に加えて黄色が見えました(右写真)。

このテレビには、光の三原色に加えて黄色も使われています。しかし、黄色は赤と緑を混ぜれば作れるはずです。なぜ、わざわざ黄色の光を加えたのでしょうか。

  • 人の目が見える色域
  • 物体色の分布

左写真中のグラフは、人の目が見える色の範囲を示したものです。
また右図では、世の中に存在する物体の色の分布が、グラフ上の白い点で示してあります。

表現できる色の範囲が広がった

従来の三色テレビの規格では、赤青緑の3つの光を使っており、図中の内側の三角形で示される範囲の色しか表現できないといいます。


実穂 「意外にテレビ画面では見えていない色の範囲が多いですよね。」

吉田さん 「実際に世の中に存在する色ですが、テレビでは表現できない色が結構あるのが、お分かりいただけると思います。そこで黄色のフィルターを入れ、さらに緑と赤を最適化することによって、表現できる範囲を広げました(緑・黄・赤・青の点で結ばれた範囲)。」

実穂 「より本物の色に近づくということですね。」

  • 三色テレビのひまわり
  • 四色テレビのひまわり

  • 三色テレビのプール
  • 四色テレビのプール

黄色のフィルターを加えたことで、鮮やかなひまわりや、繊細な水面の表情をより色彩豊かに表現できるようになったといいます。


実穂 「吉田さんの今後の夢は何ですか?」

吉田さん 「実はまだまだ人間の目にはかないません。今後はより人間の目で見たリアルな世界を完全に再現できるような、そして我々の生活を豊かにできるような、そういったディスプレイを作製していきたいと思います。」

実穂 「私もテレビでドラマだったり映画を見たりするのが大好きなので、これからもっともっと迫力のある画が見られるようになったら、面白いなと思いました。」

波長によって変わる光の仲間

ここからは光の仲間たちについて考えていきます。

私たちの目に見える光は可視光線といいます。しかし、可視光線よりも長い波長や短い波長の波が存在しており、これらをまとめて電磁波といいます。

例えば、赤よりも長い波長領域のものを赤外線といいます。
テレビのリモコンには、赤外線が使われています。赤外線は目には見えませんが、カメラを通して見ると光を見ることができます。さらに赤外線はセンサーとして使われるだけでなく、熱を与える効果もあり、ストーブにも利用されています。

また、さらに長い領域のものを電波と呼びます。電波は電話やラジオ、テレビなどに使われています。

紫より短い波長領域は紫外線です。肌にダメージを与えることで有名ですが、殺菌作用が強いため衛生管理が必要な器具や手洗い後の殺菌に利用されています。

さらに短い領域のものにX線があります。レントゲン検査や空港の手荷物検査など、内部の様子を確認するのに適しています。

このように、電磁波は身近なところで様々な形で利用されています。

  • X線でリモコンを観察
  • X線で見るリモコンの内部

X線を出す装置を使って、リモコンの内部を観察してみます。

装置の中の台にリモコンを載せてフタを閉め、スイッチを入れて、観察用の窓からのぞきます。X線で観察すると、リモコンは右写真のように見えました。

  • 次回もお楽しみに〜

実穂 「電池も全部透けちゃってます!」

理陽 「X線は、普段見えないものを見せてくれるんですね!」


他にも色々なものを見てみようと盛り上がる三人なのでした。

それでは次回もお楽しみに〜!

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