NHK高校講座

地学基礎

今回の学習

第20回 第3編 地球

地球内部の動き

  • 監修・講師:茗渓学園中学・高等学校講師 渡来 めぐみ
学習ポイント学習ポイント

 「地球内部の区分」「プレートは動く」「プレートが動く原動力」

地学基礎では、地球調べ隊の関口隊長と垣内隊員、そして地球調べ隊の顧問の先生が、地球の謎に迫ります!

今日のテーマは、「地球内部の動き」。

関口隊長が取り出したケーキ。それを見て「食べましょう!」と迫る垣内隊員に、
「食べるんじゃなくて動かすの!」、と関口隊長は返します。
「地球内部の動き」と「ケーキ」、この2つに一体どんな関係があるのでしょうか?

今日のキーワードは、「地球内部の区分」、「プレートは動く」、「プレートが動く原動力」です。


地球の内部は、物質の違いで地殻、マントル、核に分けられます。これは、地球の内部を「物質の違い」で分けたものです。
それに対して、地球の内部を「物質の性質」で区分することもあります。
物質の性質で地球内部を区分すると、地殻は固体、マントルは固体、外核は液体、内核は固体、となりますが、なんと地球内部には、固体であっても、長い目で見れば液体のように動くという部分がある、というのです。

そこで、関口隊長から垣内隊員に指令です。
「地球内部の区分を詳しく調べてくるように!」

垣内隊員が向かったのは、神奈川県横須賀市にある海洋研究開発機構です。
この研究所では、深い海の底や、地球内部の研究を進めています。


例えば、地球深部探査船・ちきゅう は、海底を掘って、地球内部の構造を調べています。このように、「掘る」事で調べられるのは、地下7000メートルくらいまでです。

それより更に深い地球内部の様子を調べるためには、地震波の伝わり方を利用することができます。
地震波の速さが、伝わる物質によって変化することを利用するのです。


地震波の観測結果を詳しく調べると、マントルの上部には地震波の速さが少し遅くなる部分があることが分かりました。この部分は温度が高くて柔らかいので、地震波が伝わる速度が遅くなるのだと考えられています。マントルのこの柔らかい部分は、アセノスフェアと呼ばれています。

これに対して、アセノスフェアより上の部分=地殻+マントルの上部は、リソスフェアと呼ばれ、温度が低く固くなっています。

アセノスフェアは「柔らかい層」、リソスフェアは「岩石の層」、といった意味です。

リソスフェアは、プレートとも言います。
プレートは、十数枚に分かれていて、それぞれ違う方向に動いています。


プレートはどうして動くのか、冒頭のケーキを使って考えてみましょう。

このケーキの一番上は、固いチョコレート。そして、その下は柔らかいクリームでできています。固いチョコレートを左右に動かすと、その下の柔らかいクリームも一緒に左右に動きます。

柔らかいクリームの上に、固いチョコレートの板が乗っているので動くのです。
この構造は、プレートが動く構造と同じです。
固いチョコレート部分はリソスフェア=プレートを、柔らかいクリーム部分はアセノスフェアを表しています。

実際のプレートの動きは、最大でも年間で数cmから10cmくらいです。


「プレートが動いている」、ということは、現在の科学では、誰しも認める事となっています。しかし、20世紀の中ごろまではとんでもない話として受け止められていました。

それを変えたのが、ドイツの気象学者、ウェゲナーでした。

1910年のある日、ウェゲナーは世界地図を見ていました。
そして、ひらめいたのです。
「大西洋をはさんで、南アメリカ大陸とアフリカ大陸の海岸線がとてもよく似ている!」

そして、「この2つの大陸はもともと1つだったのではないか?」と考えたのです。

これが、大陸移動説のきっかけとなりました。その後、ウェゲナーは研究を重ね、もともと、2つの大陸はつながっていたという様々な証拠を見つけたのです。

例えば、同じ氷河の跡が両方の大陸にあることなど、もともと大陸がつながっていたと考えればつじつまが合う事実が大陸移動説の証拠となりました。

ウェゲナーは、さらに、「すべての大陸は、もともとパンゲアという1つの超大陸から分かれて、移動してできたものだ。」と考えたのです。

しかし、当時、この説は受け入れられませんでした。その理由の1つとして、彼の専門が気象学だったため、地質学者達がこの説を認めなかったからだと言われています。

しかし、彼の死後、1950年代以降になると、海底の地形が本格的に研究されるようになりました。すると、海底で地球規模の大山脈が見つかったのです。この海底の大山脈こそがプレートが生まれてくる場所、そして大陸が動いている証拠だったのです。

こうして、ようやく大陸移動説が認められたのです。

現在では、プレートの動きから地球の変動を解明しようとする、プレートテクトニクスと呼ばれる研究が、さらに進められています。


それでは、プレートが動く原動力は一体何でしょうか?
簡単な実験で考えてみましょう。

用意するのは耐熱ガラスの容器に入れた洗濯のりと、ホットプレートです。


ホットプレートで洗濯のりを温めると、温められた洗濯のりは軽くなって上昇し、表面で横に広がり、冷やされて重くなり沈んでいきます。
熱が移動して、「対流」が起こったのです。

高温高圧の地球内部では、この洗濯のりのようにマントルが対流していると考えられています。上昇する流れをホットプルーム、下降する流れをコールドプルームと呼んでいます。上昇した流れが表面付近で横に広がって水平に流れているところがプレートに相当します。実際のプレートは、空気や海水で冷やされるので固くなっています。

地球内部のマントルは対流していて、それがプレート=大陸を動かしているのです。

しかし、マントルの対流は地球内部のとても深いところで起こっている現象です。見ることは出来ません。どうして、そのような地球内部のことが分かるのでしょうか?

それを調べに、垣内隊員は、再び、海洋研究開発機構のスーパーコンピュータールームを訪れました。
ここでは、様々なデータを取り込んで地球環境のシミュレーションを行う研究が進められています。そして、地球内部の構造を詳しく調べるために使われているのが地震波トモグラフィーです。

地震波トモグラフィーでは、地球内部を伝わる地震波を解析して、地球の断面図をつくります。右の図の、赤い部分がホットプルーム、青い部分がコールドプルームを表しています。


この研究の第一人者、地球科学者の深尾良夫先生に、地震波トモグラフィーを使った研究の成果を解説してもらいました。

プレートは海溝で大陸の下に沈み込んでいきますが、深さ700キロメートルくらいのところでそれが水平に溜まってしまいます。大陸の下に溜まったプレートを、スラブといいます。


溜まったスラブはいつまでもそこに留まっているわけではなくて、重くなるとマントルの底までゆっくりと落ちていきます。これが、コールドプルームです。
すると、マントルの深部にあった熱い物質が押しのけられてゆっくりと上昇します。これが、ホットプルームです。

こうしてマントルが大きく、ゆっくりと対流するとき、マントル表層の水平の流れがプレートの動きとして観測されるのです。


●次回は「プレート境界」です。お楽しみに〜。

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